あらすじ
笑っている者には毒があった、至る所に罠があった。――江戸初期、持ち前の才覚と力量とで出世の野望を遂げようとした山田長政は、陰険な術策と謀略の渦巻くシャム(タイ)のアユタヤ王宮の傭兵隊長となった。一方、切支丹の冒険家ペドロ岐部は魂の救いを求め、アユタヤに着いた。「地上の王国」を築こうとする者と、「天上の王国」をめざす者とを通して日本人とは何かを探る長編小説。
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Posted by ブクログ
野球おもしろいんだけれど、テレビ無駄にやりすぎじゃね? 洗脳装置のおバカワイドショーは仕方ないけれどニュース番組にまで食い込んできて気持ち悪い。
なので本読み。古い写真を見ていたら子供たちの授業風景で、黒板に先生が山田長政って書いた場面で、ああずいぶん昔に見た懐かしい名前だなぁと思いつつ、山田長政って何をやった人だろう? 誰か小説を書いてないかなと検索したら遠藤周作さんいました。
長政さんなんとなくタイにある日本人町の町長さん的なシュッとした実務家っぽいイメージを持ってましたが、ぜんぜん違いました。ほとんど戦国時代の名のある武将クラスの豪胆な人じゃないですか! さらには権謀術数にも長ける参謀タイプでもあると。つまりは戦いと陰謀に明け暮れた人だったのですね。
なんたってタイ(シャム)に上陸して見惚れた王女さまへの想いが最後にかなうのかと思ったら、かなり残念な結末になってしまっていて、まぁそういうもんよねぇなんて思いつつウィキペディアを見たら、長政さん王女さんと早々に結婚してるじゃないか! 周作……。
《王宮には至るところに罠がある。笑うている者に毒がある。近よってくる者は刃をかくしている。温和しい者は術策を考えている。お前たち日本人はそうした王宮の者から見れば、まるで子供だ、とても太刀打ちはできぬ》
Posted by ブクログ
タイの勉強として。600年前にアユタヤで日本人が力を持っていた、その様子を想像できておもしろかった。キリスト教徒が迫害されて、それでも信念をつら抜こうとする岐部についても。
途中、長政にふきが体を触られるところ、キモい、サイテー、それ性的虐待、遠藤周作サイテー、時代錯誤もいいとこだ!と思っていたけど、最後フキが長政を毒殺するのがよかった。
遠藤先生、引き続き読むことにする。
Posted by ブクログ
今度、東南アジアのタイへ行くのでタイを舞台にした本ということで読んだ。
主人公は山田長政という実在の人物。
江戸時代初期に日本からタイ(当時はアユタヤ朝)へ渡り、日本人傭兵として王室に仕え、権謀術数渦巻く中、将軍まで登りつめた男の出世物語。
と同時に、ヨーロッパへ渡りキリスト教神父になったペドロ岐部(実在)という無私無欲の人物の目を通して、山田長政やタイ王室の権力争いを見ることで、「山田長政の成り上がりストーリー」というよりも、「権力を求めることの虚しさ」の方が、読者には強く伝わってくる。
小説自体はそんなに面白いとは思わなかったけど、タイへ行った時、400年前にタイで活躍した日本人がいたんだ、と思い感慨にふけることができると思うので、読んでおいて良かった。