遠藤周作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西洋(キリスト教)の「永遠」の感覚と日本(仏教)の「無常感」の対比が面白かった。
キリスト教では罪を犯しても神に懺悔して赦しを乞えば救われる、死=永遠の命への入り口っていう考え方。
対して日本では抗えない運命への静観、移ろい衰えていくものへの諦めに近い無常感が根底にある。
根本的な感覚がこんなにも違うのに、日本でクリスマスとか祝われてるのが陳腐に思えてくる。
あと日本人キリスト教徒はこの辺りの感覚の違いをどう対処しながら自分をキリスト教徒たらしめているんだろう。機会があれば当事者に聞いてみたい。
以下、読んでいて感じた疑問とchatGPTの回答
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Posted by ブクログ
名作だった。
戦時中、捕虜となった白人を生体解剖するという、倫理的問題を真正面から描いた作品。
実際の事件を基にしている。
どうせ死ぬ命なら、実験で多くの人の役に立てるほうが良いとして行われた行為に対し、勝呂医師は深い葛藤を抱く。
一方、戸田医師は自分には心がないのかと良心の呵責を求めて実験に参加するが、恐怖も罪悪感も湧かない自分に気づき、諦めにも似た無感情な境地に至る。
時代背景や環境の影響が、人の倫理観をどれほど左右するのかを考えさせられる。
著者の遠藤周作はクリスチャンであり、キリスト教には明確な倫理規範があるが、日本人にはそうした指針が乏しいため、流されやすいのではないかと彼は考えて -
Posted by ブクログ
遠藤周作さん著「悲しみの歌」
「海と毒薬」の続編に当たる作品。主軸であった勝呂医師の30年後が描かれている物語になる。
研修医として生体解剖に携わってしまった過去のある勝呂は、罪という意識とは少し違う罰を自身に課せているように感じた。
彼はどちらかというと自分自身に失望しているように感じる。
彼自身が凄く人間らしすぎて、医師として人として、局面局面で選択せざるをえないその数多は、どの道を通っても誰もが納得できるものではないものばかり。
その中の一つは生体解剖という間違えでもあった、過ちの中でも最悪のもの。
そんな彼が辿る道は…
勝呂のその後の歩みは常に孤独感で溢れていて、まるで社会から隔絶 -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦中の1945年に、福岡県福岡市の九州帝国大学(現九州大学)医学部の解剖実習室で、アメリカ軍捕虜8人に生体解剖(被験者が生存状態での解剖)が施術された事件を元に書かれた小説。解剖実験に疑問を抱く勝呂、逆に全く疑問も良心の呵責もない戸田という2人の研究生を軸に話が進む。
戦時中の人体実験が、731部隊以外にも国内で行われていた事実にまず驚いた。
異常な状況下において正常であろうとする者、自分が異常であると認識しつつも正常にはなれないジレンマに苦しむ者、異常であることに気付いてすらいない者、様々な人間の心模様が交錯する。戦後80年の節目に読めて良かった。 -
Posted by ブクログ
この人の小説を初めて読んだ。568ページに及ぶ、第二次大戦の頃の長崎を中心に展開する物語。リアルな描写と登場人物たちの強い想いや激しい葛藤が伝わってきて、夢中になって読んだ。
自身もキリスト教信者だった作者の戦中の想いも色濃く投影されているようだ。戦時下で押しつぶされる個人の幸福や信仰心。アウシュビッツでの描写は、この世のありったけの地獄が描かれる。そしてその地獄の中でわずかに芽生える信仰心と人の良心と激しい葛藤。極限状態での人間の姿が刺さってくる。同時に、同調圧力を振りかざしてくる人間の姿もあり、それはコロナ禍で露わになった現代にも繋がるものを感じさせる。
戦争で引き裂かれる純愛。昨今で