【一寸法師の不在証明】
一寸法師が鬼と戦っている間に起きた殺人事件についての話。
語り手が脇役なもんだから、一寸法師を客観的に見られた。
昔話では英雄の一寸法師が、殺人事件の犯人に?しかもかなり性格悪くて卑怯な手を…でも真相を暴かれた一寸法師が吐露した本音、小さい事で昔から皆に虐められてきた俺の気持ちなんて、宮仕えのお前になんかわかるもんか、ってのは切なかった。
途中まで殺人現場のヤモリが、怪しい密告をしていた人に化けていたのかと思っていたけど、デカくなったヤモリは打ち出の小槌を使った証拠、というのがなるほど!だった。そして怪しい密告者の正体は、猫かな。なるほど。
【花咲か死者伝言】
優しかった花咲かじいさんが殺された話。これは早々に草履の向きがヒントになってお婆さんが犯人だな、と思って読み進めたけど、とりあえず探偵ワンコが泣ける。いじらしい。お爺さんのダイニングメッセージも悲しい。ワンコの復讐が数年後に実を結んで、お婆さんが死ぬ間際に気づきますように…
【つるの倒叙がえし】
鶴の恩返しが、こんなに生々しい話になるなんて。そして、無限のループ。巻末にあるとおり、もう一度話を冒頭、三、五、七…と読んだけど、こうなったら∞悲し恐ろし、鶴の復讐劇(笑)
【密室竜宮城】
浦島太郎が迎え入れられた竜宮城で起きた殺人事件。仲が良かった仲間を追放された亀の復讐劇。私は乙姫を疑って読んでいたけど全然違った(笑)
トリックに、時間の流れの違いを使うあたり、ほほう…と思った。あと、亀が最後に浦島太郎に真相を話してお別れするあたり、なるほど〜、からの浦島太郎は違う犯人を仕立て上げるために利用されたのね、と分かって亀の用意周到さにビックリ。
【絶海の鬼ヶ島】
「そして誰もいなくなった」の鬼ヶ島バージョン。
それにしても、悪さをした鬼が地元で嘘ついて、人間が食べ物も宝物もくれたんだよね!の話は面白かった。
桃太郎一行が鬼を成敗しに来た話も、元々の昔話以上にヒーローに見えたし。
鬼の視点から語られる桃太郎伝説が面白いのと、まさかの一寸法師の話で出てきた打ち出の小槌があってり、鶴の恩返しに出てきた鍬?鎌?なんか呪文を唱えながら振り下ろすとめちゃくちゃ力がついて奥深い穴が空いちゃったりとかも伏線回収的な感じでうけた。
一旦話が終わって、最後にその流れを老鷗から聞いた老猿が語る話でオチがついた。
最後に残った鬼は、実の父親である桃太郎の言葉を守って、自らも命を経つのかな…