遠藤周作のレビュー一覧

  • P+D BOOKS 宿敵 上巻

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    同じ秀吉恩顧の武将である行長と清正の確執を近習の頃から描いていて、その相容れない性質にひりひりするのだがどちらにも感情移入してしまうほど心理描写がうまい...。宿敵である行長が関ヶ原の戦いに負け処刑されこの世からいなくなった時、清正は宇土城を攻め落としていたが、城内で一人悦びはなく茫然と佇んでたとこがとても印象的だった。
    また行長の妻の糸が行長を深く理解し唯一の支えであり戦友として、最期まで夫を想い続けて行動していたのも泣けた。
    特に信仰と野心との間で揺れ自分の生き方に苦悩するところや、朝鮮出兵を経て何もかもを諦め俗世から去りたいと思う行長の心情の描き方が個人的な解釈にぴったり合う行長像だった

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    2024年03月26日
  • 彼の生きかた

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    20代の時に読み(30年以上前)このたび復刊したとのことで改めて読み直しました。若いときにも感動しましたがこの年になって理解できるものがたくさんありました。人生の理不尽をたくさん体験してきたせいかもしれません。無限にあるように感じていた未来は有限なことが実感できます。
    いじめのなくならい日本、若い世代にはぜひ読んでもらいたいです。そして有限の未来を過ごし憂鬱に思われるお疲れの世代の方々にも。声なきもの、弱い立場にあるもの、それはすべて自分自身なのです。遠藤周作氏の深い動物愛、人間愛、醜い面をも含めてうけとめてくれる懐の温かさに励まされます。
    弱くてもいい。大きなことができなくてもいい。身近なも

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    2024年02月19日
  • 秋のカテドラル 遠藤周作初期短篇集

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    大好きな遠藤周作先生。
    新作を今読めるとは思わなかったし、出会いも知らず知らずで。
    前半後半のみならず、エッセイだなと思うところもあれば、あれ?フィクションかな?と思ったり。
    短編集なので、とても読みやすかった。
    オチが明確なことがあ〜!って思ったり。
    ん?と考えさせるオチもあったり。
    遠藤周作のユーモアを感じさせる楽しい作品たちでした。

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    2024年02月15日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    作者が考えた理想の女性とされる森田ミツ。美しくもなければ学問もなく、ただ誰か他人がミジメで、辛がっているのをみると、すぐ同情してしまう癖を持つ彼女は、作者の描くイエス像を思い起こさせます。なぜ彼女がみじめに棄てられなければならなかったのか、という問いはすなわち、なぜイエスが十字架に架けられなければならなかったのかという疑問へと結びつきます。

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    2025年09月21日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    人が人を裁く資格なんてない。40年経った今も、当然それは変わらない。
    追い求める正義は、果たして誰にとっても正義なのか。自分がその立場に立った時、絶対に起こらないと断言できるのか。
    生きることに付随する悲しみが、あまりに多すぎる。もう苦しまなくていい、もう辛いことはない。誰もが死に向かう中で、死を求めることが「良くない」ことだと断言ができなくなる。
    人間の悲しみを知らないように振る舞う人間は、眩しい。し、暴力的だ。

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    2024年02月04日
  • 【新装版】ほんとうの私を求めて

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    自己啓発的な導入で始まった文豪エッセイに若干の戸惑いを抱きつつ、気付けば著者の一生に滑り込んでいた。温かでお茶目で少年のような心を持っていた著者に親しみを感じた。
    私が小学生の頃に亡くなられている。お会いしてみたかった。

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    2024年01月29日
  • イエスの生涯

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    ネタバレ

     私は本書にイエスの天涯孤独を読んだ。
     「汝等は徴と奇蹟を見ざれば信ぜず」(ヨハネ、4・48)とあるが、民衆はおろか、弟子たちですらもイエスの真意には寄り添わず、ひたむきに「愛」を説くイエスに、病を治す奇跡や、ユダヤ民族主義のリーダーとして立ち上がることを期待していた。
     「裏切り者」ユダに、イエスの意図を理解したうえで、民衆が求める者へと路線を変えてほしいと切に願い、幻滅した「哀しき男」[第8章]としての像を見たのは斬新な指摘であると感じた。

     お伽噺のような「物語」を基にして、説得的な「事実」を論理的に追及しているというある種の矛盾がとても面白かった。

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    2024年01月22日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    大晦日に読破。良かった。もう一度読みたい。
    人間はやがて死ぬ。早いか遅いか。今していることは、だからなんなん、と自問するとに戸惑うことばかり。どう生きようか。

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    2023年12月31日
  • 侍

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    弱い人でも強い人でも心挫かれたときに、その辛さを分かち合ってくれる理解者としてのキリスト。そして現世利益を重視する日本人にとっては富めるものよりも貧しいものがあの世で救われる考えや、実存的でないものがあまり合わない。こうした遠藤周作さんの考えるキリスト教や日本文化論を感じられる1冊でした。

    過去作『沈黙』よりも運命や身分、政治といった大きい力の前で従うしかない弱い人と抗う強い人が強調されている感じでした。
    とくに強い人として描写される宣教師の身勝手で欲深いために、周りに迷惑をかけてしまうところは共感を感じました。
    そんな強い人が心を折られ、そのなかで自分が成すべきことを見出し最期はある意味で

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    2023年12月29日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    一貫して哀しみの歌がこの小説には流れている。

    奉仕の心が大切なのは間違いないが、それが実際に他人への救いとなることがいかに困難かを知らされる。

    救われることへの諦念に僕は息を止めたくなった。

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    2023年11月23日
  • おバカさん

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    教授からのおすすめ本。
    どこまでも優しく誠実な外国人ガストンさんが日本にやってきてとある目的のために暮らす話
    思ったよりシリアスな展開で進むなかで要所要所に昭和感を感じました。
    個人的には比喩が大好きな作品!!!
    書かれた年代で雰囲気が変わるのも読書の醍醐味ですね~

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    2023年11月16日
  • 深い河 新装版

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    河は今日まであまたの人間の死を包みながら、それを次の世に運んだように、川原に腰かけた男の人生の声も運んでいった。

    死生観と信仰

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    2026年02月02日
  • 新装版 海と毒薬

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    個々人の内なる価値判断基準、神の存在、または良心とも言われるものから行動をおこすこと。このアンチテーゼをひたすら描写したのだと思う。
    あくまで組織内部の人間関係や、異性関係やなどを前提とした行動とはどのようなものかを描写したのだと思う。
    なぜ日本が太平洋戦争を引き起こし、敗戦したのか、ということにも重ね合わせられているようだ。

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    2023年11月01日
  • 満潮の時刻

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    著者自らの闘病生活をそのまま綴ったかのような内容。主人公の明石が入院中に見た「あの目」が彼に訴えようとしていたのは人生の本質とも思われるそれ。「人生」と「生活」、その両方を行き来する時に人は何を見るのか。
    きっと読む誰しもが「共感」を感じる一冊だと思います。とても満足でした。

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    2023年09月18日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    大学生の吉岡は遊び目的で森田ミツを呼び出し交わって棄てる。
    その後の2人の人生が対照的で、読みながら幸せな人生はどちらなのかと考えさせられた。不器用に生きるミツは石鹸工場から職を転々とし、一般的には不幸な境遇だが人生を全うできた意味で幸せだったと言える。一方、吉岡は小さい幸せを得たが、いつまでもミツとの思い出が消えずに残り、この幸せすら保証されているものではない。
    結局、修道女以上の愛情を持ち素直で優しい心の持ち主だったミツは関わる全ての者の記憶に残る神のような存在だったのだろう。
    次は芥川賞受賞の「白い人」を読んでみたい。

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    2023年09月02日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    素晴らしく、そして辛い気持ちになる本。エピソードは異なれどまるで自分の影がみえる吉岡の酷さや三浦マリ子の無邪気さよりも、ミツの、自分も決して恵まれてはいないのに、自分を差し置いてでも辛い人に自然に寄り添うことができる力に涙し、自分の中にある自己中なところ、優しさに欠くところを顧みてその情けなさ涙してしまうのかもしれない。もう少しだけ、私も人に寄り添える心になりたい…

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    2023年08月18日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    中学生の時に読んだときの衝撃が忘れられない。
    悲しさとは違う哀しさを知った本。
    やるせなくて、悔しくて、でもその感情をぶつける矛先が無くて、哀しい。
    海と毒薬でも沈黙でもなくこの本を教室に置いたあの国語の先生はたくさん本を読む人だったんだなあと思う。
    今年の夏に読み返したい。

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    2023年07月29日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    信仰、愛・・・形はないけれども人間にとって大切なもの。忙しい毎日を過ごしていると忘れてしまいそうな時に手に取って読むようにしています。出不精の自分がどういう訳か単身ポーランドのビルケナウ強制収容所に赴くことになってしまったくらい世界で1番好きな作品。

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    2023年07月20日
  • 死について考える

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    ◯どういうきもちになる
    ・死生について考えるきっかけになる
    ・生活ではなく人生と捉えるようになる。やるべきことが見えてくるような気がする 
    ・亡くなった親類や友人がきっと静かで穏やかな世界にいけてるんだろうなと救われる


    ・「死について」ではなく「死について考える」というタイトルがぴったり。死後のことなんて誰にも分からないけどその先を考えることで救われたり生を全うしようという気持ちになるよねー

    ・死を意識することで嫌でも生を突きつけられるから、死について考えることはやっぱり必要なことだと思う。自分が何をすべきか、何のために生まれたのかが見えてくるような気がする。死と何度も隣り合わせになった

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    2023年06月07日
  • 自分づくり~新装版~

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    科学、宗教、スピリチュアル、宇宙、心理学等
    それはそれはものすごい幅広い知識をお持ちで、それらを自ら熱心に学び、落とし込み、非常にわかりやすいユーモアたっぷりの話し方で
    この方と直に話せたらどれほど楽しく有益な時間を過ごせるだろう!と
    もしくは、学校の先生だとどれほどいいだろう。
    年齢も性別も異なるのにここまで惹きつけられる人というのも、今も尚読まれてる証拠だと思う。

    大昔に書かれたものなのに、何も変わらない人間の本質がそこにありました。
    子供にこそ読んでほしい。

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    2023年05月12日