【感想・ネタバレ】沈黙のレビュー

あらすじ

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人間の苦悩、何かを信じ続けようとする強さ、何かに縋ろうとする弱さ、大なり小なり誰しもが持ったことのある感情がありのまま描かれている。
最初はイライラしてたけど、だんだんキチジローの気持ちがわかってくる。キチジローになっていく。

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初はキチジローのことが嫌いだったのに、最後には彼の登場を待っている自分がいた。
物語として、非常に惹き込まれる作品だったが、それ以上にキリスト教への信念が圧倒的だった…。
私はクリスチャンじゃないので理解が間違ってるかもしれないけど、この話を通して、キリストは信者と共にいるということを深く感じた。私は、「なぜ酷い状況であっても、信者はキリストの存在を信じるのか?(例:戦時下、不慮の事故など、意図せずに巻き込まれたときなど)」と考えていたが、その苦しみもキリストが一緒に受けていたという考えなんだなと感じた。

「踏むがよい。お前の足の痛さを、この足も感じている。」

ここは本当に美しいし、キリストの博愛精神をよく示していると思う。
キリスト教について知ろうと思える作品だった。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 神も悪魔も自分の中に存在する。
 キチジローの言動は矛盾しているようで、その根底にあるものは一貫している。それは神を信仰しているということ。信じているから弱くいられる。
 キチジローだけが、他の人のような自分で作り上げた神ではなく、本当の神を信仰できていたのかもしれない。彼がしているような、自分の想像を超える存在を信じるということは難しい。なぜなら自分の想像できないものは作り上げることすらできないから。キチジローは司祭を通して神を見ることができていたから、自分の想像に及ばない存在を心から信じられたのかなと思う。信仰は、1人では成り立たない。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公をとりめぐる、冒険小説のようなハラハラ感。無惨な世界の中、神はなぜ「沈黙」を保っているのか。
以上のように、エンタメ性(失礼な表現かもしれませんが)と深遠な哲学が両立している文学は、読んでいて楽しい。

一方、個人的に気になった点もいくつかあった。
一貫したテーマである、「神の実在性」の答えは、どこへ行ったのか。
最後の最後で主人公が意味深な事を言っていたが、私の頭ではあまり理解出来なかった。
主人公が転んだ理由についても、明確な思想や哲学がが語られる訳ではない。

また、主人公が少し捉えられてからのテンポが悪い気がした。
ここでの心情描写や思想に本作の魅力があるのは分かるが、もう少し省ける箇所もあったのではと感じた。

内容が重く、正直もう一度読む体力はない。
人生で一度は読んでおくべき本、である。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ


なんとも重厚な読み物であったか。
基督への信仰心を持った若き司祭が暖かな部屋から飛び出して、吹きすさぶ嵐の中を寒々とした荒野を突き進む。
体を引き摺るようにして進んで行った先で、新たな信仰の形を獲得した男の話だった。

キリストがとにかく迫害されたかつての日本が舞台で、徹底的な拷問を受ける人々は痩せてゴミの様に捨てられ、衝撃的な出来事に心が動かなくなっていく有様はフランクル著の「夜と霧」にそっくり。
穴吊り場面では戦場のメリークリスマスが思い出されましたね。
本書にある通り、宗教は豊かで強い者のために存在しているのてわなく、孤独で貧しく弱い人こそ必要な存在なのでしょう。
今日の日本において、コミュニティから弾かれた人は本書の司祭の様に膝を抱えて蹲って孤独に泣いている。そんな時に宗教の持つ神の絶対感が必要なのかなと。
結局の所、神の姿や想像は人によって違えても同じ方向を向いて、同じ慣習を生活に取り入れた集団に属するという、その一体感から充実感を大いに得てしまう。
一度手に入れた安息のコミュニティから爪弾きにされないために信仰にしがみついているだけなんだ。
神は何故、この様な苦しみを与えるのか。
何故救ってくれないのかと司祭は考えますが、フランクル哲学を引用すると、運命は突きつけられるものでなく、運命が我々に問いかけを行っているのだと。我々は運命に対して常にアンサーしなければならないのだと言っていて、この考えは私のお気に入りです。
神と言う普遍的で抽象的な概念を信仰すると言うよりは、自らの置かれている生活や立場、コミュニティに属する安心感を信仰している。
司祭は最後の最後まで、本国の教会関連者に軽蔑される事に気を取られていた感じがする。
やはり、どんなに生活力が向上して文明が進むとも人の天敵は孤独から来る無気力感なのだと改めて感じた作品だった。

キリストの言葉は全く学んでこなかった私だけど、やはりと言うべきか、世界中の人々に支持されているだけあって、素晴らしい教えは幾つもありました。宗教はその土地に住まう人々の生活の知恵が集合したものであると思っているため、学んで行きたいジャンルだなあ。

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2025年11月14日

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