無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
弱い人でも強い人でも心挫かれたときに、その辛さを分かち合ってくれる理解者としてのキリスト。そして現世利益を重視する日本人にとっては富めるものよりも貧しいものがあの世で救われる考えや、実存的でないものがあまり合わない。こうした遠藤周作さんの考えるキリスト教や日本文化論を感じられる1冊でした。
過去作『沈黙』よりも運命や身分、政治といった大きい力の前で従うしかない弱い人と抗う強い人が強調されている感じでした。
とくに強い人として描写される宣教師の身勝手で欲深いために、周りに迷惑をかけてしまうところは共感を感じました。
そんな強い人が心を折られ、そのなかで自分が成すべきことを見出し最期はある意味で救われるところは感動しました。
遠藤周作さんの考えるキリストは自分にとっては本に近いとも感じました。辛いときに同じ境遇やもっと苦しく絶望に陥っても、それでも生を全うする登場人物をみて、不思議と心が安らぐ感じに近いと思います。
そして、本作の侍も宣教師も苦難ばかりの長旅と失意の底に陥ります。彼らの旅に比べれば多少の現実の困難は大したことないかもですが、それでも彼らからしたら「わかるよ、辛いよな」という気持ちになってくれるはずです。
そのうえできっと裏表なく理解してくれる。とくに仕事や人間関係で辛いときはわかりあってくれて、人生に全うできるように肩を並べてくれるような気がします。
この作品を読んでわずかでもキリストに関われたのだからきっとそうだと私は信じてしまう。そんな読後感でした。
【お気に入りフレーズ】
泣くものはおのれと共に泣く人を探します。嘆く者はおのれの嘆きに耳を傾けてくれる人を探します。世界がいかに変わろうとも、泣く者、嘆く者は、いつもあの方を求めます。あの方はそのためにおられるのでございます。
Posted by ブクログ
転ぶ。
信仰とは何か?、ということすら、生きる上で全く考えることのない、無意味なくらいの、そんな侍の社会。
その社会で大切なのは、ただただ忠誠であり信仰とは似て非なるモノ。
その時代の人達が。
何故ヨーロッパに行くのか?
キリスト教が介在したのは何故?
危険を冒す理由があったのか?
という事は、史実でも、まさに本文中でも、たっぷり書かれている。
個人的に唸ったのは。
商売の利と信仰を天秤に計る人の心理
忠誠を示す為に信仰を選ぶ心のさざ波
司祭同士の出世争いの場にされた日本
功名心を信仰心で巧みに隠してく醜さ
棄教を前提に自分自身を欺くその描写
日本に戻った侍の心の描写が、その答えだった。
「侍は自分が見たのは、あまたの土地、あまたの国、あまたの町ではなく、結局は人間のどうにもならぬ宿業だと思った」
信仰と不信。
二つのテーマが、ぐるぐると廻り、巡り、描かれる一冊でした。
信仰があることがイイワルイではない。
自分がどうあればいいのか?とか、信じないといけないとか、奇跡なんて科学的じゃない、理論的じゃないとか、どうでもいい。
信仰することで救われる人がいるんだ。
ただただ、そのコトだけを知り認める心を持つだけでいいんだと、そんな読後の感想でした。
Posted by ブクログ
長谷倉という侍と、ベラスコという司祭、二人の視点で描かれる物語。
『沈黙』と似た雰囲気があり、本書も事実に基づいているらしく、こんな辛い時代があったのかと驚かされる。
キリスト教にも宗派の違いがあり、そこに政治も絡んでくる。
ベラスコは征服欲の強さから教えを押し付けるような行為をしてしまい、その傲慢さを自覚しながらも正当化していた。
しかし終盤になると、自分の行いを見つめ直すことになる。
そこでキリストや神への信仰が本物であると感じた。
暗く、報われない現実。
そんな世界にこそキリストは寄り添ってくれる存在なのだという。
華やかな生活の中ではなく、見すぼらしい苦しみの中に、それぞれの人の中にキリストはいるのだそうだ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。