遠藤周作のレビュー一覧
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某所読書会課題図書:明治維新直前の長崎で、当時禁制の切支丹たちが体制の惨い仕打ちに耐え忍んでいく壮絶な物語だが、キクの生き方を中心に当時の農民の生活、都市に住む人々の暮らしなどをリアルに描いており、非常に楽しめた.プジジャン神父が隠れ切支丹を探す過程で当時の長崎の日常が克明に描写されており面白かった.切支丹への拷問は卑劣なもので読んでいてあまり気分は良くなかったが、それに耐えて信仰を守る信念は素晴らしいと感じた.役人たちの行動も容赦ないもので、特に伊藤清左衛門のそれは見苦しいものだったが、最後の場面での告白は小説として最高のエンディングだと思った.
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「海と毒薬」の30年後を描いた後日談
以下、公式のあらすじ
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生きることの悲しみ。我々の生に内在する本質的な悲しみに向けられる眼差し。
『海と毒薬』から二十年後に書かれた「後日譚」。
米兵捕虜の生体解剖事件で戦犯となった過去を持つ中年の開業医と、正義の旗印をかかげて彼を追いつめる若い新聞記者。表と裏のまったく違うエセ文化人や、無気力なぐうたら学生。そして、愛することしか知らない無類のお人好しガストン……華やかな大都会、東京新宿で人々は輪舞のようにからみ合う。
――人間の弱さと悲しみを見つめ、荒涼とした現代に優しく生きるとは何かを問う。
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Posted by ブクログ
この小説に描かれているレベルの悲しみを、噛み締めることができるほどの経験が、まだできていない。
矢野教授のように、自分が偽善的だと反省することもなく、周りに偉そうにして生きている人間もいるし、折戸新聞記者のように、正義を振り回して人を不幸にする人もいて、世の中は正しいとか正しくないとかで決めつけられないのに、自分は同じような振る舞いをしていないか、考える。
今の時代は、新聞記事だけではなく、SNSで、正義感たっぷりに誹謗中傷している人がたくさんいる。
人が人を裁くということが、無くなればいいのだけれど、やっぱりそれが完全に無くなると社会が成り立たないのかな。
人生は悲しみに満ちているけど、最後 -
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ネタバレ尊敬する人が遠藤周作さんの本がお好きとのことで読んでみました。
戦争時の生体解剖に関わった人の話。
実際に起こった事件から、少し内容等変えて書かれているそうですが(解説で知りました)
本当に起こっているかのような表現に、ドキドキハラハラしながら読みました。
途中良心が痛みすぎてしんどくてなかなか読み進められないところがありましたが、勝呂さん、戸田さんそれぞれの心境がよく書かれていて、私は勝呂さんの方にとても感情移入しましたが、戸田さんのような人も中にはいるのだなぁと思いました。
勝呂さんもこのようなご経験があったから、冒頭のような生活をしていたのか…などと後でつながりました。
戦争時の心理状態 -
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ネタバレ【夫婦の一日】
夫婦揃ってキリスト教徒だが、妻が夫の身を案じるあまり占いに頼って言われたことを実行しようとする。
【授賞式の夜】
キリストの教えを守る模範的教徒(?)が実は教えを破り滅茶苦茶にしたいという願望を密かに持ち続け、よく暗示的な夢を見る程追い詰められている話。
【ある通夜】
敬虔なキリスト教徒が、見た目は自分と瓜二つだがダークな従兄弟に、心の底に眠る欲望を刺激されて葛藤する話。
【六十歳の男】
肉体の衰えと死に怯える男が、女子高生の生命力を目の前にして欲望を感じる。
【日本の聖女】
「沈黙」に通ずる、中世日本のキリスト教観の話。日本人は十字架を下ろすために解脱する。キリストは