遠藤周作のレビュー一覧

  • 新装版 海と毒薬

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    個々人の内なる価値判断基準、神の存在、または良心とも言われるものから行動をおこすこと。このアンチテーゼをひたすら描写したのだと思う。
    あくまで組織内部の人間関係や、異性関係やなどを前提とした行動とはどのようなものかを描写したのだと思う。
    なぜ日本が太平洋戦争を引き起こし、敗戦したのか、ということにも重ね合わせられているようだ。

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    2023年11月01日
  • 満潮の時刻

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    著者自らの闘病生活をそのまま綴ったかのような内容。主人公の明石が入院中に見た「あの目」が彼に訴えようとしていたのは人生の本質とも思われるそれ。「人生」と「生活」、その両方を行き来する時に人は何を見るのか。
    きっと読む誰しもが「共感」を感じる一冊だと思います。とても満足でした。

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    2023年09月18日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    大学生の吉岡は遊び目的で森田ミツを呼び出し交わって棄てる。
    その後の2人の人生が対照的で、読みながら幸せな人生はどちらなのかと考えさせられた。不器用に生きるミツは石鹸工場から職を転々とし、一般的には不幸な境遇だが人生を全うできた意味で幸せだったと言える。一方、吉岡は小さい幸せを得たが、いつまでもミツとの思い出が消えずに残り、この幸せすら保証されているものではない。
    結局、修道女以上の愛情を持ち素直で優しい心の持ち主だったミツは関わる全ての者の記憶に残る神のような存在だったのだろう。
    次は芥川賞受賞の「白い人」を読んでみたい。

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    2023年09月02日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    素晴らしく、そして辛い気持ちになる本。エピソードは異なれどまるで自分の影がみえる吉岡の酷さや三浦マリ子の無邪気さよりも、ミツの、自分も決して恵まれてはいないのに、自分を差し置いてでも辛い人に自然に寄り添うことができる力に涙し、自分の中にある自己中なところ、優しさに欠くところを顧みてその情けなさ涙してしまうのかもしれない。もう少しだけ、私も人に寄り添える心になりたい…

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    2023年08月18日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    中学生の時に読んだときの衝撃が忘れられない。
    悲しさとは違う哀しさを知った本。
    やるせなくて、悔しくて、でもその感情をぶつける矛先が無くて、哀しい。
    海と毒薬でも沈黙でもなくこの本を教室に置いたあの国語の先生はたくさん本を読む人だったんだなあと思う。
    今年の夏に読み返したい。

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    2023年07月29日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    信仰、愛・・・形はないけれども人間にとって大切なもの。忙しい毎日を過ごしていると忘れてしまいそうな時に手に取って読むようにしています。出不精の自分がどういう訳か単身ポーランドのビルケナウ強制収容所に赴くことになってしまったくらい世界で1番好きな作品。

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    2023年07月20日
  • 死について考える

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    ◯どういうきもちになる
    ・死生について考えるきっかけになる
    ・生活ではなく人生と捉えるようになる。やるべきことが見えてくるような気がする 
    ・亡くなった親類や友人がきっと静かで穏やかな世界にいけてるんだろうなと救われる


    ・「死について」ではなく「死について考える」というタイトルがぴったり。死後のことなんて誰にも分からないけどその先を考えることで救われたり生を全うしようという気持ちになるよねー

    ・死を意識することで嫌でも生を突きつけられるから、死について考えることはやっぱり必要なことだと思う。自分が何をすべきか、何のために生まれたのかが見えてくるような気がする。死と何度も隣り合わせになった著者だからこそ書けるんだなーと。

    ・一度死んでから息を吹き返した人の体験談を集めたものの中に、
    病気で失明していたのにはっきりとその時の光景が見えたという話が面白かった。息を吹き返した後、自分が着ている服装や状況を当てたらしい。すごくね?他にも同じ経験をした人は多く(死んだ時の自分を上から見た・亡くなった親類に会えたなど)興味深いなーと思った。


    ・印象的だったのは神は自死を拒否しなかったり、道徳的に正しいとされることを神は正解と考えていないこと。(遠藤周作がそう考えてるだけかもしれないけど) キリスト教その他の宗教について全く知識がない私は神様は綺麗で正しくて美しいことしか愛さないイメージだったから、こんなに自由で懐の深い人なんやと思った。死ぬときは泣き喚いたっていいんだと知った。

    とりあえず原民喜「夏の花」を読んでみたくなった。

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    2023年06月07日
  • 自分づくり~新装版~

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    科学、宗教、スピリチュアル、宇宙、心理学等
    それはそれはものすごい幅広い知識をお持ちで、それらを自ら熱心に学び、落とし込み、非常にわかりやすいユーモアたっぷりの話し方で
    この方と直に話せたらどれほど楽しく有益な時間を過ごせるだろう!と
    もしくは、学校の先生だとどれほどいいだろう。
    年齢も性別も異なるのにここまで惹きつけられる人というのも、今も尚読まれてる証拠だと思う。

    大昔に書かれたものなのに、何も変わらない人間の本質がそこにありました。
    子供にこそ読んでほしい。

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    2023年05月12日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    オカルトチックだったり時代を感じる表現もあるが、魅力的な人であることが伝わってくるエッセイだった。歳をとるのも悪くないなと思える。

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    2023年04月15日
  • P+D BOOKS フランスの大学生

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    遠藤周作さんのデビュー作にして恥ずかしながら自分にとっても初の氏の作品の出発点となる一冊となりました。
    当書は戦後の1950年から53年の間の氏のフランス留学時代の手記から成っています。当時のフランスはドイツから受けた戦争の傷跡が生々しく、それがフランスの若者たちの心に影を落としている様子がこの書から伺えます。当時のコミュニズムに共感しながらシンパシーは完全には抱ききれない矛盾さを抱く若者たち。
    また氏は、文学の諸作家の影を追って、フランス各地に赴き、その作家と生み出された作品の業について深く思索します。最後の編のアンドレ・ジイドとその妻の悲しい愛の在り方はジイド自身が妻を愛してはいるが、男色家であるが故の2人の愛の狭間の苦しみが周作氏の筆により描かれます。氏の諸作に根ざすキリスト教私観という氏の文学の核とした視座を持って、深く人間の魂の在り方の哀しさが深く描かれていて、デビュー作とは思えないほどの作品の有り様に感銘を受けた次第です。
    またデビュー作で文体も完成されている素晴らしさも味わえました。自分にとって多くの氏の作品を読んでみたくなる一冊となりました。

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    2023年04月08日
  • 自分づくり~新装版~

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    面白かった。買った当日に一気読み。

    無意識の世界に興味をもった。
    僕たちは、自分の無意識下のコントロールによって行動を決定している場合が多い。
    なかなか無意識を感じるのは難しい。
    人が夢をみるのは、押さえ込んだ欲が解放された結果らしい。今後は夢の見方がかわりそう。

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    2023年03月28日
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    恋愛とは情熱であり、誰でも恋愛はできる。
    愛は地味で努力と忍耐であり、誰にでもできるものではない。
    恋愛は苦悩によって燃え上がる、などを繰り返しわかりやすく書いてあり、何度も読み返したくなる。
    文献の紹介も豊富で、解説がわかりやすく丁寧でそれらの本も読みたくなった。

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    2023年03月21日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    ネタバレ知っちゃってから読んだけどそれでも最後は泣く。世の中にはいろんな人がいるしいろんな人生がある。そしてそのいろんなことを選び取ることができる。選び取ることができるものが狭くならないためにも、エゴを捨てて、いろんなものを見て感じていきたいと思った。わたしの人生讃歌をいつも遠藤周作はしてくれる。好き!

    私たちの信じている神は、だれよりも幼児のようになることを命じられました。単純に、素直に幸福や悦ぶこと、単純に、素直に悲しみに泣くこと、そして単純に、素直に愛の行為ができる人、それを幼児のごときと言うのでしょう。

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    2023年03月14日
  • 新装版 海と毒薬

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    私の中の戸田を見つめ直すことができた。
    周りのお咎めがなければどんな残酷なこともしでかしていたかもしれない。
    私達日本人は良心、善悪を世間に委ねている。しかし自分の心の拠り所は自分の核として存在していなければいけないし、柔軟であってはいけない。
    流される勝呂の弱さ、自己を肯定するために歪んだ解釈をしてしまう戸田の受動的態度をもしかしたら生活の中でしてしまっているのかもしれない。そこで人間らしい優しさや思いやりを忘れ、誰かを取り返しのつかないほど傷つけていたのだと思うと辛くて。

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    2023年03月01日
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ

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    ネタバレ

    遠藤周作先生の若き日から晩年近くまでに書かれた短文を集めたエッセイ集。没後四半世紀を過ぎてまだ新刊が出されることにまずは深い感慨を覚えます。
    やはり文体に深みを感じます。人間くさく美しい話ではない内容であっても文体には品を感じると言いますか。その品とは上品下品の品ではなく自分の人生、そして自身が関わる様々の人生に向き合う姿勢の真摯さというようなものでしょうか。先生自身の性質やカトリック信仰者であったことはもちろんあるでしょうがやはり戦後間もない時節に留学された体験が生きることに真摯にならざるを得ない人生にさせたのでしょう。今とは全く違う世界情勢の中でたった一人で日本では得られない全てを体験し伝える人も側になく、遠い他国で病にも侵さながら暮らすということの孤独は想像を絶します。
    そして時代を感じさせないというか今でも十分に通じる、むしろ今だからこそ染みるのではというような内容の文がたくさんありました。

    今の自分に強烈に染みる一文がありました。p100「自分にはどんなに弁解できるものであっても、善意や肉体的精神的弱さがあっても、社会は行為の結果で当人をきびしく評価するのが普通なのです」
    いや言われてみるとその通りでしかないですが、状況の困難さや不当な判定を受けるなどの了解し難い事態に直面したとき、誰でも近視眼的視点になりがちだと思います。言い訳したくなるというか理由をちゃんと聞いてほしいとか。しかしそういうことには意味がないとこの文は教えてくれました。この文には「はっ」とさせて視点をぐっと引いてくれる力があると感じました。今の自分がまさにそうで、この言葉に出会うために本書に出会ったと思いました。
    また、p197〜199の浄化の願いについての短文は、キリスト信仰者らしい考え方とも言えると思いますが、私は宗教信仰者ではないですがこの考えに深く賛同しました。そう言葉にして意識しなくても大なり小なり浄化されたいという心情は誰の心のうちにもあるだろうと私も思います。それは自分だけでなく関わる人たちの幸せを願ったり喜んだりする心情とそう遠くはないだろうと思うからです。
    遠藤先生の、人間の存在に対する愛のようなものを深く感じる短文集でした。この本を世に出してくれた関係者の方々に深く感謝します。

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    2023年02月27日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    新宿を舞台にした群像劇。
    「海と毒薬」に登場した医師の勝呂が、あの後どんな人生を過ごしてきたのかが分かる作品となっていた。
    それとガストンも。ガストンはここではイエス的な役割を担っていて、かなりの重要人物。彼の言動は突拍子もないように見え、自分も暮らしが立ち行かないのに人助けばかりして、破滅的すぎて時には滑稽ですらある。他人のためになぜここまで出来るのかと不思議でならないのだが、ラストでガストンの他人への気持ちや、心の声が聞こえた瞬間に号泣してしまった。
    その前の、勝呂の自殺でもすごく苦しんだ。そんな道を選ばず、最後の最後まで生きてほしかったのだ。
    癌の末期患者のケアを無償でやっていたのだって、人間性が表れているなと思う。病人に優しい言葉しかかけなかったところも切なかった。
    他人の苦しみは受け止めても、自分の真の苦しみは誰にも共有できなかったのかもしれないなと思うと、涙が止まらない。

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    2023年02月25日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    フランス史好きにはたまらない……読みやすいー!!フィクションを混ぜているからこそさらに面白いのかなあ。

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    2023年06月07日
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ

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    海と毒薬、沈黙、同じ手から生み出される作品ではあるが、こちらは遠藤周作という人物の成長と人となりが垣間見れるエッセイ。
    初期のものからというが、自分を投影するその言葉一つ一つはとても完成度が高く、空気まで運んでくるよう。

    遠藤周作と言えばキリスト教。宗教じみていないキリストとの関係を書くエッセイもまた魅力。
    過去に読んだ中でも取り上げられていた、テレーズでルケルーも登場して、お蔵入りした書棚が読まなければと思い出した。
    遠藤周作の言葉から発せられると、とても興味深くその感覚を共感したくなってしまうから不思議。

    このエッセイには遠藤周作の家族や、若き日の海外暮らしも知ることができ、小説家遠藤周作が身近な存在に思えるものだった。

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    2023年01月30日
  • 砂の城

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    青春の試練に、人生の難しさ、厳しさを思い、それを重ねるべく努めないといけない。

    若者が夢想と空想のうちに築いていた青春=砂の城は崩れていく。

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    2023年01月29日
  • イエスの生涯

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    キリスト教観がかなり変わった
    これでキリスト教観を変えられると言うのはまさに同作者の「沈黙」で言われた「沼地」のようなものだけれど
    それでも

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    2025年03月03日