笹本稜平のレビュー一覧

  • 未踏峰
    笹本稜平の警察小説も侮りがたいが、山岳小説はこそ秀逸。
    それぞれに事情を抱える三人が、亡くなった山小屋の主人の魂と一緒にヒマラヤ未踏峰を目指す。世間の片隅で小さくなっていた負け犬根性の自分たちの人生を生きなおすために。
    山岳小説の白眉『還るべき場所』とともに、この作品も「生きるとは何か」を問いかける...続きを読む
  • ビッグブラザーを撃て!
    読み応えがあり面白かった。
    複雑に張り巡らされた罠、徐々に明らかになっていく謎。ドキドキワクワクしながら一気に読んでしまいました。
    終わり方もまた良い。
    最初から最後までかなり満足できる一冊でした。
  • 天空への回廊
    ストーリーのスケールの大きさ、そして山岳小説であり、国際謀略小説であり、サスペンス小説でもある、662頁を読み終えて、読書の醍醐味と、楽しみを味わった。
    読み進むにつれ、登場人物たちと、あたかも一緒にヒマラヤにいるかのような臨場感を満喫(8000メートルを超すヒマラヤでは、実際の過酷な状況に、素人は...続きを読む
  • 未踏峰
    笹本氏の本はけっこう好きな方。
    三人がどのように出会って未踏峰に挑んでいくのかが書かれていた。
    個々の事情やら抱えている問題など様々なんだけど、山小屋の主人の想いやらてんこ盛りでいっきに読めた。
  • 未踏峰
    一度、単行本で読んでいたが、文庫が出たので再度。

    笹本稜平のヒューマンドラマ長編。

    それぞれの事情を持って三人の若者が八ヶ岳の山小屋で出会う。
    小屋のオヤジ、パウロさんに出合いヒマラヤの未踏峰を目指してゆく。
    登山を通して、生きることの意味を見出していく。

    彼らのその後の成長が読みたい。是非、...続きを読む
  • 駐在刑事
    落ち着いた警察小説。派手さは一切有りませんが自然の美しさがあります。地域社会のつながりも温かいです。
  • 所轄魂
    所轄刑事の父とキャリア管理官の息子が殺人の捜査本部で一緒になった。
    父と子、所轄vs捜査一課、捜査のマネージメントの大変さ、色々盛りだくさん。
    面映くなるセリフもいっぱいだけど、父子の関係が良い。息子に毒が全く見られず、今後キャリアでやっていけるのか心配になる。。
    来月の新刊も楽しみ。
  • 春を背負って

    場所が絶妙

    奥秩父主脈の甲武信岳~国師岳間のどこか、という舞台となる山小屋の設定が絶妙ですね。

    険しい場所ではないけれども、標高2000mを超えていて意外と気象は厳しい。

    そんな架空の山小屋をめぐる人間模様というか、基本的には人情味のあるやりとりが中心の連作が本書です。

    よく知っている場所だけ...続きを読む
  • 太平洋の薔薇 上
    日本の会社が所有する貨物船が海賊にハイジャック(「シージャック」とゆうコトバは正しくないのだ、ぬはは)され行方不明に。で、奇遇にもその船長の娘である海上保安官が、関係者と協力し犯人を追いつめていく、とゆうお話かな。ざっくり言うと。

    商船の航海の専門的なトコロなんかが、ヒジョーに面白い。

    そんなこ...続きを読む
  • 駐在刑事
    「秋のトリコロール」を読み終えたとき、心が震えた。
    あとがきに「人にとって幸福とはなんだろう、希望とはなんだろうー。そんな問いに対する答えをおぼろげにでも感じとってもらえればという願いが、この作品を書き続けるうえでの動機でもあった」
    とある。おぼろげながら感じられたと思う。読み終わった時、とても温か...続きを読む
  • 素行調査官
    このシリーズ、コンビを組んでいる警察官の距離感が絶妙ですね〜。
    ストーリーも錯綜しているようでいて、最後にはすっと一本に収まってきました。すごい。
    シリーズ化されているようですので、次も読もう!
  • 駐在刑事
    面白かった。山岳+警察(+途中から犬)。派手さはない。むしろ地味。でも、うるっ・ドキッ・ハラハラ、色々なお話が詰まってた。「茶色い放物線」「秋のトリコロール」が特に良かった。
    主人公の元上司が笑える。なぜだかこの人が登場するシーンだけコメディみたい(笑)
  • 不正侵入
    いろいろなピースが散らばり最後に集結する。楽しく読めました。マル暴一筋30年の主人公。だけどあまり泥臭さは感じなく警察小説としてスマートに感じ交換が持てた。映像化しても面白そう。
  • 未踏峰
    北八ヶ岳での出会いから、ビンティ・チュリでの各ステージ模様までを背景に、濃厚な人間臭さを押し出してくる。鎮魂を秘めながらも四人を結ぶ純真な絆は、四様の未来への希望の頂を目指す。過去の洗い流し~転機・決別~成長への足跡、前半から後半へ架けての人生ドラマのスイッチ切り替えは見事。多くの言葉に胸打たれ、読...続きを読む
  • 挑発 越境捜査
    越境調査のシリーズ第2作。前作からの登場人物が、まじめに犯罪に立ち向かう刑事と今回もお金が目的な人たちがからみあって巨悪と戦うことに。
    テンポがよくって今回も面白かった。
  • 偽りの血
    本当にハードボイルドだった。

    最後まで息も継がさず読ませてくれました。
    ラストも悪くないんじゃないでしょうか。
  • 恋する組長
    骨太の冒険小説や警察小説のイメージが強い笹本稜平氏には珍しくコミカルなハードボイルド作品。
    探偵の"おれ"を振り回す個性的、そして狂暴な面々たち。でも、愛妻家だったり、愛犬家だったりと憎めない人たちである。
    尻軽でお調子者の電話番・由子が魅力的で、"おれ"との恋の行方も含めて、続編希望。
  • 天空への回廊
    標高8,848mのエベレストが舞台というのは少なくとも私が読んだ国際謀略小説としては最高高度である。類似作としては『北壁の死闘』『アイガー・サンクション』が有名だが、どちらもヨーロッパアルプスのアイガー北壁が舞台でその頂も3,970mに過ぎない。標高8,000mで空気中の酸素濃度は地上の約1/3とな...続きを読む
  • 駐在刑事
    この作品をきっかけに笹本さんの作品を読むようになりました。

    長編を書いてこその笹本稜平と、評価される方もいらっしゃるようですが、
    個人的にはこの短編も好きです。

    自然の描写もいいですね。
    そこがかなり惹かれた点でもあります。
  • 未踏峰
    遺骨の入ったケースを胸に,社会から脱線した3人がヒマラヤ未踏峰に挑む.登山が趣味の友人がどういう世界を見ているのか興味が湧いて,読んでみました.清々しく感動の一冊でした.登山シーンでは思わず身震いする場面も.山好きの人には,この作品はどう映るのだろう.今度はそっちが気になる(笑)