遠藤周作のレビュー一覧
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ガストンが『深い河』にも登場していて驚いた。
調べてみると、ガストンのモデルは、遠藤周作がフランス留学中にお世話になった神父だという。
また作中では、ガストンがキリストを象徴する存在として描かれていることもうかがえる。
人生は辛く、悲しいものというのがテーマ。
正義と悪だけで単純に割り切れるものではなく、それぞれに深い背景や過去がある。
ガストンはキリストのように、人と共に悲しむ存在であり、その姿勢は『沈黙』と通じる思想だと感じた。
作中の神父は信じた者だけが救われると語るが、ガストンと勝呂の関わりを見ていると、必ずしもそうではないように思える。
神を信じていない勝呂に対しても、ガストンは -
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ネタバレこんなに悲しい悲劇的な小説もないというほど悲しいが、文句のつけようのない面白さだった。
イエスという未知の大きな存在、それらに惑わされ翻弄される人々、想像もしていなかった世界に対する戸惑い、これらが全て余す事なく表現されており、続きが気になって仕方なかった。風景や船旅の描写もとても素晴らしく、どれだけ過酷で残酷であったのかが分かりやすく伝わった。大袈裟な表現は一切ない。あれが現実なんだと心から納得させられる、だからこそ辛い感情もたくさんあった。
この作品の登場人物達に何か共感する事などとてもおこがましく感じる。日本とは狭く小さな国だと自分たちが言うのと、当時の侍が言うのでは重みが違う。
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あくまでユダヤ教の一派、それも異端派として十字架にかけられたイエスはもういない。存命中に関わった人間と、人間としては関わりが無く信仰の対象として伝えられた人間とが発生する。見聞きしたか、聞いたかで神格化の度合いは異なってくる。発生発展展開の時代がやってきた。
キリスト教がヨーロッパを席巻した後にも、宗派の違いで異端にされたり、火刑にされたり、戦争になったりってあったよなというのを踏まえると、人それぞれがキリスト教の中から信じたいエッセンスだけ抽出して、形作って固めて唯一無二にするみたいなことになるんだなって、解釈の違いってやつ?
最初期にも解釈違いが起こってた上に、"総本山&qu -
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名作。
胸が熱くなり、最後は涙が出そうだった。
死を迎えるためにガンジス河へ向かう、貧しく苦悩に満ちたヒンドゥー教徒たち。
ガンジス河は人生を、罪を、そして死を流していく場所で、生と死がそこで交わる。
全てを優しく包み込む深い河。愛に満ちた河。
本書にはキリスト教、ヒンドゥー教、仏教が登場するが、特に大津の思想が強く印象に残った。
神は多面的であり、どの宗教にも存在すると語る彼は、周囲から異教徒とみなされてしまう。
宗教の違いで争いが起こるこの世の中で、私は無宗教だからかもしれないが、大津のような考え方があってもいいのではないかと思った。
人生で一度は、聖なるガンジス河、そして飢えと病苦と -
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ネタバレ
冒頭は戦後が舞台なので
はて..?となるが
医師が登場して戦時中になって
読み進めていくうちに
どんどん闇が深くなっていく物語だ。
登場人物の過去も描いてるが
その表現がすごく良い
特に戸田の過去を読んでいると
実際に同じような境遇をしてる人がいるのではと思う
個人的にページをどんどん進めた部分がある。
それは、解剖直前の場面だ。
''生きた人間に麻酔をかけ殺す''という状況が
文章だけでも伝わってきた。
反戦とか歴史の出来事から学んでという作品ではない。
絶対オススメしないが
時間もあってする事もなくて
ネットサーフィンしてるくらいなら
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西洋(キリスト教)の「永遠」の感覚と日本(仏教)の「無常感」の対比が面白かった。
キリスト教では罪を犯しても神に懺悔して赦しを乞えば救われる、死=永遠の命への入り口っていう考え方。
対して日本では抗えない運命への静観、移ろい衰えていくものへの諦めに近い無常感が根底にある。
根本的な感覚がこんなにも違うのに、日本でクリスマスとか祝われてるのが陳腐に思えてくる。
あと日本人キリスト教徒はこの辺りの感覚の違いをどう対処しながら自分をキリスト教徒たらしめているんだろう。機会があれば当事者に聞いてみたい。
以下、読んでいて感じた疑問とchatGPTの回答
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名作だった。
戦時中、捕虜となった白人を生体解剖するという、倫理的問題を真正面から描いた作品。
実際の事件を基にしている。
どうせ死ぬ命なら、実験で多くの人の役に立てるほうが良いとして行われた行為に対し、勝呂医師は深い葛藤を抱く。
一方、戸田医師は自分には心がないのかと良心の呵責を求めて実験に参加するが、恐怖も罪悪感も湧かない自分に気づき、諦めにも似た無感情な境地に至る。
時代背景や環境の影響が、人の倫理観をどれほど左右するのかを考えさせられる。
著者の遠藤周作はクリスチャンであり、キリスト教には明確な倫理規範があるが、日本人にはそうした指針が乏しいため、流されやすいのではないかと彼は考えて -
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遠藤周作さん著「悲しみの歌」
「海と毒薬」の続編に当たる作品。主軸であった勝呂医師の30年後が描かれている物語になる。
研修医として生体解剖に携わってしまった過去のある勝呂は、罪という意識とは少し違う罰を自身に課せているように感じた。
彼はどちらかというと自分自身に失望しているように感じる。
彼自身が凄く人間らしすぎて、医師として人として、局面局面で選択せざるをえないその数多は、どの道を通っても誰もが納得できるものではないものばかり。
その中の一つは生体解剖という間違えでもあった、過ちの中でも最悪のもの。
そんな彼が辿る道は…
勝呂のその後の歩みは常に孤独感で溢れていて、まるで社会から隔絶