遠藤周作のレビュー一覧

  • 侍

    Posted by ブクログ

    実に丁寧に書かれている文章だと感じた。
    侍が、キリスト教に関して問うている部分が、非常に共感できて、また、時代の流れも感じられた。
    淡々と進むストーリーと、感情の変化、揺れが、非常におもしろかった。

    0
    2019年08月25日
  • キリストの誕生

    Posted by ブクログ

    イエスの死後、原始キリスト教団の歩みを追い、イエスがいかにキリストに高められていったのかを辿る。イエスの架刑、ステファノの受難、ペトロやポーロ、ヤコブの死、ローマ軍によるエルサレムの蹂躙。これら幾多場面において突きつけられた「神の沈黙」、「キリストの不再臨」。わずかの期間に起きたこれら壮絶な出来事を経てもなお絶望しなかった原始キリスト教団の人たちは、愛のみに生きたイエスを忘れることができない。その意味でイエスはキリストとなり彼等ひとりひとりに再臨したのでは、と結んでいる。著者は「人間が続くかぎり、永遠の同伴者が求められる」と記しているが、宗教の本質を端的に指摘しておられると思い、感嘆する。

    0
    2019年07月28日
  • 侍

    Posted by ブクログ

    転ぶ。

    信仰とは何か?、ということすら、生きる上で全く考えることのない、無意味なくらいの、そんな侍の社会。
    その社会で大切なのは、ただただ忠誠であり信仰とは似て非なるモノ。

    その時代の人達が。
    何故ヨーロッパに行くのか?
    キリスト教が介在したのは何故?
    危険を冒す理由があったのか?

    という事は、史実でも、まさに本文中でも、たっぷり書かれている。

    個人的に唸ったのは。

    商売の利と信仰を天秤に計る人の心理
    忠誠を示す為に信仰を選ぶ心のさざ波
    司祭同士の出世争いの場にされた日本
    功名心を信仰心で巧みに隠してく醜さ
    棄教を前提に自分自身を欺くその描写

    日本に戻った侍の心の描写が、その答えだ

    0
    2019年06月26日
  • イエスの生涯

    Posted by ブクログ

    ヨーロッパなどの先行研究に触れながら、著者自身のイエス像を客観的な筆致で描く。
    受難物語では奇跡をみせずに、自らが架けられる十字架を自ら背負い、ゴルゴタの処刑場に向かったイエス。著者は、聖書はイエスの無力を積極的に肯定しながら、無力の意味を我々に問うていると指摘する。また、彼の生涯は愛に生きるだけという単純さをもち、愛だけに生きたゆえに、弟子たちの眼には無力な者とうつった、だがその無力の背後に何がかくされているかを彼らが幕をあげて覗くためにはその死が必要だったのである、とも指摘している。
    その答え、残念ながら今の自分には確たるものがない。

    0
    2019年06月02日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遠藤周作らしいいろんなテーマがあった。
    神の沈黙が、今回は「殺すなかれ」と教えながら戦争を黙認する教会の沈黙や、「神なんていない」という救いのないアウシュビッツに変奏していた。
    神は直接の救いをもたらすわけではないが、修平の渾身の疑問を正面から受け止めて苦しげに分からないという高木牧師や、アウシュビッツに共に収容されていながら、いつもあなたのために祈っていると語るコルベ神父を通して、神の沈黙は沈黙ではないと語られている気がする。つまり、直接目に見える解決はしなくとも、苦しむ人ともに苦しむ愛なる神、のように。神のみならず人間も、他者の苦しみを前に無力だ。サチ子も修平の苦悩を前にマリア像に祈るしか

    0
    2019年05月20日
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話

    Posted by ブクログ

    小学生が喜びそうな下の話満載で声を出して笑ってしまうところが何箇所もあったが、ユーモラスな厚化粧が濃いほど遠藤周作のシャイで生真面目な素顔が際立ってくるように感じた。

    0
    2019年05月18日
  • 王国への道―山田長政―

    Posted by ブクログ

    遠藤周作さん、久々に読みました。
    10代の愛読書には、遠藤周作さんの本が沢山あります。

    今回、タイ旅行の事前勉強に、と思って読んだのですが、タイのお話というより、よくできた物語に、久々降りる駅を乗り過ごしそうになる経験をしました。

    0
    2019年04月24日
  • 死海のほとり

    Posted by ブクログ

    聖書の奇蹟の数々をうさんくさく感じていたが、キリスト教徒でも同じなのだろうか。
    イエスの最期をたどる男たちの旅と、イエスに死を与えた者、死を見届けた者たちの断片。 イエスの受難は戦時中の人間の弱さと絡みついていく。
    罪ある者も赦されるという母の愛があるからこそ、ひとは救われるのだろう。

    0
    2019年04月19日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「正義とは何か?」
    この問いにぶち当たる度に、私はこの本を読んでいる。

    先日、居眠り運転をして交通事故を起こしてしまった。
    その時に正義感に満ちた警察官は「事故を起こした悪人」である私に対して威圧的で、とても苦しかった。そして、この本が無性に読み返したくなった。最近読んだ中で最高に面白い、改めて大好きな本。

    同じ遠藤周作の著書『海と毒薬』の続編で、戦時中外国人捕虜の人体実験に関わった勝呂医師のその後の話だ。この小説の中で「正義」という単語が8回でてくる(数えた)。正義という名のもとで悪を糾弾する若手の新聞記者が、勝呂医師を追いつめていく。白か黒か。正義を信じて疑わない人は、自分がそちら側の

    0
    2019年04月14日
  • 口笛をふく時

    Posted by ブクログ

    二つの川があって、その二つの川がやがて合流して大きな川になるような壮大な物語でした。戦争の時代を生きた父親と、現代を生きるその子との葛藤そして、善とは悪とはを問いかける内容です。
    年代からいえばワタシは子の年代にあたるのでしょうが、描かれている父の心情はまことに共感のできるものでありました。

    0
    2019年03月07日
  • 彼の生きかた

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遠藤周作は愚直で純粋な者の味方である。日常劇でありそうな筋なのだが、最後のもの言えぬ哀しみにひきこまれ、涙を誘われた。不器用な研究者と幼なじみ、恋の鞘当てに巧みに言葉で押し込んでくる男。不純の俗界に残された側にもやるせなさが漂う。猿に比べたらば、社会のボスの姿を皮肉に描いている。

    代表作ではないが、良作である。孤独を感じる人向けに。

    0
    2019年02月18日
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    やや性差別的な表現・性的少数者への攻撃ともとられかねない表現があるものの、その時代にあって、倫理的に恋愛を説こうとした誠実な本だと思った。

    神話のなかに見られる恋愛の、非常にピュアな「この人にさわってみたい」というやわらかな性欲の描写はなんだかとてもうらやましかった。

    男性が感じる性衝動と女性が感じる性衝動の違いについては、「信じるしか無い」部分があり難しいのだが、性行為へのリスクの違いを述べている点は非常にいいと思った。いかに避妊の技術が進化したといえども、妊娠/堕胎/出産による女性の心身への影響が甚大であることは想像に容易い。肉体的には女性に負担が偏った行為なのだ。異性間の性行為におい

    0
    2019年02月15日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

    Posted by ブクログ

    東宝ミュージカルの原作という事だが、舞台の内容と全然違う
    マルグリッドは最後まで裏稼業の人だった…だから違和感だったんだな。舞台も本もそれぞれに面白い。アントワネットが最後まで気品と優雅を忘れずにいたのは感動的だった

    0
    2019年01月17日
  • 侍

    Posted by ブクログ

    久々に読み応えのある小説に出会えた。自分の力ではどうにもならぬ運命に流されていく切ない物語。「転ばない」美学

    0
    2018年12月27日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

    Posted by ブクログ

    10ページなんかあっという間に読んでしまうくらい面白かった。遠藤周作さんは名前しか聞いたことがなく読んだことがなかったが、こんなに面白いエッセイを書く人だとは知らなかった。

    手紙の書き方を教えてくれる本であるが、今でも通用する内容でとても参考になる。

    0
    2018年12月22日
  • 死海のほとり

    Posted by ブクログ

    この物語は、同じイスラエルの地≪死海のほとり≫を舞台に、時代の異なる二つの物語が対位的に展開される。すなわち、主人公がイエスの足跡をたずねてイスラエルを巡礼する現代の話と、イエス・キリストが伝道のためにパレスチナの地を旅する過去の話が交互に進行する。昭和48年の文学としてはこのような技法は画期的といえるのではないだろうか。主人公<私>はカトリック信者である作者の分身であろう。救い主としてあまりに無力であるが、隣人と共に喜び共に苦しむイエスの姿を描き、「永遠の同伴者」としてのイエス像を鮮烈に打ち出した作品である。

    0
    2018年12月22日
  • 生き上手 死に上手

    Posted by ブクログ

    「善魔」という言葉が気になって手にとった。
    死と生に対して、とても考えさせられる本。
    善魔は悪魔よりもタチが悪い。
    善魔とならないよう気をつけないと。

    そして、書かれた時代背景。
    書かれた時代は心療内科が出来始めた時期だったのですね。

    0
    2018年11月04日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2021/6/29
    長崎に行くことがあり、再読。
    前に読んだ時より、コルベ神父の存在を強く感じた。
    ヘンリックに与えた小さな変化は他の誰かにとっての大きな変化。人を少しでも変えるほど影響力を持ったコルベ神父はやっぱりすごい。
    結末はわかっているのに後半読み急いでしまった。
    今回は修平に寄って読んでしまう。どうにもならない運命に理由をつけて進んでいく。矛盾してることはわかっていても抗えない運命を受け入れる。
    キリスト教はつくづく受け止める受動的な宗教だなと思った。
    そは求むるところなき愛なり、これに尽きる。


    かなり昔に読んだきりだった為、再読。
    前より面白かった気がする。
    キクの時と比べて話

    0
    2021年06月29日
  • キリストの誕生

    Posted by ブクログ

    映画の「沈黙-サイレンス」を先日観た。
    小説の「イエスの生涯」を先日読んだ。
    その流れで、本書を手に取ることに。

    映画も小説も遠藤氏は、「神の沈黙」という事をテーマにされているんですね。

    ステファノの事件
    エルサレムの会合
    アンティオケの事件

    この流れがキリスト(教になる節目)を誕生させる物語などは、初めて知る内容だけに面白かった中、登場人物のポーロが一番気になった。

    ビジネス社会でベンチャー企業だと、ある程度の規模から鈍化することがあっても、熱く猛る信念で、常識を超えて突き進んでいく人が、ある意味無茶苦茶に引っ張る瞬間、異常な壁を軽々と越える時がある。
    それも名もなき人達だったりする

    0
    2018年07月18日
  • 女の一生 一部・キクの場合

    Posted by ブクログ

    2018.05.29再読しました。

    前回この作品を読ませていただいた時は、お借りしていた本にもかかわらず、泪が止まらなくてページをぬらしてしまいました。まさに自分にとって人生の教科書になる作品だったので、今回は泣かないように再読を試みましたが…
    ムリでした(TT)

    浦上四番崩れ。
    今からわずか145年前までこんなにも酷い事が行われてたんですね。

    何回読んでもキクの美しい愛と心に感動します!
    そして、「女の一生」、「沈黙」を読んだ時にも深く考えさせられる神の存在。
    神は存在するのか?カタチはあるのか?と言う事。

    わたくしの勝手な考えなのですが、神ってその人の人生なのではないか?と思うんで

    0
    2018年05月29日