遠藤周作のレビュー一覧

  • 沈黙

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    傑作
    カラ兄やペストの不在とは異質な「沈黙」の残酷さとロドリゴの叫びが対照的
    「まだ黙ってんのか?こんなことされても?いつまで?…なぜ」という反芻に打ちのめされる
    装丁は荒涼とした黒い海、暗夜の孤独や祈りを喰らう闇を思わせるが、かすかな光は信仰の逆説による救済か

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    2026年02月15日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    「眠れぬ夜に読む本」はいつも私の傍にある。難しい言葉もなく理解できない不思議もなく、その世界を共有できるところにこの本の魅力がある。

    眠れないときは何を考えるか、
    1 生と死について考える
    2 東京について考える
    3 自分と他人と動物について考える
    4 趣味と興味について考える

    という目次に続いて、少し詳細に題名が並んでいる。

    名作「沈黙」があるように、狐狸庵先生はキリスト教徒だったけれど、難しい宗教の話や、心理学や、医学の話ではない。

    好奇心の赴くままに、過去や、現代や未来を考え、そこにあるべきもの、あったもの、出会うものなどを、ユーモアをこめて、語っている。
    不思議な現象を科学に照

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    2026年02月14日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    難しそうで敬遠してたけど読みやすかった!勝呂は立ち止まって考えれば実験参加を断れた筈なのに、戦争と患者の死によって無力感が募り、自暴自棄になり、思考停止してしまったから断れなかった。考えることをやめないようにしようと思った。おかしい、という違和感を無視しないようにしよう。 戸田の、大人へ媚を売るところは確かになと思ったけれど、非情さには流石に共感できなかった。ずるいことをした後、後ろめたさがしんどいからやらなきゃいいのに。こんな大事件に加担しておいて良心が周りからの罰にしか向かないのが凄い。[やがて罰せられる日が来ても、彼らの恐怖は世間や社会の罰に対してだけだ。自分の良心にたいしてではないのだ

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    2026年02月11日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    すごい良かった。プライドや緊迫感が伝わった。
    辛い時こそ何かに縋ったり頼りたくなる。
    沈黙を貫き通すかっこよさと愚かさが分かった。
    でも、自分の人生は信じるものだったら何を言われても沈黙を貫き通すかっこいい人間になりたい。
    何があっても。

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    2026年02月10日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この本を知るまで、実際の事件を全く知らなかった。病院で人が死ななければ、外では空襲で人が死ぬ時代。時代による影響が大きいのかもしれないが、「生」と「死」に対して、感覚が麻痺していたのだろう。戦争医学や結核患者を救うという名目の解剖だったのかもしれないが、軍医は捕虜の肝臓を欲しがったり、解剖に参加した看護師は、教授やその奥さんの事しか考えてなさそうだった。断りきれなかったものの、手術を目の前にして「やっぱりできない」と怯えてしまう勝呂は人間的で、解剖による良心の呵責を考える戸田も人間的に思えた。

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    2026年02月06日
  • ひとりを愛し続ける本

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    すごく良かった
    男性作家のエッセイは初めて読んだかも。文才のある方が書いただけあって、内容の濃かった。古い本だと思われるので、時代背景とか理解が難しいかと思ったが、全くそんなことはなく、とても人生の参考になった。彼の考え方を正直に書いているし、気取りもなければ、押し付けもない。素晴らしい。

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    2026年02月06日
  • 深い河 新装版

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    個人的には『沈黙』を上回る作品だった。
    今までは何かを信仰する気持ちというのがいまいちよく分かっていなかったが、ガンジス川を中心に描かれている人々(特に名もない貧民と大津)を通して宗教というものを内側から見ることができた。
    それによって、その人にとって何かを信仰するということの意味や意義を、実感を伴って感じることができた。
    「その言葉が嫌なら、他の名に変えてもいいんです。トマトでもいい、玉ねぎでもいい。」
    「玉ねぎがこの町に寄られたら、彼こそ行き倒れを背中に背負って火葬場に行かれたと思うんです。」

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    2026年02月06日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    ネタバレ

    キリスト教信仰と、被曝地となった長崎、そしてアウシュビッツ。
    第二次世界大戦の被害がとりわけ大きかったこの二つの土地が描かれている。

    けれどこの作品は、戦争そのものを描いた小説ではなく、
    タイトルの通り「女の一生」――
    サチ子という一人の女性の生き様を描いた物語だったのだと、読み終えて強く感じた。

    修平にとってキリスト教は、ただでさえ制約の多い戦時中において、さらに重たい枷となっていた。
    教会でも「いたずら」をしてしまうような悪ガキだった修平にとってもやっぱりキリスト教の教えは心の指針だったのに、戦争によってそれが壊されていく...
    その中で抱え続けた葛藤は計り知れず、同時に彼のまっすぐな

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    2026年01月29日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ガストンが『深い河』にも登場していて驚いた。
    調べてみると、ガストンのモデルは、遠藤周作がフランス留学中にお世話になった神父だという。
    また作中では、ガストンがキリストを象徴する存在として描かれていることもうかがえる。

    人生は辛く、悲しいものというのがテーマ。
    正義と悪だけで単純に割り切れるものではなく、それぞれに深い背景や過去がある。
    ガストンはキリストのように、人と共に悲しむ存在であり、その姿勢は『沈黙』と通じる思想だと感じた。

    作中の神父は信じた者だけが救われると語るが、ガストンと勝呂の関わりを見ていると、必ずしもそうではないように思える。
    神を信じていない勝呂に対しても、ガストンは

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    2026年01月23日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    ・最初は完全に殉教の物語だと思って読んでいたが違った。

    ・「棄教した」という結果だけを見ると、その弱さや心神深くなかったのだろうと判断していた。「残念」という気持ちの方が強かった。

    ・でも読み進めるうちに、その背景や、その人の心の中にあった信仰心や葛藤なんて、本当は他人が簡単に分かることができるものじゃないんだよな、と思わされる。
    分かろうとすること自体が、むしろ傲慢。

    ・だからこそ、その内面の奥深くまで含めて、そこでも赦してしまうキリストの存在が、すごいというより「敵わない」という感覚に近かった。
    それこそが無償の愛なんだけど、同時に少し怖さすら覚える。

    ・特に印象に残ったのは、

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    2026年01月15日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    とても強烈な事件。

    だけど、人物それぞれの内情をのぞくと自分との親近感を覚える。

    「日本人とは如何なる人間か」という問いに対する要素を沸々と感じる。

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    2026年01月11日
  • 侍

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    ネタバレ

    こんなに悲しい悲劇的な小説もないというほど悲しいが、文句のつけようのない面白さだった。

    イエスという未知の大きな存在、それらに惑わされ翻弄される人々、想像もしていなかった世界に対する戸惑い、これらが全て余す事なく表現されており、続きが気になって仕方なかった。風景や船旅の描写もとても素晴らしく、どれだけ過酷で残酷であったのかが分かりやすく伝わった。大袈裟な表現は一切ない。あれが現実なんだと心から納得させられる、だからこそ辛い感情もたくさんあった。

    この作品の登場人物達に何か共感する事などとてもおこがましく感じる。日本とは狭く小さな国だと自分たちが言うのと、当時の侍が言うのでは重みが違う。

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    2026年01月08日
  • キリストの誕生

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    あくまでユダヤ教の一派、それも異端派として十字架にかけられたイエスはもういない。存命中に関わった人間と、人間としては関わりが無く信仰の対象として伝えられた人間とが発生する。見聞きしたか、聞いたかで神格化の度合いは異なってくる。発生発展展開の時代がやってきた。

    キリスト教がヨーロッパを席巻した後にも、宗派の違いで異端にされたり、火刑にされたり、戦争になったりってあったよなというのを踏まえると、人それぞれがキリスト教の中から信じたいエッセンスだけ抽出して、形作って固めて唯一無二にするみたいなことになるんだなって、解釈の違いってやつ?

    最初期にも解釈違いが起こってた上に、"総本山&qu

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    2026年01月01日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    出ました。久しぶりの★5
    読みながら、読んでみたい本、行ってみたい場所、家の近くで遠藤さんの行った場所を改めて見てみたい。
    そんな情報がてんこ盛りな本でした。
    また散歩ついでに遠藤さんの足跡を紡いでみよう。

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    2025年12月31日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    自分の信じているものが虚構なのかという疑いが生まれることは、どんな絶望よりも深い。
    神が本当に存在しているかどうかは誰もわからない。存在しているかではなく、信じているか、が要。
    沈黙を続けていた神は、踏み絵の中でようやく口を開く。

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    2025年12月31日
  • 白い人・黄色い人

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    キリスト教と人間の悪。「白い人」絶対的な神を持つ文化で生きる白人の道徳の中に沸き出す悪。「黄色い人」は信じるか信じないかの二択から解き放たれた人たちのただただ疲れた瞳、諦め、そして罪のない身軽さ。

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    2025年12月23日
  • 王国への道―山田長政―

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    史実を基にした架空のストーリーであるものの、知らなかった歴史的人物を魅力的に描いた小説で読み応えがあった。タイを見る目が少し変わりそう。

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    2025年12月22日
  • 深い河 新装版

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    名作。
    胸が熱くなり、最後は涙が出そうだった。
    死を迎えるためにガンジス河へ向かう、貧しく苦悩に満ちたヒンドゥー教徒たち。
    ガンジス河は人生を、罪を、そして死を流していく場所で、生と死がそこで交わる。
    全てを優しく包み込む深い河。愛に満ちた河。

    本書にはキリスト教、ヒンドゥー教、仏教が登場するが、特に大津の思想が強く印象に残った。
    神は多面的であり、どの宗教にも存在すると語る彼は、周囲から異教徒とみなされてしまう。
    宗教の違いで争いが起こるこの世の中で、私は無宗教だからかもしれないが、大津のような考え方があってもいいのではないかと思った。

    人生で一度は、聖なるガンジス河、そして飢えと病苦と

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    2025年12月13日
  • 深い河 新装版

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    一気に読んでしまった。
    「沈黙」の結論ともいわれる「深い河」の一行はインドに向かう。神はいるのか、いないのか。姿は見えなくとも、さまざまに転生するのだと。美津子の二面性に共感しながら、その両面を糊付けした孤独を馳せた。大津の生きざまを肯定したい。また読み返すだろうし、人生で大事な一冊になりそう。

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    2025年12月10日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    ネタバレ

    良心の呵責というものについて、こんなにも深く考えさせられたことはない。
    戦時中の医療現場という、自分には縁もゆかりもない世界なのに、まったく他人事とは思えなかった。
    とにかく物語への没入のさせ方が巧妙だった。
    プロローグでは読者の立場に近い、平凡な名無し男の視点から風変わりな開業医・勝呂を描き、第一章では勝呂の視点から事件に至るまでの経緯を描き、第二章ではとある看護師と、勝呂の同僚・戸田の過去を深掘りし、最終章ではそれらのピースが全て繋がって、全員が同じ禁忌の場に居合わせる。
    それぞれのチャプターで、全く異なる切り口から善悪や良心、正しさとは何かを訴えかけてくる。
    とりわけ第二章の戸田の子ども

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    2025年11月30日