あらすじ
美しいブロンドの髪とあどけない瞳を持つ14歳の少女が、オーストリアからフランス皇太子妃として迎えられた。少女はやがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える運命にある……。フランス革命を背景に、悲劇の王妃の数奇な生涯を、貧しい少女マルグリット、サド侯爵、フェルセン、ミラボーなど多彩な人物を配して綴る、壮大な歴史ロマン。
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Posted by ブクログ
今フランス革命(というかマリーアントワネット)に興味を持っていて、でも知識が高校の世界史ほどしかないので、いきなり学術書は難しいかなと思い選びました。
分かりやすい文章で物語が書かれているので、楽しいんでいる間に勉強になるという感じでとてもよかった。
史実に忠実というわけではないので、マリーアントワネットの生涯や関わった人を知ってその後に史実に基づいた書物を読みたい私にとってはぴったりでした。
歴史を授業で勉強したときには人民の敵、浪費家、庶民のことを考えない女王、のイメージでしたが、その時代を考えると仕方がないのかなとも思えてきました。
貴族・王族に生まれたものと庶民とは、そもそももとから交わる運命になくって、情報が今みたいに簡単に手に入るわけでもなく、平等が当たり前ではない時代に生まれていたら私もギロチンに架けられていたかも・・・
Posted by ブクログ
史実にある部分とフィクションを織り交ぜて、フランス革命前後を実におもしろく描いています。しかしここで言う「フィクション」とは、虚構とはまた違ったものだと思います。
史実にある点と点をつなぐ時に、「どうやったらこの点がつながり得るか」というあたりを実にクールに、そして情熱的に考えてできたのがこの作品なのではないでしょうか。
ハイライトは「首飾り事件」辺りだと思います。史実は史実としてちゃんと記述し、その裏事情をおもしろく、そして緻密に描いています。山師カリオストロを黒幕として登場させたあたりはさすがとしか言いようがありません。
主人公は題名の通りですが、たくさんの登場人物が作者に命を吹き込まれ、生き生きと動いています。実によく作られた群像劇だと言っていいと思います。
Posted by ブクログ
マリー・アントワネットは、フランス王妃。14歳で結婚し、37歳でギロチン死刑となるが、フランス革命は王妃のお金遣いが荒いせいだけではなく、軍事費(アメリカ独立革命に干渉してのこと)によって財政の苦境に見舞われた。王妃のスキャンダルもあったが、実際は王だけで浮気はしていない。スウェーデン人ウェルセン伯爵とはプラトニックで終わっている。どんなに辛くても、王妃としての優雅さを忘れず死刑のときも保っていたという。
Posted by ブクログ
面白かった。オーストリアから国の友好のために嫁入りした美少女マリー・アントワネットの、宮廷での人間らしい振る舞いは等身大で、ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人に義憤を募らせるところや、小太りでうだつの上がらない夫ルイ16世への親愛と失望や、人間としてあるあるな心の動きが描かれていて理解しやすかった。悪気はないけどわがままで楽天的でチャラくて、それでもコミュ力はあって華やかなこういうギャルいるよなぁ。決して悪人ではなくて、スエーデン人のフェルセンを弟のように保護してあげようとする女心とか、無邪気なところとか、良いところも悪いところもひっくるめた人間アントワネットをそのまま描いていて好きだ。一方裏では孤児マルグリットが娼婦に身を落としながら逞しく、アントワネットに復讐しようとしていたり、飢えている民衆から打倒王室の革命の声が聞こえてきていたり、旧体制や古い基督教道徳への反発が描かれている。その中には遠藤周作によくある、こんなにも民は飢えて苦しんでいるのに、神は沈黙しているという投げかけがある。遠藤周作的と言えば時代的に仕方ないのかもしれないけどねちっこさやいろんな不快な性質を「多くの女に見られるあの性質」的な感じで語るの若干イラっとくる。