遠藤周作のレビュー一覧
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ネタバレ私は本書にイエスの天涯孤独を読んだ。
「汝等は徴と奇蹟を見ざれば信ぜず」(ヨハネ、4・48)とあるが、民衆はおろか、弟子たちですらもイエスの真意には寄り添わず、ひたむきに「愛」を説くイエスに、病を治す奇跡や、ユダヤ民族主義のリーダーとして立ち上がることを期待していた。
「裏切り者」ユダに、イエスの意図を理解したうえで、民衆が求める者へと路線を変えてほしいと切に願い、幻滅した「哀しき男」[第8章]としての像を見たのは斬新な指摘であると感じた。
お伽噺のような「物語」を基にして、説得的な「事実」を論理的に追及しているというある種の矛盾がとても面白かった。 -
Posted by ブクログ
弱い人でも強い人でも心挫かれたときに、その辛さを分かち合ってくれる理解者としてのキリスト。そして現世利益を重視する日本人にとっては富めるものよりも貧しいものがあの世で救われる考えや、実存的でないものがあまり合わない。こうした遠藤周作さんの考えるキリスト教や日本文化論を感じられる1冊でした。
過去作『沈黙』よりも運命や身分、政治といった大きい力の前で従うしかない弱い人と抗う強い人が強調されている感じでした。
とくに強い人として描写される宣教師の身勝手で欲深いために、周りに迷惑をかけてしまうところは共感を感じました。
そんな強い人が心を折られ、そのなかで自分が成すべきことを見出し最期はある意味で -
Posted by ブクログ
◯どういうきもちになる
・死生について考えるきっかけになる
・生活ではなく人生と捉えるようになる。やるべきことが見えてくるような気がする
・亡くなった親類や友人がきっと静かで穏やかな世界にいけてるんだろうなと救われる
・「死について」ではなく「死について考える」というタイトルがぴったり。死後のことなんて誰にも分からないけどその先を考えることで救われたり生を全うしようという気持ちになるよねー
・死を意識することで嫌でも生を突きつけられるから、死について考えることはやっぱり必要なことだと思う。自分が何をすべきか、何のために生まれたのかが見えてくるような気がする。死と何度も隣り合わせになった -
Posted by ブクログ
遠藤周作さんのデビュー作にして恥ずかしながら自分にとっても初の氏の作品の出発点となる一冊となりました。
当書は戦後の1950年から53年の間の氏のフランス留学時代の手記から成っています。当時のフランスはドイツから受けた戦争の傷跡が生々しく、それがフランスの若者たちの心に影を落としている様子がこの書から伺えます。当時のコミュニズムに共感しながらシンパシーは完全には抱ききれない矛盾さを抱く若者たち。
また氏は、文学の諸作家の影を追って、フランス各地に赴き、その作家と生み出された作品の業について深く思索します。最後の編のアンドレ・ジイドとその妻の悲しい愛の在り方はジイド自身が妻を愛してはいるが、男色