遠藤周作のレビュー一覧

  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    大晦日に読破。良かった。もう一度読みたい。
    人間はやがて死ぬ。早いか遅いか。今していることは、だからなんなん、と自問するとに戸惑うことばかり。どう生きようか。

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    2023年12月31日
  • 侍

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    弱い人でも強い人でも心挫かれたときに、その辛さを分かち合ってくれる理解者としてのキリスト。そして現世利益を重視する日本人にとっては富めるものよりも貧しいものがあの世で救われる考えや、実存的でないものがあまり合わない。こうした遠藤周作さんの考えるキリスト教や日本文化論を感じられる1冊でした。

    過去作『沈黙』よりも運命や身分、政治といった大きい力の前で従うしかない弱い人と抗う強い人が強調されている感じでした。
    とくに強い人として描写される宣教師の身勝手で欲深いために、周りに迷惑をかけてしまうところは共感を感じました。
    そんな強い人が心を折られ、そのなかで自分が成すべきことを見出し最期はある意味で

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    2023年12月29日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    一貫して哀しみの歌がこの小説には流れている。

    奉仕の心が大切なのは間違いないが、それが実際に他人への救いとなることがいかに困難かを知らされる。

    救われることへの諦念に僕は息を止めたくなった。

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    2023年11月23日
  • おバカさん

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    教授からのおすすめ本。
    どこまでも優しく誠実な外国人ガストンさんが日本にやってきてとある目的のために暮らす話
    思ったよりシリアスな展開で進むなかで要所要所に昭和感を感じました。
    個人的には比喩が大好きな作品!!!
    書かれた年代で雰囲気が変わるのも読書の醍醐味ですね~

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    2023年11月16日
  • 新装版 海と毒薬

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    個々人の内なる価値判断基準、神の存在、または良心とも言われるものから行動をおこすこと。このアンチテーゼをひたすら描写したのだと思う。
    あくまで組織内部の人間関係や、異性関係やなどを前提とした行動とはどのようなものかを描写したのだと思う。
    なぜ日本が太平洋戦争を引き起こし、敗戦したのか、ということにも重ね合わせられているようだ。

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    2023年11月01日
  • 満潮の時刻

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    著者自らの闘病生活をそのまま綴ったかのような内容。主人公の明石が入院中に見た「あの目」が彼に訴えようとしていたのは人生の本質とも思われるそれ。「人生」と「生活」、その両方を行き来する時に人は何を見るのか。
    きっと読む誰しもが「共感」を感じる一冊だと思います。とても満足でした。

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    2023年09月18日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    大学生の吉岡は遊び目的で森田ミツを呼び出し交わって棄てる。
    その後の2人の人生が対照的で、読みながら幸せな人生はどちらなのかと考えさせられた。不器用に生きるミツは石鹸工場から職を転々とし、一般的には不幸な境遇だが人生を全うできた意味で幸せだったと言える。一方、吉岡は小さい幸せを得たが、いつまでもミツとの思い出が消えずに残り、この幸せすら保証されているものではない。
    結局、修道女以上の愛情を持ち素直で優しい心の持ち主だったミツは関わる全ての者の記憶に残る神のような存在だったのだろう。
    次は芥川賞受賞の「白い人」を読んでみたい。

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    2023年09月02日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    素晴らしく、そして辛い気持ちになる本。エピソードは異なれどまるで自分の影がみえる吉岡の酷さや三浦マリ子の無邪気さよりも、ミツの、自分も決して恵まれてはいないのに、自分を差し置いてでも辛い人に自然に寄り添うことができる力に涙し、自分の中にある自己中なところ、優しさに欠くところを顧みてその情けなさ涙してしまうのかもしれない。もう少しだけ、私も人に寄り添える心になりたい…

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    2023年08月18日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    中学生の時に読んだときの衝撃が忘れられない。
    悲しさとは違う哀しさを知った本。
    やるせなくて、悔しくて、でもその感情をぶつける矛先が無くて、哀しい。
    海と毒薬でも沈黙でもなくこの本を教室に置いたあの国語の先生はたくさん本を読む人だったんだなあと思う。
    今年の夏に読み返したい。

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    2023年07月29日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    信仰、愛・・・形はないけれども人間にとって大切なもの。忙しい毎日を過ごしていると忘れてしまいそうな時に手に取って読むようにしています。出不精の自分がどういう訳か単身ポーランドのビルケナウ強制収容所に赴くことになってしまったくらい世界で1番好きな作品。

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    2023年07月20日
  • 死について考える

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    ◯どういうきもちになる
    ・死生について考えるきっかけになる
    ・生活ではなく人生と捉えるようになる。やるべきことが見えてくるような気がする 
    ・亡くなった親類や友人がきっと静かで穏やかな世界にいけてるんだろうなと救われる


    ・「死について」ではなく「死について考える」というタイトルがぴったり。死後のことなんて誰にも分からないけどその先を考えることで救われたり生を全うしようという気持ちになるよねー

    ・死を意識することで嫌でも生を突きつけられるから、死について考えることはやっぱり必要なことだと思う。自分が何をすべきか、何のために生まれたのかが見えてくるような気がする。死と何度も隣り合わせになった

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    2023年06月07日
  • 自分づくり~新装版~

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    科学、宗教、スピリチュアル、宇宙、心理学等
    それはそれはものすごい幅広い知識をお持ちで、それらを自ら熱心に学び、落とし込み、非常にわかりやすいユーモアたっぷりの話し方で
    この方と直に話せたらどれほど楽しく有益な時間を過ごせるだろう!と
    もしくは、学校の先生だとどれほどいいだろう。
    年齢も性別も異なるのにここまで惹きつけられる人というのも、今も尚読まれてる証拠だと思う。

    大昔に書かれたものなのに、何も変わらない人間の本質がそこにありました。
    子供にこそ読んでほしい。

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    2023年05月12日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    オカルトチックだったり時代を感じる表現もあるが、魅力的な人であることが伝わってくるエッセイだった。歳をとるのも悪くないなと思える。

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    2023年04月15日
  • P+D BOOKS フランスの大学生

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    遠藤周作さんのデビュー作にして恥ずかしながら自分にとっても初の氏の作品の出発点となる一冊となりました。
    当書は戦後の1950年から53年の間の氏のフランス留学時代の手記から成っています。当時のフランスはドイツから受けた戦争の傷跡が生々しく、それがフランスの若者たちの心に影を落としている様子がこの書から伺えます。当時のコミュニズムに共感しながらシンパシーは完全には抱ききれない矛盾さを抱く若者たち。
    また氏は、文学の諸作家の影を追って、フランス各地に赴き、その作家と生み出された作品の業について深く思索します。最後の編のアンドレ・ジイドとその妻の悲しい愛の在り方はジイド自身が妻を愛してはいるが、男色

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    2023年04月08日
  • 自分づくり~新装版~

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    面白かった。買った当日に一気読み。

    無意識の世界に興味をもった。
    僕たちは、自分の無意識下のコントロールによって行動を決定している場合が多い。
    なかなか無意識を感じるのは難しい。
    人が夢をみるのは、押さえ込んだ欲が解放された結果らしい。今後は夢の見方がかわりそう。

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    2023年03月28日
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    恋愛とは情熱であり、誰でも恋愛はできる。
    愛は地味で努力と忍耐であり、誰にでもできるものではない。
    恋愛は苦悩によって燃え上がる、などを繰り返しわかりやすく書いてあり、何度も読み返したくなる。
    文献の紹介も豊富で、解説がわかりやすく丁寧でそれらの本も読みたくなった。

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    2023年03月21日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    ネタバレ知っちゃってから読んだけどそれでも最後は泣く。世の中にはいろんな人がいるしいろんな人生がある。そしてそのいろんなことを選び取ることができる。選び取ることができるものが狭くならないためにも、エゴを捨てて、いろんなものを見て感じていきたいと思った。わたしの人生讃歌をいつも遠藤周作はしてくれる。好き!

    私たちの信じている神は、だれよりも幼児のようになることを命じられました。単純に、素直に幸福や悦ぶこと、単純に、素直に悲しみに泣くこと、そして単純に、素直に愛の行為ができる人、それを幼児のごときと言うのでしょう。

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    2023年03月14日
  • 新装版 海と毒薬

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    私の中の戸田を見つめ直すことができた。
    周りのお咎めがなければどんな残酷なこともしでかしていたかもしれない。
    私達日本人は良心、善悪を世間に委ねている。しかし自分の心の拠り所は自分の核として存在していなければいけないし、柔軟であってはいけない。
    流される勝呂の弱さ、自己を肯定するために歪んだ解釈をしてしまう戸田の受動的態度をもしかしたら生活の中でしてしまっているのかもしれない。そこで人間らしい優しさや思いやりを忘れ、誰かを取り返しのつかないほど傷つけていたのだと思うと辛くて。

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    2023年03月01日
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ

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    ネタバレ

    遠藤周作先生の若き日から晩年近くまでに書かれた短文を集めたエッセイ集。没後四半世紀を過ぎてまだ新刊が出されることにまずは深い感慨を覚えます。
    やはり文体に深みを感じます。人間くさく美しい話ではない内容であっても文体には品を感じると言いますか。その品とは上品下品の品ではなく自分の人生、そして自身が関わる様々の人生に向き合う姿勢の真摯さというようなものでしょうか。先生自身の性質やカトリック信仰者であったことはもちろんあるでしょうがやはり戦後間もない時節に留学された体験が生きることに真摯にならざるを得ない人生にさせたのでしょう。今とは全く違う世界情勢の中でたった一人で日本では得られない全てを体験し伝

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    2023年02月27日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    新宿を舞台にした群像劇。
    「海と毒薬」に登場した医師の勝呂が、あの後どんな人生を過ごしてきたのかが分かる作品となっていた。
    それとガストンも。ガストンはここではイエス的な役割を担っていて、かなりの重要人物。彼の言動は突拍子もないように見え、自分も暮らしが立ち行かないのに人助けばかりして、破滅的すぎて時には滑稽ですらある。他人のためになぜここまで出来るのかと不思議でならないのだが、ラストでガストンの他人への気持ちや、心の声が聞こえた瞬間に号泣してしまった。
    その前の、勝呂の自殺でもすごく苦しんだ。そんな道を選ばず、最後の最後まで生きてほしかったのだ。
    癌の末期患者のケアを無償でやっていたのだって

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    2023年02月25日