悲しみの歌(新潮文庫)

悲しみの歌(新潮文庫)

737円 (税込)

3pt

米兵捕虜の生体解剖事件で戦犯となった過去を持つ中年の開業医と、正義の旗印をかかげて彼を追いつめる若い新聞記者。表と裏のまったく違うエセ文化人や、無気力なぐうたら学生。そして、愛することしか知らない無類のお人好しガストン……華やかな大都会、東京新宿で人々は輪舞のようにからみ合う。――人間の弱さと悲しみを見つめ、荒涼とした現代に優しく生きるとは何かを問う。

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悲しみの歌(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    重くて深みが凄く、後々まで考えてしまいそうな小説だった。
    春に読んだ「海と毒薬」の続編で、事件の30年後が描かれている。

    正義って何だろう?と改めて考えた。
    善と悪ってすっぱり二つに割り切れるものではなく、両方つながっていて、当然グレーゾーンというものもあって、人は立たされた立場やその時の世情によ

    2
    2015年11月27日

    Posted by ブクログ

    暗い小説です。

    太平洋戦争末期に九州医大で行われた捕虜の生体解剖実験を元にした『海と毒薬』の実質的な続編である本作。
    その前作も暗い小説でしたが、その「暗さ」のイメージが異なるように感じます。
    例えるならば、『海と毒薬』は夕闇のような限りなく闇に近い暗さ、『悲しみの歌』はどんよりとした曇り空でその

    1
    2015年09月29日

    Posted by ブクログ

    この世は「悲しみ」でできている。本書を読み終えてまず思った感想は、こうだ。本書は複数の文学賞を受賞し、映画化もされた著名な『海と毒薬』の続篇にあたり、同作に登場した勝呂医師がふたたび登場する。『海と毒薬』の内容をもう1度おさらいしておくと、第2次世界大戦の末期、九州帝國大學において、捕虜になった米兵

    1
    2015年07月06日

    Posted by ブクログ

    登場人物が、あちこちで関係を持つのがフィクションならではだが、勝呂医師には共感できる。勝呂を糾弾する記者折戸に対する同僚野口の言葉。「絶対的な正義なんてこの社会にないということさ。戦争と戦後のおかげで、ぼくたちは、どんな正しい考えも、限界を超えると悪になることを、たっぷり知らされたじゃないか。君があ

    1
    2015年05月06日

    Posted by ブクログ

    海と毒薬の後日端らしい。売ろうかと思ったが思いとどまり、読み出して止まらなくなった良作。落ち着いたときに、もういちど読み返してみたいものだと思う。

    1
    2014年03月29日

    Posted by ブクログ

    海と毒薬の続編。

    生きることの悲しみや苦しみ、正論は人を追い詰め苦しめる。
    登場人物は多いけど、とてもわかりやすく描かれており、文章から情景が見える作品。

    0
    2024年06月03日

    Posted by ブクログ

    人が人を裁く資格なんてない。40年経った今も、当然それは変わらない。
    追い求める正義は、果たして誰にとっても正義なのか。自分がその立場に立った時、絶対に起こらないと断言できるのか。
    生きることに付随する悲しみが、あまりに多すぎる。もう苦しまなくていい、もう辛いことはない。誰もが死に向かう中で、死を求

    0
    2024年02月04日

    Posted by ブクログ

    大晦日に読破。良かった。もう一度読みたい。
    人間はやがて死ぬ。早いか遅いか。今していることは、だからなんなん、と自問するとに戸惑うことばかり。どう生きようか。

    0
    2023年12月31日

    Posted by ブクログ

    ガストン良い奴過ぎる。勝呂医師は天国で涙を流しているんだろうか。
    自分の中にも折戸がいるのかもしれない。

    0
    2023年01月18日

    Posted by ブクログ

    『海と毒薬』の続編的な位置付け。これを読むことで「海と毒薬』への理解も深まったような気がする。誰しも不安、迷い、弱さ、後悔、孤独を抱えている。一見、交わることのなさそうな登場人物たちが何かしら勝呂医院と繋がりながら交錯し、すれ違っていく。虚栄や欲望に飲み込まれていく中で、頼りなくもピュアで無償の優し

    0
    2021年08月17日

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