遠藤周作のレビュー一覧

  • 新装版 海と毒薬

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    戦争中の医学者たちにとって、生体解剖はどのような意味をもっていたのか…。良心というものはどのように存在するのか、考えさせられました。

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    2026年05月22日
  • イエスの生涯

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    当方無宗教の為、聖書は創作物語としてパラパラ眺めたことがある程度しか知らない。どちらかというと、旧約寄りの知識しかなかったので、多少なりとも教養になればと思い読みはじめる。
    著者がクリスチャン故のバイアスが盛り込まれているものの、流石は小説家というべきか、かなりのめり込んで読み終えた。
    色々と調べながら読み、受難に至る過程や死海文書、復活の謎など物語としてロマンがあり、本当に面白い。

    「事実ではなく、真実であった。」
    いい言葉です。

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    2026年05月21日
  • 沈黙

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    「女の一生」は文字通り女性が主人公だったので共感しやすかったけど、こちらは少し読むのに努力を要しました。
    非常に苦しい描写がつづいてしんどいんだけど、構成が上手かったのに助けられた。
    単行本には著者のあとがきがあるようなんだけど文庫本には解説しかなかった。
    実在の「査祆余録」を本書の内容に合わせて記された巻末は、一応日本語なので何となくは理解できたけどネットで訳文を見つけて色々と理解できた。
    えぇーっ!と思ったけど、それでも納得もできた。

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    2026年05月19日
  • 生き上手 死に上手

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    遠藤周作は読んだことなかったけど、"死に上手"という言葉が目につき、手にした一冊だった。
    死に様こそ、その人の生き方の集大成な気がして、死に上手って何だろうと思って。
    結果読んでみて、理解はできたものの深い共感までは得られなくて、まだまだ死からはほど遠い場所にいるんだなぁと感じた。
    一方、深く頷きながら読んだのは"生き上手"の部分。(生きる、死ぬを切り分けて書かれてるわけではないし、何なら切り分けられないものだと思うけど、あえて切り分けた)
    その中から特に印象に残った感じたことを記したいと思う。

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    呼びかけても、そこには沈黙しかないこと。

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    2026年05月12日
  • 深い河 新装版

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    みんな何かを後悔して胸にかかえながら生きている。  

    うっすら漂う不幸の霧の中を彷徨っている
    ようなもので、出口を探している。

    インドの人にとってはそれが
    ガンジス川なのかもしれない。

    25歳の頃、ヴァラナシに行ったときのことを
    思い出した。

    カメラも何もかも宿に置いてガンジス川で
    見様見真似で毎朝3日間沐浴した。
    (病気にはならなかった)

    現地の人たちとも仲良くなった。

    今になって、過去の自分が取った行動に意味付けできた。

    2026.05.10-65冊目/年

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    2026年05月12日
  • 新装版 海と毒薬

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    「やがて罰せられる日が来ても、彼等の恐怖は世間や社会の罰にたいしてだけだ。自分の良心にたいしてではないのだ。」

    人間の生態解剖という極限での心理を描きながらも、このセリフは、自分自身の日常の行動1つ1つへの善悪判断基準が本当に正しいかどうかを考えさせるセリフだった。

    看護婦が抱く、院長の妻ヒルダへの感情も生々しく、自分の心のえぐみをほじくり返されるようだった。

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    2026年05月02日
  • 新装版 海と毒薬

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    著者はキリスト教徒。本書は〈神を持たない日本人〉をテーマの一つとして書かれたものらしいが、人は神がいれば(宗教を持っていれば)道を踏み外さない…わけではない。
    人を救うために医者になった者が「生体実験はゆくゆくは大勢を救う」と解釈して人を殺すように、どれだけ残忍な行為でも自分の都合の良いように解釈して正当化できてしまうという人間の恐ろしさを炙り出している。
    戦争がはじまれば人はいまより簡単に人を殺す、という認識を共有するために読むべき本である。

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    2026年04月09日
  • 海と毒薬

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    実際に会った事件をモチーフにしているとのことで衝撃。
    人間の生体実験なんて昔の遠い国の一部の人間性を失った集団が行なっていたというイメージだった。
    でもそこに関わっていたのは、普通に出世欲に塗れたり、普通に自分の境遇に鬱屈してたり、普通に良心があったりする、どこにでもいる人間だったのかもしれないと思うとやるせ無い気持ちになった。

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    2026年04月05日
  • 沈黙

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    ずっと読みたかったけど難しそうと躊躇してた作品。しかし非常に読みやすく全然難しくなかった。(最終章は別として笑)内容はかなり重くて考えさせられた。ぜひスコセッシの映画も観たい!

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    2026年03月27日
  • 沈黙

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    この作品読んで、強く印象に残ったのは「信仰とは何か」という問いだった。
    江戸時代の禁教令のもとで、隠れキリシタンたちは壮絶な弾圧を受けながらも信仰を守り続けた。なぜ彼らはそこまでして信じ続けたのか。
    貧しい農民たちにとって、信仰は生きる希望であり、初めて知る人の温かさそのものだった。
    しかし、その信仰の中で彼らが直面したのは、あまりにも過酷な現実だった。
    何も悪いことをしていないのに与えられる苦しみ。そして、その中で神は何も語らない。「なぜ助けてくれないのか」という問いに対する、神の沈黙。

    また、印象的だったのは、「弱さ」に対する描き方だった。
    拷問や仲間の死に耐えきれず信仰を捨ててしまう者

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    2026年03月26日
  • 沈黙

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    キリストの最期・江戸時代の基督教の弾圧が重なる。
    自身の使命感のために迫害され殺されていく百姓や非人、彼らの声を聞かされ棄教を迫られる。かつての師にさえ諭される。もっともこの師も拷問され他者の死の責任を押し付けられ続けた結果なのだが。
    終わりのないこれらの気怠さのため、唯一の拠り所であり、生涯愛すると心に誓った者の顔を踏みつけるまで追い込まれた。

    師は言う「神は何もなさらなかったからだ」と。
    自分の信仰心と目の前の惨たらしい狼藉とが闘い、全てを諦めた先にあったのは、どす黒い余生だった。(しかも踏絵後も助けられなかった信徒がいた始末)

    理不尽と自分の中の「正義」の衝突が起こった時どうするべき

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    2026年03月20日
  • さらば、夏の光よ

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    鈍くてモテない気の優しい青年の恋。何度も繰り返される普遍的な設定ではあるけれど、遠藤周作にかかればやっぱり光る。人間はか弱い小鳥じゃない。

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    2026年03月19日
  • 侍

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    長谷倉という侍と、ベラスコという司祭、二人の視点で描かれる物語。
    『沈黙』と似た雰囲気があり、本書も事実に基づいているらしく、こんな辛い時代があったのかと驚かされる。

    キリスト教にも宗派の違いがあり、そこに政治も絡んでくる。
    ベラスコは征服欲の強さから教えを押し付けるような行為をしてしまい、その傲慢さを自覚しながらも正当化していた。
    しかし終盤になると、自分の行いを見つめ直すことになる。
    そこでキリストや神への信仰が本物であると感じた。

    暗く、報われない現実。
    そんな世界にこそキリストは寄り添ってくれる存在なのだという。
    華やかな生活の中ではなく、見すぼらしい苦しみの中に、それぞれの人の中

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    2026年03月11日
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    時代だとは思いますが、女性の立ち場が無い。
    現東京藝術大学を卒業した母が、ヴァイオリンばかり練習していて家庭のことを顧みないと思ってる夫、
    主人公が入院したときに、子どもをちゃんと面倒みてないから入院したんでしょ?と思い込む伯母、
    病院のベッド脇で左指だけでもバイオリンの練習をする母見て、怒りだす主人公。
    主人公の退院後、まったくバイオリンを弾かなくなった母を見て、夫は満足そうにしていたが、結局両親は離婚。精神を病む母。
    満州から帰国後も、バイオリン指導が厳しすぎて仕事をやめされられた母。

    誰も救われない。

    父親が酷い。主人公を父の元か、母の元、どちらに住むか選ばせるようでいて、半強制的。

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    2026年03月11日
  • 沈黙

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    島原天草一揆くらいの時代、日本の調査と布教に来たポルトガル司祭が苦難に遭い背教を迫られるという話だが凄かった。
    タイトル「沈黙」にもあるように、一つの大きな主題として「なぜ苦境の折に神は沈黙しているのか(なぜ救ってくださらないのか)」という悲痛な嘆きがあったが、主人公司祭の強い苦しみと実感を伴う問いとして物語終盤常に大きな存在感を保っていた。
    主人公司祭が来日する理由にもなった、「拷問の末既に背教した司祭」の存在とのやり取りや奉行との問答の末の結末には陰鬱な気分になり、体調が悪くなった。
    「布教は善であったのか」「何が民を救うことなのか」「主は何をしているのか」
    じめじめと腐った潮風の様な問い

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    2026年03月02日
  • 沈黙

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    沈黙は見方によっていろいろな解釈ができる小説だなと思う。宣教師には宣教師の、切支丹になった農民には農民の、取り締まる役人には役人の理屈がそれぞれあって、どれも正しい。

    救いを求めるロドリゴに対して神は「沈黙」したままで、結果的にロドリゴは棄教をしてしまう。でもそれは形だけの棄教で、信仰なんてものは自分の外側にいる神に祈ることではなく、自分の内面にいる神と対峙し対話することだということに気づいたが故の結果なのではないかと思う。

    そして、キチジローの弱さはロドリゴの弱さで、キチジローとはロドリゴであったのではないかとも思う。人間は強いだけではいられない。誰にでもキチジローのような自分を抱えてい

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    2026年02月25日
  • 沈黙

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    ゼロか100かの選択となり、信仰をもっても信じるものは救ってはくれず、殉教者たちはなぜ死ななくてはならなかったのか。
    葛藤が文章に表現される、文学の力が思い知らされる作品。
    暗いし、好きではないけれど、圧倒的なパワーがあった。
    同じモチーフを描き続け、ずっと悩んでんでいたのか。作家について知りたいと思える作品。

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    2026年02月24日
  • 沈黙

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    キリシタン禁令時の長崎を描いている歴史小説ともいえる。司祭が棄教、転ぶまでの心理描写とキリストへの信仰心が描かれた興味深い作品

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    2026年02月23日
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

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    2026年共通テスト国語で出題されていたことをきっかけに興味を持ち、手に取った短編集。

    芸術の追求のために、我が子の手を払いのけることができた意志の強い女性——それが主人公の母だった。
    戦前の昭和には珍しく、家庭に馴染めず、離婚という道を選んだ母。
    幼い頃に植えつけられた寂しさ、慕情、後悔。
    そうした生々しい傷や感情を、主人公は無理に忘れ去ろうとするのではなく、向き合い、人生の傍らに置いたまま生きていこうとする。その姿が静かに描かれていたように思う。

    私が特に驚いたのは、母が遺した言葉である。
    「海の砂浜は歩きにくい。歩きにくいけれど、うしろをふりかえれば、自分の足あとが一つ一つ残っている

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    2026年02月15日
  • 死海のほとり

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    主人公が自身の信仰への疑念や葛藤に区切りをつけるため、イスラエルへ巡礼の旅に出る。一方、イエスを巡る群像達の物語が描かれ、これらが交互に織りなし、信仰の本質とは何んであるかが問われていく。
    それにしても「ねずみ」の存在は印象的だ。主人公が学寮に住んでいた頃に出会った臆病でずる賢いゆえに軽蔑されていたユダヤ系ポーランド人のねずみは、収容所で飢餓の刑に処せられる。そのなんとも哀れな姿は、群像達の描写に現れる哀れな十字架を背負うイエスの姿と折り重なる。このねずみとイエス交差に著者の信仰のあり方を感じる。

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    2026年02月14日