遠藤周作のレビュー一覧

  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    ネタバレ

    やや性差別的な表現・性的少数者への攻撃ともとられかねない表現があるものの、その時代にあって、倫理的に恋愛を説こうとした誠実な本だと思った。

    神話のなかに見られる恋愛の、非常にピュアな「この人にさわってみたい」というやわらかな性欲の描写はなんだかとてもうらやましかった。

    男性が感じる性衝動と女性が感じる性衝動の違いについては、「信じるしか無い」部分があり難しいのだが、性行為へのリスクの違いを述べている点は非常にいいと思った。いかに避妊の技術が進化したといえども、妊娠/堕胎/出産による女性の心身への影響が甚大であることは想像に容易い。肉体的には女性に負担が偏った行為なのだ。異性間の性行為におい

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    2019年02月15日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    東宝ミュージカルの原作という事だが、舞台の内容と全然違う
    マルグリッドは最後まで裏稼業の人だった…だから違和感だったんだな。舞台も本もそれぞれに面白い。アントワネットが最後まで気品と優雅を忘れずにいたのは感動的だった

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    2019年01月17日
  • 侍

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    久々に読み応えのある小説に出会えた。自分の力ではどうにもならぬ運命に流されていく切ない物語。「転ばない」美学

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    2018年12月27日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    10ページなんかあっという間に読んでしまうくらい面白かった。遠藤周作さんは名前しか聞いたことがなく読んだことがなかったが、こんなに面白いエッセイを書く人だとは知らなかった。

    手紙の書き方を教えてくれる本であるが、今でも通用する内容でとても参考になる。

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    2018年12月22日
  • 死海のほとり

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    この物語は、同じイスラエルの地≪死海のほとり≫を舞台に、時代の異なる二つの物語が対位的に展開される。すなわち、主人公がイエスの足跡をたずねてイスラエルを巡礼する現代の話と、イエス・キリストが伝道のためにパレスチナの地を旅する過去の話が交互に進行する。昭和48年の文学としてはこのような技法は画期的といえるのではないだろうか。主人公<私>はカトリック信者である作者の分身であろう。救い主としてあまりに無力であるが、隣人と共に喜び共に苦しむイエスの姿を描き、「永遠の同伴者」としてのイエス像を鮮烈に打ち出した作品である。

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    2018年12月22日
  • イエスの生涯

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    2001年、911アメリカ同時多発テロの衝撃の後、イスラム教ユダヤ教キリスト教についての本を少しばかり読んだ。読んだけれどもよくわからないというのが本音である。

    その当時集めた中で今までなぜか読まず最後に残ったのがこの『イエスの生涯』もうすぐクリスマスだが、この本はイエス様が厩で生まれたとは書き始まっていない。ところがこれがわかりやすかった。遠藤周作氏の人柄と作家の力量だからだろう。

    西洋画に書かれた神々しい像は、後の時代の想像力によってなされたので、容貌も平凡な中東人がどうしてイエスキリストなのか?

    イエスはユダヤ人で大工さんであった。ナザレというところで30~40代まで近親者と働い

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    2018年11月27日
  • 生き上手 死に上手

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    「善魔」という言葉が気になって手にとった。
    死と生に対して、とても考えさせられる本。
    善魔は悪魔よりもタチが悪い。
    善魔とならないよう気をつけないと。

    そして、書かれた時代背景。
    書かれた時代は心療内科が出来始めた時期だったのですね。

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    2018年11月04日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    ネタバレ

    2021/6/29
    長崎に行くことがあり、再読。
    前に読んだ時より、コルベ神父の存在を強く感じた。
    ヘンリックに与えた小さな変化は他の誰かにとっての大きな変化。人を少しでも変えるほど影響力を持ったコルベ神父はやっぱりすごい。
    結末はわかっているのに後半読み急いでしまった。
    今回は修平に寄って読んでしまう。どうにもならない運命に理由をつけて進んでいく。矛盾してることはわかっていても抗えない運命を受け入れる。
    キリスト教はつくづく受け止める受動的な宗教だなと思った。
    そは求むるところなき愛なり、これに尽きる。


    かなり昔に読んだきりだった為、再読。
    前より面白かった気がする。
    キクの時と比べて話

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    2018年09月25日
  • キリストの誕生

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    映画の「沈黙-サイレンス」を先日観た。
    小説の「イエスの生涯」を先日読んだ。
    その流れで、本書を手に取ることに。

    映画も小説も遠藤氏は、「神の沈黙」という事をテーマにされているんですね。

    ステファノの事件
    エルサレムの会合
    アンティオケの事件

    この流れがキリスト(教になる節目)を誕生させる物語などは、初めて知る内容だけに面白かった中、登場人物のポーロが一番気になった。

    ビジネス社会でベンチャー企業だと、ある程度の規模から鈍化することがあっても、熱く猛る信念で、常識を超えて突き進んでいく人が、ある意味無茶苦茶に引っ張る瞬間、異常な壁を軽々と越える時がある。
    それも名もなき人達だったりする

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    2018年07月18日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    2018.05.29再読しました。

    前回この作品を読ませていただいた時は、お借りしていた本にもかかわらず、泪が止まらなくてページをぬらしてしまいました。まさに自分にとって人生の教科書になる作品だったので、今回は泣かないように再読を試みましたが…
    ムリでした(TT)

    浦上四番崩れ。
    今からわずか145年前までこんなにも酷い事が行われてたんですね。

    何回読んでもキクの美しい愛と心に感動します!
    そして、「女の一生」、「沈黙」を読んだ時にも深く考えさせられる神の存在。
    神は存在するのか?カタチはあるのか?と言う事。

    わたくしの勝手な考えなのですが、神ってその人の人生なのではないか?と思うんで

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    2018年05月29日
  • 留学

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    三章仕立てですが、前半部を工藤と荒木トマスの類似、後半部を田中とサド侯爵の対比として読みました。

    作中人物たちの葛藤が解消不可能であるだけに、バッドエンドであろうとわかっていながら、それでも救われてほしいという願いを込め、頁をめくりつづけました。「虚無に祈るような」と形容すれば良いのでしょうか、読者にこうした姿勢をとらせるのは、遠藤周作の作品に特徴的であるように思えます。

    さらにいえば、この姿勢に、作中人物、あるいは作者自身が異教ーつまりはキリスト教、あえてここでは「異教」と記しますがーの洗礼を受けながら、自らの信仰と対峙しており、自分自身が祈る先には、偽りを隠せない信仰の前には、何者

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    2018年05月08日
  • 反逆(上)

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    秀作!荒木村重が主人公という視点は非常に面白味があった。久し振りに歴史小説でも、これは!という作品だったなー。

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    2018年04月03日
  • 侍

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    物凄く面白かった。キリスト教との関わりの中から、他の作品と同じように、日本人の本質をことごとく見事にあぶりだした作品だったと感じる。

    30年近く日本で布教活動をしてきたヴァレンテ神父の「日本人はこの世界の中で最も我々の信仰に向かぬ者達です。彼らにとってもし、人間以上のものがあったとしても、それは人間がいつかなれるようなものです。たとえば彼らの仏とは、人間が迷いを棄てた時になれる存在です。日本人は決して1人では生きていません。彼の背後には村があり、家があり、彼の死んだ父母や祖先がいて、彼らはまるで生きた生命のように彼と強く結びついているのです。一時的にであれ改宗したはずの彼が、棄教してもとに戻

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    2017年12月21日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

     この小説は二つの話が交互に出てくる。
     一つは現代(といっても戦後30年後くらいの話だが)においてかつてキリスト教系の大学に通っていたが、信仰を捨てた(あるいは見失った)、同級生だった二人の中年の男がイエス・キリストの足跡を辿る旅をする。
     もう一つは過去のイエス・キリストの生涯が書かれている。
     過去の話は実際にイエス・キリストと出会った人々が彼に対して何を感じたのか、ということに焦点が当たっているように思える。現代においては聖書やその足跡を辿って見えてくるイエス・キリストに対して何を感じるかということが主題に感じた。ただ、現代においては、後半はネズミと呼ばれる神学校時代の修道士に焦点が当

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    2017年11月26日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    ネタバレ

    史実にある部分とフィクションを織り交ぜて、フランス革命前後を実におもしろく描いています。しかしここで言う「フィクション」とは、虚構とはまた違ったものだと思います。
    史実にある点と点をつなぐ時に、「どうやったらこの点がつながり得るか」というあたりを実にクールに、そして情熱的に考えてできたのがこの作品なのではないでしょうか。
    ハイライトは「首飾り事件」辺りだと思います。史実は史実としてちゃんと記述し、その裏事情をおもしろく、そして緻密に描いています。山師カリオストロを黒幕として登場させたあたりはさすがとしか言いようがありません。
    主人公は題名の通りですが、たくさんの登場人物が作者に命を吹き込まれ、

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    2017年10月14日
  • 白い人・黄色い人

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    最初は、これを書いたのが日本人だというのが、なんだか信じられなかった。
    今まで何冊か読んできて、海外文学と日本文学の違いを分かったような気でいたのだけれど、実の所、そんなもの、ないのかもしれない。
    ただ、「どんな環境で、どう考えてきたか」が、作者の、作品の、根になるだけなのかもしれない。
    「どれほど信じても、救われない」ということが、基督教徒にとって、どれほどのことなのか。
    基督教徒であるということが、この日本でそれを信じるということが、どれほど困難か。
    けれど、だからこそ、これほどまでに、真摯になるものなのか。
    もう少し、遠藤先生の作品を、読んでみようと思う。

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    2017年06月25日
  • 狐狸庵閑談

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    68p 創作 無意識の力 不思議な援軍
     著者流 無意識の力を借りる方法が紹介されている。
     このような方法でどの位力を借りたのか気になる。
    72p 直線で生きるか立体で捉えるか
     人生を直線や立体で考える面白い作品

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    2017年05月14日
  • キリストの誕生

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    キリスト教がどのようにして誕生したかを,聖書ばかりでなく多くの資料をベースに小説家の視点で考察した名著だ.ステファノ事件,エルサレム会議,アンティオケ事件などが信徒たちに与えた影響,さらにイエスと会ったことのある使徒たちとポーロの議論の中で,神の沈黙,イエスの復活などをどう扱うのか悩む人たち.永遠の問題だが,それなりの解答が与えられたような気がする.

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    2017年04月04日
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話

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    遠藤周作氏の本はいつも深く考えさせられる。
    キリスト教信者で小難しい本を書く。そんなイメージを持っている人も多いと思う。
    が、しかし。狐狸庵先生は違う。
    下ネタ好きで嘘つきなただのオジさんである。
    ただの嘘ではない。センスがいい。
    遠藤周作氏の偉大さは狐狸庵先生を読んでしても変わらない。

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    2017年04月01日
  • 留学

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    経験しているからなのかな、人の葛藤を描くのが上手いなあと思いました。昇進に悩む社会人とか勉学に励む学生とか、共感できる方は多いのではないかと思った。

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    2017年01月05日