遠藤周作のレビュー一覧
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最後の数ページに無茶苦茶読むのに時間かかって、日本語って難しいなぁと思ったけど、これは傑作。
江戸時代の日本と信仰について書かれているんだけど、内省的で観察眼に優れた宣教師の目を通したことで、人間の感情の機微が、胡乱な私が実生活で得る以上に感じ取ることが出来る。
個人的には、特定の文化の上に生まれた宗教が、他の文化の上で変質しているというのが面白かった。日本は布教するには泥沼だという記載がありましたが、文化基盤が違えば変質するっていうのは日本だけに当てはまることではないと思うんですよね。
こと概念的である宗教において信じるものは文化基盤によって変異しているものなんじゃないかと思うので、そ -
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「殉教した人の話」を、この本を読む時にどれだけ知っているのか。これでこの本に抱く感想は変わるのではないか、と最近ふと思った。
私はカトリックの一貫校でずっと宗教なる授業(一般でいうところの倫理という科目に該当する)を受けてきた。特に中高の宗教の授業では旧約聖書から新約聖書はもちろん、世界各国で平和を願い平和のために尽力した人や信仰を貫き殉教した人について学ぶ。隠れキリシタンのことも学ぶし、天正遣欧少年使節のうち殉教したのは誰かという質問にも答えられるし、第二次世界大戦の際にドイツだ殉教した司祭の話も知っている。
そしてそれは単に「殉教しました」というナレ死のような学びではなかった。逆さに疲れて -
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「眠れぬ夜に読む本」はいつも私の傍にある。難しい言葉もなく理解できない不思議もなく、その世界を共有できるところにこの本の魅力がある。
眠れないときは何を考えるか、
1 生と死について考える
2 東京について考える
3 自分と他人と動物について考える
4 趣味と興味について考える
という目次に続いて、少し詳細に題名が並んでいる。
名作「沈黙」があるように、狐狸庵先生はキリスト教徒だったけれど、難しい宗教の話や、心理学や、医学の話ではない。
好奇心の赴くままに、過去や、現代や未来を考え、そこにあるべきもの、あったもの、出会うものなどを、ユーモアをこめて、語っている。
不思議な現象を科学に照 -
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難しそうで敬遠してたけど読みやすかった!勝呂は立ち止まって考えれば実験参加を断れた筈なのに、戦争と患者の死によって無力感が募り、自暴自棄になり、思考停止してしまったから断れなかった。考えることをやめないようにしようと思った。おかしい、という違和感を無視しないようにしよう。 戸田の、大人へ媚を売るところは確かになと思ったけれど、非情さには流石に共感できなかった。ずるいことをした後、後ろめたさがしんどいからやらなきゃいいのに。こんな大事件に加担しておいて良心が周りからの罰にしか向かないのが凄い。[やがて罰せられる日が来ても、彼らの恐怖は世間や社会の罰に対してだけだ。自分の良心にたいしてではないのだ
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ネタバレキリスト教信仰と、被曝地となった長崎、そしてアウシュビッツ。
第二次世界大戦の被害がとりわけ大きかったこの二つの土地が描かれている。
けれどこの作品は、戦争そのものを描いた小説ではなく、
タイトルの通り「女の一生」――
サチ子という一人の女性の生き様を描いた物語だったのだと、読み終えて強く感じた。
修平にとってキリスト教は、ただでさえ制約の多い戦時中において、さらに重たい枷となっていた。
教会でも「いたずら」をしてしまうような悪ガキだった修平にとってもやっぱりキリスト教の教えは心の指針だったのに、戦争によってそれが壊されていく...
その中で抱え続けた葛藤は計り知れず、同時に彼のまっすぐな -
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ガストンが『深い河』にも登場していて驚いた。
調べてみると、ガストンのモデルは、遠藤周作がフランス留学中にお世話になった神父だという。
また作中では、ガストンがキリストを象徴する存在として描かれていることもうかがえる。
人生は辛く、悲しいものというのがテーマ。
正義と悪だけで単純に割り切れるものではなく、それぞれに深い背景や過去がある。
ガストンはキリストのように、人と共に悲しむ存在であり、その姿勢は『沈黙』と通じる思想だと感じた。
作中の神父は信じた者だけが救われると語るが、ガストンと勝呂の関わりを見ていると、必ずしもそうではないように思える。
神を信じていない勝呂に対しても、ガストンは -
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ネタバレ・最初は完全に殉教の物語だと思って読んでいたが違った。
・「棄教した」という結果だけを見ると、その弱さや心神深くなかったのだろうと判断していた。「残念」という気持ちの方が強かった。
・でも読み進めるうちに、その背景や、その人の心の中にあった信仰心や葛藤なんて、本当は他人が簡単に分かることができるものじゃないんだよな、と思わされる。
分かろうとすること自体が、むしろ傲慢。
・だからこそ、その内面の奥深くまで含めて、そこでも赦してしまうキリストの存在が、すごいというより「敵わない」という感覚に近かった。
それこそが無償の愛なんだけど、同時に少し怖さすら覚える。
・特に印象に残ったのは、
教