笹本稜平のレビュー一覧
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山狩という題名から、山を舞台に犯人を追い詰めることがメインの小説かと思って読み始めたけれど、実際に描きたかったのは警察内部のごたごたや裏社会とのつながりだったように感じた。実際小説の3/4くらいはそのあたりを丁寧に描いていて、犯人も分かっているのになかなか捜査が進まない。最後1/4くらいで山を舞台に一気に話が展開するけれど、犯人は山を舞台に逃げ回ったりするわけではなく、山狩で狩られるのは殺人を疑われる村松さんの方で、そっちなのかーとちょっと微妙な気持ちになってしまった。
最終的に犯人の親の犯罪まで表沙汰になり、怪しい組織が解体されるのはよかったけれど、もう少し山を舞台に犯人とのデッドヒートがあ -
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感想
文章は読みやすく、スッとはいってくる。
自然や山からしたら人間は不要の存在。
しかし、筆者の作品は直接登場しない人物が信じられないくらい悪意を持ってるパターン多いな。
あらすじ
風間は、広告写真の世界から締め出され、父親がやっていた北海道の山岳写真で生計を立てることにする。
ニペソツ山で籠って写真を撮ろうとした際に田沢という男性と出会う。田沢はかつて無罪を主張したが、殺人容疑で捕まり、出所したという。
父親も田沢も1880年代に絶滅したはずのエゾオオカミを探し求めて山に入っていたのだった。
田沢が殺したとされる地元にホテルを誘致しようとした三山。冤罪の疑いがある。田沢は誰か -
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笹本稜平さんの作品を読み重ねてくると、登場人物達の立ち位置やこの先の展開を序盤である程度類推できてしまう。それゆえ、その想像がどうひっくり返されるのか?という視点で読み進めることになり、ゼロベースで楽しめなくなって悲しい。
ただ、他作品と同様に山を巡る紹介な描写はこの作品でも第一級。私自身が昨年のヒマラヤでの事故やその後のドキュメンタリー映像などを追いかけているからか、山(壁)の登り方や風景など、リアルな映像を伴って脳内にイメージすることができ、そのために必要な情報を過不足なく筆一本で与えてくれる笹本さんは、なんと山への理解が深い作家さんだと心底唸らされる。 -
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千葉県の伊予ヶ岳の山頂で発見された女性の遺体。ストーカー被害を訴えた女性のものだった。事件を解明しようとする山下や小塚たちは、警察内部や外部の暴力団、地元の警察や暴力団と、癒着する企業に、捜査を阻まれるという四面楚歌の状態になる。
500メートル以上の山がない千葉県が舞台で、山岳小説という特異な一冊ですが、一般登山道というよりも獣道の様な人が寄りつかないような場所で、繰り広げられる逃走劇に、山岳小説というイメージが持てませんでした。
ストーカー事件にしても、宮部みゆきの模倣犯の真犯人の様に普段は知的な印象だけど、シリアルキラーぶりが目につくイメージがありましたが、この犯人は、計画的だけど、 -
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笹本稜平『山狩』光文社文庫。
2021年に逝去した笹本稜平の最後の小説ということで大いに期待したのだが、残念ながら並みの出来であった。
地方の権利者による警察への圧力が正義を歪め、再び警察の正義を取り戻すために高い志を持つ警察官たちが立ち上がるという在りがちなストーリー。タイトルの『山狩』が少し浮いているような気がする。
家族と千葉の伊予ヶ岳で登山を楽しんでいた千葉県警生活安全課の小塚俊也は山中で若い女性の死体を発見する。千葉県警により事件性は無く、事故死か自殺と思われていたが、死の直前までストーカー被害に遭っていたことが判明する。
女性は村松由香子という24歳の女性で祖父が元警察官で -
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ネタバレ越境捜査シリーズ第5弾。今回は成り上がり大企業を相手に殺人事件と汚職と不正輸出の事件を追う。
正直ザツさが目立つ。例えば、宮野のキャラがこのシリーズの個性なのに、悪徳部分を強調するためか、書き分けの必要性からか、質の悪いワトソン兼コメディリリーフの立場に縛っていることなんかは気になって仕方がない。愛憎相半ばのキャラって描くのが難しいんだろうけど、これでは悪目立ちで退場してしまったスターウォーズのジャージャービンクスじゃないか、勿体ない。
肝心の謎解き部分も、積み上げた推理というよりはご都合主義が多く(動画の入手なんて最悪のパターン)、舞台の移動も無駄に多く、総じてページ数の割に内容が薄い。 -
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鯨と煙の冒険(『百瀬、こっちを向いて』番外編/中田栄一)
一服広場の謎(『防犯探偵・榎本径』シリーズ番外編/貴志祐介)
皇帝の宿(『校閲ガール』番外編/宮木あや子)
街で立ち止まる時(『ススキノ探偵』シリーズ番外編/東直己)
同窓会(『君たちに明日はない』シリーズ番外編/垣根涼介)
心の距離なんて実際の距離にくらべれば、(『遠くでずっとそばにいる』番外編/狗飼恭子)
平和と希望と(『さよならドビュッシー』番外編/中山七里)
ゴロさんのテラス(『春を背負って』番外編/笹本稜平)
雁首仲間(『天地明察』番外編/冲方丁)
落としの玲子(『姫川玲子』シリーズ番外編/誉田哲也)
オレンジの水面(『北天の -
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感想
ストーリーは単純で分かりやすいが、ちと長いな。
そして、南極で戦闘とかありえないでしょう。筆者は極地での戦闘がお好き。
筆者お馴染みにワード、インマルサット、アノラックを見て安心する。テルモスまだ出てないなぁ。と思いきや400ページ付近でテルモス!
あらすじ
アキラは日本の航空会社を辞めて、南極へ飛行機を飛ばす民間航空会社のWAAのパイロットだ。
ある日、チリの富豪のアイスマンが怪我をしたと連絡が入り、急遽、南極へ駆けつける。アイスマンの隊員のギュンターが頚椎をやられており、病院へ搬送する途中で亡くなる。アイスマンの姪のナオミは、ギュンターの婚約者であり、悲嘆に暮れる。
アイ -
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感想
大都会で会社の歯車となって、どこに貢献しているのか分からない仕事をするよりも、田舎で人と支え合い、それを身近に感じる方が幸せなのかもしれない。主人公の享がその生き方を示している。
あと、山での過信や軽率な行動は自分のみならず救出する人にも多大な迷惑をかけるので注意が必要!
あらすじ
奥秩父の国師ヶ岳と甲武信ヶ岳の間にある地味な山小屋を、4年前の父親の突然の死によって継いだ享。
古屋の切り盛りを手伝ってくれているゴロさんの話。
山に自生するシャクナゲを守る話。
自殺願望のある女性を救う話。美由紀はシャクナゲを見て生きる希望を取り戻し、山小屋で働くことにする。
崖で亡くなっていた -
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笹本稜平の連作ミステリ作品『ボス・イズ・バック』を読みました。
笹本稜平の作品は、3年前に読んだ『時の渚』以来なので久し振りですね。
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泣く子も黙る悪相の山藤組のボス・山虎。
飼い主よりも凶暴で、いったん噛みついたら決して離さない、山虎の愛犬・ベルちゃん。
なぜか、山虎以外で唯一ベルちゃんが懐いている探偵事務所の電話番・由子。
組の解散騒ぎ、失踪、そしてまさかの殺人事件!?
悪徳刑事や生臭坊主も巻き込んで、探偵が突き止めた意外な真相とは──。
軽快軽妙な筆致が心地よい、軽ハードボイルドの傑作!
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児童ポルノ禁止法違反を取り締まる部署に所属する国枝敦雄は、違法サイト運営者の柳田を逮捕したが、取り調べは難航していた。その国枝がジョギングの最中に何者かにひき逃げされた。首席監察官の入江と監察の本郷、北本らのチームは国枝の上司にあたる生活安全部長の鹿野の所有車がひき逃げを行ったことから鹿野に目を付けた。
監察チームは鹿野には児童ポルノ収集の性癖があり、国枝の事件とのつながりがあることを突き止めたが捜査1課の動きが鈍いことと国枝の部下の荒井と木川への扱いがおかしいことから警察内部からの何らかの圧力を感じ、副総監の藪内が関与していると推測した。 -
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いつものように帰宅した鷺沼に二人組の尾行がついていた。捜査していた事件は六年前の強盗殺人事件。川口老人が殺害された事件だったが6億ものタンス預金があるという噂だった。捜査していくと川口老人の一人娘は主席監察官の村田政孝の妻であった。
その後捜査を続ける鷺沼達の周囲に神奈川県警の公安が現れたりメンバーが監察に呼び出されたり鷺沼の車が全損事故にあったり不審なことが相次いだ。
首席監察官とそれに繋がる警察高級幹部の悪事と隠蔽工作が明らかになりつつも決定打を欠いていた捜査チームはいつもの宮野、福富、彩香のタスクフォースに加え、権力の悪事を許せないマルサの君野や監察の田口を味方に引き入れ巨悪に立ち向かう