笹本稜平のレビュー一覧
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ネタバレ北緯85°の北極圏で資源探査をおこなっているポーラスター85は日本の資源探査会社ジオデータが運営している。隊長は郷田裕斗、若手社員の山浦、女性社員の峰谷、アメリカのパシフィックペトロリアムから2名とカナダ系イヌイットの2名の計8名だった。
そんなポーラスター85が撤収に懸かろうとしていたときロシアがキレイな水爆「ソーヴェスチ」を北極海の水中で起爆させた。地震と共に北極の氷盤には大きな穴があき、海の中には高温の海流が流れた為に北極の氷が溶け出している事がわかった。極度に発達した低気圧の悪気象の為、通常の手段での撤収ができなくなったメンバーは安定した氷を求め移動を開始する。
米国も救助に消極的で大国の思惑に翻弄されるメンバーは氷上のサバイバルに生き残ることができるのか。 -
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恋人を自爆テロの犯人に仕立て上げられた唐澤龍二は、首謀者を捉えるため警視庁公安捜査官となる。
その首謀者が新たなテロを予告する。
上司の高坂や同僚たちとともに、テロの防止と犯人検挙に邁進するが、唐澤の前に立ち塞がり彼を目の仇とする部下の井川巡査部長。彼の行動の裏に何があるのか。
犯人への追及と同時に、井川の思惑を捜査することになる。
あるときは強引な捜査をする唐澤であるが、立てこもり犯を前にした状況での彼の言葉に、警察官としての矜持が表れる。
「たとえ相手がテロリストであれ、他の手段を一切論じず狙撃するのが許されるなら、警察はただの私刑集団です。そのときは、一個人の立場から告発も辞さない覚悟です」
大概の警察小説は、刑事部が主体で、公安部はだいたい敵役にされている。しかし、本書は題名の通り公安が主人公役である希少な警察小説。
公安の人物に「捜査一課は、時間をかけた地道な捜査に慣れていない。特捜本部を立ち上げて短期決戦で犯人を挙げるのが連中の流儀だ。・・・時間をかけた地道な捜査となれば、公安の独壇場ですから」とまで、言わせているが(笑)。 -
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無名のアルパインクライマー・奈良原和志がスポンサーや仲間を得て成長して行く様子は、読んでいて気持ちが良かったです。そしてマルク一味やネパール役人などダークサイドが存在しての攻防戦は、まさしく人間の性(さが)で、アルパインクライミングにおいても例外じゃないですね。
「大事なのは誰かがその頂に立ったという真実であって、それを信じることが登山という文化の高貴なモラル」の一文、なかなかシビアな課題だなと思いました。結局は「たとえ噓をつく人間がいたとしても、それは当人が心に恥を抱えて生きればいいだけの話」なのでしょうが、人間が不完全な以上、この課題は永遠に続きますね。 -
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笹本稜平『アイスクライシス』徳間文庫。
極限サバイバル冒険小説。
今一つドラマとスリルに欠ける感じがする。しかし、北極で海底資源を巡り、ロシア、中国、カナダ、アメリカなどの大国が凌ぎを削りながら暗躍しているのは充分に有り得る話だろう。
資源探査会社に勤務する郷田裕斗は、海底油田の探査のために北極の基地に赴いていた。基地では郷田の同僚とアメリカ人の石油会社のオブザーバー、海洋学者、カナダ系イヌイットたちの総勢7名が油田探査の任務を行っていた。
ある日、郷田たちの基地を激しい揺れが襲う。海底火山の噴火かと動揺が走る中、本社からの情報によりロシアが北極の海底でフォールアウトを生成しない水素爆弾の実験を行ったことが明らかになる。
実験により北極の海水温度はみるみる上昇し、基地のある氷盤にもリードが走り、いつ基地が水没してもおかしくない危険な状態に陥る。
命を守るため、郷田たち7名は雪上車に乗り込み、氷が安定していると思われる極北を目指す。
本体価格770円
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「笹本稜平」の山岳長篇小説『未踏峰』を読みました。
『還るべき場所』、『春を背負って』に続き、「笹本稜平」作品です。
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圧巻の山岳シーン、骨太の人間ドラマ。
魂をすすぐ山岳巨編!
「魂の〝青さ〟をくすませるすべてのものへ叩きつけた 渾身の挑戦状」 これを読め!
ときわ書房本店「宇田川拓也」、感動に吼える!
遺骨の入ったケースを胸に、それぞれに事情を抱える「橘裕也」と「戸村サヤカ」、「勝田慎二」の三人は、ヒマラヤ未踏峰に挑んでいた。
彼らをこの挑戦に導いたのは登山家として世界に名を馳せ、その後北八ヶ岳の山小屋主人になった〈パウロさん〉だった。
ビンティ・チュリ=祈りの峰と名づけた無垢の頂に、はたして彼らは何を見るのか?
圧巻の高所世界に人間の再生を描く、著者渾身の長編山岳小説。
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北八ヶ岳の天池、その畔にある山小屋「ビンティ・ヒュッテ」… オーナーは「パウロさん」という愛称で呼ばれる、五十代半ばの元登山家「蒔本康平」だ、、、
顔の下半分をごま塩の髭で覆い、白髪まじりの長髪をバンダナでまとめていて、力強いが鋭さよりも和らいだ光を感じさせる眼差しが印象的な、自分の過去を語りたがらない山男―― そんな「パウロさん」のもとの、ゴールデンウイークから十月下旬までのアルバイトとして三人の若者が集まってくる。
体格が良く力持ちで絵の才能に恵まれた27歳の「勝田慎二」、一流店でも充分通用するほどの天才的料理の腕前を誇る26歳の「戸村サヤカ」、そして、元システムエンジニアでコンピューターに詳しい29歳の「橘裕也」… だが、この三人には、現代社会に溶け込むことが困難な問題を抱えていた、、、
「慎二」には精神年齢が小学校高学年程度という知的障害が、「サヤカ」には他人の感情を読み取り理解する能力に問題があるアスペルガー症候群が、「裕也」には劣悪な環境下での激務から薬物依存となって罪を犯してしまった前科が―― つまり、三人は、それぞれの問題によって世間からドロップアウトし、辛い人生を経験してきた若者たちだった。
そんな三人が働き出してしばらく経ったある日のこと、「パウロさん」と三人の間に途方もない話が飛び出す… それは、ヒマラヤ未踏峰登頂計画、中国とネパールの国境線上に連なるカンティ・ヒマール山域の一角にある、標高6,720メートルの無名峰、、、
そこに「パウロさん」をリーダーにみんなで初登頂し、名前をつけようではないか、というのだ… 小屋の名前でもあるネパール語で"祈り"を意味する「ビンティ」に、"尖った高峰"を意味する「チュリ」をつけて、ビンティ・チュリ、直訳すると「祈りの峰」と。
一度は人生を諦めた三人に、初登頂という快挙を成し遂げることで、この人生が生きるに値するものだということを知って欲しい―― そんな「パウロさん」の想いに夢と希望を抱いた三人は、「パウロさん」の指導のもと、冬山でのトレーニングを開始する、、、
しかし、運命は思いも寄らぬ形で、あまりにも非情な現実を彼ら三人に突き付ける… 打ちひしがれ、夢も希望も打ち砕かれた三人、とうていヒマラヤ未踏峰登頂計画など実行に移せるわけもない、と思われたが、今の三人は、もう「パウロさん」と出会う前の三人ではなかった。
ここで逃げたら、死ぬまで人生から逃げ続けることになる―― 「裕也」は口にする「登ろう、ビンティ・ヒュッテに。パウロさんとおれたちの夢を実現するために」、、、
ハンデを背負った三人の若者と、未来を手放した伝説の登山家… 運命の出会いが「祈りの峰」への扉を開く。
雷による山小屋の火事という不慮の事故で命を失った「パウロさん」が、三人を見守ってくれてたんですね… 北八ヶ岳とヒマラヤを舞台にした山岳小説という体裁をとりつつ、それぞれの理由で世間からドロップアウトした三人が希望を見出す姿を描いたヒューマンドラマでした。 -
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「笹本稜平」の山岳短篇連作小説『春を背負って』を読みました。
『還るべき場所』に続き、「笹本稜平」作品です。
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監督「木村大作」、主演「松山ケンイチ」で感動の映画化!
奥秩父の山小屋を舞台に、山を訪れる人々が抱える人生の傷と再生を描く感動の山岳短編小説集。
二〇一四年六月東宝より映画公開予定。
先端技術者としての仕事に挫折した「長嶺亨」は、山小屋を営む父の訃報に接し、脱サラをして後を継ぐことを決意する。
そんな亨の小屋を訪れるのは、ホームレスの「ゴロさん」、自殺願望のOL、妻を亡くした老クライマー…。
美しい自然に囲まれたその小屋には、悩める人々を再生する不思議な力があった。
心癒される山岳小説の新境地。
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2009年(平成21年)から2010年(平成22年)にかけて『オール讀物』という小説誌に掲載された山岳連作小説… 奥秩父の山小屋を舞台にした心温まるヒューマンドラマでしたね。
■春を背負って
■花泥棒
■野晒し
■小屋仕舞い
■疑似好天
■荷揚げ日和
■特別対談 『春を背負って』が語りかけるもの
笹本稜平 × 木村大作
「長嶺亨」は大学院卒業後、サラリーマンをしていたが、父「勇夫(いさお)」の死をきっかけに奥秩父の梓小屋という山小屋を継ぐことになった… そんな「亨」をサポートしているのが山小屋を閉じる冬場はホームレス生活をしている「ゴロさん」、、、
「ゴロさん」の本名は「多田悟郎」で「勇夫」の大学ワンダーフォーゲル部の後輩… 住宅リフォーム会社を経営していたがバブル期の不動産投資で失敗しホームレス生活をしていたが、偶然「亨」の父親と再会、父親の死後、「亨」を手伝い始めた、、、
ある日、年配の刑事が「ゴロさん」そっくりの指名手配のチラシを持って「亨」の家にやってきた… あまりにも謎に包まれた「ゴロさん」の過去、「亨」に生まれる猜疑心の灯、、、
「ゴロさん」のエピソードから物語は幕を開け(『春を背負って』)、
父親を亡くした自殺願望のOL「高沢美由紀」の遭難騒ぎ(『花泥棒』)、
野晒となった白骨化した遭難者と84歳のクライマー「大下恭二郎」の遭難騒ぎ(『野晒し』)、
「ゴロさん」が脳梗塞で倒れたり(『小屋仕舞い』)、
二つ玉低気圧による吹雪と積雪により三人の中高年パーティが山で身動きがとれなくなり女性一名が行方不明となったり(『疑似好天』)、
小屋開きの準備をしていた梓小屋に小学校低学年の少女とネコが迷い込んだり(『荷揚げ日和』)、
と、奥秩父の豊かな自然を舞台に、小さな山小屋に集う人々の心の触れ合いを丹念に描きつつ、「亨」の成長を描いた物語でした。
どの作品も”死”が共通テーマとなっていますが、それを乗り越えて前向きに生きて行こうとする姿に共感しましたね、、、
映画化作品では、舞台が立山連峰の薫小屋という山小屋になっていたりと、少し改変されているようですが… 機会があれば観てみたいですね。 -
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笹本稜平『公安狼』徳間文庫。
2021年に急逝した笹本稜平の作品が最近になり続々と文庫化されている。ファンとしては嬉しいのだが、同時に未読作が減っていくことに悲しみを覚える。
ノンシリーズの公安小説である。爆弾テロを描いた小説では先に堂場瞬一の『絶望の歌を唄え』を読んだが、これに負けず劣らず面白い。
警視庁公安部という組織の中での対立と対テロ組織との闘いが描かれる。
公安に限らず一般企業でも組織の対立はあり、責任逃れや自分の地位を守るための妨害は多々ある。世の中の全員が自分と同じ価値観で行動すると考えたら痛い目を見るのだ。客観的に見て自分が正しいと思うなら、価値観の合わない人間などは無視することだ。
主人公の公安刑事、唐沢龍二は大学時代に恋人の吉原久美子に誘われ、互いをニックネームで呼び合う映画論を語り合う奇妙なグループに所属していた。会の名前は『グループ・アノニマス』で、その実体は唐沢の理系の知識を利用して爆弾テロを目論む活動組織だった。
危険を感じた唐沢がグループを離れて1年後の1998年、東京都西神田のビルで自爆テロが発生し、実行犯とみなされた久美子が死亡する。『アノニマス』のメンバーは次々逮捕されたが、リーダーのハンクスだけが行方をくらます。
ハンクスを追い、事件の真実を暴くために公安刑事となった唐沢だったが、『アノニマス』のスパイという風評が立ち、捜査では敵を作ってしまう。特に同じ公安刑事の井川は唐沢を陥れようと有らぬ嫌疑を掛け、何かにつけて捜査を妨害する。
そして、20年の時を経て再びハンクスが動き出す。
本体価格840円
★★★★ -
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笹本稜平『山岳捜査』小学館文庫。
山岳警察小説。
混み入ったストーリーと有り得ない事件の真相。冬山登山の描写は迫力があり、読みながら寒さを感じるほどだった。しかし、ミステリー部分が複雑過ぎて、冗長になり、全体的に弛みを感じた。
長野県警山岳遭難救助隊の桑崎祐二は同僚の浜村隆と共に鹿島槍北壁を登山中に不審な3人組を目撃する。
その下山途中、谷間の不審な3人組を目撃した場所に倒れている人物を発見する。既に死亡していたその人物は女性で完全に凍結しており、首には索条痕と吉川線があり、他殺死体と思われた。
しかし、桑崎と浜村がヘリコプターに乗り込む直前に雪崩が発生し、死体は雪崩に飲み込まれてしまう。
その後、3人組から救助要請があり、桑崎らが救助に向かうが、2人の男性は死亡し、1人の女性が低体温症で意識不明の状態であった。
雪崩に流された女性遺体は何者なのか、3人組との関係は……
本体価格920円
★★★★ -
ネタバレ 購入済み
北海道の山に登ってみたい!
地理は全く頭に入っていないけれど、読み進めるうちに山の景色が想像できて、行きたくなりました。
大雪は知っていましたが、アイヌ語の山やスポットは初めて目にするので、どんな所なのか…
もしかしたら本当にエゾオオカミがいるんじゃないのかと…
人はいつの頃からか地球で一番偉いかのように振る舞っているかと思いますが、そのしっぺ返しを自然からくらいつつありますよね。
まだ間に合うなら、できることをしたい。
そう、思いました。 -
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捜査一課が舞台となる警察小説は数多あるが、警視庁捜査二課=汚職事件担当が主役となるのは珍しいだろう。
しかも、主人公の刑事は捜査対象者の策謀により、冤罪ながらも指名手配の対象とされ、追われる身に。
最終的にハッピーエンドになるだろうことはわかっていても、果たして彼は警察の包囲を逃れ、真犯人に迫ることが出来るだろうかと、手に汗握る展開に頁を捲る。
前半は、犯人側の巧妙な策略に読者も忸怩たる思いに振り回されるが、後半は一気にスリリングに、ノンストップ小説の様相となる。
主人公が乾坤一擲の手段としてツイッターやブログを駆使するが、現代の小説ではやはりSNSは欠かせない存在なのだろう。現代性を持たせるために、ネットにも詳しくならなければならない作家さんたちの苦労にご同情申し上げる。
ただ、ある刑事の口調が『越境捜査』シリーズに出てくる刑事に似ているのが、少し興醒めがしないでもない。
著者の警察小説の特徴として、監察部署への厳しい目があるが、本書でもある登場人物に「監察こそ警察の恥部だ」と言わせている。
主人公に味方する刑事が主役となる作品も刊行されているようで、読んでみたい。