遠藤周作のレビュー一覧

  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    ネタバレ

    史実にある部分とフィクションを織り交ぜて、フランス革命前後を実におもしろく描いています。しかしここで言う「フィクション」とは、虚構とはまた違ったものだと思います。
    史実にある点と点をつなぐ時に、「どうやったらこの点がつながり得るか」というあたりを実にクールに、そして情熱的に考えてできたのがこの作品なのではないでしょうか。
    ハイライトは「首飾り事件」辺りだと思います。史実は史実としてちゃんと記述し、その裏事情をおもしろく、そして緻密に描いています。山師カリオストロを黒幕として登場させたあたりはさすがとしか言いようがありません。
    主人公は題名の通りですが、たくさんの登場人物が作者に命を吹き込まれ、

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    2017年10月14日
  • 白い人・黄色い人

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    最初は、これを書いたのが日本人だというのが、なんだか信じられなかった。
    今まで何冊か読んできて、海外文学と日本文学の違いを分かったような気でいたのだけれど、実の所、そんなもの、ないのかもしれない。
    ただ、「どんな環境で、どう考えてきたか」が、作者の、作品の、根になるだけなのかもしれない。
    「どれほど信じても、救われない」ということが、基督教徒にとって、どれほどのことなのか。
    基督教徒であるということが、この日本でそれを信じるということが、どれほど困難か。
    けれど、だからこそ、これほどまでに、真摯になるものなのか。
    もう少し、遠藤先生の作品を、読んでみようと思う。

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    2017年06月25日
  • 狐狸庵閑談

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    68p 創作 無意識の力 不思議な援軍
     著者流 無意識の力を借りる方法が紹介されている。
     このような方法でどの位力を借りたのか気になる。
    72p 直線で生きるか立体で捉えるか
     人生を直線や立体で考える面白い作品

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    2017年05月14日
  • キリストの誕生

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    キリスト教がどのようにして誕生したかを,聖書ばかりでなく多くの資料をベースに小説家の視点で考察した名著だ.ステファノ事件,エルサレム会議,アンティオケ事件などが信徒たちに与えた影響,さらにイエスと会ったことのある使徒たちとポーロの議論の中で,神の沈黙,イエスの復活などをどう扱うのか悩む人たち.永遠の問題だが,それなりの解答が与えられたような気がする.

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    2017年04月04日
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話

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    遠藤周作氏の本はいつも深く考えさせられる。
    キリスト教信者で小難しい本を書く。そんなイメージを持っている人も多いと思う。
    が、しかし。狐狸庵先生は違う。
    下ネタ好きで嘘つきなただのオジさんである。
    ただの嘘ではない。センスがいい。
    遠藤周作氏の偉大さは狐狸庵先生を読んでしても変わらない。

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    2017年04月01日
  • 留学

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    経験しているからなのかな、人の葛藤を描くのが上手いなあと思いました。昇進に悩む社会人とか勉学に励む学生とか、共感できる方は多いのではないかと思った。

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    2017年01月05日
  • 母なるもの

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    再評価されるべき逸材、遠藤周作

    遠藤周作は自身の信仰に疑問を持っていた。作家活動は自己肯定感を得るための試行錯誤である。その活動の一里塚たる作品が「母なるもの」ではなかろうか。隠れキリシタンの信仰は、本家バチカンから見たらはるかに程遠いもの。しかし、遠藤は「これで、いいのではなかろうか」と肯定感を見出した。隠れキリシタン信仰の神秘性と隠匿性をもって地域が結束していたをの確認したから。そこから、遠藤は自身の母親との関係にも思いを馳せる。
    目に見える成果や舌先三寸の刹那的芸当ばかり持て囃され、そうでなければバッサリ切り捨てられる昨今。遠藤周作のような、人間の弱さを学識と宗教観で試行錯誤して書きたてる作家はもっと再評価されても良

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    2016年12月03日
  • 狐狸庵閑話

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    古今百馬鹿、現代の快人物がお勧

    「古今百馬鹿」「現代の快人物」で筆者は一気に肩の力が抜けたのだろう。読んでいる方も登場人物のバカバカしくも愛嬌のあるキャラに笑わざるを得ない。
    「現代の快人物」は平成の世における「オタク」の原型たる人物が多数登場する。遠藤周作が愛した「決して世間的に成功しないが、愛嬌がある」人物たちは形を変えて生き延びていくのだろう。

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    2016年10月12日
  • ぐうたら好奇学 狐狸庵閑話

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    前半にいわゆる「下品」な話が多いですが、中~後半は控えめです。
    昔日の渋谷の姿が描かれていて、今の姿との差に驚きを感じます。

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    2016年09月25日
  • 死海のほとり

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    信仰を追い求めてエルサレムにやってきた小説家の私と学生時代の友人でエルサレムに住む戸田が、イエスのたどった道を辿りながらイエスを追いかけるという話。
    戸田は気が付いていたみたい。イエスはけっこう造られた虚像であること。
    でも、その方がより現実的で、人間的なのかもしれない。
    あまりにも無力で、そんな男が多くの人を愛した。
    一人一人の人生を横切って残した痕。それは消えない。
    これから先も私と戸田には今まで通りイエスは消えないだろう。

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    2016年09月19日
  • 聖書のなかの女性たち

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    遠藤周作作品を読むと、一気に人間の幅が広がる気がする。
    本題はもちろんのこと、聖書と関係ないが「ひよこ」という偏でも、非常に心とらわれた。「秋の日記」でも、著者の心に刻み込まれた、もうすぐ死期を迎える夫とその妻の手を握り合った姿。どんなに愛し合っていても、人は死から救い出すことはできない、という当たり前だけど受け入れるしかないつらい現実。そこから残されたものが救われるためのヒントやなにかが聖書にはあると思った。
    誰も人を裁き、軽蔑する権力などもたない。それと同時に、相手の全てを理解するというのもできないのだと、しみじみと痛感させられる。当たり前の事実なのだが、過ぎていく日常の中で、私たちは驕っ

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    2016年08月29日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    第一部の幕末・明治初期から時代は下り、第二部は第二次大戦の時代が舞台になっている。

    コルベ神父、キリスト教信仰における非戦の問題、神風特攻隊、長崎の原爆など、さまざまなエピソードが織り込まれている。

    長崎で一緒に遊んでいた3人の幼馴染。一人は信仰と戦争の問題に苦しみながらも特攻隊として戦死し、一人はその恋人として別離に苦しみ、一人はアメリカ兵として原爆投下の飛行機に乗っている、、、

    戦争の不条理をこれでもかと思い知らされる。

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    2016年08月16日
  • 彼の生きかた

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    読み終わったあとに、心に何かが残る。
    久々に、そういう本を読んだ。

    主人公の福本、朋子、加納、藤沢と
    大きく4人の生き様、生き方が描かれているが
    どの生き方に対しても、理解ができるし、
    身近なあり方として感じられ、
    自分の生き方と合わせて考えられるところが
    本作のすごいところなんだと思う。

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    2016年06月23日
  • 死海のほとり

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     死海のほとりでイエスの足跡を辿る現代の旅と、イエスが迫害されゴルゴダの丘で処刑されるまでの過去の物語を交差させながら、奇跡の人ではない新しいキリスト像を提示しています。

     弱者のそばに寄り添いともに苦しむことしかできなかったイエス、しかしそのことは常人にはできないことであり、苦しみを抱えた人たちにとって大きな慰めであったのは間違いないと思います。

     この小説は、遠藤氏ご自身が一生を掛けて答を求め続けた「信仰とは何か」という問いかけと氏が到達したそれへの答が示されているのだと思います。圧倒的な文章力できわめて構築性の高い物語が形作られています。

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    2020年02月05日
  • キリストの誕生

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    [その後の話]イエスの死に際して自らの弱さに苛まれたであろう彼の弟子たちは、何故にその後殉教をも恐れぬ熱心な信徒となったのか......。クリスチャンでもある著者が、回答定まらないその問いに答えようと、イエスの死後の弟子たちの歩みを再構成した作品です。著者は、本書と『イエスの生涯』を著したことで、さらなる思考が求められたと語る遠藤周作。


    『イエスの生涯』を事前に読んでいたからでしょうか、遠藤氏の考える弟子像というものがすっと頭に入ってきました。その像がいわゆる正統の教義との関係でどう考えられるかまでコメントできる見識がないのですが、遠藤氏自身の自画像が非常に深く弟子像に投影されているように

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    2015年12月23日
  • 新撰版 怪奇小説集 「恐」の巻

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    幽霊の正体見たり……的な話もあれば、心底ゾッとする話もある。
    こんなことが自分の身に起こったことがないだけに、ほんとかなぁ??と思うこともないではないが。
    真相を調べに行こう!と再び怪奇現象のあった場所に行くのが面白い。

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    2019年05月20日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    ネタバレ

    人生には何ひとつ無駄なものはない >>は、遠藤周作さんが残してくださった珠玉の言葉を、親しくされていた鈴木秀子さんが、選び取って編んだものだそうです。
    ≪人生というものがわからないから、われわれは生きて、そして人生とは何かということを、生きながら考えているのだと思います。≫ なるほど、どこまで行っても人生というものがわからないから、わからないのに死ぬわけにはいかないものね。だから生きているんだね。私は、もう57年も生きているのに、あいかわらずわからなくて、このようなタイトルの本があることを知って、内容が良いと聞くと手に取らずにはいられない。

    ≪60歳になる少し前ごろから私も自分の

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    2020年05月04日
  • 死海のほとり

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    [希求の末に]近くに赴いたついでにエルサレムに立ち寄った著者は、大学時代から聖書を研究していた戸田に案内を依頼する。キリスト教に対する熱度は往時の頃と比べて衰えながらも、イエスの足跡を必死に探す著者であったが、戸田は行く先々で皮肉な笑いとともにその思いを跳ね返してしまう......。エッセイ的記述に聖書の物語を挟み込んだ作品です。著者は、本書をしてもっとも「その人らしい」と言われる遠藤周作。


    遠藤氏が抱え込んでいた霧がかった心情を把握するために極めて適した一冊だと思います。個人的には遠藤氏はキリスト教の教え(特に無償の愛という点)そのものには共感を抱きつつも、現世に見られる数々の問題に対し

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    2015年09月11日
  • さらば、夏の光よ

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    微笑ましくもあり、あまりに哀しくもあり・・・
    喜怒哀楽のバランス・展開が実に絶妙です。
    プロローグから第一章への導入はとても印象的。

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    2015年08月14日
  • 彼の生きかた

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    ネタバレ

    10年以上前に1度読み、この本がきっかけで遠藤周作が好きになった。
    「うすよごれた、陰険な人間の世界」「純真無垢な動物たちの世界」
    この2つの世界を対比させたとき、確かに人間って醜いなあと思った。利益のために自然を破壊する行為、共存を唱えても、権威のためには、動物愛護などの崇高な言葉は引っさげてしまう。
    自分の私利私欲のために動物を殺す人間と、生存するために必要な殺生しかしない動物。
    なんだかやるせない。

    朋子の人間関係による心情の変化も、すごくうまくかけていると思う。「生きるって、時には周りを傷つけてしまう」相手を慮った言葉だけど、一平からしたら違うとらえ方をしている。
    結局、自分のことを

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    2015年05月16日