遠藤周作のレビュー一覧

  • 反逆(上)

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    ネタバレ

    己の力に寸分の疑いを持たず神をも恐れぬ信長への憎しみ、恐れ、コンプレックス、嫉妬。荒木村重、明智光秀、羽柴秀吉の心に揺らめく反逆の光。

    上巻は荒木村重が中心。遠藤周作の歴史小説は雰囲気が良くて好き。信長の存在が不気味で怖い。

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    2025年10月09日
  • 海と毒薬

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    勝呂は一番欲しかった普通の生活を得ることが出来なかった。特に言及はないが戸田も所謂、普通の生活は出来なかったのではないかと思う。どういう状況であれ、後の歴史が証明してくれることを信じて不本意なことはしないように生きたい。
    看護長と上田の対比については幻想を持つこととニヒリズムに支配されることは現実を見てないという点で同じだと思う。何事も距離感が大事。

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    2025年10月21日
  • 新装版 海と毒薬

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    大きな環境の津波に流されてしまう人々を観させられた。
    いわゆる良くない言葉が使われているけど雰囲気が出て良いな。

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    2025年10月07日
  • 彼の生きかた

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    ネタバレ

    吃りのあるニホンザル研究者の話。
    主人公一平は吃りのため弱気な性格。昔から動物に心惹かれ、恩師の言葉もあり、動物の研究者となる。
    小学校からの幼馴染朋子に恋をするも、大学進学してから縁遠くなっていた。
    ニホンザル研究者として猿の餌付けに従事するも、ホテル建設問題や新しく来た研究所長との関係悪化により退所。
    その後別の山で研究を進めるも、以前の研究所でホテルを建設した加納専務の邪魔が入る。加納の秘書は朋子であった。
    朋子は専務の部下である夫がいたが、途中で夫が飛行機事故により死亡。朋子と一平、加納との三角関係や、汚れた人間の世界と自然に生きる猿たちの世界が描かれる。

    今回はキリストには触れられ

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    2025年09月18日
  • 海と毒薬

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    日本人の精神性を追求する」といった解説もあるけれど、罪の意識や良心は国籍や宗教に規定されるだろうか。むしろ先天的な資質の影響が、環境や教育など後天的な影響より大きいと感じる。時代や国境を越えて読み継がれているのも納得の一冊。

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    2025年09月14日
  • 深い河 新装版

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    前回の聖書読書会でおススメされたので、有名な「沈黙」とあわせてバリューブックスさんでポチった。

    実はわたしにとっては初の
    遠藤周作作品。
    聖書に興味を持つ前からいつか「沈黙」は読みたいと思っていたが、おススメしてくれた方が、
    「それなら是非こちらの方から」と教えてくれたので、「深い河」から読み始めた。

    小説の時代背景は1984年…なので、
    少し古い時代ではあるが、
    歴史ものというわけでもなくとっつきやすい。

    バブル経済が始まる少し前の、日本の景気が上向きで、かと言って戦争の生々しい記憶も留めている世代がいる頃。
    ちょうど今の時代から振り返ると、40年前、アジア太平洋戦争からは40年後の世

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    2025年09月12日
  • イエスの生涯

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    遠藤周作が四つの福音書を引用し、解釈するイエス像。

    人智を超越した・圧倒的な希望の象徴・神の子イエスではなく、人間イエス・同伴者イエス。
    人間の苦しみに嘆き悲しみ、「愛」を持って寄り添おうとするイエスの姿が強調されている。
    人間が一番辛いのは貧しさや病気ではなく、貧しさや病気による孤独や絶望。
    人間に必要なのは「愛」であり、一時的な効果を産む「奇蹟」ではない…とイエスは苦悩する。
    奇蹟は起こらず人々に失望され、やがて十字架に向かう、無残なイエス。
    しかし、イエスはその死さえも理解していた、人間の苦しみを理解する為の「愛」によるものだった…。


    本来の全能の救世主のイメージからかけ離れた、人

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    2025年09月10日
  • 深い河 新装版

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    何年か前に買って、棚に眠っていた一冊。つまり、積読本。
    ここまで感想が書き辛くて、私にとって共感性も低い本だったとは思いもしなかった。書き出すほどに支離滅裂になりそうで、正直戸惑っている。それでも手探りしながら、書き終わりというゴールを目指そうとは思うけど。
    ちょうど、それぞれの目的を果たすため、インド行きを決行した登場人物たちみたいに。

    長年連れ添った妻を癌で亡くした磯辺。学生時代に弄んだ男の行方を追う美津子。動物とのふれあいを、唯一の拠り所とする沼田。「旧日本軍 史上最悪の作戦」と称されるインパール作戦で奇跡的に生還した木口。
    本書のテーマを一言で述べるとしたら、「信仰」になるだろう。登

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    2025年08月30日
  • 深い河 新装版

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    理路整然としている戦後の資本主義社会と、混沌としていて陰を残したインド社会との対比。
    そんなインドにおいて来るもの全てを拒まないガンジス川だからこそ、そこには神の力が宿る。

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    2025年08月26日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    適当に手にした小説だったが、名作が過ぎる。そう思って後を見ると2008年第92刷発行て。初版が1972年とあるので、やはり長年人々の心を惹きつけてきたのかしら。

    セックスをするためだけにミツに近づき一晩で棄てた男。なんのことはない、どこにでもあるありふれた一幕だと思う。でも読んでて苦しい。それは相手がミツだからだろう。
    私は、純朴ゆえ生きるのが下手なミツが愛おしい。そして歯痒い。
    ミツのような人間が近くにいたのなら、あるいは私の人生感も変わっていたに違いない。

    当時の時代背景などもあるが、フェミニスト系の人には受け入れ難いかもしれない。

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    2025年08月11日
  • 海と毒薬

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    ネタバレ

    人は、信仰を持たないと罪の意識も持てないのだろうか。
    信仰の有無とは違う、という感覚は覚えるけれど、それならばどうやって裁きを受け入れるのだろう。反省して罪を償おうと思えるのだろう。

    “信仰”で捉えるのも二元論的なのかなぁ。
    無理…と押し潰されてしまう勝呂も、良心の呵責を期待して果たせなかった戸田も、両方とも読んでいる自分から距離はありませんでした。
    上田看護婦すら、わからなくもない…という存在。
    特にこの3人の心情がひしひしと生々しく伝わってきます。
    そして、終わらない空襲と敗戦の予感の、疲労と諦念があれば、わたしも容易に傾いていきそうという怖さがあります。

    加えて、F県在住なので、移転

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    2025年07月30日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    大人のためのお伽話です。
    ガスさんに癒されました。
    これからは、悪い心を持った時は、心の中でガスさんが「ノン、ノン」と止めてくれるかもしれません。
    イヌさんの運命が悲しかったです。
    肺病の殺し屋が“遠藤”という名前だったのは、作者の意図を推測せずにいられないです。

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    2025年07月26日
  • 沈黙

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    キリスト教弾圧と信者と司教 昔の日本におけるキリスト教の弾圧。実際はもっと酷かったんだと思うし、宣教師たちもまさに命がけだったんだと思う。名作と言われるのが分かる。

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    2026年03月14日
  • 満潮の時刻

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    遠藤周作の作品をいくつか読んだ上で、この作品が完成度の高い作品とは思わなかったものの、病気を通じて人生の悲哀を感じるという感覚は、現状健康な自分は持ち合わせていないので良い読書体験。

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    2025年07月07日
  • 私にとって神とは

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    遠藤周作が語る、宗教とは、神とは、信仰とは、の話し。

    いちおう対談形式になってはいるが、質問者の質問はほとんど意味をなしておらず、雑で安易な質問ばかりしている印象でした。(架空の対談かもしれないが)
    おそらく初心者や無神論者に対する配慮として、簡単で専門的ではない質問にしているのだと思いますが、もう少し質の高い質問や議論があっても良かったかなと思いました。

    ただ、序盤は世俗的で浅めの思想で始まりますが、中盤から終盤にかけて少しずつ深くなっていく思考の流れが良かったです。

    本人も言っているとおり、2世信者として、意味もあまりわからずに幼少期に受洗しているので、西洋人に近い、生活に根付いた信

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    2025年06月24日
  • 深い河 新装版

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    ネタバレ

    善の中に悪があり、悪の中に善がある。
    東洋思想と西洋思想の違い。
    一神教と多神教の違い。
    普段、自発的に考えることのないテーマに目を向けさせてくれた作品。

    私は、シンプルに楽しく生きることを理想としてきたが、この本には、「深い河」に魂の救いを求める人々や、神に人生を捧げて「僕の人生は...これでいい」という大津が登場する。自分には無い価値観に触れて、心が揺さぶられた。

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    2025年06月21日
  • イエスの生涯

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    この本を読んで安心した。

    「超然」。キリスト教に限らず、宗教やスピリチュアル的なものに感じること。理解を阻むもの、受け入れがたい何かがある。理解を超えてしまっている。理解しようと努めるというよりも、そういうものであるというふうに落とし込む方がいいのかもしれない。この本を読む前まではそう思っていた。

    遠藤周作の描くイエスを読む。そうしたイメージからは程遠い悩む一人の人間がそこにはいた。人々から期待され、担がれても、自分という存在以上になれないと悩む一人の人間であった。

    弟子たちだってそうだ。一枚岩では決してない。今自分が信じているこのイエスを信じなくなることで、自分を自分たらしめている拠り

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    2025年06月21日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    大学生の吉岡が軽い気持ちで無垢な娘・森田ミツの体を奪い、棄てる。その後の人生を2人の視点から描いたストーリー。

    スール・山形の手紙の「もし神が私に1番、好きな人間はときかれたなら、私は、即座にこう答えるでしょう。ミッちゃんのような人と。」が印象的。

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    2025年06月20日
  • 深い河 新装版

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    遠藤周作の最晩年の作品らしい。ブックオクで目に留まり購入。情報無しになにげに読み始めたら止まらなかった。こちらは一気読み。
    インド観光ツアーに参加する人々の過去や事情から、生きる意味、神を信じるとは?転生などの深いテーマが描かれる。
    後半には混沌としたインドの空気が文字から溢れ、目の前に紅茶色の荘厳なガンジス河の風景が広がってくるから圧巻である。 
    聖なる大河に安らぎを求めて集まるヒンズー教徒達。心と身体を洗い清める者、死して流されるために河を目指して歩み続ける老人。遺体や遺灰を流す横で同時に沐浴が行われる。生と死に境目は無く、祈りが存在するのみ。
    キリスト教もヒンズー教も仏教も境目は無い。全

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    2025年06月14日
  • 彼の生きかた

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    一平ほど純粋じゃないけれど、器用に世渡りなんかもっての他、人並みになんとかやっていく(振り)で精一杯の私にはよく分かる部分が多かったです。その分、読んでいて加納や朋子の考えや行動からも、一平が軽んじられることがつらかったです。この生き方しかない、できないという人種もいるのです…。

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    2025年06月11日