遠藤周作のレビュー一覧

  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)
    短編集なので、読み易い。
    「沈黙」など、これまでに読んだ著作を思い浮かべながら読み進めていたが、最後の作品に辿り着いたときに、この本は心に残るな、っと実感した。
    見つかった未発表原稿をこの1冊にまとめた編集部と表紙の選択、そして薦めてくれた読書会のメンバーに感謝と拍手です。
  • 深い河 新装版
    1.著者;遠藤氏は小説家。12歳の時に伯母の影響でカトリック協会で受洗。日本の風土とキリスト教の対峙をテーマに、神や人種の問題を書き、高い評価を受けた。「白い人」で芥川賞、「海と毒薬」で新潮文学賞・毎日出版文化賞、「沈黙」で谷崎潤一郎賞・・等を受賞。「狐狸庵山人」の雅号で軽妙洒脱なエッセイも多数執筆...続きを読む
  • 沈黙
    宗教小説

    救いを求めて宗教を信仰するのに、殉教などがあるのはどうなのだろうと思った。強者と弱者における、強さと弱さとは何なのだろうか。
  • 沈黙
    初出1966年。自分が生まれる前。
    それでも堅苦しさを感じさせず、暗くつらい物語だったけど挫けず読み切った。自分を褒めたい。
    ただ最終章は一転、書簡のみの記述になる。「〜〜候」「〜候し〜候ありて〜申し候」と候100回くらい言われもうどんだけやねんとツッコミ入れたくなる。どうやら後日談のようで、主人公...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    11冊目『海と毒薬』(遠藤周作 著、1960年7月、2003年4月 改版、新潮社)
    太平洋戦争中に起きた戦争犯罪「九州大学生体解剖事件」を題材にした名著。
    戦争に歪められる医師の姿が描かれるが、本作が追及しているのは現代にも通じる人間の本質。出世欲や絶望、孤独、嫉妬、傲慢、恋慕、そのような欲望や感情...続きを読む
  • 沈黙
    信仰の脆さと縋り
    沈黙という概念は倫理的に考えてはいけないと今まで思っていたけど、そういう訳ではないのか(?)
    スイッチングの描写が少し物足りなくは感じた.
    大審問官をより読みたくなった..(あの..)
  • 深い河 新装版
    自分の心に残る痕跡をそれぞれの形で昇華したくて、運命的にどこかに導かれる経験は共感ができる。

    自分にとってその場所はどこだろうか
  • 海と毒薬
    中古で買って期待してなかったが面白かった。実話を元にしている点、福岡の話である点が地名などもわかり面白い。
  • 新装版 海と毒薬
    ・小説として面白い。文が上手い。惹きこまれる。長すぎずに、短く読めるのが良い
    ・解説者によると「日本人の良心はどこにあるのか」というのが遠藤周作の根源的テーマらしい。確かに、そのようなテーマを感じさせつつ、堅苦しすぎないストーリーがよかった。普通の人間が、どのような過程でおぞましい行為に手を染めるの...続きを読む
  • 現代誘惑論 遠藤周作初期エッセイ
    若い頃の作品
    才能溢れる友人との交流
    母親がヴァイオリニストで止める母親に
    逆らってレッスンに挑むが三ヶ月で挫折
    結果的に小説家になった 笑える
    愛についてのエッセイだが
    ドンファンとプレイボーイについて
    面白かった
    ヨーロッパはジゴロという言葉もある
    でも筋金入りのいい男はいないな
    日本の文...続きを読む
  • 深い河 新装版
    リーインカーネーションは実際有り得ることなのか。幼い頃から、ずっと考えてきた。死んだらどうなるのか、無なのか?
    それとも魂は7日刻みで他の生命として宿るのか?本当にそうだったら良いなと願う。今作は死生観、転生、宗教とテーマがあまりにデカく、重たい内容かなと思ったが筆者の文才と筆力で読ませます。
    一流...続きを読む
  • 侍

    大事に少しずつ読んだ。
    フィクションとはいえ 悲しい 日本 いにしえの時代の黒歴史。
    なぜ日本は ラテンアメリカ諸国のように キリスト教 に征服されなかったのか ここに一つの答えがあるように思う。
  • 海と毒薬
    初遠藤周作。すごい本だった。
    戦時下という特殊な状況において行われた人体実験。けれど関係者各々の胸中にはもともと別々の理由で暗い諦めと空虚があった。彼らの心情が滔々と語られていて、こっちの胸も暗く重く塞いでくる。特に戸田の章で彼のよどんだ目が自分に向けられたとき、思わず本を持つ手が震えました。自分は...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    海と毒薬。この本が課題読書だと知り合いが話していたので興味があり、読んでみたのですが、罪と罰、日本人とは何か。
    戦争中はこんなにも人を変えてしまうのか。

    という強い衝撃を受けました。
    また、実際の事件があった場所がとても身近な場所であったため、改めて様々なことを考えさせられる1冊となりました。
  • 新装版 海と毒薬
    倫理についての捉え方、命の価値や正義は、その時代に応じて大きく変わる。
    10年程前のアメリカでは、半数以上の人が、日本への原爆投下は正しかったと言った。だが、今では7割の人が、原爆投下は不必要であったと答えた。
    テロは神風と呼ばれ、特攻はテロと同列に語られることもでてきた。
    私たちは戦争のない国に生...続きを読む
  • 沈黙
    救いであるはずの信仰が人を殺すという不条理に直面したとき、
    神び存在という絶対的な前提への疑念が信仰自体を抜け殻にしてしまった瞬間の虚しさ、
    また神の存在を是とした場合の沈黙に対する叫び、
    極限の状況で正統でない新たなキリスト像を見出した結果の孤独感、
    それらが無信仰の私にも重く響いてきた。
    ロドリ...続きを読む
  • 死について考える
    またかけがえのない人が亡くなったときこれを読みたいです。仮にある人がまだこの世界にいても、いつか亡くなったときのことを想像するだけで今いる時間を大切にしようと思えます。
  • 沈黙
    宗教って生きる術というか、辛い辛いって考えてるよりはよすががあった方がってことなのかなとぼんやり思っていたが、そのために死を厭わなかったり、でもそれを利用するものがいたり、結局何なんだろうと思う。
    鼾が呻き声とわかったところ、すごく劇的でロドリゴの棄教までがするすると進んでいった。長崎とかキリシタン...続きを読む
  • 沈黙
    罪悪感で苦しむ人にオススメだと自分は思いました。
    恥ずかしい話、自分は過去に恋愛で部活の人間関係をめちゃくちゃにしてしまったことがあります。そのことに関して10年経っても悔いて罪悪感に苛まれています。
    そんな自分はこの作品に出てくるキチジローに共感してやまないのです。
    この作品は鎖国中の日本に密入国...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    終始引き込まれ続ける。
    人体実験という、人間としてのタブーを犯した医師たちの話。
    初めから終わりまで、とにかく重い空気感が漂う。
    本からここまでの重圧を感じた事は今までほとんどなく、何か心の奥を抉られ続けるような感情で読み進めるという新しい読書体験になった。
    遠藤周作の本はこれが初めてだったのだけど...続きを読む