遠藤周作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
社会の先生から勧めていただいた本。
遠藤周作さんは名前は知っていたものの
歴史小説などに弱い私は
手に取ることをしなかった。
恥ずかしながら
宣教師とか
イエズス会とか
踏み絵とか
鎖国とか
もちろん言葉と意味は知っていたが
なんだかちゃんと分かっていなかったため
その時代の復習から始め
読み始めたこちらの本。
すごく良かった。
面白かったと表現しようとしたが
面白いとはまた違う、
勉強になる、考えさせられる本だった。
自分の信仰しているものの本質や
自分の弱さに向き合う主人公。
1981年に刊行されたこちらの作品だが
名作と言われ、
長く読み続けられているのがよく分かる。
結局人間にとって
弱さとの向き合い方って永遠のテーマだったりする。
信念(信仰心)を曲げることで
多くの人が助かるとしたら
あなたは信念を曲げますか?
自分自身を創り上げてきたものを
すべて捨てられますか?
でもそれを捨てさえすれば
多くの人が助かるんですよ?
道徳の教科書に掲載されそうな内容だった。
そしてまたこれが史実をしっかり含んでいることが
何より苦しかった。
仏教とキリスト教の感覚の違いや
隠れキリシタンたちの運命や当時の拷問、
宣教師たちの考え方など
勉強になることもたくさんで
読んで良かった一冊になりました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ若松英輔『日本人にとってキリスト教とは何か_遠藤周作『深い河』から考える』を読んでいる時、将来入団するつもりでウオッチングしていた近所の合唱団が、黒人霊歌『深い河(ディープ・リバー)』をたまたま練習しているのを知って、不思議な縁を感じながらこの本も読むことにした。
少年時代に洗礼を受けた遠藤周作は、キリスト教は肌に合わぬ、出来合いの洋服を無理やりに着させられたような、違和感にたえず苦しんだという(『日本人にとってキリスト教とは何か』)。その遠藤が人生の終盤でどんな考えに至ったか。この本から、それを読み取りたいと思った。
読後、作者は「神という言葉を使わずに」、「神」または「神の愛」ということを表現したかったのだと感じた。
人の愛を知らぬ女性、美津子が、小説の終わり近くで、ガンジス河に沐浴する場面がある。
「入りなさい。この河は気持ちいい。」
美津子はうなずいて河の中に片足を入れ、もう一つの足を沈めた。死と同じように、直前はためらったが、体をすべて沈めたとき、不快感が消えた。
⋯
生と死とがこの河では共存している。
⋯
視線の向う、ゆるやかに河はまがり、そこは光がきらめき、永遠そのもののようだった。
あるいは、この場面に、作者の言いたかったことが、象徴的に描かれているのかもしれないと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ海と毒薬含めて面白い作品でした。
面白いというかずっしりと心にのしかかるというか。
私もそうであるが、読者の大半は折戸と矢野に苛立ちともどかしさを覚えるのと思う。しかし、いざ自分や社会を俯瞰して見てみるとほとんどが、折戸や矢野のようなことを知らず知らずのうちにしているはずである。だからこそ、わかっているからこその苛立ちやもどかしさである。
勝呂は生体実験に携わったことが原因で、過去が知られる度にその街から追い出されるように転々としている。
海と毒薬では気胸のおじさんが引っ越した街で医師をしていた筈だが、あの街は今回の舞台の新宿ではないはずで、海と毒薬の後に追い出されたということが分かる。
「故郷の小さな村で自転車に乗って診察に行き、道行く人と挨拶を交わす」
あの生体実験さえなければ、勝呂はささやかで幸せな人生を歩んでいたのかなと思うと人生の分岐はあまりにも残酷であると思いました。
追記:生体実験も断れば良かったとかそんな簡単な話じゃないよね -
Posted by ブクログ
すごく読みやすい一方で、神や愛、運命とは何かを考えさせられた作品だった。作品自体が良かったことももちろん、特に解説が素晴らしかった。あの時のこの表現はこういう意味だったんだ!という気づきがたくさんあって、この解説を踏まえてもう一度読み直したらまた新しい発見があるだろうと感じた。主人公の吉岡と森田ミツのリアルな男女関係と人間性の違いを反映していて共感しやすかった。でも読み終わった後に振り返るとその対比が鮮やかで、さすがなと思う。
醜く、教養のない家庭で育ったがために無償の愛をもらえず、孤独に苦しみ、病気になった時は周りの恵まれた人間を妬ましく思うミツ。病気で体が変形した患者を忌み嫌いながら、自分も同じ運命になることを知って絶望を感じるミツ。彼女の気持ちが痛いほどわかった。変に綺麗事で包むのではなく、人間の生の心理を描写する方法が本当にすごい。