遠藤周作のレビュー一覧

  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    フランス史好きにはたまらない……読みやすいー!!フィクションを混ぜているからこそさらに面白いのかなあ。

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    2023年02月21日
  • 善人たち

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    善き人であることの苦悩や、善き人として生きることの難しさを感じた。
    特に最後の戯曲「わたしが・棄てた・女」は、純粋さと善意に満ちた生き方を痛いほど貫いたみっちゃんに対して涙が止まらなかった。
    善き人でいることは、何が起きても他者への優しさや同情、共感が捨てられずに涙を流さなければいけないとても過酷なことなのだと感じた。

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    2023年02月14日
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ

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    海と毒薬、沈黙、同じ手から生み出される作品ではあるが、こちらは遠藤周作という人物の成長と人となりが垣間見れるエッセイ。
    初期のものからというが、自分を投影するその言葉一つ一つはとても完成度が高く、空気まで運んでくるよう。

    遠藤周作と言えばキリスト教。宗教じみていないキリストとの関係を書くエッセイもまた魅力。
    過去に読んだ中でも取り上げられていた、テレーズでルケルーも登場して、お蔵入りした書棚が読まなければと思い出した。
    遠藤周作の言葉から発せられると、とても興味深くその感覚を共感したくなってしまうから不思議。

    このエッセイには遠藤周作の家族や、若き日の海外暮らしも知ることができ、小説家遠藤

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    2023年01月30日
  • 砂の城

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    青春の試練に、人生の難しさ、厳しさを思い、それを重ねるべく努めないといけない。

    若者が夢想と空想のうちに築いていた青春=砂の城は崩れていく。

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    2023年01月29日
  • イエスの生涯

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    キリスト教観がかなり変わった
    これでキリスト教観を変えられると言うのはまさに同作者の「沈黙」で言われた「沼地」のようなものだけれど
    それでも

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    2025年03月03日
  • 死について考える

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    時にユーモアを交え、死についてさまざま語られた本。

    「亡くなった肉親や先祖たちのいる世界に戻るという感覚」
    そう捉えると、死もこわいものでは無くなる気がする。

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    2023年01月22日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ガストン良い奴過ぎる。勝呂医師は天国で涙を流しているんだろうか。
    自分の中にも折戸がいるのかもしれない。

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    2023年01月18日
  • 白い人・黄色い人

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    私は神を信じていないので、日本で日本人がキリスト教(どの宗教でもだけど)を信仰することに興味がある。理解したというより興味が増した。わからないことだらけ。

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    2023年01月09日
  • 侍

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    遠藤周作の圧倒的無力感・孤独感を凝縮した野間文芸賞受賞の傑作。
    鎖国下での宣教師と侍という特殊な立場の対比が興味深い。
    長編の中でも尺のあるボリュームだが、その前半で何となく結末が分かってしまうにも関わらず読ませてしまうエネルギーと説得力。

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    2023年01月08日
  • 砂の城

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    理想像として描かれる母の青春、醜く歪んだトシの青春、そして疑問や不安を抱えながらも、清く正しくあろうとする泰子の青春。
    青春という浜辺で作るそれぞれの砂の城は波に攫われ消えてしまうけど、たしかにそこにあった。泰子の清らかさに眩しくなりながらも、私もそうありたい、と願う瞬間も幾度となく。

    美しい言葉が多くある本だなという印象だった。

    「夢みたものは ひとつの幸福 ねがったものは ひとつの愛」「負けちゃだめだよ うつくしいものは必ず消えないんだから」「美しいものと、けだかいものへの憧れは失わないでほしいの。」「人間がつくりだす善きことと、美しきことの結集」

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    2022年12月18日
  • 新装版 海と毒薬

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    ネタバレ

    大岡昇平の野火を読んだ時にも思ったけど、自分がそういう場所に立たされたときに自分ならどうするんだろうが常に付き纏う。そして解説で「日本人とはいかなる人間か」っていう問いには、安易ではあるけど「同調圧力」「派閥」ってものに弱いんだなと感じてしまった。
    上田ノブという看護婦さん、25歳で嫁き遅れと感じていて、この男でいいから子供がほしいと結婚する描写…戦後70年経っているのにこういう焦燥感みたいなものが今でも残る日本、やはり同調圧力みたいなものは相当根深いのでは?って思う。
    そこからの上田さんの人生はたしかに哀しみが深いものだ…お腹の中で子供が死んで、自分がこれから子供を産めないってなったら、放っ

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    2022年10月07日
  • 白い人・黄色い人

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    ネタバレ

    2作品共、神を信じない男が主人公で、性質も振る舞いも好ましくないのが印象的だった。裏切り者として「ユダ」のイメージが示唆され重ね合わせていく。
    「白い人」は拷問者側の視点が描かれているのが興味深かった。誰も好き好んでやりたがらないと思っていたが、志願する中には加虐心のある者もいたのかもしれない。この役目を担うまでは芸術を愛していたかもしれない。病のため、使い捨てのように配属されたかもしれない。
    今の日本人の日常からは想像のできない拷問という行為が、拷問者を描くことで想像できるものに変わり、すぐ近くに浮かび上がってくる。
    主人公がこのような性質になった理由として、家庭での抑圧された教育があったこ

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    2022年09月20日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    昔読んだのでね

    なんだろうね、遠藤周作って表現が秀逸とかそこまでじゃないんだけど読みやすくてリズムがよくて読んだあと不思議な気持ちになるんよね
    戻ってくるのはいつもここなんかね

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    2022年08月31日
  • 新装版 海と毒薬

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    読後、あぁなんかすごい小説を読んでしまった…と感嘆の声が漏れた。話の構成もとてもよく、深い海に引きずり込まれる感覚で読んだ。
    戦争末期、空襲でたくさん人が死んでゆく日常の、その時代を生きぬいた日本人にしかわからない殺伐とした空気。だが、この小説の問いらしきものには現代人の私も深く考えさせられる。

    「世間や社会の罰に対する恐れはある。だが、自分の良心に対する恐れに苦しめられたことはあったのか?」

    「ぼくらの中には、世間や社会の罰をしか知らぬ不気味な心がひそんでいるのではなかろうか?」

    「この人達も結局、俺と同じやな。やがて罰せられる日が来ても、彼等の恐怖は世間や社会の罰にたいしてだけだ。自

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    2022年08月25日
  • 死海のほとり

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    とてもよかった。

    沈黙、海と毒薬、深い川、白い人、黄色い人をこれまで読んできての本作。

    遠藤周作の考え方、向き合い方がだんだんとわかってきて、それでもまだ途上にいるんだなという感じがすごく伝わってきた。



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    2022年11月07日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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     遠藤周作『沈黙』の初版本を半世紀前に読んで以来、遠藤周作のテーマにはずっと寄り添ってきたつもりでいたが、数年前、念願かなって、二泊三日ではあったが、長崎を訪れる機会に巡り合った時、私は、彼の地の切支丹の歴史はもちろん、「長崎」というものの本質的な姿、実体などもろもろ何も分かってはいなかったことを思い知らされた。唖然とするばかりだ。
     この『女の一生』一部、キクの場合を熟読した後の今も、頭の中の混迷はますます深まるばかり。

     とりあえず今、言えるのは、二部の「サチ子の場合」は、これを読んだ戦前戦中を生きた人々が物語の中に「あっ、サチ子は私自身だ」と感銘をもって共感できる典型を創造していったこ

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    2022年08月01日
  • キリストの誕生

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    『イエスの生涯』の前にこちらを読んでしまったがものすごく興味深く読ませていただいた。

    日本人にとって、仏教よりもよほどとっつきにくいのがキリスト教、イスラム教だと思う。キリスト教について知りたいとは思うが、聖書はとても読めないなということできっかけとしてこちらの本を読んだ。

    神格化される前の無力な人間であったイエスが、如何にして人類にとってここまでの大きな存在になったのか。人間の弱さ、悩み、もがき足掻く姿が遠藤さんの読みやすく飾らない文章で綴られている。 
    原始キリスト教団の群像劇として読んでも面白いです。
    この本を読むと“沈黙”という言葉の重みがより解るのだなぁ。

    キリスト教ってなんな

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    2022年08月01日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    僕らの人生をたった一度でも横切るものは、そこに消すことのできぬ痕跡を残す。
    神はそうした痕跡を通して僕らに話しかける。

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    2022年07月17日
  • 沈黙

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    殉教シーンは凄惨だが同時に美しいとも感じた。愛するもののために命をかけられるほどの信念を持てるというのは少し羨ましい気がした。神は外側ではなくそれぞれの内面に存在するものなのかなと思った。

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    2025年06月24日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    遠藤周作は「あとがき」にこう書いている。
    「どんな人間にもその人生には書くに足る劇があるのは当然だが、我々世代の一人一人にはそういう意味で個々の劇のほかに共通したドラマがある。私はその共通したドラマを主人公サチ子の中に書いてみたかった。「あっ、これは、わたくしだ。わたくしと同じだ」 毎朝、私の新聞小説を読んでくださる主婦がそこに自分の似姿を見つけられたらなら、この小説は書き甲斐があったと言うべきであろう。」
    市井の庶民一人一人の戦中体験が、実は、最も貴重な歴史そのものであるという認識が、作者の心の中を占めていた。
    このようなサチ子を私が初めて知ったのは岡本喜八監督の映画「肉弾」の中で、大谷直子

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    2022年06月06日