あらすじ
『沈黙』から『深い河』にいたる代表的純文学長篇小説の源泉ともいえる短篇の数々――遠藤周作には、代表的長篇小説が多くあるが、それぞれの長篇には、源泉となる短篇作品がある。その遠藤文学の核となる13の名短篇を集めた。「シラノ・ド・ベルジュラック」「パロディ」「イヤな奴」「あまりに碧い空」「その前日」「四十歳の男」「影法師」「」「母なるもの」「巡礼」「犀鳥」……遠藤周作の文学・人生・宗教観がすべてわかる短篇集。
※本書は、『遠藤周作文学全集 第6~8巻』(1999年10~12月 新潮社刊)を底本としました。また『天国のいねむり男』は全集・文庫など未収録作品です。
感情タグBEST3
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ほんとは「その夜のコニャック」遠藤周作作品。
星新一さんを続けて読んだ後の読書です。この短編集の第一作目を読んで、やっぱり星新一さん面白いなぁ…などと思っていたらどっこい遠藤さんの作品でした。ブラックさ加減がほどほどでなんだか似ているように思いました。
星新一さんは宇宙からの来訪者、遠藤さんはあちらの国からの来訪者をわたしたちに紹介してくれました。
Posted by ブクログ
シラノ・ド・ベルジュラック、パロディ、イヤな奴、あまりに蒼い空、その前日、40歳の男、影法師、母なるもの、巡礼、犀鳥、夫婦の一日、授賞式の夜、天国のいねむり男、以上13の名作短編と加藤宗哉による解説と充実の年譜。
久しぶりの遠藤周作に圧倒されたのは、私自身、人生の深み、親子や夫婦の情、生きる苦しさと喜び、人間の弱さとたくましさ‥のようなものが少しは身にしみるような年になってきたということなのだろうか。
『沈黙』が映画化されるとのことだし、次はじっくりと長編を読み直そうと思う。
Posted by ブクログ
一貫して同じ主題の短編小説が続く。
同じところを掘り続け、深く深くなっていくのに、掘るのをやめない。
「海と毒薬」をもう一度読み返したくなった。
Posted by ブクログ
自分の中で、文学の匂いがする作家。人間の醜さとか愚かさを知っている作家。読んでいて、自分に当てはめて心がしんどくなる。でも、向き合うことの大切さも同時に感じる。
Posted by ブクログ
シラノ•ド•ベルジュラック、パロディ
イヤな奴、あまりに碧い空、その前日
四十歳の男、影法師、母なるもの
巡礼、犀鳥、夫婦の一日
授賞式の夜、天国のいねむり男
「シラノ•ド•ベルジュラック」
「文学とは結局、修辞学(レトリック)だ」と、言い切ることの、裏に含まれた深い絶望に触れる。
いかに美しく飾ろうと、生きることは恥や醜さと無縁ではいられない。
いや、だからこそ、美しく在ろうとするのか、見出そうとするのか。それもまた、分かる気がする。
「イヤな奴」「母なるもの」「巡礼」
自分の内にある、汚れを憎む気持ち、一方で汚れに惹かれる気持ち。
そもそも、汚れていると見なすことの傲慢。
信仰という世界を対象化しながら、神の世界を願った、現実に喘ぐ人々を丁寧に見つめているように感じた。
「夫婦の一日」
次々に悪いことが起きる家庭で、妻が頼りにしたのは占い師だった。
鳥取に行って欲しいと頼む妻に、夫は辟易する。
信じるとはそういうことじゃない、付き合えばまた信じてしまうに決まっている。
けれでも、一緒に鳥取に行き、妻の奇行に付き合わされながら、最後に見せたのは微笑だった。
神様でなくとも、何かを頼りにし、それが支えになることはある。
自分の気持ちが安らぐためのお守りは、正しいとか偽物だとか、本当は決められないのだと思う。
その世界がいかに異端であっても。