遠藤周作のレビュー一覧

  • 私にとって神とは
    遠藤周作の全著書に貫徹するテーマ、神の存在と働きについてどのように考えるのかを述べた書。日本人が取っ付きにくいとする宗教=ここではキリスト教に対し、いかに日本という土壌に照らして解し、神と向かい合って来たかを述べる。その取っ付きにくさの前提は、日本での教会のあり方に帰せられている。

    キリスト教徒と...続きを読む
  • ひとりを愛し続ける本
    嫉妬に関する記述に、とっても納得させられた。
    これから、嫉妬という感情が湧いてきた時には、
    この本を読み返そう。
  • 死海のほとり
    ■『死海のほとり』 遠藤周作著 新潮文庫

    【全編4 メシヤ降臨とその再臨の目的】
     遠藤周作の力作です。イエスの歴史的実像とは一線を画し、我々においてのイエス、そして救いとは何であるかを問うています。追記にありますが、同著者の『イエスの生涯』と表裏をなす作品であるということです。『イエスの生涯』は...続きを読む
  • 死海のほとり
     遠藤の作品で五指には入る名著。しかし今までなぜか読む機会を失していた。私も33になり、イエスの昇天の歳であるから、特別な何もないけれど、思いだけは引き締まる中でこの書を読み始めた。過去に遠藤の著作にはどれだけ触れただろうか、20~30だろうと思われるが、その文体に触れるとなぜだか安心する。鮮烈な刺...続きを読む
  • 愛情セミナー
    私は愛は修行だと思っている(笑)
    優しくて楽しい修行ね。
    愛はいつでも蜜月ではない。
    恋に落ちるだけならサルにでもできる(笑)

    性にタブーは必要で、やっぱり秘密は隠しながらジリジリ近づいていく感がないと喜びは少ない。

    信じることができないものづくしの世界で信じるものを持つことの美しさ。
  • 死海のほとり
    愛はこの世で一番、非力で無力なものであった、とイエスが十字架で処刑される際、周囲の人間はつぶやいた。が、すべてが終わった瞬間、愛はこの世で一番美しく、力強く、人々の心に生き続けた。何故、イエスが人々の心に残り、我々の人生に影響を与え続けるのか?目を閉じ胸に手をあてて心に問い続けたい。
  • キリストの誕生
    イエスの十字架の死後、12弟子を中心とする原始キリスト教団の使徒たちの心の中に再臨し、神秘的な救いを与えたイエスの復活、そしてキリストの誕生は、弱虫だった弟子たちを殉教をもいとわない強い信仰者に生まれ変わらせた。「汝の敵を愛せよ」、愛の人だったキリスト、2000年前のエルサレム、そして2000年の時...続きを読む
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない
    ドッグイヤーつけすぎてどこから書いていいのやら。
    それくらい大事なセンテンスと言葉の宝庫でした。
    遠藤周作は少し難しめに表現するけど現代の選書を五冊くらい読むに値する内容かと思う。

    帯では阿川佐和子さんも推薦してた。
  • 母なるもの
    キリスト教徒だった母親の影響を受けたながら反発した少年時代、フランス留学、背教者と隠れキリシタン等々を描いた自伝的短編小説。特に印象に残ったのは開国後に日本に来た神父による「信徒再発見」後に多くの隠れキリシタンがカトリックに改宗(?)する中、昭和になっても隠れキリシタンの教えを守る人々が残っていたと...続きを読む
  • 愛情セミナー
    改めて読んだけどやっぱいいなぁこれ。すごくためになるし、心に刺さる言葉がいくつもある。
    この人と結婚したいなと思える人がいたら是非とも読んで欲しいと思う本。
    結構毒が強くて、ネットのブログなんかだと炎上しかねないようなテンションなので、著者の偏見と冗談を笑ってスルーできる女性には勧められるけど、いら...続きを読む
  • 王妃マリー・アントワネット(上)
    高校生の頃、世界史の授業でフランス革命について学び、もっと詳しく知りたいと思って手にとった本。これを読んでいたおかげで、テストではバカ暗記をせずに済んだ。教科書に書いてあることだけを読んで「フーン」と暗記に時間を取られるよりも、本を読んだり、映画観たりして理解するのが断然効率が良い。…と、実感した次...続きを読む
  • 王国への道―山田長政―
    めちゃおもしろかった。地上の王国と天上の王国、2人の対比が実にオモシロい。沈黙やディープリバーももちろんオモシロかったんだけど、あちらは宗教色、神とは、みたいなのが強いのにたいし、王国への道ではあくまでメインでないあたりが読みやすい。
    過去、世界的にみても優れた兵士だった日本の侍。外国で戦った山田長...続きを読む
  • 女の一生 二部・サチ子の場合
    1部ほどの衝撃はないけれど、やっぱり、これも傑作だと思う。修平を想うサチ子の話とコルベ神父のアウシュビッツでの話が交互に出てくる前半はもう苦しくて。アウシュビッツでの話が、これからどんどん激しくなる戦争やその波に飲み込まれていくであろう2人の未来を暗示してるようで。想い合っても自由にならない戦時中の...続きを読む
  • 女の一生 一部・キクの場合
    すごい衝撃受けた作品。一心にキリスト教を信じる清吉と、そんな清吉を一途に想うキク。どちらも真っ直ぐで純真で、どちらも幸せになってほしいとずっと思いながら読みました。すごく引き込まれた。幕末(江戸時代も)のキリシタンのこともあまり知らなかったので驚いた。2人以外に、伊藤のことがすごく気になって。自分の...続きを読む
  • 眠れぬ夜に読む本
    読んでて思わずにやりとする。

    自分の視点を変えるためにも、たまにはこういうエッセイを読むのもいいかもしれない。
  • キリストの誕生
    イエスの生涯に続いて刊行されました。
    イエスからキリストという存在へ変わっていく弟子たちの心理などを本当に質の高い内容で描かれています。「僕は大説家ではなく小説家なんですよ」とエッセイで何度も著者は口にしていました。
    それを決して忘れずに読んでいたものの、遠藤氏の文章はどうしても僕に夢をみさせてしま...続きを読む
  • 王妃マリー・アントワネット(下)
    世界史好きにはたまらないなぁ。授業で習った歴史上の人物がたくさん登場です。

    誰かの血が流れなければ時代の流れって変えることはできないのかな。それはフランス革命に限らずです。フランス革命では王と王妃以外にも多くの血が流れているんです。2人の死をもってフランス革命というわけではないと改めて感じました。...続きを読む
  • ただいま浪人
    長い小説だが、一気に読み進めた。時代は戦後、今の価値観とは違う部分も多々あるが、それでも共感することができる。若い頃の疑問と苦悩、そして大人たちのすでに固まった既成概念と、それとはまったく無関係な愛情の行きどころ。人は間違いを犯す。しかしそれが果たして本当に間違いかどうかは、誰も判断できない。では生...続きを読む
  • 王妃マリー・アントワネット(上)
    物語は王妃・マリーアントワネットと、庶民の娘・マルグリットの視点が交互に進んでいく。
    歳はたった1つしか違わないのに、一人は華やかで煌びやかででも満たされない生活を送り、一人は孤児院出身で娼婦にまで落ちてギリギリの生活を強いられている。
    この2人の対比が本当に良いです。
    マルグリットがいてこそのマリ...続きを読む
  • 第二怪奇小説集
    古本屋で幸運にも出会えたので入手。過去に遠藤氏が出会った事件や創作が連なり「幽霊やおばけがこわい」という趣よりも、もっと人間の心が隠し続けてきた闇の部分での恐怖を描いている。前作に続き、遠藤氏の留学先のリヨンが舞台になっている話がある。僕は春と夏のフランスしか知らないので冬のフランスの鬱屈した空気を...続きを読む