あらすじ
笑っている者には毒があった、至る所に罠があった。――江戸初期、持ち前の才覚と力量とで出世の野望を遂げようとした山田長政は、陰険な術策と謀略の渦巻くシャム(タイ)のアユタヤ王宮の傭兵隊長となった。一方、切支丹の冒険家ペドロ岐部は魂の救いを求め、アユタヤに着いた。「地上の王国」を築こうとする者と、「天上の王国」をめざす者とを通して日本人とは何かを探る長編小説。
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Posted by ブクログ
新聞か、雑誌のオススメ記事で見かけて、読んだのだが確かに面白かった。
どんどん登場人物が策略で死んでいく。スリリングで一気読みできました。
主人公の長政、岐部に共通するのは、最後は人に裏切られて死ぬという事。
Thai Land の"T"は、天国のTだと聞いたことがあるが、違ったか。
人を一方的に信じてはいけない、また野苺をいじってもいけない。
Posted by ブクログ
【本書の特徴】
・1600年辺りの日本と世界の描写
・戦と冒険活劇
・政治と権謀術数
・少しだけ、位の低い者と高い者の恋愛描写
・ノンフィクションである、ということ
・現世に生きる人間と宗教のために死ぬ人間
・下手にハッピーエンドにしない
・集落や組織にとって少数派の生き方/処世術
遠藤周作氏の作品を初めて読んだが、こんなに読みやすいとは、意外であった。
Posted by ブクログ
山田長政については、アユタヤの日本人町で活躍した人、程度の理解。ペドロ岐部は初めて知った。
長政の最期を知っているとハッピーエンドにはなり得ないのだが、そこへ向けての長政の戦いがなんともいえない。史実だと子供がいたようだが、ここでは常に孤独で1人決断を求められているようなのがなんとも。そこでも宗教に流れなかったのが強さか。
よく分かっていない部分が多いらしいが(Wikipediaも項目によって濃度がバラバラ)、ペドロ岐部についても含め、色々と知れて収穫大。
Posted by ブクログ
遠藤周作さん、久々に読みました。
10代の愛読書には、遠藤周作さんの本が沢山あります。
今回、タイ旅行の事前勉強に、と思って読んだのですが、タイのお話というより、よくできた物語に、久々降りる駅を乗り過ごしそうになる経験をしました。
Posted by ブクログ
めちゃおもしろかった。地上の王国と天上の王国、2人の対比が実にオモシロい。沈黙やディープリバーももちろんオモシロかったんだけど、あちらは宗教色、神とは、みたいなのが強いのにたいし、王国への道ではあくまでメインでないあたりが読みやすい。
過去、世界的にみても優れた兵士だった日本の侍。外国で戦った山田長政はすごかった。
Posted by ブクログ
山田長政ってこんな人だったのか!
ちょっとサスペンスチックというか、
読んでて手に汗握る部分あり、
人生のはかなさみたいなものを感じさせる場面あり。
なかなか面白かったです。
Posted by ブクログ
野球おもしろいんだけれど、テレビ無駄にやりすぎじゃね? 洗脳装置のおバカワイドショーは仕方ないけれどニュース番組にまで食い込んできて気持ち悪い。
なので本読み。古い写真を見ていたら子供たちの授業風景で、黒板に先生が山田長政って書いた場面で、ああずいぶん昔に見た懐かしい名前だなぁと思いつつ、山田長政って何をやった人だろう? 誰か小説を書いてないかなと検索したら遠藤周作さんいました。
長政さんなんとなくタイにある日本人町の町長さん的なシュッとした実務家っぽいイメージを持ってましたが、ぜんぜん違いました。ほとんど戦国時代の名のある武将クラスの豪胆な人じゃないですか! さらには権謀術数にも長ける参謀タイプでもあると。つまりは戦いと陰謀に明け暮れた人だったのですね。
なんたってタイ(シャム)に上陸して見惚れた王女さまへの想いが最後にかなうのかと思ったら、かなり残念な結末になってしまっていて、まぁそういうもんよねぇなんて思いつつウィキペディアを見たら、長政さん王女さんと早々に結婚してるじゃないか! 周作……。
《王宮には至るところに罠がある。笑うている者に毒がある。近よってくる者は刃をかくしている。温和しい者は術策を考えている。お前たち日本人はそうした王宮の者から見れば、まるで子供だ、とても太刀打ちはできぬ》
Posted by ブクログ
タイの勉強として。600年前にアユタヤで日本人が力を持っていた、その様子を想像できておもしろかった。キリスト教徒が迫害されて、それでも信念をつら抜こうとする岐部についても。
途中、長政にふきが体を触られるところ、キモい、サイテー、それ性的虐待、遠藤周作サイテー、時代錯誤もいいとこだ!と思っていたけど、最後フキが長政を毒殺するのがよかった。
遠藤先生、引き続き読むことにする。
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江戸時代初期、太平の世となった日本を捨て、遠くアユタヤへと渡った日本人。そして、キリシタン禁制の日本を後にして、ポルトガルで神父となった日本人。異国での野心に満ちた生き方が描かれます。
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戦国の世に、日本を飛び出してシャムの国(タイ)に渡り、活躍した山田長政の物語。
駿河の出身とは知っていたがどのような生涯だったのかは不明の人物。
彼の生涯と同時期を生きたキリシタンペドロ岐部と交差する人生がテンポ良く描かれてます。
個人的には、長政の生涯をもっと深堀したものが読みたい。
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山田長政とヨゼフ岐部の物語。
タイのアユタヤ朝に渦巻く凄まじい陰謀の中で出世を目指す山田長政の生き様と、信仰に生きるヨゼフ岐部の生き様の対比を描く。
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タイ旅行のお供に持っていった一冊。山田長政については名前くらいしか知らなかったが、今から400年も前にタイ(シャム)のアユタヤ王宮で権謀術数をめぐらせていた人物だったことに驚いた(むろん虚構は入っているだろうが)。わずかばかりのチャンスをつかみ取りながらのし上がっていく彼の生に、ただ日本にキリスト教を布教するという信念のみを持ってローマまで辿り着くペドロ岐部の生が、相対する方向から交差する。「ただこの2人はたがいに気がつかなかったが一点においてよく似ていた。それは狭い日本にあくせくと生きず、おのれの生き方のために海をこえて新しい世界に突入したことだった」(p.285)。「おのれの生き方のために」生きる力が湧いてくる一冊。
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江戸時代にこんな人がいたとは知らなかった。単身、タイ・アユタヤに乗り込み、藩主まで登り詰めるなんて、本当にガッツがある。ペドロ岐部が、地上の王国を目指す山田長政と対照的に描かれてるけど、信念を持って生き抜くところが、やっぱり、ガッツがあって、2人は似ているなぁと思った。これはあくまで小説、実際はどうだったのか、かなり興味をそそられる。
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江戸初期に、日本人町があったタイ・アユタヤで傭兵隊長に出世した山田長政と、切支丹弾圧から逃れ不屈の精神でローマで神学をおさめたペドロ岐部。日本を飛び出し未知の国に新天地を求めた二人の日本人の生き方。
あくまで小説ではあるが、アユタヤが栄えていた頃の様子がよくわかる。アユタヤ王朝のドロドロした権力闘争の中を巧みに生き抜く長政。手に汗握る展開で、おもしろくて一気に読めた。
Posted by ブクログ
「富も力も虚しかぞ。」
諸行無常のこの世で、いつの時代も心に響くこの言葉。
世界は広い。そして人間の生は短い。人間が本当に求めるべきは、富や力ではなく、魂の救いであろうか。
しかし、人間の生が短いからこそ、存分にそれを火のように燃やして見せようとする者もいる。
この世に必要なのは、富か心か。目に見えるものか、見えないものか。
地上に全てを求める山田長政と、神の国に救いを求めるペドロ岐部との徹底的なまでの二項対立は、人間の価値観について深く考えさせられる。
しかしこの作品の素晴らしい点は、この両者の立場に価値判断を伴わず、完璧な中立で描かれている点である。
キリシタンである遠藤周作も、その一方で「個人と集団」という問題に直面し、苦悩し、それを追及しているのである。
江戸時代、外国など遠かったこの時代、遠い異国でこのような2人の日本人がいたのだと思うと、何とも言われない感慨が湧いてきた。
Posted by ブクログ
昔も今も叶いもしないような野望を持つ人が居て、がむしゃらにその目的に食らいつく人がいる、どこからそんなパワーが湧いてくるんだろ、で、大抵失敗に終わることが多いと思うけど、エネルギーはすごいと思う。人を傷つけたら自分が傷つくことになるし、自分を犠牲にし続けるのも、ね
読後すごく胸糞悪くなった、けども、この胸糞悪くなったのは良いことだと思う、これからのわたしのために、
あとたくさん人が出てきてマジで話がわからなかった。男の方が好きそうな内容なのかな、女がほぼ気持ちありませんみたいな扱いだし、時代だけど気持ちが悪い
Posted by ブクログ
単身、海と砂漠を渡ってローマまで行き神父になったペトロ岐部と、アユタヤ朝時代のタイで王女と結婚したともいわれるほどの栄華を誇った山田長政の二人を描いた小説。二人の邂逅があったかのようにも描かれており、多分にフィクションを含む話だが、「神の国」と「地上の国」を対比させ、どちらが幸福なのかを読者に問いかけてくる構図は面白いと思う。また、ローマで枢機卿の秘書になる話まで断って日本に行こうとしたペトロ岐部の姿と、山田長政が権力への欲望と権力を獲得する過程で犠牲となった人々への罪悪感の間でもがき苦しむ様子などは、深く印象に残った。
Posted by ブクログ
陽炎ゆらめく灼熱のアユタヤで、野心を試すひとりの日本人。地球を転々としながら、信心を貫くもうひとりの日本人。避けられない世の無常の中、それぞれの描く『王国』に向かって、激動の道を敢えて進む姿がひたむきで、目が離せない。
Posted by ブクログ
今度、東南アジアのタイへ行くのでタイを舞台にした本ということで読んだ。
主人公は山田長政という実在の人物。
江戸時代初期に日本からタイ(当時はアユタヤ朝)へ渡り、日本人傭兵として王室に仕え、権謀術数渦巻く中、将軍まで登りつめた男の出世物語。
と同時に、ヨーロッパへ渡りキリスト教神父になったペドロ岐部(実在)という無私無欲の人物の目を通して、山田長政やタイ王室の権力争いを見ることで、「山田長政の成り上がりストーリー」というよりも、「権力を求めることの虚しさ」の方が、読者には強く伝わってくる。
小説自体はそんなに面白いとは思わなかったけど、タイへ行った時、400年前にタイで活躍した日本人がいたんだ、と思い感慨にふけることができると思うので、読んでおいて良かった。