遠藤周作のレビュー一覧
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『海と毒薬』の続編です。
NSFMさんのレビューがきっかけでこの本を知り、ヒボさんに応援されながらこの本を読みました。お二人ともありがとうございました。
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戦後の日本の暗い部分にすっぽりと収まってひっそりと暮らす勝呂。戦犯として罪を償った後も医師を続けている彼は、フランス人のガストンから、ある老人の診察を頼まれます。癌の苦しみから老人を救うために勝呂が選択したことを、新聞記者の折戸は彼の過去と同様に追い詰めます。折戸の正義感は一種の暴力のよう -
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読者の私が高校生のときに、この本は絶対に読んでおくべき本だと言われた本です。当時の衝撃は、とてつもなくて言葉を失ったことを覚えています。少し前にNSFMさんのレビューを読んで、続編を読みたいと思いました。まずはこの本をもう一度読んでからと思い、再読しました。
新宿でひっそりと開業医をする勝呂。彼の過去へと話が進みます。戦時中、大学病院の研究生の時、空襲か病気でいずれ皆死ぬんだという希望のない日々を過ごします。そして彼が生かしたかった女性の死後、大学病院の勢力争いに巻き込まれ、アメリカの捕虜の生体実験に参加します···。
時代が起こした罪なのか、本当にそれだけなのか。平和な時代の感覚では考え -
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倫理観は、個人の中に生まれるものではなく、世間が作り出すものだと再認識した。それでも私は人が悪魔なのではなく、戦争が人を悪魔に変えてしまうだけと信じたい。
最初は利己的な戸田は純粋で不器用な勝呂のことを馬鹿にしてると思っていたが、生い立ちを知って見方が変わった。小説のセリフを用いるなら、勝呂にとってのおばちゃんのように、戸田にとっては勝呂が運命から自由にしてくれる神に見えていたんだと思う。それは、残された「良心」の部分であったに違いない。
後味の悪さが残る話だったが、読むことができてよかった。本書はあくまで創作なので「九州大学病院解剖事件」の経験者が書いた本も読み、もっと事実を確かめ -
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ネタバレ吃りのあるニホンザル研究者の話。
主人公一平は吃りのため弱気な性格。昔から動物に心惹かれ、恩師の言葉もあり、動物の研究者となる。
小学校からの幼馴染朋子に恋をするも、大学進学してから縁遠くなっていた。
ニホンザル研究者として猿の餌付けに従事するも、ホテル建設問題や新しく来た研究所長との関係悪化により退所。
その後別の山で研究を進めるも、以前の研究所でホテルを建設した加納専務の邪魔が入る。加納の秘書は朋子であった。
朋子は専務の部下である夫がいたが、途中で夫が飛行機事故により死亡。朋子と一平、加納との三角関係や、汚れた人間の世界と自然に生きる猿たちの世界が描かれる。
今回はキリストには触れられ -
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前回の聖書読書会でおススメされたので、有名な「沈黙」とあわせてバリューブックスさんでポチった。
実はわたしにとっては初の
遠藤周作作品。
聖書に興味を持つ前からいつか「沈黙」は読みたいと思っていたが、おススメしてくれた方が、
「それなら是非こちらの方から」と教えてくれたので、「深い河」から読み始めた。
小説の時代背景は1984年…なので、
少し古い時代ではあるが、
歴史ものというわけでもなくとっつきやすい。
バブル経済が始まる少し前の、日本の景気が上向きで、かと言って戦争の生々しい記憶も留めている世代がいる頃。
ちょうど今の時代から振り返ると、40年前、アジア太平洋戦争からは40年後の世 -
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遠藤周作が四つの福音書を引用し、解釈するイエス像。
人智を超越した・圧倒的な希望の象徴・神の子イエスではなく、人間イエス・同伴者イエス。
人間の苦しみに嘆き悲しみ、「愛」を持って寄り添おうとするイエスの姿が強調されている。
人間が一番辛いのは貧しさや病気ではなく、貧しさや病気による孤独や絶望。
人間に必要なのは「愛」であり、一時的な効果を産む「奇蹟」ではない…とイエスは苦悩する。
奇蹟は起こらず人々に失望され、やがて十字架に向かう、無残なイエス。
しかし、イエスはその死さえも理解していた、人間の苦しみを理解する為の「愛」によるものだった…。
本来の全能の救世主のイメージからかけ離れた、人 -
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全体的に暗めの色調で描かれていて
明るさをイメージするタイミングがなかった
佐伯彰一の解説を読むこと作者の伝えたいテーマがハッキリ分かった。
当時のことについて全く詳しくないけど
登場人物それぞれが秘めるココロの声や言動に
理解できるものもあった。
良い人でありたいっていう自分の理想とはまた別に一皮剥いたら別の自分もいる気がするのも理解できた。良心というのは地盤が緩んだ状態というのはブレブレになる。
登場人物がそれぞれが自分という人間に翻弄されているような感じが面白かった。
シンプルに話の流れが良くてめちゃくちゃ没入できたし、全体的に暗いイメージなのに「西陽が白い埃を浮かせながら誰もいない机や