遠藤周作のレビュー一覧
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◯どういうきもちになる
・死生について考えるきっかけになる
・生活ではなく人生と捉えるようになる。やるべきことが見えてくるような気がする
・亡くなった親類や友人がきっと静かで穏やかな世界にいけてるんだろうなと救われる
・「死について」ではなく「死について考える」というタイトルがぴったり。死後のことなんて誰にも分からないけどその先を考えることで救われたり生を全うしようという気持ちになるよねー
・死を意識することで嫌でも生を突きつけられるから、死について考えることはやっぱり必要なことだと思う。自分が何をすべきか、何のために生まれたのかが見えてくるような気がする。死と何度も隣り合わせになった著者だからこそ書けるんだなーと。
・一度死んでから息を吹き返した人の体験談を集めたものの中に、
病気で失明していたのにはっきりとその時の光景が見えたという話が面白かった。息を吹き返した後、自分が着ている服装や状況を当てたらしい。すごくね?他にも同じ経験をした人は多く(死んだ時の自分を上から見た・亡くなった親類に会えたなど)興味深いなーと思った。
・印象的だったのは神は自死を拒否しなかったり、道徳的に正しいとされることを神は正解と考えていないこと。(遠藤周作がそう考えてるだけかもしれないけど) キリスト教その他の宗教について全く知識がない私は神様は綺麗で正しくて美しいことしか愛さないイメージだったから、こんなに自由で懐の深い人なんやと思った。死ぬときは泣き喚いたっていいんだと知った。
とりあえず原民喜「夏の花」を読んでみたくなった。 -
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遠藤周作さんのデビュー作にして恥ずかしながら自分にとっても初の氏の作品の出発点となる一冊となりました。
当書は戦後の1950年から53年の間の氏のフランス留学時代の手記から成っています。当時のフランスはドイツから受けた戦争の傷跡が生々しく、それがフランスの若者たちの心に影を落としている様子がこの書から伺えます。当時のコミュニズムに共感しながらシンパシーは完全には抱ききれない矛盾さを抱く若者たち。
また氏は、文学の諸作家の影を追って、フランス各地に赴き、その作家と生み出された作品の業について深く思索します。最後の編のアンドレ・ジイドとその妻の悲しい愛の在り方はジイド自身が妻を愛してはいるが、男色家であるが故の2人の愛の狭間の苦しみが周作氏の筆により描かれます。氏の諸作に根ざすキリスト教私観という氏の文学の核とした視座を持って、深く人間の魂の在り方の哀しさが深く描かれていて、デビュー作とは思えないほどの作品の有り様に感銘を受けた次第です。
またデビュー作で文体も完成されている素晴らしさも味わえました。自分にとって多くの氏の作品を読んでみたくなる一冊となりました。 -
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ネタバレ遠藤周作先生の若き日から晩年近くまでに書かれた短文を集めたエッセイ集。没後四半世紀を過ぎてまだ新刊が出されることにまずは深い感慨を覚えます。
やはり文体に深みを感じます。人間くさく美しい話ではない内容であっても文体には品を感じると言いますか。その品とは上品下品の品ではなく自分の人生、そして自身が関わる様々の人生に向き合う姿勢の真摯さというようなものでしょうか。先生自身の性質やカトリック信仰者であったことはもちろんあるでしょうがやはり戦後間もない時節に留学された体験が生きることに真摯にならざるを得ない人生にさせたのでしょう。今とは全く違う世界情勢の中でたった一人で日本では得られない全てを体験し伝える人も側になく、遠い他国で病にも侵さながら暮らすということの孤独は想像を絶します。
そして時代を感じさせないというか今でも十分に通じる、むしろ今だからこそ染みるのではというような内容の文がたくさんありました。
今の自分に強烈に染みる一文がありました。p100「自分にはどんなに弁解できるものであっても、善意や肉体的精神的弱さがあっても、社会は行為の結果で当人をきびしく評価するのが普通なのです」
いや言われてみるとその通りでしかないですが、状況の困難さや不当な判定を受けるなどの了解し難い事態に直面したとき、誰でも近視眼的視点になりがちだと思います。言い訳したくなるというか理由をちゃんと聞いてほしいとか。しかしそういうことには意味がないとこの文は教えてくれました。この文には「はっ」とさせて視点をぐっと引いてくれる力があると感じました。今の自分がまさにそうで、この言葉に出会うために本書に出会ったと思いました。
また、p197〜199の浄化の願いについての短文は、キリスト信仰者らしい考え方とも言えると思いますが、私は宗教信仰者ではないですがこの考えに深く賛同しました。そう言葉にして意識しなくても大なり小なり浄化されたいという心情は誰の心のうちにもあるだろうと私も思います。それは自分だけでなく関わる人たちの幸せを願ったり喜んだりする心情とそう遠くはないだろうと思うからです。
遠藤先生の、人間の存在に対する愛のようなものを深く感じる短文集でした。この本を世に出してくれた関係者の方々に深く感謝します。 -
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ネタバレ新宿を舞台にした群像劇。
「海と毒薬」に登場した医師の勝呂が、あの後どんな人生を過ごしてきたのかが分かる作品となっていた。
それとガストンも。ガストンはここではイエス的な役割を担っていて、かなりの重要人物。彼の言動は突拍子もないように見え、自分も暮らしが立ち行かないのに人助けばかりして、破滅的すぎて時には滑稽ですらある。他人のためになぜここまで出来るのかと不思議でならないのだが、ラストでガストンの他人への気持ちや、心の声が聞こえた瞬間に号泣してしまった。
その前の、勝呂の自殺でもすごく苦しんだ。そんな道を選ばず、最後の最後まで生きてほしかったのだ。
癌の末期患者のケアを無償でやっていたのだって、人間性が表れているなと思う。病人に優しい言葉しかかけなかったところも切なかった。
他人の苦しみは受け止めても、自分の真の苦しみは誰にも共有できなかったのかもしれないなと思うと、涙が止まらない。 -
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海と毒薬、沈黙、同じ手から生み出される作品ではあるが、こちらは遠藤周作という人物の成長と人となりが垣間見れるエッセイ。
初期のものからというが、自分を投影するその言葉一つ一つはとても完成度が高く、空気まで運んでくるよう。
遠藤周作と言えばキリスト教。宗教じみていないキリストとの関係を書くエッセイもまた魅力。
過去に読んだ中でも取り上げられていた、テレーズでルケルーも登場して、お蔵入りした書棚が読まなければと思い出した。
遠藤周作の言葉から発せられると、とても興味深くその感覚を共感したくなってしまうから不思議。
このエッセイには遠藤周作の家族や、若き日の海外暮らしも知ることができ、小説家遠藤周作が身近な存在に思えるものだった。