遠藤周作のレビュー一覧

  • 海と毒薬

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    終戦直後の日本、東京。
    私は気胸治療を受けるために勝呂という陰気で無愛想な町医者の元を訪れる。
    治療は的確だが、どこかその「手」に冷たさと不気味さを感じるその医者は、戦中の大学病院で起こった生体解剖事件に関わっていた。

    3章仕立てで2、3章はその生体解剖事件に関わった勝呂、看護婦の上田ノブ、医局生の戸田それぞれの思惑、過去、悔恨などが綴られる。

    ・感想
    実際に起こった事件(相川事件)をもとに書かれた作品。
    現代では到底倫理的に受け入れられない言動が多々出てくる…けどこれがこの「時代」だったんだろうな。
    生命倫理、医療倫理…人の命が軽すぎた時代、簡単に失われる時代にあって「倫理」

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    2024年05月20日
  • 海と毒薬

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    「しぬことがきまっても、殺す権利はだれにもありませんよ」と言うヒルダさんの良心が信仰によって導かれているのに対し、手術の当事者は医学の進歩を建前とすることで自身の良心をねじ曲げ、残虐行為に及んだ。
    この違いは信仰神の有無なのだろうか。結局我々は、神の教えが無ければ都合良く良心の書き換えを行い、道徳に背いた行為に及ぶのだろうか。
    作品を通して、多神教である日本での幼少期における道徳教育は何よりも大切なのではないかと思った。自身のこれからの良心が相手の立場になって考えることに基づくものでありたいと強く思う。

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    2024年05月05日
  • 海と毒薬

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    ☆4.2

    なんとなくで手に取った本だったけど、こんなに心に残る時間になるとは思っていなかった。
    どんな年齢の時に読んだとしても、必ず読んで良かったと思うことだろう。
    続編があるとは知らなかったので、その続編『悲しみの歌』もきっと読もう。

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    2025年06月13日
  • 秋のカテドラル 遠藤周作初期短篇集

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    知り合いから聞いた話のような、フィクションかノンフィクションか曖昧で不思議な短編集。えぇ…て感じで終わる話もあれば、くすっとしてしまう話もある。旅をしていろんな人に出会ったような充実感がある。

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    2024年04月18日
  • 現代誘惑論 遠藤周作初期エッセイ

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    遠藤周作先生の初期のエッセイ。
    冒頭はこの本が書かれた当時の
    プレイ・ボーイとはどういう者か、
    それとドン・ファンそしてカサノバの違いについて。
    どれも、女性を誘惑する者であるが、
    遠藤先生はどれも情熱はあるかもしれないが
    愛を知らなかったと。

    私も結婚して10年以上たつので
    多くの人と同様に倦怠である。
    既に情熱はない。

    しかし、遠藤先生の言葉を借りるなら
    《二人が忍耐して、倦怠期や病気や失業や子供の入学、子供の卒業、その他もろもろの日常と人生の悲しみと悦びとを一緒にしながら(どこの他人が君とこれほど君の人生を共にしてくれるかね)二人の連帯を努力して続けていこうとするのが「愛」というのだ

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    2024年05月17日
  • 死海のほとり

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    私と戸田の巡礼の記録と、2000年前のイエスを取り巻く群像の一人ひとりの物語が交互に語られ、一度その人の人生を横切ったからには「永遠の同伴者」として共にいる惨めで貧しいイエス像を描き出す。
    神は清らかで威厳があり高く尊いもの、という一般的なイメージに対して、今回も遠藤周作が描くのは、無力で惨めで汚らしく、ぼろ切れのように棄てられるイエス。戸田が語るように、奇跡を期待する民衆に対して何もできず、その無力さに愛想を尽かされて皆に棄てられるのだが、一度関わった人は誰も彼を忘れられない=イエスは誰も見棄てない。
    弱くてずるい修道士のねずみはナチスの収容所で最後まで弱いまま、ただ最も歳若だった少年に自分

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    2024年03月06日
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

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    短編集なので、読み易い。
    「沈黙」など、これまでに読んだ著作を思い浮かべながら読み進めていたが、最後の作品に辿り着いたときに、この本は心に残るな、っと実感した。
    見つかった未発表原稿をこの1冊にまとめた編集部と表紙の選択、そして薦めてくれた読書会のメンバーに感謝と拍手です。

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    2024年03月05日
  • 新装版 海と毒薬

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    ・小説として面白い。文が上手い。惹きこまれる。長すぎずに、短く読めるのが良い
    ・解説者によると「日本人の良心はどこにあるのか」というのが遠藤周作の根源的テーマらしい。確かに、そのようなテーマを感じさせつつ、堅苦しすぎないストーリーがよかった。普通の人間が、どのような過程でおぞましい行為に手を染めるのかが理解できる。
     ・相当強い倫理観や信条でもない限り、人は組織のルールや価値観に沿って動く。所属する組織の価値観やテーマが邪悪であれば、誰でも法を犯す可能性がある

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    2024年01月01日
  • 現代誘惑論 遠藤周作初期エッセイ

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    若い頃の作品
    才能溢れる友人との交流
    母親がヴァイオリニストで止める母親に
    逆らってレッスンに挑むが三ヶ月で挫折
    結果的に小説家になった 笑える
    愛についてのエッセイだが
    ドンファンとプレイボーイについて
    面白かった
    ヨーロッパはジゴロという言葉もある
    でも筋金入りのいい男はいないな
    日本の文化には似合わないのかな

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    2023年12月29日
  • 侍

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    大事に少しずつ読んだ。
    フィクションとはいえ 悲しい 日本 いにしえの時代の黒歴史。
    なぜ日本は ラテンアメリカ諸国のように キリスト教 に征服されなかったのか ここに一つの答えがあるように思う。

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    2023年12月20日
  • 新装版 海と毒薬

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    倫理についての捉え方、命の価値や正義は、その時代に応じて大きく変わる。
    10年程前のアメリカでは、半数以上の人が、日本への原爆投下は正しかったと言った。だが、今では7割の人が、原爆投下は不必要であったと答えた。
    テロは神風と呼ばれ、特攻はテロと同列に語られることもでてきた。
    私たちは戦争のない国に生まれ、道徳というものを学んだから、この九大の事件を酷い話だと感じるが、例えば今、自国で戦争が始まったとして、敵国の捕虜が人体実験に使われようとしていると知ったとき、そのことに対し声を上げることは出来るのだろうか。同胞の仇を前にして、倫理を貫けるか。自分が勝呂の立場に立ったとき、恐れることは、人命を軽

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    2023年12月10日
  • 死について考える

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    またかけがえのない人が亡くなったときこれを読みたいです。仮にある人がまだこの世界にいても、いつか亡くなったときのことを想像するだけで今いる時間を大切にしようと思えます。

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    2023年12月08日
  • 夫婦の一日

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    作者のキリシタンとしての葛藤に苦しむ姿が描かれた「授賞式の夜」「日本の聖女」「夫婦の一日」。作者の中に渦巻く残酷さや人間臭さを書いた短編「ある通夜」「六十歳の男」。どれもリアルで生々しく、非常に興味深い内容でした。

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    2023年11月14日
  • イエスの生涯

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    愛されないもの悲しいもの、救われぬものが必要なものは「奇跡」ではなく「愛」であり「寄り添い」である。

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    2023年11月09日
  • 新装版 海と毒薬

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    ネタバレ

    あなたにとっての「良心」とはなにか。

    生体解剖がどれほどいけないことだったのか、私には分からない。
    ましてや戦時中で捕虜を生きたまま解剖するとは!という声が出版当時は聞こえてきそうだが、現代のわたしがこの本を読んだとしても、そのような感想は出てこなかった。
    現在でも病理解剖と言うのも行われているし。
    生きたまま行うのはうわ、っと思ったが麻酔はかけられていたし、描写であったようにどうせ捕虜として戦争で死ぬならば今後の生きる人のためになるならいいんではないか?っという様なことに納得してしまう自分が嫌になった。

    なにか、自分が正しいと心を律するために誤魔化すような能力だけ秀でてしまい本当に考えな

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    2023年10月25日
  • イエスの生涯

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    人間は神の愛よりも奇跡や効果ばかりを求める。著者の言葉を借りるなら、私たちのほとんどは卑怯で弱虫だ。私にもイエス様の哀しげな顔が見える気がした

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    2023年10月19日
  • 白い人・黄色い人

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    フランス人の主人公がナチのゲシュタポとなって旧友ジャックの拷問やマリー・テレーズの凌辱に絡んでいく。神のためと言いながら自己陶酔することを許さず、ひたすらに悪魔的な思想と行動、その後の疲労に支配される。
    斜視・すがめで幼い頃から「一生、女たちにもてないよ。お前は」と顔立ちの醜さを宣言された父の仕打ちも影響している。クリスチャン遠藤周作の芥川賞作品、読み応えあったが、圧倒的な暴力に清々しさはない。
    最後のマリー・テレーズの歌は何を伝えたかったのか。
    薔薇のはなは、若いうち
    つまねば
    しぼみ、色、あせる

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    2023年09月17日
  • 私にとって神とは

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    キリスト教とはこういうものという呪縛から解放され、自分の心と向き合わせてくれるお守りのような本の一つになりました。

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    2023年09月11日
  • 死海のほとり

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    友人が、本書を読んだことをきっかけにカトリックの洗礼を受けたという話を聞いて読んでみた。聖書学者である友人とイスラエルを旅する「私」の旅日記風の物語と、福音書をいくつかの人物の視点からリライトしたような物語が交互に出てくる構成になっている。巻末の解説が著者と親交の深かった井上神父によるものであり、これも必読と言えると思う。

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    2023年08月23日
  • 侍

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    策士で出世欲をにも駆られたエスパーニャ人宣教師。その宣教師と共にノベスパニアへ旅立つ四人の伊達藩使者たち。
    宣教師と日本人も旅立つ目的は全く異なるもの。

    現世の利益のみにだけしか宗教心を持たず、無表情で寡黙、狡猾とも表現される日本人。
    侍とは、日本人とはそういう存在である事が時に哀れに表現されつつも、例え袂を分かつ仲間でさえもその強さに魅了されてしまう。

    『沈黙』に続き手にした作品。
    宗教とは?信じるものとは?そもそも信じるものが現実世界に必要なのか?存在するのか?
    筆者の狙いは別としても、考えずにはいられない謎が浪漫を導く一冊。

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    2023年08月13日