笹本稜平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ拉致や立て篭もりの被害者の救出などを担当する特殊班の刑事・堂園が、失踪した老人の行方を追う様を、500ページ近くを費やして丹念に描いた物語。
堂園の祖父と失踪した老人・有村との繋がりが、小説の裏のテーマになっている。祖父のかつての故郷・鹿児島にて、戦前戦後を駆け抜けた2人の青年とその恋人たちの哀しい物語。そして、物語の終盤になって解き明かされる謎。その全てが、老人の失踪を引き起こし、堂園の現在の親戚の苦境へと繋がっている。
死亡した被害者の為でも、手柄が欲しいわけでもなく、被害者を生きて取り戻す事に情熱を傾ける堂園の、上司・高平との信頼関係や、桜田門の事勿れ主義のお偉方への怒りがじっくりと -
Posted by ブクログ
笹本稜平の警察小説も侮りがたいが、山岳小説はこそ秀逸。
それぞれに事情を抱える三人が、亡くなった山小屋の主人の魂と一緒にヒマラヤ未踏峰を目指す。世間の片隅で小さくなっていた負け犬根性の自分たちの人生を生きなおすために。
山岳小説の白眉『還るべき場所』とともに、この作品も「生きるとは何か」を問いかける。
著者は、登場人物の一人に語らせる。
『幸福は他人から与えられるものじゃない。誰かから盗みとれるものでもない。自分の心の中にもともと火種があるんだよ。幸福になれるかなれないかは、それを自分で燃え立たせられるかどうかで決まるんだ。・・・』
生きることに疑問を感じるひとへ
『つまり、人間て、ただ生きて -
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場所が絶妙
奥秩父主脈の甲武信岳~国師岳間のどこか、という舞台となる山小屋の設定が絶妙ですね。
険しい場所ではないけれども、標高2000mを超えていて意外と気象は厳しい。
そんな架空の山小屋をめぐる人間模様というか、基本的には人情味のあるやりとりが中心の連作が本書です。
よく知っている場所だけあって、風景を想像しながらとても楽しく読みました。
一読してちょっと物足らないようにも感じますが、奇をてらわず、大仰に構えず、淡々と山の風景と生活を描いていて、でも山でであういろいろな経験が織り込まれていて、作者は山が好きなんだろうなあ、と思わせられるのが良いです。