あらすじ
美しいブロンドの髪とあどけない瞳を持つ14歳の少女が、オーストリアからフランス皇太子妃として迎えられた。少女はやがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える運命にある……。フランス革命を背景に、悲劇の王妃の数奇な生涯を、貧しい少女マルグリット、サド侯爵、フェルセン、ミラボーなど多彩な人物を配して綴る、壮大な歴史ロマン。
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Posted by ブクログ
子供の頃、一人の偉人にスポットを当てた学習まんがをよく読んでいた。マリー・アントワネットもその内の一人だった。小学館のもので、ネットで調べると未だに出てくる。子供の読み物では、主人公を肯定した一面的な描かれ方をする。これは子供が読むことを想定して矛盾を生じさせないように、一貫性を持たせるということなのだろう。しかし、そんな常に善に向かって生きている人間はいないし、何よりつまらない。
今回この遠藤周作の描くマリー・アントワネット及びマリー・アントワネットを取り巻く人物がいわゆる革命前夜にどう蠢いていたのかを、関係性を持たせながら描いており、完全な善悪を区別出来ないところが非常に面白い。主人公マリー・アントワネットは可憐でどこまでも無邪気である。その無邪気さは、言い換えれば鈍感さになってしまう。浪費に浪費を重ねる王宮周辺が日常の世界であって、今日の食にも困窮している民衆に気付かない。無垢なる罪はやがて……
大人になり、自分なりの物事の物差しを用意できるようにならないとこういった物語には手を出してはいけないのか?何せ義務教育には道徳の授業があるから。要は教育しやすくする為の装置として機能させているというだけ?世の中そうも言ってられなくないかね。
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面白かった!
恥ずかしながら高校卒業以来世界史には触れず、マリーアントワネットの名前は知っているくらいの知識レベルでしたが、それ故楽しむ事も出来た作品でした。情景を思い描きながらするすると読み進める事が出来ます。
豪華絢爛な王室の様子と対比のように描かれる民衆の暮らし、刻一刻と広がっていく革命の声。。下巻でどのように更に書き進められていくのかが楽しみです。
ちなみに、1番印象的だったのは最初の情景、マリーアントワネットがオーストリアからフランスに来たばかりの様子ですね。まだ政治的な話がそこまで介入しておらず、ひたすらに彼女の可憐な動作や周囲からの印象などが描かれており、自分自身も息を呑む民衆の1人になったかのような感覚になりました。
Posted by ブクログ
今フランス革命(というかマリーアントワネット)に興味を持っていて、でも知識が高校の世界史ほどしかないので、いきなり学術書は難しいかなと思い選びました。
分かりやすい文章で物語が書かれているので、楽しいんでいる間に勉強になるという感じでとてもよかった。
史実に忠実というわけではないので、マリーアントワネットの生涯や関わった人を知ってその後に史実に基づいた書物を読みたい私にとってはぴったりでした。
歴史を授業で勉強したときには人民の敵、浪費家、庶民のことを考えない女王、のイメージでしたが、その時代を考えると仕方がないのかなとも思えてきました。
貴族・王族に生まれたものと庶民とは、そもそももとから交わる運命になくって、情報が今みたいに簡単に手に入るわけでもなく、平等が当たり前ではない時代に生まれていたら私もギロチンに架けられていたかも・・・
Posted by ブクログ
「だがその頃のマリーアントワネットは実に芙蓉のように美しかった。たぐいなく美しかった」
時代に翻弄される王妃と、マルグリット
そのまわりで時代を大きく動かそうとする人々
このエネルギーはこの時代だからこそなのか?
美しい王妃が哀れでもある。さあこれから後半革命が始まる!遠藤周作さんのこの作品は読みやすくてどんどんのめり込んでいく!
Posted by ブクログ
史実にある部分とフィクションを織り交ぜて、フランス革命前後を実におもしろく描いています。しかしここで言う「フィクション」とは、虚構とはまた違ったものだと思います。
史実にある点と点をつなぐ時に、「どうやったらこの点がつながり得るか」というあたりを実にクールに、そして情熱的に考えてできたのがこの作品なのではないでしょうか。
ハイライトは「首飾り事件」辺りだと思います。史実は史実としてちゃんと記述し、その裏事情をおもしろく、そして緻密に描いています。山師カリオストロを黒幕として登場させたあたりはさすがとしか言いようがありません。
主人公は題名の通りですが、たくさんの登場人物が作者に命を吹き込まれ、生き生きと動いています。実によく作られた群像劇だと言っていいと思います。
Posted by ブクログ
マリー・アントワネットは、フランス王妃。14歳で結婚し、37歳でギロチン死刑となるが、フランス革命は王妃のお金遣いが荒いせいだけではなく、軍事費(アメリカ独立革命に干渉してのこと)によって財政の苦境に見舞われた。王妃のスキャンダルもあったが、実際は王だけで浮気はしていない。スウェーデン人ウェルセン伯爵とはプラトニックで終わっている。どんなに辛くても、王妃としての優雅さを忘れず死刑のときも保っていたという。
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高校生の頃、世界史の授業でフランス革命について学び、もっと詳しく知りたいと思って手にとった本。これを読んでいたおかげで、テストではバカ暗記をせずに済んだ。教科書に書いてあることだけを読んで「フーン」と暗記に時間を取られるよりも、本を読んだり、映画観たりして理解するのが断然効率が良い。…と、実感した次第でございます。テストに出てくるような人物も必ず物語に登場するしね。
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マルグリットという架空の女の子がいることで、物語、市民らに共感でき、読みやすいと感じた。
マリー・アントワネットは、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」の印象しかなかったから、首飾り事件などもっととんでもないことをしているとは驚きだった。
そんな中で、可愛げがあるところがたまらない、王宮にはやはりロマンがある。そう思わされる一冊だった。
トリアノン、ヴェルサイユ宮殿いきたくなる。
実際、訪れてみると広すぎて、もう行きたくない^_^
Posted by ブクログ
面白かった。オーストリアから国の友好のために嫁入りした美少女マリー・アントワネットの、宮廷での人間らしい振る舞いは等身大で、ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人に義憤を募らせるところや、小太りでうだつの上がらない夫ルイ16世への親愛と失望や、人間としてあるあるな心の動きが描かれていて理解しやすかった。悪気はないけどわがままで楽天的でチャラくて、それでもコミュ力はあって華やかなこういうギャルいるよなぁ。決して悪人ではなくて、スエーデン人のフェルセンを弟のように保護してあげようとする女心とか、無邪気なところとか、良いところも悪いところもひっくるめた人間アントワネットをそのまま描いていて好きだ。一方裏では孤児マルグリットが娼婦に身を落としながら逞しく、アントワネットに復讐しようとしていたり、飢えている民衆から打倒王室の革命の声が聞こえてきていたり、旧体制や古い基督教道徳への反発が描かれている。その中には遠藤周作によくある、こんなにも民は飢えて苦しんでいるのに、神は沈黙しているという投げかけがある。遠藤周作的と言えば時代的に仕方ないのかもしれないけどねちっこさやいろんな不快な性質を「多くの女に見られるあの性質」的な感じで語るの若干イラっとくる。
Posted by ブクログ
40年近くも古い本だけど、
マリーアントワネットの生涯について興味があり、
何故罪に問われ殺されたのか、
その時代の王室と市民の乖離した感覚など、面白かった。
少しは(どの程度か分からないけど)脚色され、物語としている部分があるので、全てが真実ではないけど。
上巻なので、まだ半分。
Posted by ブクログ
今更になって読む遠藤周作。
マリー・アントワネットと対の立場となる少女を据えたのが面白い。ただ彼女が読者を映すわけではなく、性格はそれほど良くないし恨みがましい。
知らないエピソードが多く、興味深くてどんどん読み進めることができた。
歴史の教科書でしか知らない人物に血が通っていくのは何度経験しても良いものだ。
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ずいぶん昔に読んだのであらすじの大部分は忘れてしまいましたが、マリーアントワネットが幽閉されてギロチンにかかるまでをどのように過ごしたのか想像を掻き立てたのをよく覚えています。
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ベルばら展後、実家に昔からあるこの本を手に。ベルばらのマリーアントワネットとはまた少し違う印象でより我儘に感じましたがこちらの方が史実通りなのでしょうか。人物・場所など調べながら読むとより歴史に触れられて◎でした。
Posted by ブクログ
初めて読んだ遠藤周作の本。こんなに面白いとは!
マリーアントワネットの事を非常に詳しく知る事ができる。また、1700年台のフランスの生活がよくわかる。貴族であるアントワネットと一般庶民であるマルグリットを交互に描いており、読み手を飽きさせない。
他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
マリー・アントワネットの壮大な一大歴史叙事詩を遠藤周作氏が描く。アントワネット氏の豪奢で絢爛な面だけでは品性を保ちながらもフランス革命前夜の時代に翻弄される姿が印象的に描かれる。史実を、マルグリットやフェルセンのフィクションで照らすことで、さらに物語的な深みが増している。マルグリットとサド侯爵のやり取りはもちろん架空だがひょっとしたらこういうエピソードもあったのではないかと思わせるのは遠藤氏の極めて高度なレトリックの結果だろう。特にギヨサンとサンソンの話は結果皇妃自らが裁かれることを知る我々にとっては不気味にそしてなにかもの哀しい。
教科書で見る浮世離れしたアントワネット氏の姿ではなく、純粋な14歳の少女から王妃としての自覚と品格を備え毅然とした態度で社交界で振る舞う姿が印象的だ。ひとりの女性としてどうであったか、マルグリットの嫉妬と羨望の眼を通してアントワネットの僥倖と苦悩が描かれる。
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なにやら私のマリー・アントワネットの印象に変化が。
彼女の行動に、気持ちに、どんどん引き込まれていきます。
上巻は、オーストリアから嫁がれる日からあの有名な首飾り事件まで。さて、後半に進むとします。
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この作品を読みながら感じたことは、この王妃がここまで浪費をして、民衆に憎まれなかったら、フランス革命はあそこまで血で血を洗う極端に残虐な結末になることもなかったであろう。少なくとも庶民に愛された王室であったなら、王も王妃も処刑されることもなかったのではないか。
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学校の歴史の授業ではその名前だけがさらっと流される程度で奥深い部分を知る機会にとてもいいと思う。
自分が学生の時に読んでいたら歴史の授業も面白くなったはず。
華麗に贅沢に生きていただけと思っていたアントワネットの内面を冷静に見つめられる部分も面白い。
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フランス革命前夜。王妃マリー・アントワネットと娼婦マルグリッドの視点を中心とし、時代が傾き転覆するまでの交錯とすれ違いを匠に描写した作品。前編は「首飾り事件」によるフランス革命の始まりまで。
13/5/15
Posted by ブクログ
初めて読んだ遠藤周作です。
フランス革命前後の小説という意味でも初めて読みました。
ただただきらびやかな一面だけが書かれているのではなく、アントワネットの内面も丁寧に書かれていて、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という有名な(?)アントワネットとは違う一面を読めました。
彼女のその内面に、共感できるかどうかは別ですが。。。
Posted by ブクログ
マリーアントワネットが好きなので興味がある話だった。文章は分かりやすい。庶民側の生活も描かれていたので当時の様子が理解しやすかった。でも同じ言葉を繰り返してるとこはちょっと退屈だったから読むのに時間がかかった。ベルばらにもあったシーンがけっこうあって意外だった。首飾りの話はおもしろくて引き込まれた。
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読み易く、物語としても面白い。
マルグリットの話をうまくからめて、マリー・アントワネットと対比させているところが、うまいと感じる。
庶民と王室の違いを鮮明に描いている。
首飾り事件までが上巻。
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上巻は王妃の首飾り事件まで。フェルセンが出てくるあたりから面白くなってきたけれど、王太子とあるべきところが皇太子になっているのが気になってしまって、いまいち集中できず……。
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マリア・テレジアの末娘であるマリー・アントワネットは、フランスの皇太子妃としてオーストリアからやってきます。夫であるルイ16世は、ひとが好いだけで彼女の心を動かすことはありません。しかも彼女は、国王ルイ15世の寵愛を受けるデュ・バリーとの対立を引き起こしてしまいます。
パン屋での過酷な労働から逃げ出してパリに出てきたマルグリットという少女は、売春宿に身を置いて働くことになります。女主人である「兎のおばさん」は彼女の世話をしてくれますが、指名手配を受けているマルキ・ド・サドの逃亡を助けたことで逮捕されてしまいます。マルグリットは、生まれながらにして自分とはまったく異なる境遇にあり、すべてを手にしていると思われたマリー・アントワネットに対して、激しい憎しみをいだくようになります。
世間は、フランス革命へ向けてしだいに騒がしさを増していますが、心に空虚をかかえるマリー・アントワネットは、ぜいたくな暮らしぶりをあらためようとしません。そんななか、彼女に取り入ろうとして失敗したカリオストロは、マリー・アントワネットにそっくりの横顔をしているマルグリットに目をつけ、彼女を利用してマリーへの復讐をおこなうことを計画します。
マリー・アントワネットという歴史上の人物を中心に置きながら、マルグリットという対照的な立場に置かれた少女が、サドをはじめとするさまざまな人物たちのあいだを動くことでストーリーを関連づけており、歴史を知らなくてもたのしんで読むことができる内容になっています。
Posted by ブクログ
冒頭からとても読みやすい。たくさんの書籍などを参考にしているのだろうけど、そんなことにも気づかされないくらい物語の進行が滑らかで、堅苦しくなく、娯楽としてスラスラ読める。
Posted by ブクログ
王妃マリー・アントワネットの華やかで孤独な宮廷での生活が、マルグリットという架空の最下層の娘の暮らしと対比されます。ノストラダムスやサド侯爵など同時代の有名人もたくさん出てきます。
Posted by ブクログ
フランス革命に消えたフランス・ブルボン家の女王マリー・アントワネットを描く物語。マリー・アントワネットがオーストリアからフランスへと嫁ぐ場面から始まる。そしてそれを恨めし気に眺める、パン屋の奉公少女マルグレット。この2人を軸にストーリーが展開してゆく。
マリー・アントワネットは、まだあどけない少女ながら宮廷政治に大きな影響を持つ立場となり優雅な暮らしながら自由も何もない。時には孤独を感じることも。ルイ15世の愛人デュバリー夫人との対立など、トラブルも起こす。
マルグレットは、パリに出てきたものの、娼婦となりその日暮らし。自らの世話をしてくれた兔のおばさんの逮捕をきっかけに、王家や貴族への恨みをますます深いものにしてゆく。物語のアクセントの存在として、サド侯爵がいる。遠藤周作の『留学』という短編集におさめられた、「汝も、また」という短編はサド研究者の話であった。サド伯爵が破廉恥罪で投獄されたり、活躍(?)したのはこの時代だった。