遠藤周作のレビュー一覧
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キリストの最期・江戸時代の基督教の弾圧が重なる。
自身の使命感のために迫害され殺されていく百姓や非人、彼らの声を聞かされ棄教を迫られる。かつての師にさえ諭される。もっともこの師も拷問され他者の死の責任を押し付けられ続けた結果なのだが。
終わりのないこれらの気怠さのため、唯一の拠り所であり、生涯愛すると心に誓った者の顔を踏みつけるまで追い込まれた。
師は言う「神は何もなさらなかったからだ」と。
自分の信仰心と目の前の惨たらしい狼藉とが闘い、全てを諦めた先にあったのは、どす黒い余生だった。(しかも踏絵後も助けられなかった信徒がいた始末)
理不尽と自分の中の「正義」の衝突が起こった時どうするべき -
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長谷倉という侍と、ベラスコという司祭、二人の視点で描かれる物語。
『沈黙』と似た雰囲気があり、本書も事実に基づいているらしく、こんな辛い時代があったのかと驚かされる。
キリスト教にも宗派の違いがあり、そこに政治も絡んでくる。
ベラスコは征服欲の強さから教えを押し付けるような行為をしてしまい、その傲慢さを自覚しながらも正当化していた。
しかし終盤になると、自分の行いを見つめ直すことになる。
そこでキリストや神への信仰が本物であると感じた。
暗く、報われない現実。
そんな世界にこそキリストは寄り添ってくれる存在なのだという。
華やかな生活の中ではなく、見すぼらしい苦しみの中に、それぞれの人の中 -
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ネタバレ時代だとは思いますが、女性の立ち場が無い。
現東京藝術大学を卒業した母が、ヴァイオリンばかり練習していて家庭のことを顧みないと思ってる夫、
主人公が入院したときに、子どもをちゃんと面倒みてないから入院したんでしょ?と思い込む伯母、
病院のベッド脇で左指だけでもバイオリンの練習をする母見て、怒りだす主人公。
主人公の退院後、まったくバイオリンを弾かなくなった母を見て、夫は満足そうにしていたが、結局両親は離婚。精神を病む母。
満州から帰国後も、バイオリン指導が厳しすぎて仕事をやめされられた母。
誰も救われない。
父親が酷い。主人公を父の元か、母の元、どちらに住むか選ばせるようでいて、半強制的。 -
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島原天草一揆くらいの時代、日本の調査と布教に来たポルトガル司祭が苦難に遭い背教を迫られるという話だが凄かった。
タイトル「沈黙」にもあるように、一つの大きな主題として「なぜ苦境の折に神は沈黙しているのか(なぜ救ってくださらないのか)」という悲痛な嘆きがあったが、主人公司祭の強い苦しみと実感を伴う問いとして物語終盤常に大きな存在感を保っていた。
主人公司祭が来日する理由にもなった、「拷問の末既に背教した司祭」の存在とのやり取りや奉行との問答の末の結末には陰鬱な気分になり、体調が悪くなった。
「布教は善であったのか」「何が民を救うことなのか」「主は何をしているのか」
じめじめと腐った潮風の様な問い -
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沈黙は見方によっていろいろな解釈ができる小説だなと思う。宣教師には宣教師の、切支丹になった農民には農民の、取り締まる役人には役人の理屈がそれぞれあって、どれも正しい。
救いを求めるロドリゴに対して神は「沈黙」したままで、結果的にロドリゴは棄教をしてしまう。でもそれは形だけの棄教で、信仰なんてものは自分の外側にいる神に祈ることではなく、自分の内面にいる神と対峙し対話することだということに気づいたが故の結果なのではないかと思う。
そして、キチジローの弱さはロドリゴの弱さで、キチジローとはロドリゴであったのではないかとも思う。人間は強いだけではいられない。誰にでもキチジローのような自分を抱えてい -
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2026年共通テスト国語で出題されていたことをきっかけに興味を持ち、手に取った短編集。
芸術の追求のために、我が子の手を払いのけることができた意志の強い女性——それが主人公の母だった。
戦前の昭和には珍しく、家庭に馴染めず、離婚という道を選んだ母。
幼い頃に植えつけられた寂しさ、慕情、後悔。
そうした生々しい傷や感情を、主人公は無理に忘れ去ろうとするのではなく、向き合い、人生の傍らに置いたまま生きていこうとする。その姿が静かに描かれていたように思う。
私が特に驚いたのは、母が遺した言葉である。
「海の砂浜は歩きにくい。歩きにくいけれど、うしろをふりかえれば、自分の足あとが一つ一つ残っている -
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ネタバレ解説で、この物語の元となる歴史背景が書かれている。江戸初期に支倉という人物が使節団の一員として、メキシコを経て、ローマまで渡ったそうだ。
物語の侍はこの人物で、ベラスコ神父も支倉の使節団に関わった神父がモデルとなる。
17世紀初期に、実際に使節団としてアメリカ大陸からヨーロッパまで渡った日本人がいたことに驚いた。
また、物語は旅の苦労や日本で起こるキリスト教迫害をドラマチックに描いている。激しい争いなどは起こらないが、使命(仕事)を命懸けで果たす姿は、私の目を離さなかった。
それ故に、時代の運で使命が無意味になってしまう事が、無念という言葉で表せられないほど虚しい。 -
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死にざまは美しくなければならないか
私がこの本を読んで1番よく考えた事です。
彼は、その美しさを保つ自信がないと言い、
神は死に際、冷静さを装ったもしても
その深層を見抜けるのだから
じたばた死んでも良いのだと教えてくれる。
私は例え神であっても私の深層を覗けないだろうと
そういう種類の傲慢さがあり、美しく死にたい。
特に、生活をするための自分(社会的な自分)は
地上に残していくかたみのようなものだ
というセリフにはグッときたし、
尚更綺麗なまま残していきたいと思ってしまった。
また、カトリックで自殺が良くない
とされている理由は自分の人生への愛がないから、
という理由にはかなり納得してしま