【感想・ネタバレ】沈黙のレビュー

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神の存在について考えさせられる

2015年01月20日

読んでみると、神の存在・信仰の盲点というか何が正解なのかわからなくなりました。
非常に考えさせられる内容です。ぜひ興味ある方は読んでください。

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

簡単な本ばかり読んでいた私にはレベルが高すぎました。
ですが、調べながら読んでいく中で
学ぶことは抱えきれないほどあります。
学校で習った踏み絵はこんなにも残酷で卑劣な行為だったことを初めて知りました。
神様は人間の潜在意識の中に皆が持っています。
ですが、神についての答えや痕跡がないからこそ、人は...続きを読む迷い、争ってしまう。
宗教に対して偏見が多い日本で、この本を読んだ後、果たして今と同じ考えができるのでしょうか。

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

少し古めの本だから難しいかなと思ってたけど、驚くほど読みやすくて内容も頭の中で想像できてびっくりしました。踏み絵は中学、高校の教科書で見たことあるなくらいの知識しかなかったけど、この小説の中でどんなに過酷な状況に追い込まれてたのか、司祭者からみる日本というのが新しくて感慨深かったです。もっといろんな...続きを読む人に読んでもらいたい一冊です。

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Posted by ブクログ 2024年03月20日

この本を中学3年の現代文の授業で扱ってくれて感謝しかない。一見読みにくいし、途中で読むのをやめたくなるような気持ちにもなるから。
中学の頃から当たり前にお祈りしたり聖歌を歌ったりしていたけれど、私にとって、神とはどのような存在で、信仰はどのようなものなのかを考えたのはこの作品にであったことがきっかけ...続きを読むだった。中学3年生の時よりも理解も進んでいるし、ロドリゴやフェレイラの気持ちに共感できる箇所が増えていた。

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Posted by ブクログ 2024年03月02日

ポルトガルから船で日本に向かうという部分からも滲み出るキリシタンの強固な信仰心。幕府のキリシタンへの弾圧のむごさに途中読むのが苦しくなりつつも、全世界で読まれ、映画化されるだけある壮大な名作。出会えてよかった名著。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月11日

あっという間に読み終わった。
沈黙って、人々が沈黙する話かと思ったけど、神の沈黙の話だったんですね。

最後のフェレイラとのやりとり・転んだ後のキジローとのやりとりに読む手が止まらなかった。
ああいう風にキジローと分かり合えるというか、自分の失敗した人生を通して得たものがあるというのは、せめてもの救...続きを読むいで。(もちろん犠牲の方が大きいから、救いと言ってしまうのは語弊を招くかもだけど)
「失敗は成功のもと!」なんて単純な言葉は使いたくないけど、わたしみたいな弱い人間が強く生きていくためには、こういう人生を歩むしかないんだよな〜。。。

遠藤周作って自分的にめちゃくちゃ読みやすくて好き。キジローに裏切られた時の蝿の描写とか、たまらなく好きだな……..

本当にどの登場人物にも感情移入できて、わたしも弱い人間なんだと実感させられた本でした。
でもだからこそ、ちゃんと他人を社会を、そして自分自身を許していけるような人間でありたいと思った。

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Posted by ブクログ 2024年01月09日

圧巻。何も言えない。強すぎる。
描写も構成も絶えず胸糞なのに、なんだろうこの妙な気持ちは、、、。信じるとは、、、本当何が正しいとか、間違えているじゃなくて、いいとか悪いじゃなくて、強いとか弱いじゃなくて、本当一言じゃあ片付けられない

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Posted by ブクログ 2023年12月31日

「主は何故頑なに沈黙を守り続けるのか」
「踏むがいい。踏むがいい。お前たちに踏まれるために、私は存在しているのだ。」

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月22日

私のルーツを辿れば生月島の民。
父方の祖父を遡れば平戸から派遣された奉行所の弾圧武家。
父方の祖母を遡れば潜伏キリシタンの末裔。

時代が変わり、その垣根がなくなり、様々な縁の末に生まれてきたのが私。
私の生命はもしかしたら、ちょっとした事で無かったのかもしれない。
あるいは先祖が絵を踏んでくれたか...続きを読むら生を受け継いだのでしょう。
先祖の覚悟や、決断に感謝。

そして、実際生月島に墓参りに訪れた際に、機会があったので、親戚のオラショを聞かせてもらった。
オラショとはいわず「もんじゅもんじゅ」と言っていた。それにはまた理由があるらしい。

弾圧はとても昔の出来事なのだけれど、震えるほど身近に感じた瞬間だった。
時代に翻弄されながらも、宗教という人類が生み出した業に抗い、生を見出す物語なのかなと感じた。
私は信仰心はないけれど、人の心の中には、誰にも踏み入れられない自分だけの神様があっていいのだと思わされた。それがどのような神でも許される。
そして、その神が沈黙することの意味を自分で解釈し自分の救いに変えることができれば報われるのではないでしょうか。

日本でキリスト教が根付かず、一人歩きした神の形。潜伏キリシタンはまた別の信仰なのでしょうね。
人は弱いから神に縋るのではなく、希望を持ち続けるために、信仰するものなのだと思った次第。
そうなると、何も信仰していない私は愚かなのでしょうか。
それを理解するにはもう少し精神の成熟と、経験が必要なのかもしれません。
また人生の節目に読み返そうと思う。
人の本質から人生観まで、たくさんの疑問や不安を一気にぶつけてくれた作品。

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Posted by ブクログ 2023年12月09日

何年か前に映画を観て、そちらもすごくよかった。
よかったのだけど、あまりパードレに共感できず、やり口がむごいといえどお上側で観てしまったんだよね
「この国は沼地って言うけど、作り替えてるだけじゃん」とか「主ならこうするだろうと考えることはタブーなのか?って感じだな」とかいう感想を持っていたけど、本を...続きを読む読んだらぜーーーーんぶ書いてあって完全に降参。私が読み取れてなかっただけでした。(映画が読み取りにくいつくりになってたのかもしれないので、再視聴する予定)

芥川龍之介の神神の微笑に書いてあることが、よりわかりやすく書かれている感じでした

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Posted by ブクログ 2023年11月14日

ロドリゴ司祭と井上筑後守が交わした会話の中で、井上は日本という男は異国の女性ではなく、気心の知れた日本の女と結ばれるのが最上だとし、彼らの布教活動を「醜女の深情け」と揶揄していた。異国の女性は教会のことで、日本の女性は仏教・神道のことであると思うが、井上はまた、情だけで夫婦は成り立たないとしていて、...続きを読む布教活動が情愛の押し売りで、一人の男(日本)にとってそれはありがた迷惑だと喩えたかったのだろう。このような日本と西洋の文化・思想の決裂を遠藤周作は本書でいくつも描いるように思え、本書の重要なテーマであると思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月08日

信じるってなんだろう。

何十回何百回と使ってきた言葉のはずなのに、
一気に輪郭がぼやけて見えなくなりました。

「愛する」とか「守る」とかなら実感を以ってして意味が掴める気がします。なのに「信じる」は分かりそうでよく分かりません。

一般的な「あなたのことを信じる」というような文脈の「信じる」と宗...続きを読む教的な「信じる」はまた違うようにも思います。

前者の「信じる」はなんとなく「覚悟」に近い。単に対象に期待するのではなく、自分の期待とは異なる結果がもたらされる可能性も想像の範疇に入れ、その上でYESと言う覚悟。(なんか芦田愛菜ちゃんがこれと似たこと言ってた気がする)(よく考えるとめちゃくちゃ重い言葉…)

問題は後者の「信じる」です。
宗教に関する知識が浅すぎて想像すらできない状態ですが、前者の信じるとは矢印の矛先が違うように感じます。
仮に自分が踏み絵を踏んだとて、神は穴吊にあうわけでも、泣き叫ぶわけでもありません。神は変わらず沈黙を貫きます。存在し続けます。
なのでおそらく殉教者の方々はキリスト教やキリストといった自分以外の何かを守るために命を捧げたわけではないのだろうと思います。
司祭の「自分が闘ったのは自分の心にある切支丹の教えである」という言葉のように、これはキリスト教を信じるか信じないかという問題ではなく、キリスト教を信じる"自分"をどこまで信じられるか、という自分の内側へ働きかけるものなんだと思います。
が、どうもぼやっとして掴みきれていません。
宗教についてもっと深く学ぼうと思いました。

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悲しみの歌と海と毒薬に続いて3作目。
今回も遠藤周作の描く人間の弱さと絶望はとんでもなかった。
人が心のいちばん奥にしまい込んでいるような弱い部分を的確に掴み上げ、人という生き物の醜さについて憐みや軽蔑を含んで描きながらも、決して否定はしないところに作者の人間存在への深い愛を感じる。(勝手に)
現実とは思えない悲劇や絶望が迫ってきたときの動揺、拒絶、葛藤、諦観、受容の様子がとても生々しい。今回の司祭も笑っていた。何度も。遠藤周作の小説に出てくるあの切ない笑いがとても人間臭くて胸を打たれる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月05日

 難しい作品だった。面白かったが、容易ならざる問題作だ。成る程これは評価の悩ましい作品だと納得した。

 発表当初、之を禁書に指定する教会まであったそうだ。こんなものは基督教ではない、遠藤教だと物議を醸したとも。批判の内容に就いては兎も角、なかなか面白い表現ではある。言い得て妙だ。


 基督教に就...続きを読むいては、自分の中にずっと以前から疑問があった。果たして此の宗教の謂う神とは何者なのか。其れは仏教で謂う空とか、道教の道とか謂うものと同じようなものなのか、将又根本的に全く異なる概念なのか。いま朧気ながらも、其れは後者なのではないかとの思いを強くした次第である。

 踏み絵が大きなヒントになった。本作でもクライマックスに取り扱われる重要な概念である。
 例えば仏教徒の場合はどうであろうか。仏像か何かを足蹴にせよと強要された場合、敬虔な仏教徒は如何にすべきだろうか。

 こんな話がある。或る僧が焚き火で暖を取っていたが、薪が尽きたので仏像を燃やした。之を見ていた別の僧が咎めたところ、仏像を燃やした僧は、ならば燃やした仏像から舎利を取ってみよと反論した。
 出典などは失念してしまったが、大体こんな感じの有名な説話があった筈だ。これはもしかすると基督教に於ける踏み絵と好対照を為すエピソードではないだろうか。

 仏教徒が信仰しているのは仏の教えであり、仏像そのものではない。仏像は確かに有り難いものかも知れないが、然し如何に有り難くとも仏像其れ自体は信仰の対象ではなく、只のモノである。
 だから別に燃やしたこと自体は問題にならないし、寧ろ仏像に執着する方が仏教としてはNGかも知れない。

 翻って基督教の踏み絵はどうだろうか。銅板の基督は只のモノだから、作中で通辞が幾度も囁きかけた如く形式だけ踏んでおけば良いとは言えないだろうか。否、矢張り其れは出来ない。仏教が目指すのは生活の勝利者だが、基督教が目指すのは道徳の勝利者であり、人生の勝利者だからだ。

 仏教は人間と人間以外の凡ゆる生命(或いは凡ゆる非生命)との間に隔たりを認めない。然し基督教では恐らく然うではない。人間には人間たる可き正義があり、尊厳がある。之を愛し、信じ抜く事こそが基督教の美徳なのだろう。
 だから敬虔な信者であればあるほど踏み絵を踏むことは出来ない。現在の苦痛から逃れる為に信仰を棄てることは、取りも直さず道義の敗北であり、その行為は理性無き畜生にも等しいからだ。ここにこそ基督教と他の宗教との隔絶が存在するように思える。


 だが然し『沈黙』作中に於いて最終的に司祭は棄教の道を択ぶ。基督は沈黙していたのではない。ずっと同じ苦痛の最中に在った。
 こんなとき、基督ならどうするだろうか。それは全ての信者が常に生活の中で共有している命題ではなかろうか。基督ならば、痛みを分かち合う。何となれば丸ごと肩代わりする事も厭わないのでは無いだろうか。然う考えれば踏み絵を踏む事は基督の真意に適うとも言える。正にこの部分が批判の対象であり、物議を醸した問題のシーンなのだろうが。


 何れにせよ何が正しいのか、誰にも答えられない問題である。従来の基督教の教理で解決出来ない領域に踏み込み重大な問題を提示した宗教的且つ文学的に意義深い作品であった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月11日

主人公の、キリスト教団体の理想やしがらみという洗脳が解かれるまでの心の葛藤を描いた作品。そのプロセスがかなり残酷であるが、その残酷さを霞ませるほど、主人公の内面の苦悩が強く描かれていて、最後はドラマチックでガッツリ引き込まれた。

転じた先輩であるフェレイラが「日本人が信仰したものはキリスト教の教え...続きを読むる神ではなかった」「我々の神を彼等流に屈折させ変化させ、そして別のものを作りはじめたのだ」と主人公に伝えるが、確かに日本人あるあるだと納得。日本人は頑固なのか、それとも本質が分かっているがための無意識の改変なのか。

そもそも当時の布教という行為が善意で美しいという体で読み始めないと、感情移入はしにくい。大航海時代に、他国の支配戦略としてキリスト教の布教が利用されたという理解で読むと、多分それを知らずに海を渡った真面目な主人公が、さらに哀れで救われない。

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Posted by ブクログ 2023年09月05日

神はなぜ沈黙を続けるのか というある種タブー的な問いがずっと付きまとう。
常に救いが欲しくなるシーンばかり。それほどに、拷問と自分の信じる心を試されるシーンがむごい、、、

そもそもなぜ、信徒たちは異常に棄教できないのか、キリストの教えに背くこと、踏絵を踏むことがなぜそれほど苦しめるのかが自分には分...続きを読むかれなかった。そもそもの信仰心が弱いからなのか、そういう教えだからなのか、理由はまだ分からない。
けど、異教徒としてはその信心深さに恐怖すら覚える。

海はかぎりなく広く哀しく拡がっていたが、その時も神は海の上でただ頑なに黙りつづけていた。
五島の海は本当に美しい、のに、この作中では常に恐ろしいもの、不気味なものとして描かれていた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月18日

終わり方がすごく好みでした。
モヤモヤする終わり方、なにだか報われない、つっかえるような感じでとても良かったです。
序盤から終盤まで、「気休めの平穏」と「連続する悲劇」を繰り返し続けるので、読んでいて中弛みしません。感情が盛り上がるシーンで、風景の描写が見事なタイミング・技巧で入るので、それがまた切...続きを読む支丹たちの苦しみをハッキリこちらに見せつけてきます。
とにかくドラマティックというか、いい意味で嫌な汗をかきます。最高でした。

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興味深い

2016年12月30日

映画化され話題になっていたので、今更ながら読みました。
宗教を理由に弾圧、迫害した、された日本の過去の姿を、現代的な感覚で読みやすい、興味深い作品であると思います。
現在の社会や国際的な問題とも照らし合わせ、人としての葛藤を捉えているこの作品は、いま、多くの人に触れて欲しいなと思いました。
ただ、最...続きを読む後の文章は、難しいかもしれません。

ここからはごくごく個人的な感想です。
作中、よく「えっと◯◯」という表現がありますが、この使い方に少し違和感を覚えました。方言まで正確に書く訳ではないと思いますが、やはり方言は少し違うなと感じることがありました。(しかし、ほんの少しの違和感です)登場人物達が生きている気がしました。
長崎は受難の地、祈りの地だなと改めて思いました。そして海が本当に美しいとも。
私の曽祖父は隠れキリシタンでした。代々隠れ、懸命に生き、原爆で妻子を失い、それでも祈り、穏やかでした。
一言でいう「歴史」の中でどれだけの人々が葛藤し、道を選び、生き抜いてきたのかと思いをはせる機会になりました。
隠れキリシタン(最近では潜伏キリシタンとも言うようですが)がこのように、作品に残る時代になったんだなと、嬉しくも思いました。

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Posted by ブクログ 2024年03月12日

キリスト教のような宗教が絡む小説を初めて読んだ。

自分が特定の宗教をあまり持たない日本人として生きているため、主人公であるロドリゴに共感しにくい部分が多かった。そこまで、神にすがる感情を理解することに難しさを覚えた。
また、逆にキチジローにはとても共感してしまった。はじめは卑下して読んでいたが、ペ...続きを読むージが進んでいくに連れ自分も彼のようになるだろうと感じた。

小説のはじめでは、キチジローとロドリゴがかなり対照的に描かれていたのに対し、キチジローとロドリゴは棄教した点で形式上は同じような人物になってしまうのが可笑しかった。

気になった部分は、
「『彼等が信じていたのは基督教の神ではない。日本人は今日まで』フェレイラは自信をもって 断言するように一語一語に力をこめて、はっきり言った。『神の概念はもたなかったし、これ からももてないだろう』」(p.197)
という一節。日本をよく表している気がする。

キリスト教を弾圧していた時代を、パードレの目線で考えたことがなかったため非常に新鮮で面白かった。また、自分が宗教を全く理解できていないうえ、これからもずっと完全に理解することはできないのだろうと悟った。自分だけでなく日本人には、理解するような努力が一生必要なのだろう…。

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Posted by ブクログ 2024年02月16日

宗教小説

救いを求めて宗教を信仰するのに、殉教などがあるのはどうなのだろうと思った。強者と弱者における、強さと弱さとは何なのだろうか。

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Posted by ブクログ 2024年01月27日

初出1966年。自分が生まれる前。
それでも堅苦しさを感じさせず、暗くつらい物語だったけど挫けず読み切った。自分を褒めたい。
ただ最終章は一転、書簡のみの記述になる。「〜〜候」「〜候し〜候ありて〜申し候」と候100回くらい言われもうどんだけやねんとツッコミ入れたくなる。どうやら後日談のようで、主人公...続きを読むの信仰心がなんとか神の御許に召されたのかなと雰囲気で理解した。

ゆるふわ系仏教徒としては、キリストの教えはほぼ門外漢。以前に、傑出したコミック『チ。』を読んだ時の予備知識にも助けられた。
その共通点はただ一つ、宗教の迫害は痛ましい。という事実だ。集団が集団を変えようとする時、人を変えようとする痛みの何倍もの負のエネルギーが発生する。アメリカが、中国IT企業やアプリを締め出したのも実は紳士的で理性的だったと思えるほど。集団の本性は残虐だ。

苦しみに満ちた現世を清らかに生きる術が宗教だとしたら、これほどの倒錯もない。そして、このストーリーにして下記の一文は難解すぎる。


── 罪とは、人がもう1人の人間の人生の上を通過しなながら、そこに残した痕跡を忘れることだった─

神はすべてを覚えたもうか。
あるいは空に帰すものか。
色即是空、空即是色。
毎日拝んでいても、死者だけが覚えてくれているのかもしれない。それで満足できない自分も確かに居る。


信仰はわからん。
まだまだ苦しみ足りない私に、扉は閉ざされて沈黙したままだ。

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Posted by ブクログ 2024年01月18日

信仰の脆さと縋り
沈黙という概念は倫理的に考えてはいけないと今まで思っていたけど、そういう訳ではないのか(?)
スイッチングの描写が少し物足りなくは感じた.
大審問官をより読みたくなった..(あの..)

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Posted by ブクログ 2023年12月08日

救いであるはずの信仰が人を殺すという不条理に直面したとき、
神び存在という絶対的な前提への疑念が信仰自体を抜け殻にしてしまった瞬間の虚しさ、
また神の存在を是とした場合の沈黙に対する叫び、
極限の状況で正統でない新たなキリスト像を見出した結果の孤独感、
それらが無信仰の私にも重く響いてきた。
ロドリ...続きを読むゴは彼自身の中に生まれた新たなキリスト像に耳を傾けることで、「沈黙」、そして長く彼が疑問に感じていた「なすことをなせ」という言葉の意味も初めて納得する。
ある一つの像を見出した瞬間、それまでの壮絶な過程がすべて確固たる意味を持つようになり、もはやその存在の有無における議論が無意味に感じるほどの愛を知ることこそが信仰の始まりなのではないか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月05日

宗教って生きる術というか、辛い辛いって考えてるよりはよすががあった方がってことなのかなとぼんやり思っていたが、そのために死を厭わなかったり、でもそれを利用するものがいたり、結局何なんだろうと思う。
鼾が呻き声とわかったところ、すごく劇的でロドリゴの棄教までがするすると進んでいった。長崎とかキリシタン...続きを読むとか、学校の歴史の授業で何となく聞いただけの話が真に迫ってきた。

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Posted by ブクログ 2023年12月01日

罪悪感で苦しむ人にオススメだと自分は思いました。
恥ずかしい話、自分は過去に恋愛で部活の人間関係をめちゃくちゃにしてしまったことがあります。そのことに関して10年経っても悔いて罪悪感に苛まれています。
そんな自分はこの作品に出てくるキチジローに共感してやまないのです。
この作品は鎖国中の日本に密入国...続きを読むした宣教師ロドリゴがキリシタン禁制による残忍な拷問や奸計を前にして神の存在に疑問を抱いていく話です。
そのなかでロドリゴの前に度々現れるキチジローはキリシタンでありながら軽い拷問に恐れをなしたり、欲に眩んで何度もキリスト教を捨てては出戻るやつです。そんな彼の家族もキリシタンです。実は家族まとめて引っ捕らえられたときに彼だけはキリスト教を捨てて生き延び、兄妹は火刑に処され殉教したという過去が彼にはあります。
自分の命可愛さに背教し、同時にキリスト教と身内を見捨てて逃げたという後ろ暗さを経験したキチジロー。彼の言い分は、自分は弱い人間として産まれたから殉教なんて強い意志を必要とすることはできないとのことです。はたから見たらとんだクズ野郎ですが、なぜか憎みきれない。むしろ共感のような他人事として見れない複雑な思いを彼に対して持ってしまう。
それはキチジローのいう弱いゆえに逃げるのは仕方がないじゃないかという甘えを読者である自分も経験しているからなのかもしれません。自分は弱い人間だから逃げてしまうのは仕方ないんだ、だから許してくれ!という言い訳。そしてこの逃げ口上は相手に対しても自分にとっても十全なものとはならないことを、同じ経験をした人ならわかるんじゃないでしょうか?
十分でないからこそ、反省したと思っても同じ過ちを繰り返してしまう。自分でいえば仲間の大切さをわかりながらも、我欲のために壊してしまい、そのたびに自分を弱い人間に見せて被害者のような面をしながら逃げてしまう。若気の至りといえば可愛いですが、それで仲間の輪を拠り所にしていた人たちからしたら本当に迷惑です。
自分の意志の弱さとでも言えばいいのか、それを自覚的な人間にとってはわかっているのに直せず過ちを繰り返して苦しみを増やす気持ちが痛いほどわかります。そして、そこで同じように出口のない苦役の山を迷うキチジローを見るとこの苦しみは自分独りではないという不思議な気持ちになります。それは物語のなかでロドリゴが見出すものに近いのではないかとも思えます。
苦しみのなかにいる人に寄り添うような、そして出口はないがただただ隣人と共にあるという安心とも言える感覚を感じる読後感でした。

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Posted by ブクログ 2023年10月26日

神は何故沈黙か。愛、依存。
胸が苦しくなる瞬間が多かった。
何をもって神なのか。
人間の執着に恐ろしさを感じた。
そして遠藤周作の引き込まれる文章素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2023年10月20日

現実におきる残酷さと沈黙する神の残酷さ、耐えることとは、弱い人とは、いろいろな価値観を投げつけてくる小説。

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Posted by ブクログ 2023年10月18日

鎖国時の江戸を舞台に、日本にキリスト教を宣教するために訪れたポルトガル司祭が日本での厳しい取り締まりの中で苦悩する。隠れキリシタンや宣教師が受ける厳しい罰に対して「沈黙」を続けることに対する疑問を主人公は終始探っていく。信仰を捨てることと神に背くことが必ずしも等しくない、ということに気づかされた。

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Posted by ブクログ 2024年03月10日

特に信仰してるものもないし、日本史にも疎い私でも読み進めることができ、物語の迫力に引き込まれました。

わたしが譲れないものはなんだろう。なにを信じどこに向かって生きているんだろう?問いかけられるように感じました。特に“弱い者”として描かれるキチジローが自分の弱さと重なる気がしました。

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Posted by ブクログ 2024年01月11日

昔から家の本棚にあったこの本。
中学生高校生の時に読んでみようかと手に取ったことは何度かあるけど、あんまり面白くなさそうだなと読まなかった。
そりゃティーンエイジャーにはそそられないテーマだよな。
33歳になってようやく読んでみたわけだけど、思ったよりも読みやすくてすいすいと読めた。
キリシタンの迫...続きを読む害は歴史でちょっと習ったくらいだったから、こんなにも酷いことされてたのかと驚いた。そして思ったよりもたくさんの日本人がキリスト教を信仰していたことにも驚いた。
神の沈黙。信じるって何なんだろうなぁ。
正解なんてものはなくて、いやでも全てが正解なのかも。

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Posted by ブクログ 2024年01月10日

信仰もなく、神を信じていない自分には理解できない心情も多かったけれど、歴史小説的な意味では興味深い内容だった。

日本人は本当の意味でキリストの神を信じられない、彼らが信じているのは別のものだ、というのはなるほどそうだろうなと思う。ロドリゴの思い描くあの人はどんな顔なのだろうか。

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Posted by ブクログ 2023年09月09日

潜入司祭ロドリゴの目の前で、切支丹達がどれだけ迫害されても、神は‘沈黙’したまま。それでも、貴方は神を信じますか? という話だが、何の救いももたらさない神を信じきれず、それでも縋らずにはいられないキチジローの苦しみこそ、ロドリゴの背教の苦悩よりも深かったのではないかと思った。

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Posted by ブクログ 2023年08月24日

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感想
日本では根が腐る。もしかしたら今も舶来の教えは根付いていないのかも。新興宗教とは根腐れした姿なのかも。そんな問いにも神は応えない。

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