遠藤周作のレビュー一覧

  • 沈黙

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    「沈黙」というタイトルは神の沈黙だけを指すか?
    →違う。3つの意味がある。

    キリシタン禁制時代の布教活動の話が本書のストーリー。
    しかし、その舞台設定で描いたのは、「人間の思いの強さ」「生の意義(あるかないか含め)」「守るべきもの」「人間や社会の残酷さ」。

    私のようないわゆる普通の宗教感(≒無宗教)を持つ日本人に、宗教の話は伝わらないと思っていた。でも、同じ日本で行われていたキリシタン迫害について、こんなに物語として魅力的で早く続きを読みたくなるように描けるのは、遠藤周作、凄まじい。。
    そして、この歴史という存在の過酷さに絶望する。


    そして、「沈黙」というタイトルが指すのはなにか

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    2026年05月31日
  • 海と毒薬

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    ネタバレ

    戸田は罪悪感が湧かないと言っていたけど、最後の「世間の罰だけじゃ何も変わらんぜ」という言葉が印象に残った。
    勝呂は罰を受けることを怖がっていたけど、戸田はやってしまった事実は変わらないことを、どこかでわかっていたのかもしれない。
    だから本当は戸田の方が重く受け止めていた可能性もあると思った。

    人は誰でも「やるしかなかった理由」を探して自分を納得させることがあるけど、ただ蓋をするだけでは、それは何かの瞬間に顔を出してまた自分を苦しめるのかもしれない。誰が悪いかではなく、人間の弱さや複雑さについて色々考えさせられた。

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    2026年05月27日
  • 沈黙

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    圧倒的に素晴らしかった。

    江戸時代前半の話。
    それよりちょっと前からイエズス会は、その版図を広げるために東へ東へ布教していき、ついぞ日本へ辿り着き、日本でもその版図は広がりました。
    貿易で利益を得ていた切支丹大名がいた一方で、勢力の拡大から、侵略を危惧した日本は鎖国、キリスト教の禁制を行いましたね。
    政治的にはそういう背景があったと思います。

    末端の司祭達はどうかというと、純粋に、東の果ての日本においても、キリスト教を求めている人がいて、救われることを信じている。
    日本の信徒はというと、貧しく厳しい生活の中で、確かに救いを求めているが、ヨーロッパでのキリスト教とは違う理解が進んでいそうで、

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    2026年05月14日
  • 海と毒薬

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    戦争について考えた作品で1番好き。ミソジニーらしいと色んなところで聞いたし作中でそれとなく感じるところもあったけど、だからと言って作品も嫌いにはなれないくらい良かった。地続きになっている病棟をずっと歩いている感覚

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    2026年05月12日
  • 新装版 海と毒薬

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    太平洋戦争中に、捕虜となった米兵が臨床実験の被験者として使用された事件(九州大学生体解剖事件)を題材とした小説。
    重いテーマなのでなかなか手に取りにくかったが、文章自体は読みやすく、あっという間に読めた。
    戦後の人の視点から始まり勝呂(すぐろ)医師の視点、加害者達の視点から感情を描写する。自分の事情や感情に囚われながら殺人に加担していくところに恐怖を覚えたけど、勝呂の気持ちだけでなく、一見冷酷に見える戸田や上田の気持ちも分かる気がする。表面的な正義感では語れない。極限状態におかれた人間の心理は実際には戸田に近いかもしれないとも思う。呵責や罪悪感を感じないようにすることで精神的重圧から耐えれたの

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    2026年04月29日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    ミツという女は、愛を与える行いを考える上で自分の中から消えないものになると思う。

    登場当初からこの女は鈍臭く頭が弱そうに卑下し、目の前を通る人たちがどうしようもない弱さや辛さを抱えているとみえるや否や、自分を犠牲にして尽くす。
    そこまでするところか?自分がなさすぎる、自分が地に足をつけて健康でいて初めて人を愛し救えるのではないのかと苛立ちながら読み進める。

    しかし福祉や看護など奉仕を生業とする仕事をしている人には浮かぶのではないか。自分ももしかしたら、カーディガン諦めて戻ろうかとよぎるのではなかろうか。自分ももしかしたらハンセン病でなかったと知ってももう一度御殿場の輪に戻ろうとよぎるのでは

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    2026年04月27日
  • 沈黙

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    遠藤周作めっちゃ好き。途中で、小説の形式が変わるのも面白かった。最初が手紙の形やったから、入り込みやすかった。最後の方に、一気に伏線回収が来るのも面白かった。

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    2026年04月13日
  • 沈黙

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    爆笑問題の太田さんが2025年8月のラジオで触れていて知った作品。
    沈黙を続ける神を信じて疑って、また信じる宣教師の葛藤が見事に描かれている。

    弾圧については踏み絵くらいしか知らなかったが、一気に解像度が上がった気がする。
    私も含め多くの読者はキチジローに感情移入するのではないかと思う。

    一方で本作についてカトリック教会側が批判したのも頷け、安易に決着がつけられるものでもないのだろう。
    短絡的に答えを求め、正解に雁字搦めになっている現代において、本作および「深い河」などと併せて、筆者の生き様が問い続けることの本質を読者に投げかけているように思う。

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    2026年04月01日
  • 深い河 新装版

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    いいものを読ませていただいた⋯

    何か自分を生かしたものへの「後ろめたさ」に悩まされ、それぞれの儀式的行いを経てそれを解消し、人生に秩序を取り戻していく。でもその秩序にも綻びがあるってことを、きっとそれぞれが感じてもいる⋯そんな雰囲気があって、その割り切れなさがすごく良い。

    そこから逸脱した、(おそらく主題の)美津子と大津の話は一層良かった。
    美津子は、自らの世界を規定する幻想の向こう側に行きたいのだろう。それ故、そういう枠組みを持たず、形式としての義務に従う(ように見える)大津に執着するのだと思う。大津は自身の行いを「イエスの真似事」と言うものの、その行いは限りなく純粋な形式に近いように思

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    2026年04月01日
  • 海と毒薬

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    そんな事実が本当にあったのかって
    新たな知識を得た小説でもあり
    それぞれの状況や心情、理由あっての行動
    今の時代、自分の生活ではありえない
    そういうものを知れる良い小説。

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    2026年03月30日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    この時代の長崎の神の沈黙を通じて、世界の綺麗事だけでは済まされない戦争や貧困などの理不尽について考えさせられた

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    2026年03月09日
  • 沈黙

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    最後の数ページに無茶苦茶読むのに時間かかって、日本語って難しいなぁと思ったけど、これは傑作。

    江戸時代の日本と信仰について書かれているんだけど、内省的で観察眼に優れた宣教師の目を通したことで、人間の感情の機微が、胡乱な私が実生活で得る以上に感じ取ることが出来る。

    個人的には、特定の文化の上に生まれた宗教が、他の文化の上で変質しているというのが面白かった。日本は布教するには泥沼だという記載がありましたが、文化基盤が違えば変質するっていうのは日本だけに当てはまることではないと思うんですよね。

    こと概念的である宗教において信じるものは文化基盤によって変異しているものなんじゃないかと思うので、そ

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    2026年03月08日
  • 沈黙

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    「殉教した人の話」を、この本を読む時にどれだけ知っているのか。これでこの本に抱く感想は変わるのではないか、と最近ふと思った。
    私はカトリックの一貫校でずっと宗教なる授業(一般でいうところの倫理という科目に該当する)を受けてきた。特に中高の宗教の授業では旧約聖書から新約聖書はもちろん、世界各国で平和を願い平和のために尽力した人や信仰を貫き殉教した人について学ぶ。隠れキリシタンのことも学ぶし、天正遣欧少年使節のうち殉教したのは誰かという質問にも答えられるし、第二次世界大戦の際にドイツだ殉教した司祭の話も知っている。
    そしてそれは単に「殉教しました」というナレ死のような学びではなかった。逆さに疲れて

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    2026年03月01日
  • 沈黙

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    信仰とは何かについて核を突かれたお話で面白かった。鎖国当時のキリシタンの迫害や、人種差別、外国人が日本をどう見ているのかが生々しく感じられた。「神はなぜ沈黙されているのですか」、カトリック教徒である遠藤周作が神の存在に関する記述や踏絵を持ってくるのはとても興味深かった。

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    2026年02月19日
  • 聖書のなかの女性たち

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    遠藤周作が聖書やイエス・キリストを直接のテーマとした作品の中では、この作品と「イエスの生涯」「キリストの誕生」の三作品がもっとも印象的だった。

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    2026年02月17日
  • 沈黙

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    傑作
    カラ兄やペストの不在とは異質な「沈黙」の残酷さとロドリゴの叫びが対照的
    「まだ黙ってんのか?こんなことされても?いつまで?…なぜ」という反芻に打ちのめされる
    装丁は荒涼とした黒い海、暗夜の孤独や祈りを喰らう闇を思わせるが、かすかな光は信仰の逆説による救済か

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    2026年02月15日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    「眠れぬ夜に読む本」はいつも私の傍にある。難しい言葉もなく理解できない不思議もなく、その世界を共有できるところにこの本の魅力がある。

    眠れないときは何を考えるか、
    1 生と死について考える
    2 東京について考える
    3 自分と他人と動物について考える
    4 趣味と興味について考える

    という目次に続いて、少し詳細に題名が並んでいる。

    名作「沈黙」があるように、狐狸庵先生はキリスト教徒だったけれど、難しい宗教の話や、心理学や、医学の話ではない。

    好奇心の赴くままに、過去や、現代や未来を考え、そこにあるべきもの、あったもの、出会うものなどを、ユーモアをこめて、語っている。
    不思議な現象を科学に照

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    2026年02月14日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    すごい良かった。プライドや緊迫感が伝わった。
    辛い時こそ何かに縋ったり頼りたくなる。
    沈黙を貫き通すかっこよさと愚かさが分かった。
    でも、自分の人生は信じるものだったら何を言われても沈黙を貫き通すかっこいい人間になりたい。
    何があっても。

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    2026年02月10日
  • ひとりを愛し続ける本

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    すごく良かった
    男性作家のエッセイは初めて読んだかも。文才のある方が書いただけあって、内容の濃かった。古い本だと思われるので、時代背景とか理解が難しいかと思ったが、全くそんなことはなく、とても人生の参考になった。彼の考え方を正直に書いているし、気取りもなければ、押し付けもない。素晴らしい。

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    2026年02月06日
  • 深い河 新装版

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    個人的には『沈黙』を上回る作品だった。
    今までは何かを信仰する気持ちというのがいまいちよく分かっていなかったが、ガンジス川を中心に描かれている人々(特に名もない貧民と大津)を通して宗教というものを内側から見ることができた。
    それによって、その人にとって何かを信仰するということの意味や意義を、実感を伴って感じることができた。
    「その言葉が嫌なら、他の名に変えてもいいんです。トマトでもいい、玉ねぎでもいい。」
    「玉ねぎがこの町に寄られたら、彼こそ行き倒れを背中に背負って火葬場に行かれたと思うんです。」

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    2026年02月06日