遠藤周作のレビュー一覧

  • 反逆(上)

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     鉄の首枷が面白かったので、メルカリで購入して読みました。かなり黄ばんだ本だったので新品を買うべきだったと後悔した。遠藤周作の歴史本は面白いことがわかった。というのも、宗教者としての見方から見ているので、事実の羅列にならない。
     たとえば信長の残虐さを擁護していないところが良いと思いました。

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    2021年08月07日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    相手の心を動かす手紙はどう書くのか、ユーモアを交えながら講義形式で説明する。手紙の書き方だけでなく、人付き合いでの普遍的な大切さが書かれていて、読んで肯くことばかりでした。

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    2021年08月05日
  • 侍

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    以前、映画が公開された事もあり沈黙を読んだ。切支丹禁制の中の重い考えさせる話だった。この侍という本は、キリスト教から行き着いたのではなく、メキシコ、バチカンまでの航海の方からたどり着いた。この本の解説によると支倉使節団については資料が少ないらしい。支倉が書いた日記も処分されてしまったらしい。もったいない。使節団として送り出されたのに状況が変わり、帰ってからの不遇。現代のサラリーマン社会にも通じるな。可哀想。ここでも沈黙同様、運命に翻弄されるキリスト教徒の信仰についての苦悩が語られる。航海の記録というより、こうした神をどう理解するかというところに主眼が置かれている。考えさせられる一冊。しかしこの

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    2021年08月04日
  • 死について考える

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    「死について考える」なんていうタイトルなので、死ぬことを哲学するような内容の本かと思うけれど、
    それよりは少し肩の力の抜けた、老年を迎えた作者が死や歳を取ることについて思うことを書いたエッセイである。


    カトリック信者の著者による本なのでところどころキリスト教について触れているところがあり、そうは言えども日本人でもあるわけなので、西洋と日本の死生観の違い、その辺を本人の中でどう折り合いをつけているのかなどが面白い。
    どちらかと言えばキリスト教から見た死と、日本人にとっての死との共通点を見出そうとしている感じである。ただ、カトリックと日本古来の信仰とは比較的近く、仏教(主に禅)はやや離れている

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    2021年07月27日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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     遠藤周作の書く女性は、いつも正直でひたむきだ。そしてほんとの恋というテーマ話語っている。私は出来なかった。それは宗教ほども強い信念がなかったからだ。

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    2021年07月10日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    困っている人を見ると助けずにはいられないミツと、自分の幸福のためなら他人を利用することを厭わない吉岡の視点が双方向から描かれていて面白かった。
    ぼくは完全に吉岡側の人間だけど、ミツのような人に憧れを抱くこともある。ミツは修道女や患者にとって忘れられることがないと思う。

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    2021年07月09日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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     遠藤周作の本を読むといつもキリスト教の惨さを思う。どんなに祈ろうと、どんなに善行を積もうと、神は報いてくれない。それでもキリスト教信者は、神を信じ神に祈る。
     多神教徒なら都合のいい時に都合のいい神様に神頼みをするのに…
    でもだからこそ、心に滲みるのが遠藤周作の小説である。キクのような生き方こそ神様だよね。私は伊藤だ、熊蔵だよなぁって思いました。
     女の一生2部はないのかなぁ

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    2021年07月04日
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    性的なことから向き合う。
    執筆された時代だと、特にタブーとされてたことかもしれないけど、そういうところから目を背けない。
    恋愛とは何か、迷ったらまた読みたい。

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    2021年06月07日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    "正義"とはなんだろう・・・?

    言論の自由が保障されていて、何を考えていても、誰かに処罰されることなどない世界。一方で、世間の考えに反する意見を持つ者は、暴力をふるわれ、白い目を向けられる世界。

    両者は同じ世界でも、そこで発言することの重みは違うと思う。殴られたり、家族に危害を加えられたり、職を失う可能性があったりすることがある場所で、その一線を踏み越えてはいけないと抵抗できる人はどれだけいるのだろう・・・。

    「そんなこと、普通だったらしない。」口で言うのは簡単。ましてや、その状況にいなかった人ならなおさら。

    同じ命を奪うことに対して、葛藤し、背負った重さを胸に秘め

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    2021年06月06日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    ネタバレ

     コルベ神父がアウシュビッツで同じ班だった妻子ある父親の身代わりとして餓死の刑を受けるという行動が「無償の愛」だと思った。
     女の一生〈1部〉キクの場合でも無償の愛について考えたけど、今回は自分が愛する人(家族や友人や恋人)のためではなく、見ず知らず,ただアウシュビッツでたまたま同じ班だった人の身代わりとして死ぬという行為、これこそが全く見返りを求めない愛だと思った。
     最後に、この小説でコルベ神父が実在の人物であることを知って更に感動した。この方を知ることができて良かったと思う。

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    2021年05月07日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    ■美しい魂が宿す悲しい運命が切ない。■

    疑うことを知らず、馬鹿がつくほど正直でお人好し、母性の塊のような女ミツ。彼女は誰かの不幸せが自分のことのように悲しく、自分を犠牲にしてまで助けてしまう。彼女はその美徳ゆえの悲しい性を背負って生きていくしかないのか。

    一方の吉岡は、勉強して大学に入り、背伸びしてちょっと世間を知ったつもりの男子学生。若者にありがちな見栄、傲慢さ、無責任さ、そして抑えがたい性欲を持つ。根っからの悪人というわけではない。
    誰しも(もちろん僕にも)思い出すのも恥ずかしくなるようなほろ苦い経験や深い悔恨がある。若気の至りってやつだ。

    吉岡はミツの性格を利用し、遊んだ後はボロ雑

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    2021年04月23日
  • 哀歌

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    ネタバレ

    病気、死、基督教、切支丹。
    名作長篇に繋がる短篇がまとめられていて、短くとも真髄に触れられる濃い内容。
    神の存在の描かれ方が印象に強い。生きている動物や人間に神の存在を見ているのが、自分の中にない感覚だった。
    人間の罪深さや弱さと対峙するのは心を抉るように辛いが、目を背けずに知りたいという欲求が勝る。

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    2021年04月19日
  • 彼の生きかた

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    著者のイメージはテレビで、ユーモアあふれる会話をする作家さんと言うものでした。間違いなく著者は日本の文壇で名前を残している方だと思います。ただ残念ながら、後世に読み継がれていくのかと思うと不安になります。私の杞憂かもしれませんが、「海と毒薬」「沈黙」「深い河」など。感銘を受けた作品が沢山あります。今回読んだ作品は彼の代表作とまでは言えない作品かもしれませんが、面白く読めました。著者の弱い立場の人に寄り添う姿勢が読み取れます。主人公の学歴に対するコンプレックスなどは著者に通じるものがあるのではないかと勝手に思っています。今度は、著者のエッセイを読んでみようと思います。

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    2021年03月09日
  • イエスの生涯

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    遠藤周作による聖書の解釈、キリスト教観がわかりやすく書かれた1冊。遠藤周作作品を読むためのバイブル。この作品を読んでから別の作品を読むとより一層楽しめると思う。

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    2021年08月02日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    昔のエリート――というほどではないが、二流三流とはいえ大学出の――男が、過去に残酷にやり棄てた女に対する懺悔や言い訳の入り混じった告白をする話かな・・・と思いきや、まあそうといえばそうだけど(いや懺悔はしてないな)、やはり遠藤周作だし、神の愛まで話は至った。

    田舎出の、愛情にも運にも恵まれなかった森田ミツという女性が、タイトルでいう「棄てられた」女なのだが、彼女が、人の苦しみを自分の苦しみと思い人のために尽くさずにはいられない人間で、ある価値観ではこれを「お人よしで損ばかりしている愚鈍なやつ」ととらえることもできるが、この本のテーマとしては彼女こそが神のいうところの「幼子のように素直に愛の行

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    2021年01月10日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    マリー・アントワネットの生涯、とっても気になる。
    マルグリッドの登場とか、(たぶん)創作の部分はあるものの読み応え十分。

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    2021年01月08日
  • 白い人・黄色い人

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    教会も罪の苦しみも、救済の願望も、私たち白人が人間の条件として考えた悉くに無関心、無感覚にあいまいなままで生きられるのだった。これはどうしたことなのだ。これはどうしたことなのだ。

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    2020年12月13日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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     心の込められた手紙を書くには『読む人の身になって』書くと良いが、【どのようにして】という部分を、例題を絡めて綴られている。
     手紙について2割、恋文に5割、お見舞い・お悔やみに2割、他1割といったバランスで、主にラブレターに関してだが、要領は他の内容でも使うことの出来るものだ。
     少し古い価値観も見られるが、家族へしっかりとした手紙を書きたいと考えていた身としては、概ね参考になった。

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    2020年10月10日
  • 満潮の時刻

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    静かな気持ちになりました。
    静かに静かに進みながらも、気づけば最高潮に。まさに満ち潮のよう。感情の大波が訪れていました。

    生きることを見つめていく明石の、たった一人と九官鳥一話の深夜の対話。溢れる彼の涙。
    明石の心を捉えた、病室の夫婦。手を握り合った2人の情景が忘れられない。
    良書でした。

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    2020年09月13日
  • 生き上手 死に上手

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    延命医学に対する疑問は共感できる。
    ただ、自分が当事者になったとき、特に延命対象が自分自身ではなく、親や兄弟、子供が対象になったとき、「延命不要」と言えるか…。私は「命がある」ということに拘り、そこに望みを見出だしてしまうと思う。

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    2020年08月12日