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遺骨の入ったケースを胸に、それぞれに事情を抱える橘裕也と戸村サヤカ、勝田慎二の三人は、ヒマラヤ未踏峰に挑んでいた。彼らをこの挑戦に導いたのは登山家として世界に名を馳せ、その後北八ヶ岳の山小屋主人になった〈パウロさん〉だった。ビンティ・チュリ=祈りの峰と名づけた無垢の頂に、はたして彼らは何を見るのか? 圧巻の高所世界に人間の再生を描く、著者渾身の長編山岳小説。
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Posted by ブクログ
久しぶりにあっという間の2日間で読み終わりました。 パウロさん、裕也、さやか、慎一それぞれに悩みを抱えながらも寄り添い、良い方向へと進んでいった中での、パウロさんの死。その死が3人にもたらしたものはお金だけではなく、かけがえのない繋がり、夢。 この先がきっと明るいものになるであろう終わりに、すごく満...続きを読む足です。
私の近くにもブナの古木のようなパウロさんのような人がいるなと思った。北八ヶ岳の森をのんびり歩きたくなった。
若いうちに躓き、人生の岐路に迷う若者3人が亡くなった恩師の遺志をついで未踏峰を目指す。 無謀に思える挑戦を青臭いと笑ってはいけない。人生は常に目標を持ち、チャレンジしなければいけないと勇気を貰えた作品だ。
人間の生き様・強さ・弱さを描いた1冊。 彼らのヒマラヤ未踏峰に挑む背景に本当に感動し、続きもあったらいいのになーと思わせる小説でした。
北八ヶ岳、雨池の畔の山小屋(ビンティ・ヒュッテ)この山小屋のオーナーがパウロさんで若いときヒマラヤ登頂で名を売っていた。彼はその話になると嫌な顔を時々していた。そこにシーズンのアルバイトで3人の若者が採用された。裕也、サヤカ、慎二。裕也はSEをくびになり派遣会社で地方の工場を転々としていた。サヤカは...続きを読む発達障害を持つが料理は抜群の腕を持っていた。慎二は障害児であるが、力と絵は抜群に上手い。3人それぞれここで働きながら人生の壁から脱出しようとしていたときにパウロさんからヒマラヤ未踏峰に登るという計画を提示され3人OKし、訓練が始まる。いざ登頂というときにパウロさんが自己で亡くなる。3人は諦めずにビンティ・チュリ(祈りの峰)に臨む。素人パーティで苦労の末未踏峰制覇を成し遂げ、帰国後パウロさんの山小屋を引き継ぐ決意で意見が合う。
「自分に欠けたものを埋めようとして、夢や希望に向かって生きることからしか人生の喜びは生まれない。」 それぞれの事情で社会にうまく適合出来なかった主人公達が、ヒマラヤ未登峰制覇に挑む。心が熱くなる作品だった。
派遣社員でその日暮らしの裕也は、パウロこと蒔本がやる北八ヶ岳の山小屋の主人と出会うことで人生が助けられる。 山小屋にはアスペルガー症候群の戸村サヤカと知的障害をかかえる勝田慎二がいた。 4人でヒマラヤの6000m級の未踏峰を登攀する計画を立てるが、パウロさんは山小屋の火事で不慮の死をとげる。 ...続きを読む3人で挑むヒマラヤ未踏峰への挑戦!ドキドキしながら読んだ。面白かった
とても前向きな気持ちになれる話だ。 一歩一歩前に進む、それは本当に大事です。 そこにステキな仲間がいれば尚のことです。 そういう影響を人に与えられる人になりたいなぁ。
「笹本稜平」の山岳長篇小説『未踏峰』を読みました。 『還るべき場所』、『春を背負って』に続き、「笹本稜平」作品です。 -----story------------- 圧巻の山岳シーン、骨太の人間ドラマ。 魂をすすぐ山岳巨編! 「魂の〝青さ〟をくすませるすべてのものへ叩きつけた 渾身の挑戦状」 こ...続きを読むれを読め! ときわ書房本店「宇田川拓也」、感動に吼える! 遺骨の入ったケースを胸に、それぞれに事情を抱える「橘裕也」と「戸村サヤカ」、「勝田慎二」の三人は、ヒマラヤ未踏峰に挑んでいた。 彼らをこの挑戦に導いたのは登山家として世界に名を馳せ、その後北八ヶ岳の山小屋主人になった〈パウロさん〉だった。 ビンティ・チュリ=祈りの峰と名づけた無垢の頂に、はたして彼らは何を見るのか? 圧巻の高所世界に人間の再生を描く、著者渾身の長編山岳小説。 ----------------------- 北八ヶ岳の天池、その畔にある山小屋「ビンティ・ヒュッテ」… オーナーは「パウロさん」という愛称で呼ばれる、五十代半ばの元登山家「蒔本康平」だ、、、 顔の下半分をごま塩の髭で覆い、白髪まじりの長髪をバンダナでまとめていて、力強いが鋭さよりも和らいだ光を感じさせる眼差しが印象的な、自分の過去を語りたがらない山男―― そんな「パウロさん」のもとの、ゴールデンウイークから十月下旬までのアルバイトとして三人の若者が集まってくる。 体格が良く力持ちで絵の才能に恵まれた27歳の「勝田慎二」、一流店でも充分通用するほどの天才的料理の腕前を誇る26歳の「戸村サヤカ」、そして、元システムエンジニアでコンピューターに詳しい29歳の「橘裕也」… だが、この三人には、現代社会に溶け込むことが困難な問題を抱えていた、、、 「慎二」には精神年齢が小学校高学年程度という知的障害が、「サヤカ」には他人の感情を読み取り理解する能力に問題があるアスペルガー症候群が、「裕也」には劣悪な環境下での激務から薬物依存となって罪を犯してしまった前科が―― つまり、三人は、それぞれの問題によって世間からドロップアウトし、辛い人生を経験してきた若者たちだった。 そんな三人が働き出してしばらく経ったある日のこと、「パウロさん」と三人の間に途方もない話が飛び出す… それは、ヒマラヤ未踏峰登頂計画、中国とネパールの国境線上に連なるカンティ・ヒマール山域の一角にある、標高6,720メートルの無名峰、、、 そこに「パウロさん」をリーダーにみんなで初登頂し、名前をつけようではないか、というのだ… 小屋の名前でもあるネパール語で"祈り"を意味する「ビンティ」に、"尖った高峰"を意味する「チュリ」をつけて、ビンティ・チュリ、直訳すると「祈りの峰」と。 一度は人生を諦めた三人に、初登頂という快挙を成し遂げることで、この人生が生きるに値するものだということを知って欲しい―― そんな「パウロさん」の想いに夢と希望を抱いた三人は、「パウロさん」の指導のもと、冬山でのトレーニングを開始する、、、 しかし、運命は思いも寄らぬ形で、あまりにも非情な現実を彼ら三人に突き付ける… 打ちひしがれ、夢も希望も打ち砕かれた三人、とうていヒマラヤ未踏峰登頂計画など実行に移せるわけもない、と思われたが、今の三人は、もう「パウロさん」と出会う前の三人ではなかった。 ここで逃げたら、死ぬまで人生から逃げ続けることになる―― 「裕也」は口にする「登ろう、ビンティ・ヒュッテに。パウロさんとおれたちの夢を実現するために」、、、 ハンデを背負った三人の若者と、未来を手放した伝説の登山家… 運命の出会いが「祈りの峰」への扉を開く。 雷による山小屋の火事という不慮の事故で命を失った「パウロさん」が、三人を見守ってくれてたんですね… 北八ヶ岳とヒマラヤを舞台にした山岳小説という体裁をとりつつ、それぞれの理由で世間からドロップアウトした三人が希望を見出す姿を描いたヒューマンドラマでした。
その山の頂に立つことにより、今までよりも少しだけ成長したり強くなった自分になれる気がする。 だから山に向かう。 山にはそう思わせてくれるところがあると私も思っています。 誰も登ったことのない未踏峰ともなれば尚更な気がしますね
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