遠藤周作のレビュー一覧

  • 女の一生 一部・キクの場合

    Posted by ブクログ

    しっかり泣きました。伊藤がよかったです。あとがきで作者自身、彼に愛着が湧いたとあるように同情してしまいました。

    0
    2024年11月27日
  • 人生を抱きしめる 遠藤周作初期エッセイ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遠藤先生のお若き時代のエッセイや講演などをまとめた一冊。
    むかーし読んたことがあるものも収録されていたようで懐かしく読みました。

    作品につけるタイトルの付け方(不満?)や先輩作家に対する文芸批判(結構辛口でヒヤヒヤ)、小説をどのように書くのか、題材をどうやって見つけるのかなどちょっと作風の種明かし的な文があり興味深い。
    その他には狐狸庵先生の顔をのぞかせたユーモラスな文(エイプリルフールや運転に関するエピソード)もあり、クスリニヤニヤ。

    「人間のみかた」で「役に立たぬ」一般に思われがちな人間についての考察があり。そして最後の方に「孤独と信頼」「約束について」でフランクルの「夜と霧」について

    0
    2024年11月21日
  • 深い河 新装版

    Posted by ブクログ

    宗教というものは
    人を救うためにある

    しかし
    現在のイスラエル紛争のように
    戦争を引き起こすのもまた宗教

    人を救うための宗教によって
    多くの罪なき人々が死んでいく
    これほど理不尽なことはない

    日本は世界から
    仏教国と認識されているが
    自分がそうであるように
    熱心な仏教徒はほぼいないだろう

    そんな日本人からすると
    宗教というものがうさんくさいものに見えてくる
    人を救うための宗教が人を殺す
    どう考えたっておかしいじゃないか

    なぜそんなものを信じるのか
    信じてなんの得があるのか
    信じたところで神は
    手を差し伸べてくれないじゃないか

    しかし熱心な信者は
    それでも宗教を、神を信じぬく
    いつの

    0
    2024年11月17日
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    母と父、そして信仰を書いた6篇。
    いくつもの心理描写に圧倒された。全体からとても陰鬱な空気が漂っているのに、この本質を捉えたような文章が無理なくスッと心に入ってくる。子ども目線の話も、大人目線の話もどれも読みやすかった。
    主人公は、厳しく烈しかった母を美化してしまう気持ちを持っているのに対して、父には冷ややかな視線を向けていた。この点は共通しているけれど、細かな設定は短編ごとに少しずつ違っている。
    自身の経験が創作の元になっていることは確かだろう。でも物語をどう膨らませていくかは、ほかにも沢山の可能性があるのだなと思わされた。作品として昇華されるというのはこういうことなのかもしれない。未発表で

    0
    2024年11月12日
  • 深い河 新装版

    Posted by ブクログ

    某所読書会課題図書:考えさせられるストーリーだが、キリスト教に対する日本人の様々な思いが詰まっていると感じた.磯部、美津子、沼田、木口、大津の主な登場人物の中で大津の生き方が、宗教としてキリスト教を厳しく捉えたものと思った.プロテスタントのクリスチャンである小生が見ても、大津の真面目さは特筆できるものだが、あそこまでは行きつけない.インドに行ったことはないが、蒸し暑さの中で多くの人々が暮らしている状況が文の中から読み取れた.重苦しいストーリーの中で三篠夫人の我儘が唯一笑えるものだった.

    0
    2024年11月12日
  • 私にとって神とは

    Posted by ブクログ

    とてもわかり易くキリスト教を解説してあったのと、違和感の正体が遠藤さんの説明で分かりやすかったです。
    人生と生活、倫理と道徳
    深く考えれば考えるほど難しいテーマです。
    この本も再読ですかねー。。

    0
    2024年11月02日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    脚色されていると思われるところもあるけれど、物語としてとっても面白かった。
    歴史を学ぶ際に、こういう本を読むと歴史上の人物が身近に感じられるというか、どんなに昔の人でも私と同じ感情を持っていたのかなと想像できて楽しい。それがきっかけで例えば、マリーアントワネットの周辺の国の歴史も知りたくなったり、その時栄えた文化(服とか食事、芸術、文学とか)を学びたくなるし、マリーアントワネットのお父さんの時代は、その前は。息子の時代は、後世は、と一人の人をきっかけに興味がわいてくる。
    マリーアントワネットの最後はとっても悲しいものだった。
    彼女自身が処刑されるしかなかったのか。王政という制度の象徴として一人

    0
    2024年11月01日
  • 白い人・黄色い人

    Posted by ブクログ

    自分が日本人だからか、個人的には『黄色い人』の方が好みでした。黄色人種だからというよりも、日本という多神教が緩やかに生活の中に染み渡っている国で育った日本人という種族の、一神教を古来より信じてきた欧州人との遺伝子レベルでの宗教観の違いが、もしかしたら存在するのかもしれないと思いました。基督者である遠藤周作の描くこの本の主人公2人は、キリストや神への不信を抱いているわけですが、その感情や思考への解像度がとても高く驚きました。遠藤周作は基督者でありながら、この物語の主人公たちのような、教義に対するアンチテーゼみたいなものが、心のどこかにあったのではないかな。

    0
    2024年10月29日
  • 満潮の時刻

    Posted by ブクログ

    ★5つ
    読みながらリアル感があると関してましたが、解説を読み納得。
    自分自身も短い期間だけど入院したこともあり、術後で声が出ない時、医師から言われた期間でドレンが外れない時など色々と思い出しました。
    本作でも「生活」と「人生」が表現されており、奥深いテーマだなと、、
    2024年のベスト本に遠藤さんは入ってきそうですが、どの小説を選ぶか悩みます。

    0
    2024年10月26日
  • 満潮の時刻

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    看護婦さんが手を握ってくれると、信じられないようなことだけど、実際に不安や痛みが和らぐ。
    病気をすると、遠い風景を俯瞰しているような気持ちになる。
    本間さんのセリフ「手術を受けた日から、何もかもが変わっていく」「もっと心の上で」
    主人公明石は、自分が日常に戻ると、人生をどれだけ持続できるのか心配しているが、退院してもまだ俯瞰の眼をしている。そして、忘れずに長崎の踏み絵を見に行って、キリストの「沈黙の声」を聞いた。
    心に浮かぶ疑問に答えられないもどかしさ。
    明石は、弱いものに寄り添い、手を握ってくれる存在を見つけて、強く前向きになれた。

    0
    2024年10月22日
  • 私にとって神とは

    Posted by ブクログ

    遠藤さんの本を読んでいると、いつもキリスト教がどんどん身近になってきて、自分と等身大くらいの大きさに落ち着いてくる。
    遠藤さんが、“洋服”を日本人サイズに仕立ててくれてるってことなんだろうな。

    0
    2024年10月18日
  • 深い河 新装版

    Posted by ブクログ

    文句なしの星5つ。
    ツアー旅行でインドに来た、心に闇を抱えた人々の群像劇。

    宗教って役立つ事もあると思うが、残念ながら完璧ではないし絶対でもないと思う。真面目な人ほど深みにハマって傷ついてしまうのかもしれない。

    一神教と日本人の親和性の低さが印象的であった。

    0
    2024年10月19日
  • 侍

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    貿易のため、東北からヨーロッパに派遣されることになった侍が、道中に役目のためのキリスト教の洗礼を受けた。異国の地で帰国後の約束を夢見て過ごす最中、日本の情勢はどんどん変わっていっていた。長い旅路を帰ると命令自体が無意味なものとされおり、クリスチャンとなった責任を問われることになる。

    無宗教に近しい日本人が宗教に触れ、なんのために、なぜそこまで神が必要なのか、不服ながら掴んでいく。
    我こそが日本にキリスト教を布教できると息巻く野心家の宣教師は、日本人の文化や生き方に紐づいたふるまいを、不気味がりながらも実は最も捉えている。

    侍の道中の葛藤、役目を果たせない絶望、諦めと辛抱、宗教に触れた際の心

    0
    2024年10月18日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今フランス革命(というかマリーアントワネット)に興味を持っていて、でも知識が高校の世界史ほどしかないので、いきなり学術書は難しいかなと思い選びました。
    分かりやすい文章で物語が書かれているので、楽しいんでいる間に勉強になるという感じでとてもよかった。
    史実に忠実というわけではないので、マリーアントワネットの生涯や関わった人を知ってその後に史実に基づいた書物を読みたい私にとってはぴったりでした。
    歴史を授業で勉強したときには人民の敵、浪費家、庶民のことを考えない女王、のイメージでしたが、その時代を考えると仕方がないのかなとも思えてきました。
    貴族・王族に生まれたものと庶民とは、そもそももとから交

    0
    2024年10月16日
  • おバカさん

    Posted by ブクログ

    哀れで頼る者もいないボロボロの野良犬も
    人を殺すことを厭わないヤクザも
    昔人を裏切って目の前で人を殺そうとしている老人も
    どんな人も信じて許すガストン
    宗教って人が平和に生きるためのもので、
    本質は信じることと許すことなんじゃないかなと思う

    0
    2024年10月15日
  • イエスの生涯

    Posted by ブクログ

    キリスト教の「神」とは、私の思っていた神とは別でした。
    「沈黙」を読んだ時のなにか掴みきれない感覚のようなものが
    多少ですが、整理されたような気がします。
    「キリストの誕生」も読んでみたいと
    思います。

    0
    2024年10月15日
  • 白い人・黄色い人

    Posted by ブクログ

    罪に対して、どう向き合うかが人種により違っていた。どちらにしろ、罪を重ねていけば、やがて死にも罪にも無感動になる。
    『白い人』の主人公や『黄色い人』デュランは、いつの間にか、悪が心に入り込んできている。
    サイコパスだろうと、神父さんだろうと、人間の弱さを利用する悪魔の罠だらけ。

    0
    2024年10月15日
  • 彼の生きかた

    Posted by ブクログ

    久しぶりに本で涙が出ました。
    これまで読んだ遠藤周作の作品は暗いものが多かったのでテイストが異なるこの本に驚きました。

    0
    2024年10月10日
  • 真昼の悪魔

    000

    これはこわい、で面白い

    プラウザが使えないため購入は見送っているが、
    定価購入もしたいくらい面白い。
    海と毒薬よりも印象が強かった記憶があります。
    プラウザが使えないのがつくづく残念。
    お好みで。

    0
    2024年10月03日
  • 勇気ある言葉

    購入済み

    遠藤周作先生の著作、久しぶりに

    遠藤先生の書籍は学生時代に「イエスの生涯」「死海のほとり」「沈黙」を読んでから「白い人・黄色い人」他、純文学作品から「フランスの大学生」などのエッセイ、「おバカさん」etc.幅広いジャンの著作を愛読しました。30年近く前に亡くなられたときは本当に残念でした。
    「勇気ある言葉」は初めて読みましたが遠藤先生らしいシニカルなユーモアにあふれていて大変楽しかったです。〈編集部注〉は途中で遠藤先生が書いているのでは?、と思いましたが、最後の「災い転じて福となす」で合点がいきました。

    #笑える #癒やされる #ほのぼの

    0
    2024年09月26日