遠藤周作のレビュー一覧

  • 深い河 新装版
    各々の苦悩や傷を抱えてインドを訪れる人々の物語。不器用で、不幸を買って出るような生き方をする大津と、だめな人と思いつつも学生の頃から彼に惹かれてしまう美津子の関係が面白い。大津が拠点を転々としながらも"玉ねぎ"への信仰心を絶やさず自分を重ねていったのも一種の「転生」か。

    ちょうどインド旅行に行って...続きを読む
  • 女の一生 二部・サチ子の場合
    一部の続編。
    どんどん文章が素敵になる作家さん。
    一部もよかったけど、私は二部の方が好き。

    アウシュビッツについて、知っているつもりになっていたが、想像を絶することがあったことを知ることができた。
    もう二度とこんなことがあってはならない。
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    海と毒薬の続編。

    生きることの悲しみや苦しみ、正論は人を追い詰め苦しめる。
    登場人物は多いけど、とてもわかりやすく描かれており、文章から情景が見える作品。
  • 沈黙
    2-3日前に読み始めて一気に読み切ってしまった。
    記憶がフレッシュなうちにレビューを書いておこうと思うんだけど、テーマが重く・深く・壮大すぎてなかなか考えがまとまらない。

    ひとまず現時点では「問い」について考えるようになった。
    普段の生活でもごく自然に自分自身への「問い」を立てることやそれについて...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    海の描写が印象的。最初のシーンの時系列に最後戻ってこないことにも興味が湧いた。葛藤や、日本人とは何なのか、神とは何なのか、向き合うこと、考えることが増える作品。この本に思い出があることも重なって、面白かった。
  • 自分づくり~新装版~
    自分が変わってしまうよう出逢いがあった。
    人間力を高める”人生経験の大切さ“を教えてくれた先輩たちに感謝します。
  • 沈黙
    小さい頃、親のベッドに遠藤周作の本が置いてあったのを覚えている。自分もいい歳になったし、読んでみようと思います手にとった。

    人間の生き方、信じるとは何かの根源を考えさせてくれる本。暗い、重い問いがずっと通底に流れている。視点がパードレ側に行ったり、外部からの記述形式になったりして場面転換するので自...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    みなさんには、自分の生き方を変えた1冊はありますか?
    ぼくは、子供のころから本を読むのが好きでした
    高校生くらいまでは、推理もの、いわるるミステリ、というジャンルのものを手に取ることが多かったです

    大学生になり、友達がこの本を勧めてくれました
    今まで手にすることがなかった種類の本
    読むうちに物語...続きを読む
  • 海と毒薬
    実際にどのように死体解剖が行われていったかではなく、参加していた一人一人の心情を描写するで読者でも有り得るのではないかと問題を提起するスタイルがとても面白くて新鮮だった。

    1番印象的だったのが戸田の過去で、死体解剖のような大きな出来事ではなくても、日常生活の中で責任感や良心が欠けているときが信仰の...続きを読む
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
     生体解剖という医学の暴力と無反省を糾弾する折戸が、記事の暴力により人を殺し、その現実を受け入れようとしていないという構造が、冒頭の「泥棒が泥棒をつかまえ」たことに似て滑稽に思えた。

     遠藤が、彼を含めた若い世代の人間に「距離を置いて対している」[427頁]ことも相まって、私は彼らに対して愛着を持...続きを読む
  • 侍

    まさに皆の思い浮かべるTHE SAMURAI的なやつ。もちろんハリウッド版じゃなくて三船敏郎版みたいな。
    侍ってひたすらに我慢を強いられるというか、そういうイメージのもとに明治から昭和の戦時体制やらその後の昭和やら、ずっと力を持っていたわけで、しかしついに日本でもそういう人種が隅に追いやられ始めて、...続きを読む
  • P+D BOOKS 宿敵 下巻
    同じ秀吉恩顧の武将である行長と清正の確執を近習の頃から描いていて、その相容れない性質にひりひりするのだがどちらにも感情移入してしまうほど心理描写がうまい...。宿敵である行長が関ヶ原の戦いに負け処刑されこの世からいなくなった時、清正は宇土城を攻め落としていたが、城内で一人悦びはなく茫然と佇んでたとこ...続きを読む
  • P+D BOOKS 宿敵 上巻
    同じ秀吉恩顧の武将である行長と清正の確執を近習の頃から描いていて、その相容れない性質にひりひりするのだがどちらにも感情移入してしまうほど心理描写がうまい...。宿敵である行長が関ヶ原の戦いに負け処刑されこの世からいなくなった時、清正は宇土城を攻め落としていたが、城内で一人悦びはなく茫然と佇んでたとこ...続きを読む
  • 死海のほとり
    本の全体に涙が流れている、そんな印象を受けました。イエスと出会う人々の苦しみや、救いを求める切実さが胸に沁み、それを救うことの出来ない、イエスの悲しさが胸を打ちました。

    イエスが捕まった際、本書の中で言った「すべての事に失敗すると、自分には分かっていた」という言葉が忘れられずに残っています。

    ...続きを読む
  • 沈黙
    簡単な本ばかり読んでいた私にはレベルが高すぎました。
    ですが、調べながら読んでいく中で
    学ぶことは抱えきれないほどあります。
    学校で習った踏み絵はこんなにも残酷で卑劣な行為だったことを初めて知りました。
    神様は人間の潜在意識の中に皆が持っています。
    ですが、神についての答えや痕跡がないからこそ、人は...続きを読む
  • 沈黙
    少し古めの本だから難しいかなと思ってたけど、驚くほど読みやすくて内容も頭の中で想像できてびっくりしました。踏み絵は中学、高校の教科書で見たことあるなくらいの知識しかなかったけど、この小説の中でどんなに過酷な状況に追い込まれてたのか、司祭者からみる日本というのが新しくて感慨深かったです。もっといろんな...続きを読む
  • 沈黙
    この本を中学3年の現代文の授業で扱ってくれて感謝しかない。一見読みにくいし、途中で読むのをやめたくなるような気持ちにもなるから。
    中学の頃から当たり前にお祈りしたり聖歌を歌ったりしていたけれど、私にとって、神とはどのような存在で、信仰はどのようなものなのかを考えたのはこの作品にであったことがきっかけ...続きを読む
  • 深い河 新装版
    高校生の時に課題図書だった「沈黙」は読みにくかったイメージがあり、遠藤周作のキリスト教信仰をテーマとした小説は避けていましたが、「深い河」は好きな本の一つとなりました。
  • 沈黙
    ポルトガルから船で日本に向かうという部分からも滲み出るキリシタンの強固な信仰心。幕府のキリシタンへの弾圧のむごさに途中読むのが苦しくなりつつも、全世界で読まれ、映画化されるだけある壮大な名作。出会えてよかった名著。
  • 深い河 新装版
    たぶん、『こころの声を聴く―河合隼雄対話集』の中で取り上げられていて、読みたくなった本だったはず。
    河合隼雄の本でよく言われている、欧米に行った時の、日本人としての葛藤を、そのままこの本に出てくる大津が代弁してくれてるんだなと思いながら読んだ。

    「ヨーロッパの考え方はあまりに明晰で論理的だと、感服...続きを読む