遠藤周作のレビュー一覧

  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    ネタバレ

    やや性差別的な表現・性的少数者への攻撃ともとられかねない表現があるものの、その時代にあって、倫理的に恋愛を説こうとした誠実な本だと思った。

    神話のなかに見られる恋愛の、非常にピュアな「この人にさわってみたい」というやわらかな性欲の描写はなんだかとてもうらやましかった。

    男性が感じる性衝動と女性が感じる性衝動の違いについては、「信じるしか無い」部分があり難しいのだが、性行為へのリスクの違いを述べている点は非常にいいと思った。いかに避妊の技術が進化したといえども、妊娠/堕胎/出産による女性の心身への影響が甚大であることは想像に容易い。肉体的には女性に負担が偏った行為なのだ。異性間の性行為におい

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    2019年02月15日
  • 侍

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    久々に読み応えのある小説に出会えた。自分の力ではどうにもならぬ運命に流されていく切ない物語。「転ばない」美学

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    2018年12月27日
  • 死海のほとり

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    この物語は、同じイスラエルの地≪死海のほとり≫を舞台に、時代の異なる二つの物語が対位的に展開される。すなわち、主人公がイエスの足跡をたずねてイスラエルを巡礼する現代の話と、イエス・キリストが伝道のためにパレスチナの地を旅する過去の話が交互に進行する。昭和48年の文学としてはこのような技法は画期的といえるのではないだろうか。主人公<私>はカトリック信者である作者の分身であろう。救い主としてあまりに無力であるが、隣人と共に喜び共に苦しむイエスの姿を描き、「永遠の同伴者」としてのイエス像を鮮烈に打ち出した作品である。

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    2018年12月22日
  • 生き上手 死に上手

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    「善魔」という言葉が気になって手にとった。
    死と生に対して、とても考えさせられる本。
    善魔は悪魔よりもタチが悪い。
    善魔とならないよう気をつけないと。

    そして、書かれた時代背景。
    書かれた時代は心療内科が出来始めた時期だったのですね。

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    2018年11月04日
  • キリストの誕生

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    映画の「沈黙-サイレンス」を先日観た。
    小説の「イエスの生涯」を先日読んだ。
    その流れで、本書を手に取ることに。

    映画も小説も遠藤氏は、「神の沈黙」という事をテーマにされているんですね。

    ステファノの事件
    エルサレムの会合
    アンティオケの事件

    この流れがキリスト(教になる節目)を誕生させる物語などは、初めて知る内容だけに面白かった中、登場人物のポーロが一番気になった。

    ビジネス社会でベンチャー企業だと、ある程度の規模から鈍化することがあっても、熱く猛る信念で、常識を超えて突き進んでいく人が、ある意味無茶苦茶に引っ張る瞬間、異常な壁を軽々と越える時がある。
    それも名もなき人達だったりする

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    2018年07月18日
  • 反逆(上)

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    秀作!荒木村重が主人公という視点は非常に面白味があった。久し振りに歴史小説でも、これは!という作品だったなー。

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    2018年04月03日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

     この小説は二つの話が交互に出てくる。
     一つは現代(といっても戦後30年後くらいの話だが)においてかつてキリスト教系の大学に通っていたが、信仰を捨てた(あるいは見失った)、同級生だった二人の中年の男がイエス・キリストの足跡を辿る旅をする。
     もう一つは過去のイエス・キリストの生涯が書かれている。
     過去の話は実際にイエス・キリストと出会った人々が彼に対して何を感じたのか、ということに焦点が当たっているように思える。現代においては聖書やその足跡を辿って見えてくるイエス・キリストに対して何を感じるかということが主題に感じた。ただ、現代においては、後半はネズミと呼ばれる神学校時代の修道士に焦点が当

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    2017年11月26日
  • 狐狸庵閑談

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    68p 創作 無意識の力 不思議な援軍
     著者流 無意識の力を借りる方法が紹介されている。
     このような方法でどの位力を借りたのか気になる。
    72p 直線で生きるか立体で捉えるか
     人生を直線や立体で考える面白い作品

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    2017年05月14日
  • キリストの誕生

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    キリスト教がどのようにして誕生したかを,聖書ばかりでなく多くの資料をベースに小説家の視点で考察した名著だ.ステファノ事件,エルサレム会議,アンティオケ事件などが信徒たちに与えた影響,さらにイエスと会ったことのある使徒たちとポーロの議論の中で,神の沈黙,イエスの復活などをどう扱うのか悩む人たち.永遠の問題だが,それなりの解答が与えられたような気がする.

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    2017年04月04日
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話

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    遠藤周作氏の本はいつも深く考えさせられる。
    キリスト教信者で小難しい本を書く。そんなイメージを持っている人も多いと思う。
    が、しかし。狐狸庵先生は違う。
    下ネタ好きで嘘つきなただのオジさんである。
    ただの嘘ではない。センスがいい。
    遠藤周作氏の偉大さは狐狸庵先生を読んでしても変わらない。

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    2017年04月01日
  • 母なるもの

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    再評価されるべき逸材、遠藤周作

    遠藤周作は自身の信仰に疑問を持っていた。作家活動は自己肯定感を得るための試行錯誤である。その活動の一里塚たる作品が「母なるもの」ではなかろうか。隠れキリシタンの信仰は、本家バチカンから見たらはるかに程遠いもの。しかし、遠藤は「これで、いいのではなかろうか」と肯定感を見出した。隠れキリシタン信仰の神秘性と隠匿性をもって地域が結束していたをの確認したから。そこから、遠藤は自身の母親との関係にも思いを馳せる。
    目に見える成果や舌先三寸の刹那的芸当ばかり持て囃され、そうでなければバッサリ切り捨てられる昨今。遠藤周作のような、人間の弱さを学識と宗教観で試行錯誤して書きたてる作家はもっと再評価されても良

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    2016年12月03日
  • 狐狸庵閑話

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    古今百馬鹿、現代の快人物がお勧

    「古今百馬鹿」「現代の快人物」で筆者は一気に肩の力が抜けたのだろう。読んでいる方も登場人物のバカバカしくも愛嬌のあるキャラに笑わざるを得ない。
    「現代の快人物」は平成の世における「オタク」の原型たる人物が多数登場する。遠藤周作が愛した「決して世間的に成功しないが、愛嬌がある」人物たちは形を変えて生き延びていくのだろう。

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    2016年10月12日
  • ぐうたら好奇学 狐狸庵閑話

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    前半にいわゆる「下品」な話が多いですが、中~後半は控えめです。
    昔日の渋谷の姿が描かれていて、今の姿との差に驚きを感じます。

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    2016年09月25日
  • 死海のほとり

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    信仰を追い求めてエルサレムにやってきた小説家の私と学生時代の友人でエルサレムに住む戸田が、イエスのたどった道を辿りながらイエスを追いかけるという話。
    戸田は気が付いていたみたい。イエスはけっこう造られた虚像であること。
    でも、その方がより現実的で、人間的なのかもしれない。
    あまりにも無力で、そんな男が多くの人を愛した。
    一人一人の人生を横切って残した痕。それは消えない。
    これから先も私と戸田には今まで通りイエスは消えないだろう。

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    2016年09月19日
  • 聖書のなかの女性たち

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    遠藤周作作品を読むと、一気に人間の幅が広がる気がする。
    本題はもちろんのこと、聖書と関係ないが「ひよこ」という偏でも、非常に心とらわれた。「秋の日記」でも、著者の心に刻み込まれた、もうすぐ死期を迎える夫とその妻の手を握り合った姿。どんなに愛し合っていても、人は死から救い出すことはできない、という当たり前だけど受け入れるしかないつらい現実。そこから残されたものが救われるためのヒントやなにかが聖書にはあると思った。
    誰も人を裁き、軽蔑する権力などもたない。それと同時に、相手の全てを理解するというのもできないのだと、しみじみと痛感させられる。当たり前の事実なのだが、過ぎていく日常の中で、私たちは驕っ

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    2016年08月29日
  • 彼の生きかた

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    読み終わったあとに、心に何かが残る。
    久々に、そういう本を読んだ。

    主人公の福本、朋子、加納、藤沢と
    大きく4人の生き様、生き方が描かれているが
    どの生き方に対しても、理解ができるし、
    身近なあり方として感じられ、
    自分の生き方と合わせて考えられるところが
    本作のすごいところなんだと思う。

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    2016年06月23日
  • 死海のほとり

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     死海のほとりでイエスの足跡を辿る現代の旅と、イエスが迫害されゴルゴダの丘で処刑されるまでの過去の物語を交差させながら、奇跡の人ではない新しいキリスト像を提示しています。

     弱者のそばに寄り添いともに苦しむことしかできなかったイエス、しかしそのことは常人にはできないことであり、苦しみを抱えた人たちにとって大きな慰めであったのは間違いないと思います。

     この小説は、遠藤氏ご自身が一生を掛けて答を求め続けた「信仰とは何か」という問いかけと氏が到達したそれへの答が示されているのだと思います。圧倒的な文章力できわめて構築性の高い物語が形作られています。

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    2020年02月05日
  • キリストの誕生

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    [その後の話]イエスの死に際して自らの弱さに苛まれたであろう彼の弟子たちは、何故にその後殉教をも恐れぬ熱心な信徒となったのか......。クリスチャンでもある著者が、回答定まらないその問いに答えようと、イエスの死後の弟子たちの歩みを再構成した作品です。著者は、本書と『イエスの生涯』を著したことで、さらなる思考が求められたと語る遠藤周作。


    『イエスの生涯』を事前に読んでいたからでしょうか、遠藤氏の考える弟子像というものがすっと頭に入ってきました。その像がいわゆる正統の教義との関係でどう考えられるかまでコメントできる見識がないのですが、遠藤氏自身の自画像が非常に深く弟子像に投影されているように

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    2015年12月23日
  • 新撰版 怪奇小説集 「恐」の巻

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    幽霊の正体見たり……的な話もあれば、心底ゾッとする話もある。
    こんなことが自分の身に起こったことがないだけに、ほんとかなぁ??と思うこともないではないが。
    真相を調べに行こう!と再び怪奇現象のあった場所に行くのが面白い。

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    2019年05月20日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    人生には何ひとつ無駄なものはない >>は、遠藤周作さんが残してくださった珠玉の言葉を、親しくされていた鈴木秀子さんが、選び取って編んだものだそうです。
    ≪人生というものがわからないから、われわれは生きて、そして人生とは何かということを、生きながら考えているのだと思います。≫ なるほど、どこまで行っても人生というものがわからないから、わからないのに死ぬわけにはいかないものね。だから生きているんだね。私は、もう57年も生きているのに、あいかわらずわからなくて、このようなタイトルの本があることを知って、内容が良いと聞くと手に取らずにはいられない。

    ≪60歳になる少し前ごろから私も自分の

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    2020年05月04日