遠藤周作のレビュー一覧
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『海と毒薬』の続編のような小説。
生きることに付き纏う悲しみ。
弱さと強さの境界でもがいてもがいている人々。
正義感をふりかざす自己満足。
無償の愛。
薄闇と霧にまみれた世界で、生きるとは何か?を激しく問われる。
多くの登場人物が少しずつリンクしながら繋がってゆく様は、新宿の雑踏を思わせつつも惑うことなく描き分けられ、その描写や緩やかに流れる時間軸が凄まじい悲壮感を極だたせている。
素晴らしい筆力。
愚直なゆえ力強く生きる若者たちが光なのか?
ガストンだけが光だったのか?
そしてやはりそこに正解を見出せないまま、物語は終わる。
くるしい。
悲しい。
悲しみの歌。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった。高野山に行ってから、信仰や宗教というものの"実態"とはなにかを知りたいと思っていた。しかし「仏教とは」とか「わかりやすいキリスト教」といった本はなんだか表面的でしっくりこない。
やはり実体験を伴った個人の思想や解釈、その欠片を集めたものが宗教というモザイク画になっていくのだろう。宗教や信仰というものは、思っている以上に曖昧で融通の効くものらしい。
本書はキリスト教の立場から見ているが、仏教との比較もあるし、キリスト教のここはちょっと嫌みたいな意見があけすけに聞ける。
宗教に対しての意識が変わる一冊。「沈黙」と同時に読み始めたがおもしろくてこちらが先にお -
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ネタバレ~全巻通してのレビューです~
これは面白かったですね。特に荒木村重の部分。
司馬先生の「播磨灘物語」を読んだ時の荒木村重は官兵衛を酷い目に遭わせた武将という程度の印象でしたが、
本書は村重が信長に服従した時に剣先に刺した饅頭を満座の中で食わされた屈辱を忘れず、その後色々あってついに謀反を起こすまでの心理描写を克明にしており、
村重の人物がはっきりと浮かび上がってきます。
キリシタンで元々村重の家臣で後に信長に寝返る高山右近についても結構詳しく触れていて、寝返る時の葛藤など興味深かったです。
明智光秀についても描かれていますが他の本で既述のものが多く新鮮味はなかったです。
本書は荒木村重 -
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「人生には何ひとつ無駄なものはない」
遠藤周作 著
1.本書から。心に留めた文章。
①挫折
敗れた自分を素直に認め、再起を図るためのプロセス。
②孤独
滅入ったときには、孤独になること。
本を読んだり、自分に向き合うことが機会となる。
③
ただしいことが絶対ではない。
④老い
老いていくことで、言葉では表現しづらいものに心を傾いていく。
⑤自己認識
自己認識が、人間の為す行為のなかで、一番難しいかもしれない。
⑥真実
事実の世界にのみ生きているわけではない。
事実のなかに、自分だけの真実を探し、それによって生きている。
⑦転化
自己の嫌なところ。転化させること。
2.こんな方におすすめかも -
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抜群の雰囲気作り! そしてスムーズに話を進めていく文章力!
遠藤周作のイメージは『海と毒薬』『沈黙』のあらすじであったり、本人がキリスト教徒であったり、などがあって、固い・説教くさい、という印象を勝手に作っていたのだけど、初めて読んだ遠藤周作の短編集『怪奇小説集』は、それを完全に覆されました。
冒頭二編「三つの幽霊」と「蜘蛛」から、一気に心つかまれる。「三つの幽霊」は著者が実際に体験したとする奇妙な心霊体験らしきものが語られる話。
外国での体験談だったり、ベタに民宿での体験だったり場所は色々あるのですが、どの話でも得体の知れない気持ち悪さ、日本の怪談らしいジメッとした不快感、何かがまと -
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<バカじゃない…バカじゃない。あの人はおバカさんなんだわ。
素直に他人を愛し、素直にどんな人をも信じ、だまされても、裏切られてもその信頼や愛情の灯をまもり続けて行く人は、今の世の中ではバカに見えるかもしれぬ。
だが彼はバカではない…おバカさんなのだ。自分に人生のともした小さな灯をいつまでもたやすまいとするおバカさんなのだ。P289〜抜粋>
隆盛のペンフレンドは、ナポレオンの子孫だというガストン・ボナパルト。
突然日本に来るという知らせが来た。
隆盛と母の志津、妹の巴絵は慌てて準備する。初めて見るフランス人、しかもあのナポレオンの子孫!
しかし現れたのは背が高くて馬面で、汚れた服で貧乏旅行を