遠藤周作のレビュー一覧

  • 沈黙

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    社会の先生から勧めていただいた本。
    遠藤周作さんは名前は知っていたものの
    歴史小説などに弱い私は
    手に取ることをしなかった。

    恥ずかしながら
    宣教師とか
    イエズス会とか
    踏み絵とか
    鎖国とか
    もちろん言葉と意味は知っていたが
    なんだかちゃんと分かっていなかったため
    その時代の復習から始め
    読み始めたこちらの本。

    すごく良かった。
    面白かったと表現しようとしたが
    面白いとはまた違う、
    勉強になる、考えさせられる本だった。

    自分の信仰しているものの本質や
    自分の弱さに向き合う主人公。

    1981年に刊行されたこちらの作品だが
    名作と言われ、
    長く読み続けられているのがよく分かる。

    結局人間にとって
    弱さとの向き合い方って永遠のテーマだったりする。

    信念(信仰心)を曲げることで
    多くの人が助かるとしたら
    あなたは信念を曲げますか?

    自分自身を創り上げてきたものを
    すべて捨てられますか?

    でもそれを捨てさえすれば
    多くの人が助かるんですよ?

    道徳の教科書に掲載されそうな内容だった。

    そしてまたこれが史実をしっかり含んでいることが
    何より苦しかった。

    仏教とキリスト教の感覚の違いや
    隠れキリシタンたちの運命や当時の拷問、
    宣教師たちの考え方など
    勉強になることもたくさんで
    読んで良かった一冊になりました。

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    2026年08月17日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    後半の手記を読んでいると、かなり嫌な気持ちになる。でも、実際に人の心の中はこんな風だと共感する部分が多々あり、リアルにも感じた。だからこそ、胸糞悪くなるんだろう。自分の中にもある見たくない部分を見せられているように感じるのかも知れない。
    かなり前に読んだ『私が、棄てた、女』の時も思ったけれど、遠藤周作という作家は人間の醜悪な部分に目を逸らさずに向き合う人なのだと思う。そこに迫力がある。

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    2026年08月16日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    事件についてはどんな思想を持っていても戦時下であることも含めた同じ状況だったら上に従わざるをえない気がするし、そこが江戸時代の武士道のような主君への忠義を重んじる日本人的な思考なのだろう。戦争で人を殺したり生きるか死ぬかの中にいた人たちがそこら中に普通に生活していた時代というのもやはり現代とはいろいろ違うだろうなと改めて考えるきっかけとなる。

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    2026年08月15日
  • 沈黙

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    無力だと感じた時、人、そして神さえも沈黙を選ぶ。

    自分の選択が正しいか、善いことか、許せるか……

    どんよりとした厚い雲に覆われた日のような重く息苦しい作品だった。

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    2026年08月11日
  • 沈黙

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    表紙から「名作と言われてるけど、渋いのかな、、」と感じていたが、読むとそんな感情は掻き消えた。衝撃だった。
    絶対に読むべき作品

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    2026年08月11日
  • 留学

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    文庫本は、昭和五十三年九月二十五日 初版。
    私が読んだのは、文庫本は、昭和五十四年八月五日 十七刷。

    大学二年生ぐらいに読んだと記憶しています。
    この頃は、安部公房や遠藤周作、松本清張、司馬遼太郎などを読んでいました。
    定価280円なので、今なら600円以上するかな。

    古い本を整理・処分するために記録を残した。

    2026年8月10日 記録。

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    2026年08月10日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    原爆の日が近いこの時期に予備知識なく手に取ったが、その生々しさに息が詰まった。実在の生体解剖事件を基にした作品。

    「命とは」「良心とは」という使い古されたテーマのはずなのに、淡々と描く筆致だからこそ静かで逃げ場のない重みを持つ。劇的な悪意ではなく、流されるままに良心が麻痺していく怖さ。

    感情を排した冷徹な描写だからこそ、読後の重い余韻がずっと残って消えない。

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    2026年08月08日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    主人公の感じる、上陸してから最初の集落で慕われるまでの聖職者としての高揚感、そして捕まってから転ぶまでの信仰の心をへし折られるまでの過程での挫折を読者にも追体験させるような文章が素晴らしい

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    2026年08月05日
  • 沈黙

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    長崎旅行がきっかけで興味が湧いたので読んでみました。その時の隠れキリシタンの資料などを見たのも相まって忘れられない一冊になりました。

    信仰とはなにか。
    沈黙する神の存在。

    日本にとって宗教の存在。
    日本人の信仰とは。

    長崎のキリシタンたちはどんなふうに信仰していたのか考えさせられた。

    方言、時代を感じる言葉が多く読むのには時間がかかってしまいました…難しいと感じたけど、ずっと手元に置いてまた読みたい。

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    2026年08月02日
  • 沈黙

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    こんなに良い作品をなぜ今まで読まずにいだろうと読まず嫌いだった自分を叱っておきました
    遠藤周作さんは勝手に自分には合わないと決めつけてました。反省。
    他の作品も読んでみようと思います
    読み終わった後もあとを引く名作
    ある意味しんどくはありますが、、、

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    2026年07月27日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    短い小説だったのですぐに読み終わった。過去に潜る、誰かの心理に潜る、といった方がいいのか。人間それぞれがいかに個性的で異なる存在であるかを、戦争・人体実験という危機的状況のなかで表現している。

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    2026年07月14日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    わりと最初の方、ミツ主観パート
    [御茶ノ水駅のむこうの空が薔薇色になる] という一節が好きです。
    ただ単に写実的な表現かもしれないし、薔薇色の空の向こうにミツは吉岡との明るい未来を想像した。という比喩的なものも感じた。
    美しく、哀しい。

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    2026年07月13日
  • 死海のほとり

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    死海およびエルサレム周辺の、イエスにまつわる地を巡礼する現代の話しと、遠藤周作の解釈によるイエスの伝導と処刑されるまでの聖書当時の話しが交互に進んでいく内容。

    愛のみを実践したイエスとしての解釈が新しくもあり、とても考えさせられました。

    「沈黙」= 赦された存在の人間の話し
    「死海のほとり」= 同伴者としてのイエス

    個人的には「沈黙」よりも「深い河」よりも好き。

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    2026年06月29日
  • 深い河 新装版

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    ネタバレ

    若松英輔『日本人にとってキリスト教とは何か_遠藤周作『深い河』から考える』を読んでいる時、将来入団するつもりでウオッチングしていた近所の合唱団が、黒人霊歌『深い河(ディープ・リバー)』をたまたま練習しているのを知って、不思議な縁を感じながらこの本も読むことにした。
    少年時代に洗礼を受けた遠藤周作は、キリスト教は肌に合わぬ、出来合いの洋服を無理やりに着させられたような、違和感にたえず苦しんだという(『日本人にとってキリスト教とは何か』)。その遠藤が人生の終盤でどんな考えに至ったか。この本から、それを読み取りたいと思った。

    読後、作者は「神という言葉を使わずに」、「神」または「神の愛」ということを表現したかったのだと感じた。
    人の愛を知らぬ女性、美津子が、小説の終わり近くで、ガンジス河に沐浴する場面がある。

    「入りなさい。この河は気持ちいい。」
    美津子はうなずいて河の中に片足を入れ、もう一つの足を沈めた。死と同じように、直前はためらったが、体をすべて沈めたとき、不快感が消えた。
    ⋯
    生と死とがこの河では共存している。
    ⋯
    視線の向う、ゆるやかに河はまがり、そこは光がきらめき、永遠そのもののようだった。

    あるいは、この場面に、作者の言いたかったことが、象徴的に描かれているのかもしれないと感じた。

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    2026年06月30日
  • 沈黙

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    日本人信者のその拷問に耐える姿、悲惨な死を受け入れる姿を前にして神は沈黙を守る。信念を貫き死を選ぶことは正しいのか、自分の命を惜しむことは間違っているのか弱いのか。絶対的な正義を地の奥から揺さぶるような厳しい歴史小説。

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    2026年06月22日
  • 深い河 新装版

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    大切な人との別れや、自分自身の死に対する恐れが和らぎ、心が穏やかになりました。
    読後に深い安心感と癒やしを与えてくれる一冊です。

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    2026年06月22日
  • 沈黙

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    ネタバレ

    とても難しい本だった。信仰の形は国によって違うけど、確かに日本人は形にこだわる部分が強いから、司祭たちが違うと感じたのも頷ける。でも、そんな司祭たちも転ぶ転ばないの形にこだわっていた。だから転んだ後の方が本当の意味での信仰になった気がする。ロドリゴのキチジローに対しての見方も転んだ後の方が寄り添ってる気がする。キチジローは初めは嫌な感じに写っていたけど途中からは弱さを認められる強い人にも見えた。転ぶ事を失敗と捉えるなら、失敗を重ねた人の方が強く優しくなれるんだと改めて思った。

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    2026年06月18日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    海と毒薬含めて面白い作品でした。
    面白いというかずっしりと心にのしかかるというか。
    私もそうであるが、読者の大半は折戸と矢野に苛立ちともどかしさを覚えるのと思う。しかし、いざ自分や社会を俯瞰して見てみるとほとんどが、折戸や矢野のようなことを知らず知らずのうちにしているはずである。だからこそ、わかっているからこその苛立ちやもどかしさである。

    勝呂は生体実験に携わったことが原因で、過去が知られる度にその街から追い出されるように転々としている。
    海と毒薬では気胸のおじさんが引っ越した街で医師をしていた筈だが、あの街は今回の舞台の新宿ではないはずで、海と毒薬の後に追い出されたということが分かる。

    「故郷の小さな村で自転車に乗って診察に行き、道行く人と挨拶を交わす」
    あの生体実験さえなければ、勝呂はささやかで幸せな人生を歩んでいたのかなと思うと人生の分岐はあまりにも残酷であると思いました。

    追記:生体実験も断れば良かったとかそんな簡単な話じゃないよね

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    2026年06月15日
  • さらば、夏の光よ

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    なんか切なくなった。野呂の優しくて、誠実で堅実な性格は人としてすごく魅力的な一方で、自分が女性側に立った時に、その愛情を受け取れるかと言ったら無理だろうと思った。そう考えると結局愛だのなんだの言いつつ、外見で人は判断してるのか?とか思ったり…でも、彼女が自分と南条しか見てなかった一方で、きっと彼も彼女のことを考えているようで自分のことしか考えていなかったんだろう。ハッピーエンドではないんだけど、読みやすくていい作品。自分がどん底に落ちた時はきっとこの小説に救われるだろうと思った。

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    2026年06月13日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    すごく読みやすい一方で、神や愛、運命とは何かを考えさせられた作品だった。作品自体が良かったことももちろん、特に解説が素晴らしかった。あの時のこの表現はこういう意味だったんだ!という気づきがたくさんあって、この解説を踏まえてもう一度読み直したらまた新しい発見があるだろうと感じた。主人公の吉岡と森田ミツのリアルな男女関係と人間性の違いを反映していて共感しやすかった。でも読み終わった後に振り返るとその対比が鮮やかで、さすがなと思う。
    醜く、教養のない家庭で育ったがために無償の愛をもらえず、孤独に苦しみ、病気になった時は周りの恵まれた人間を妬ましく思うミツ。病気で体が変形した患者を忌み嫌いながら、自分も同じ運命になることを知って絶望を感じるミツ。彼女の気持ちが痛いほどわかった。変に綺麗事で包むのではなく、人間の生の心理を描写する方法が本当にすごい。

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    2026年06月13日