遠藤周作のレビュー一覧

  • 沈黙

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    ネタバレ

    ・最初は完全に殉教の物語だと思って読んでいたが違った。

    ・「棄教した」という結果だけを見ると、その弱さや心神深くなかったのだろうと判断していた。「残念」という気持ちの方が強かった。

    ・でも読み進めるうちに、その背景や、その人の心の中にあった信仰心や葛藤なんて、本当は他人が簡単に分かることができるものじゃないんだよな、と思わされる。
    分かろうとすること自体が、むしろ傲慢。

    ・だからこそ、その内面の奥深くまで含めて、そこでも赦してしまうキリストの存在が、すごいというより「敵わない」という感覚に近かった。
    それこそが無償の愛なんだけど、同時に少し怖さすら覚える。

    ・特に印象に残ったのは、

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    2026年01月15日
  • 侍

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    ネタバレ

    こんなに悲しい悲劇的な小説もないというほど悲しいが、文句のつけようのない面白さだった。

    イエスという未知の大きな存在、それらに惑わされ翻弄される人々、想像もしていなかった世界に対する戸惑い、これらが全て余す事なく表現されており、続きが気になって仕方なかった。風景や船旅の描写もとても素晴らしく、どれだけ過酷で残酷であったのかが分かりやすく伝わった。大袈裟な表現は一切ない。あれが現実なんだと心から納得させられる、だからこそ辛い感情もたくさんあった。

    この作品の登場人物達に何か共感する事などとてもおこがましく感じる。日本とは狭く小さな国だと自分たちが言うのと、当時の侍が言うのでは重みが違う。

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    2026年01月08日
  • キリストの誕生

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    あくまでユダヤ教の一派、それも異端派として十字架にかけられたイエスはもういない。存命中に関わった人間と、人間としては関わりが無く信仰の対象として伝えられた人間とが発生する。見聞きしたか、聞いたかで神格化の度合いは異なってくる。発生発展展開の時代がやってきた。

    キリスト教がヨーロッパを席巻した後にも、宗派の違いで異端にされたり、火刑にされたり、戦争になったりってあったよなというのを踏まえると、人それぞれがキリスト教の中から信じたいエッセンスだけ抽出して、形作って固めて唯一無二にするみたいなことになるんだなって、解釈の違いってやつ?

    最初期にも解釈違いが起こってた上に、"総本山&qu

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    2026年01月01日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    出ました。久しぶりの★5
    読みながら、読んでみたい本、行ってみたい場所、家の近くで遠藤さんの行った場所を改めて見てみたい。
    そんな情報がてんこ盛りな本でした。
    また散歩ついでに遠藤さんの足跡を紡いでみよう。

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    2025年12月31日
  • 深い河 新装版

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    名作。
    胸が熱くなり、最後は涙が出そうだった。
    死を迎えるためにガンジス河へ向かう、貧しく苦悩に満ちたヒンドゥー教徒たち。
    ガンジス河は人生を、罪を、そして死を流していく場所で、生と死がそこで交わる。
    全てを優しく包み込む深い河。愛に満ちた河。

    本書にはキリスト教、ヒンドゥー教、仏教が登場するが、特に大津の思想が強く印象に残った。
    神は多面的であり、どの宗教にも存在すると語る彼は、周囲から異教徒とみなされてしまう。
    宗教の違いで争いが起こるこの世の中で、私は無宗教だからかもしれないが、大津のような考え方があってもいいのではないかと思った。

    人生で一度は、聖なるガンジス河、そして飢えと病苦と

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    2025年12月13日
  • 深い河 新装版

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    一気に読んでしまった。
    「沈黙」の結論ともいわれる「深い河」の一行はインドに向かう。神はいるのか、いないのか。姿は見えなくとも、さまざまに転生するのだと。美津子の二面性に共感しながら、その両面を糊付けした孤独を馳せた。大津の生きざまを肯定したい。また読み返すだろうし、人生で大事な一冊になりそう。

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    2025年12月10日
  • 海と毒薬

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    名作だった。
    戦時中、捕虜となった白人を生体解剖するという、倫理的問題を真正面から描いた作品。
    実際の事件を基にしている。
    どうせ死ぬ命なら、実験で多くの人の役に立てるほうが良いとして行われた行為に対し、勝呂医師は深い葛藤を抱く。
    一方、戸田医師は自分には心がないのかと良心の呵責を求めて実験に参加するが、恐怖も罪悪感も湧かない自分に気づき、諦めにも似た無感情な境地に至る。

    時代背景や環境の影響が、人の倫理観をどれほど左右するのかを考えさせられる。
    著者の遠藤周作はクリスチャンであり、キリスト教には明確な倫理規範があるが、日本人にはそうした指針が乏しいため、流されやすいのではないかと彼は考えて

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    2025年10月20日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    ★5つ!!!
    ガスさんの訪日してから最初の出会いや出来事。
    癒やされます。
    殺し屋の遠藤と作者はどんな繋がりなのだろう?
    気になる
    ナポレオンの最期も悲しい、、、
    そしてどんな経緯で新宿に戻ってきたんだろう?

    会社で「ふあーい」と応えて場を和まそうと思う今日此の頃

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    2025年10月13日
  • 秋のカテドラル 遠藤周作初期短篇集

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    色々な想いにさせてくれる本。気軽にサクッと読めるが、一つ一つじっくり読める。合間時間に読んで楽しませてもらいました。

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    2025年09月13日
  • 深い河 新装版

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    インド旅行の予習として読破。ほぼキリスト教の話で予習としての意味は殆どゼロだったが、それにしてもいい小説だった。

    ホテルの名前を告げてタクシーに乗ったが、結婚式で道が塞がっていて一向に到着しない。焦れて式場の名前を運転手に尋ねると、運転手は悪びれもせずに、目的地のホテルの名前を言った、みたいなエピソードが妙に印象的。
    本筋とはぜんぜん関係のないちょっとした話だが、インドらしさ、少なくとも「日本人の思うインド」をこれ以上なくよく表していると思った。

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    2025年10月30日
  • 海と毒薬

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    ほんとに本って忘れちゃう、
    すごく陰のある話だったけど読んで受けた衝撃がすごかった。
    個人的には芥川の人間失格と近いものを感じた

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    2025年09月08日
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

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    本屋さんで目について。
    沈黙、海と毒薬より読みやすいかなと思って。

    出会えてよかった本。
    最初の方の短編は、終わり方があっけない。救われない。しんどい。

    でも、すごく静かに落ち着いている文章なのに、心にグッと迫ってくるような感じ。他の作品も読みたいと思った。

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    2025年08月31日
  • 海と毒薬

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    第二次世界大戦中の1945年に、福岡県福岡市の九州帝国大学(現九州大学)医学部の解剖実習室で、アメリカ軍捕虜8人に生体解剖(被験者が生存状態での解剖)が施術された事件を元に書かれた小説。解剖実験に疑問を抱く勝呂、逆に全く疑問も良心の呵責もない戸田という2人の研究生を軸に話が進む。

    戦時中の人体実験が、731部隊以外にも国内で行われていた事実にまず驚いた。
    異常な状況下において正常であろうとする者、自分が異常であると認識しつつも正常にはなれないジレンマに苦しむ者、異常であることに気付いてすらいない者、様々な人間の心模様が交錯する。戦後80年の節目に読めて良かった。

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    2025年08月19日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    ネタバレ

    ミツの純粋無垢で不器用な生き方に心掴まれた。主人公の吉岡がクズでミツが田舎生娘であるという単純な構図なのに、何度もミツの言葉に行為に心震わされた。ミツが不幸せな人を見るとたまらない気持ちになってしまうという性質、よく見かける。自分もそう。社会で生きづらいよなと思う。
    特にミツがハンセン病と判明した時、昏睡状態、命からがら「吉岡さん」と発した場面にはウッとなってしまった。
    後半部分は神の存在に関する記述が面白い。さすが遠藤周作。
    重ねてにはなるがミツの死のやるせなさ、吉岡のクズではあるがクズに徹せない人間らしさに感動した。

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    2025年08月14日
  • 新装版 海と毒薬

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    戦争中だったから。
    それだけでは済まされないあまりに残酷な行為を行ってしまった医師、看護師達の話です。
    前々から読みたいたいと思っていた作品。本編、解説含めて読んで良かったと思える作品でした。

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    2025年08月12日
  • 海と毒薬

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    ネタバレ

    現在から過去の回想に入り、それぞれの人物の手記、最後は戸田から教えてもらったあの詩で締めくくられる。この構造が非常におもしろかった。
    全体的に陰鬱な、そして人の生命の重みについて考えさせられる。そして、何かと冒頭の語り手「私」と回想での勝呂が「平凡が一番、幸福」と似たようなことを言っているところが印象に残っている。
    (勝呂に対して「しばたたきながら」という表現が多用されている点が少し気になった。)

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    2025年08月06日
  • イエスの生涯

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    神の子ではなく、人間としての表現されたイエス。
    最初から最後までずっと悲しい、しかし愛を感じる物語でした。

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    2025年08月04日
  • 深い河 新装版

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    何度も読み返す。皆、それぞれに背負うものがあり、そのすべてを深い河が包み込んでいく。善と悪が二項対立ではない、生きることを許されると感じる本。

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    2025年07月21日
  • 深い河 新装版

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    ネタバレ

    インドの神様がすごく印象にのこった。純粋な人間そのものの姿がインドでは大切にされているのかな。
    大津のような生き方は絶対にできないけど、美しいと思った。ガストンみたいな、自分は道化に徹して他人の吐き出し口になるやり方も、すごく根性がいる事だとだろうけど、いいなぁと思った。

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    2025年06月03日
  • 作家の日記

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    正確には「作家の」日記ではない。フランスでの2年半の思索と模索の記録。研究者か小説家か評論家か、道はまだ定まっていない。
    場所はルーアン、リヨン、そして時々パリと田舎の町や村。部屋には師や友人たちがよく訪ねてくるし、お茶や食事にも頻繁に招かれ、忙しい毎日。しかし本務は勉強と研究、心は時に静謐、孤独な修行僧のよう。持ち前のおどけや冗談は一切感じられない。モーリアック、ベルナノス、ジッド、クローデル、サルトル、ボーヴォワール、カミュ、マルロー、フォークナー……興味の赴くままに読み耽り、真摯にものごとを考える遠藤青年がいる
    日記には、天気や風景の描写もあり、その時の空気や日差しも感じられる。どこか朝

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    2025年05月08日