遠藤周作のレビュー一覧
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1960年代前後に発表された短編14本を収録。
遠藤氏がこの後も書き続けたテーマの、「遠藤周作らしい」作品群と言える。
子供の頃を過ごした大連での思い出、女性というものの描写、他人には計り知れない人間の心の闇。深い苦しみ。
探偵小説読みすぎ?な女子学生が遭遇した事件。
女優さんがお好きな一面と、鼻の下伸ばした男のコミカルな話。
道を外した宗教者たちの人生。
フランスへの留学、異国での旅愁、リヨンの街のイメージの暗さ。
信仰の悩みの深さなど。
信仰に関しては汲み取れない部分もあり、解説のお世話になった。
風景の描写が美しく、また、通信手段の限られた時代が舞台なので、人づてに手紙を渡すという行 -
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ネタバレ「あなたは――ご自分の為さっていることが、心にお辛いのですか? 死ぬまであなたのことを祈ります。ご自分に絶望なさらないように」コルベ神父の言葉が残る。そして、知る。これは、実話だったのだと。
「愛がここにないのならば、愛を作らねば」私たちは、この言葉を忘れてはいけない。神父の生き様を忘れてはいけない、と。
キリスト教は、何故か、加害者(悩める迫害者?)に寄り添うシーンが多いような気がする。弱者にではなく。
コルベ神父の印象が大きすぎて、サチ子を忘れがちです。しかし、時代は、学徒出陣から特攻、そして、昭和二十年八月九日午前十一時二分へと進んでいきます。
誰にも止められなかった。しかし、その記 -
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随時集は短文の集まりでも、その作家なり人となりがにじみでるのだけれど、この集はちゃんと人生論になって、上手く一冊の本にまとめられている。作家があちらこちらにお書きになるとき、そうしようとてその意識がおありだったのかも。
「老年というのはふしぎなもので若い折の肉体や壮年時代の知性はたしかにおとろえていくが、ある種の触覚・感覚はとぎすまされていく。そのとぎすまされていく間隔をシュタイナーは次なる世界への媒介感覚といった。」
氏60代ころの文だけど、わたしの年齢でちょうどいい、よくわかる。
としをとるほど見えてくる、もう一つの世界への旅立ちの準備。
「自分の救いは自分のなかにある」
「余白 -
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以前、映画が公開された事もあり沈黙を読んだ。切支丹禁制の中の重い考えさせる話だった。この侍という本は、キリスト教から行き着いたのではなく、メキシコ、バチカンまでの航海の方からたどり着いた。この本の解説によると支倉使節団については資料が少ないらしい。支倉が書いた日記も処分されてしまったらしい。もったいない。使節団として送り出されたのに状況が変わり、帰ってからの不遇。現代のサラリーマン社会にも通じるな。可哀想。ここでも沈黙同様、運命に翻弄されるキリスト教徒の信仰についての苦悩が語られる。航海の記録というより、こうした神をどう理解するかというところに主眼が置かれている。考えさせられる一冊。しかしこの
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「死について考える」なんていうタイトルなので、死ぬことを哲学するような内容の本かと思うけれど、
それよりは少し肩の力の抜けた、老年を迎えた作者が死や歳を取ることについて思うことを書いたエッセイである。
カトリック信者の著者による本なのでところどころキリスト教について触れているところがあり、そうは言えども日本人でもあるわけなので、西洋と日本の死生観の違い、その辺を本人の中でどう折り合いをつけているのかなどが面白い。
どちらかと言えばキリスト教から見た死と、日本人にとっての死との共通点を見出そうとしている感じである。ただ、カトリックと日本古来の信仰とは比較的近く、仏教(主に禅)はやや離れている