遠藤周作のレビュー一覧

  • 私にとって神とは

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    大変わかりやすい遠藤周作流に説き解かれたキリスト教。いや、カトリックと言うべきか。私自身カトリックだが、このような視点があるということが驚きで新鮮だった。特にキリスト教と仏教の比較がおもしろい。執着を捨てる仏教と執着は愛のたまものだから受け入れて認めよ、というキリスト教。愛と憎は同じである。感情を殺すことなく、生に執着して汚さも直視しろという言葉が胸に響いた。マザーテレサが「愛の反対は無関心」とおっしゃっておられたのが本書を読むとよくわかる。

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    2021年05月09日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    自分の視点がいかに狭いかを感じました。遠藤周作さんの様々な人生経験からの珠玉の言葉が心に刺さりました。
    物事には両面があり、その両方ともいい面も悪い面もある、表題も両面性のあるものが多かったように思います。人生の節目で読むと、今とは全く違う部分の文章がしみ込んでくると思いました。何回も読むべき本です。

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    2021年05月08日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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     キクは気が強くて頑固で後先考えずに行動するタイプで、最初あまり良い印象がなかったが、“愛する者のために自分を犠牲にする強さ“に最後ウルっときた。

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    2021年05月07日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    若い頃に作者の本を好んで読んでいたことを思い出し、今の生活に作者の言葉が影響していることを感じた。
    正しいことは絶対ではないということ、宗教に関する考察など、いろいろと自分の考えに共鳴する部分やフレーズが多く、改めて作者の本を読みたくなった。

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    2021年05月03日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    今この時、台湾やミャンマーを思う。

    人は同じ過ちを、立場で犯してしまうのかな。

    権力を持つものだけではない。

    全ての人が。

    史実から学ばなけらば。

    物語からも。

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    2021年04月14日
  • 私にとって神とは

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    めちゃくちゃ良かった。高野山に行ってから、信仰や宗教というものの"実態"とはなにかを知りたいと思っていた。しかし「仏教とは」とか「わかりやすいキリスト教」といった本はなんだか表面的でしっくりこない。
    やはり実体験を伴った個人の思想や解釈、その欠片を集めたものが宗教というモザイク画になっていくのだろう。宗教や信仰というものは、思っている以上に曖昧で融通の効くものらしい。
    本書はキリスト教の立場から見ているが、仏教との比較もあるし、キリスト教のここはちょっと嫌みたいな意見があけすけに聞ける。
    宗教に対しての意識が変わる一冊。「沈黙」と同時に読み始めたがおもしろくてこちらが先にお

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    2021年03月24日
  • 反逆(上)

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    ネタバレ

    ~全巻通してのレビューです~

    これは面白かったですね。特に荒木村重の部分。

    司馬先生の「播磨灘物語」を読んだ時の荒木村重は官兵衛を酷い目に遭わせた武将という程度の印象でしたが、
    本書は村重が信長に服従した時に剣先に刺した饅頭を満座の中で食わされた屈辱を忘れず、その後色々あってついに謀反を起こすまでの心理描写を克明にしており、
    村重の人物がはっきりと浮かび上がってきます。

    キリシタンで元々村重の家臣で後に信長に寝返る高山右近についても結構詳しく触れていて、寝返る時の葛藤など興味深かったです。

    明智光秀についても描かれていますが他の本で既述のものが多く新鮮味はなかったです。
    本書は荒木村重

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    2021年02月27日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    「人生には何ひとつ無駄なものはない」
    遠藤周作 著

    1.本書から。心に留めた文章。
    ①挫折
    敗れた自分を素直に認め、再起を図るためのプロセス。
    ②孤独
    滅入ったときには、孤独になること。
    本を読んだり、自分に向き合うことが機会となる。

    ただしいことが絶対ではない。
    ④老い
    老いていくことで、言葉では表現しづらいものに心を傾いていく。
    ⑤自己認識
    自己認識が、人間の為す行為のなかで、一番難しいかもしれない。
    ⑥真実
    事実の世界にのみ生きているわけではない。
    事実のなかに、自分だけの真実を探し、それによって生きている。
    ⑦転化
    自己の嫌なところ。転化させること。

    2.こんな方におすすめかも

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    2021年01月01日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    ネタバレ

    ミッちゃんの素直も、吉岡のあざとさも、どちらも心を抉ってきた。
    私にとってこの物語は、ずっと独りぽっちだったミッちゃんが、最後に愛に溢れた居場所を見つけることができたハッピーエンドの物語でした。

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    2020年12月03日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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     この本は、多くの人に多かれ少なかれ似たようなことを行なっていることを気付かされる。かつてはミツのような純真な心を持っていた乙女もいるのだろうけれど、その多くは生きていくうちに太々しい女性に変わっていくのだから、ミツと結婚していたとしても果たして幸せになっていたとは限らない。
     ただ、純真な女性をボロ切れのように棄てるような生き方をしても幸せにはなれない

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    2020年11月28日
  • 怪奇小説集

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    抜群の雰囲気作り! そしてスムーズに話を進めていく文章力! 

    遠藤周作のイメージは『海と毒薬』『沈黙』のあらすじであったり、本人がキリスト教徒であったり、などがあって、固い・説教くさい、という印象を勝手に作っていたのだけど、初めて読んだ遠藤周作の短編集『怪奇小説集』は、それを完全に覆されました。

    冒頭二編「三つの幽霊」と「蜘蛛」から、一気に心つかまれる。「三つの幽霊」は著者が実際に体験したとする奇妙な心霊体験らしきものが語られる話。

    外国での体験談だったり、ベタに民宿での体験だったり場所は色々あるのですが、どの話でも得体の知れない気持ち悪さ、日本の怪談らしいジメッとした不快感、何かがまと

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    2020年10月11日
  • 侍

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    久しぶりに読んだ遠藤周作。
    さすがというか、やっぱり文豪。
    40年たっていても、文章が生きている。
    しばらく、遠藤文学を読み直してみようと思う。

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    2020年10月07日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    作家さんのなかには個人的に信仰している、あるいはそこまでいかなくても信をおいている宗教を持つ人たちがいる。でも、そういうことが鼻につかない、それでいて物語のなにうまく溶け込んでいる作品を書かれる方は、希有のような気がします。遠藤先生もその一人。このエッセイには生や死について語られた項も多く、読みながら自分自身の内部と向き合えるのが本当によかった。/遠藤先生の書かれたホラー系の作品は怖いです。たぶん、人間の死について、あるいは人の心が感じる恐怖について、深く思索しているからなんだろうなと、このエッセイを読んでいて改めて感じました。

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    2020年09月02日
  • おバカさん

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    <バカじゃない…バカじゃない。あの人はおバカさんなんだわ。
    素直に他人を愛し、素直にどんな人をも信じ、だまされても、裏切られてもその信頼や愛情の灯をまもり続けて行く人は、今の世の中ではバカに見えるかもしれぬ。
    だが彼はバカではない…おバカさんなのだ。自分に人生のともした小さな灯をいつまでもたやすまいとするおバカさんなのだ。P289〜抜粋>

    隆盛のペンフレンドは、ナポレオンの子孫だというガストン・ボナパルト。
    突然日本に来るという知らせが来た。
    隆盛と母の志津、妹の巴絵は慌てて準備する。初めて見るフランス人、しかもあのナポレオンの子孫!
    しかし現れたのは背が高くて馬面で、汚れた服で貧乏旅行を

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    2020年07月21日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    手紙の書く時の考え方の本。
    「読む人の身になって」書く。
    当たり前のようだけど、忘れがちな事が事例をあげて丁寧に説明されている。
    洒落た言い回しじゃなくてもいい、形式にとらわれていては心が伝わらない。
    読めてよかった。

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    2020年07月20日
  • P+D BOOKS 決戦の時(下)

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    そこで終わるんかぁ〜

    破天荒ではない信長が色々と読みやすい。
    下巻になると自信をつけたみんなが知っている信長

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    2020年07月23日
  • 死海のほとり

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    信仰を失おうとする私とゴルゴダの丘に至るイエスの物語が最終章に重なっていく。

    深い感動が静かに胸に刻まれる作品。

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    2020年06月19日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    数年前に読んだ時は、キクと清吉に注目していたが、今回再読して、役人伊藤に感情移入した。自分も働くようになったからか。
    名作だ。このようなことが史実としてあったのか、信仰とは何なのか。

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    2020年05月31日
  • イエスの生涯

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    「何もできぬイエス」「無力なイエス」そして「愛を注ぐイエス」を語る本。

    遠藤周作さんは根が小説家なので、ときたま聖書の解釈が(私からみると)ぶっ飛んでて面白い。
    遠藤さんは基本的に、奇跡は実際起こったことの比喩と解釈している。そしてイエスを、苦しむ人々に寄り添う人、効果がある奇跡より無力な愛を大事にした人として描いている。

    愛読書決定!

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    2020年05月26日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    非常に面白い作品でした。遠藤周作作品にしてはかなり読みやすいらしいです。僕は海と毒薬しか読んだことないのでよく分かりませんが…。遠藤周作は純文学作品の著者として高い評価を得ていますが(沈黙、海と毒薬など)、本作品はそれらに比べて通俗的な、所謂、大衆文学的な要素が多く含まれています。

     物語は、一人の男と二人の女で構成されています。
     貧乏大学生の主人公吉岡は、日頃の鬱憤と溜まりに溜まった性欲を晴らすために、たまたま知り合った田舎娘のミツと関係を持ちます。田舎臭く、容姿も悪かったミツを吉岡はゴミのように棄て連絡を断ちます。大学卒業後、吉岡は就職し職場で知り合った社長の娘と結婚。ミツは吉川への想

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    2020年05月09日