遠藤周作のレビュー一覧

  • 海と毒薬
    人の良心とは何か…
    タイトルもシンプルですがとても深い
    色んな解釈が出来るとは思いますが、私は…

    広大な海に毒薬が流れ込んだ場合、それは海全体が汚染させられたとみるか、いや、汚染は広い海の一部分に過ぎないから目をつむっても大丈夫だろうとみるか…
    「海」は人のこころをさしているんじゃないかなと感じま...続きを読む
  • 沈黙
    神は何故沈黙か。愛、依存。
    胸が苦しくなる瞬間が多かった。
    何をもって神なのか。
    人間の執着に恐ろしさを感じた。
    そして遠藤周作の引き込まれる文章素晴らしい。
  • 新装版 海と毒薬
    あなたにとっての「良心」とはなにか。

    生体解剖がどれほどいけないことだったのか、私には分からない。
    ましてや戦時中で捕虜を生きたまま解剖するとは!という声が出版当時は聞こえてきそうだが、現代のわたしがこの本を読んだとしても、そのような感想は出てこなかった。
    現在でも病理解剖と言うのも行われているし...続きを読む
  • 沈黙
    現実におきる残酷さと沈黙する神の残酷さ、耐えることとは、弱い人とは、いろいろな価値観を投げつけてくる小説。
  • イエスの生涯
    人間は神の愛よりも奇跡や効果ばかりを求める。著者の言葉を借りるなら、私たちのほとんどは卑怯で弱虫だ。私にもイエス様の哀しげな顔が見える気がした
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    白眉はその構成、特に導入部と戸田の回想だろう。程度の差はあれど、戸田の青年期に似た経験がある自分が、これを読んでまたホッとするという最大の皮肉。
    神なき世界で、黒い海のうねりのある波に押し流されながら、われわれは自己を罰することはできるのだろうか
  • 白い人・黄色い人
    フランス人の主人公がナチのゲシュタポとなって旧友ジャックの拷問やマリー・テレーズの凌辱に絡んでいく。神のためと言いながら自己陶酔することを許さず、ひたすらに悪魔的な思想と行動、その後の疲労に支配される。
    斜視・すがめで幼い頃から「一生、女たちにもてないよ。お前は」と顔立ちの醜さを宣言された父の仕打ち...続きを読む
  • 私にとって神とは
    キリスト教とはこういうものという呪縛から解放され、自分の心と向き合わせてくれるお守りのような本の一つになりました。
  • 死海のほとり
    友人が、本書を読んだことをきっかけにカトリックの洗礼を受けたという話を聞いて読んでみた。聖書学者である友人とイスラエルを旅する「私」の旅日記風の物語と、福音書をいくつかの人物の視点からリライトしたような物語が交互に出てくる構成になっている。巻末の解説が著者と親交の深かった井上神父によるものであり、こ...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
     戦争末期に九州の大学附属病院で実際に行われた米軍捕虜の生体解剖事件を小説化し、新潮社文学賞を受賞した作品。
     その事件の当事者たちは、感情も何もないサイコパスのような人達ではなく、ごく一般的な感情を持ち得た日本人ということがわかる。ただその時代、その場所に生きていたがために、そうした残虐的な行為に...続きを読む
  • 海と毒薬
    現代ならあり得ないであろうことも、時代と環境が異なれば、倫理観、生死観、優先順位何もかもが違う。しかし、その時代においても人による部分もある。その時人間は、自分ならどうするのか?
    と思いながら読みました。
  • 海と毒薬
     日本は恥の文化、西洋は罪の文化。

     戦時中という日常とは異なった状況だから人体実験を行うことができたのか?
     違う。日本人には罪の意識が無いため、「世間が許してくれるなら」なんだってできる、という結論が本書には書いてあったと思う。
     だが、本当に日本人には罪の意識が無いのか?西洋のように絶対的な...続きを読む
  • 侍

    策士で出世欲をにも駆られたエスパーニャ人宣教師。その宣教師と共にノベスパニアへ旅立つ四人の伊達藩使者たち。
    宣教師と日本人も旅立つ目的は全く異なるもの。

    現世の利益のみにだけしか宗教心を持たず、無表情で寡黙、狡猾とも表現される日本人。
    侍とは、日本人とはそういう存在である事が時に哀れに表現されつつ...続きを読む
  • 新装版 海と毒薬
    ある町の怪しい医者、勝呂。彼が過去に関与した"捕虜に対する人体解剖"に関する人間の過去、命、倫理を問いかける。戦時中の命に関する考えの狂いや、人生観によって考えが変わる中で、神の概念の少ない日本人の特徴が描かれているのではないか。
  • 深い河 新装版
    最後の終わり方がちょっと気になった。そして最後の急展開にもびっくりした。けど、面白かった。それぞれの登場人物の過去の経験やなんのためにインドに行ったのかなどとても引き込まれる内容だった。
  • 海と毒薬
    もし日常の僅か先にある仄暗い道に足を踏み入れたとしたら?平成の平和な世に生まれた私には、作者の問いにわからないとしか答えられない
  • 海と毒薬
    夏なので。
    恥ずかしながら、はじめてこういう戦争に纏わる本を読んだ。
    すごく臨場感があって、描写の輪郭がはっきりしていて、ちゃんと気分が悪くなりました。

    解説引用
    全体として作者は罰を恐れながら罪を恐れない日本人の習性がどこに由来しているのか、を問いただすために、生体解剖という異常な事件を、一つの...続きを読む
  • 侍

    慶長遣欧使節の一員としてローマにわたった支倉常長をモデルとした小説です。

    宣教師のベラスコは、現世を超越したものへの関心をもたない日本人にキリスト教の信仰にみちびこうとする強い情熱をもっていました。同時に彼は、布教のためには手段をえらばない、策略家でもありました。そんな彼のもくろみが功を奏して、陸...続きを読む
  • 死海のほとり
    小説家である「私」を中心とする現代の話と、イエスの物語が交互に語られ、著者自身の信仰の核心にあるものがえがき出されている作品です。

    「私」は、大学時代からの知人であり現在は聖書学者である戸田の案内で、イェルサレムの街をめぐります。戸田はイエスについての史実を説明し、イェルサレムで語られるさまざまな...続きを読む
  • 生き上手 死に上手
    遠藤周作という人の魅力を知れるエッセイ集。新聞や雑誌に寄稿したエッセイが収録されている。
    キリスト教徒だから聖書のことばとかがたくさん出ているのかと思っていたら、仏教も学んでいて、むしろお坊さんの名言のほうがたくさん載っている。

    お茶に、将棋にと多趣味で交友関係も広くて、通算して3年の辛い入院生活...続きを読む