あらすじ
遠藤周作生誕100年企画。著者の原点となる信仰を軸に、自由や孤独、苦しみについての見解より、真の人間の姿にせまる若き日の圧倒的作品の数々!著者最初期の評論他、貴重な講演録も収録。
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Posted by ブクログ
遠藤先生のお若き時代のエッセイや講演などをまとめた一冊。
むかーし読んたことがあるものも収録されていたようで懐かしく読みました。
作品につけるタイトルの付け方(不満?)や先輩作家に対する文芸批判(結構辛口でヒヤヒヤ)、小説をどのように書くのか、題材をどうやって見つけるのかなどちょっと作風の種明かし的な文があり興味深い。
その他には狐狸庵先生の顔をのぞかせたユーモラスな文(エイプリルフールや運転に関するエピソード)もあり、クスリニヤニヤ。
「人間のみかた」で「役に立たぬ」一般に思われがちな人間についての考察があり。そして最後の方に「孤独と信頼」「約束について」でフランクルの「夜と霧」について話されています。
深くうなづかされ人間に対する信頼ということを考えさせられます。恥ずかしながら夜と霧、読んだことがなくこれはいつか読まねばならない一冊なのだと思いました。
「人間観察について」の中で面接でだいたいその人がどの程度の地位にまでいくか判断できるという人たちが登場します。本当にすごい人を見る力のある管理者や経営者という人達はこういうレベルなのだなぁと驚かされました。
解説に亡くなって間もない母の遺品整理をしていて何気なく手に取った本で声を上げて笑った人のエピソードがあります。本編とは関係ないのですが、人はどんに辛いときでもちょっとしたことで笑うことができる、それがその一時の慰めになったり支えになったりすることがあると思えるいいエピソードだなぁと思いました。それもやはり狐狸庵先生の人間力のなせる技だったかもしれないなぁ。
内容は今に十分通じるエピソードばかりの珠玉の一冊と思います。