遠藤周作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イエスの生涯に続いて刊行されました。
イエスからキリストという存在へ変わっていく弟子たちの心理などを本当に質の高い内容で描かれています。「僕は大説家ではなく小説家なんですよ」とエッセイで何度も著者は口にしていました。
それを決して忘れずに読んでいたものの、遠藤氏の文章はどうしても僕に夢をみさせてしまう。読者も多く、たくさんのレビューがあり、十人十色に評価をなさっていることでしょう。宗教と歴史と信仰の危ういバランスを絶妙にとりながら見事な結びまで持っていくその技量を楽しむ一冊として読んでもいいと思います。
キリスト教に関わっている方なら、是非そこに自分の思いも加えてみてください。 -
Posted by ブクログ
カテゴリ分け困った…。
最初フィクションにしたけど違うよね、たぶん。
遠藤周作を初めて読んだ本。
当時キリスト教に興味があって聖書読み始めたころ。
この本を読み終わって近くの教会(聖公会)に通い始めました。
自分が日本の作家読む気がしないのはやっぱ宗教的視点が欠けてるというか、べつに一神教じゃなくてもいいんだけど、何だろう、人間関係のゴタゴタとか恋愛だけじゃない、それを超えた視点とか、価値観とか世界観とかが自分にはどうしても必要だからです。
自分は幼稚園から中学までクラスのスケープゴートでいじめられたので、男性が怖くて(クラスの男子に殴られたりしていた)恋愛出来なかったし、友達も少ない(ゼロで -
Posted by ブクログ
信長は圧倒的な力で君臨している人物であり、その人物によって
葛藤や恐怖や懊悩を与えられている人々が描かれます。
その「人々」にあたるのは、荒木村重、高山右近、明智光秀、竹井藤蔵、
村重の妻”だし”、光秀の娘”さと”、などで、
彼らを主人公格に描いていきます。
しかし、この、信長と上記の人々の対立の構造は、
単純に”信長が圧倒時だから”、”信長が特殊だから”、
という理由で生まれ得ている構造ではないと思います。
誰しも、親だったり、上司だったり、あるいは親友だったり、
思い通りにならない人間関係の中で、
彼らと似たような思いを抱くことがあると思います。
歴史を題材に描かれていますが、ここに -
Posted by ブクログ
序盤、読み進めることに少し苦労した。何故ならば、主人公が中年以降の男性という設定であり、更に人生に多少の疲労感を持っていたり、どう頑張っても私の人生経験では想像してもし尽くせないほどの深みを秘めていたからだと考えられる。
日本の隠れ切支丹の「痛み」と「母なるものへの祈り」に触れて、隠れ切支丹の祈りを伝承するという精神的難しさについて想像が膨らんだ。また宗教問題から切り離して、「痛み」「母なるもの」に対する心情に個人的共感を少なからず感じた。
『沈黙』など他作品と関連する内容や、主人公描写が著者について、類似性を考えながら読み解くことも興味深かった。