あらすじ
生誕100年を迎える“狐狸庵先生”こと遠藤周作の代表的エッセイ集。社会や家庭でいつもマスクをかむっている自分ではなく、奥の奥にいる本当の自分を見てみませんか? まず自身の話から始め、ユーモラスな語り口で、私たちがどう自分と向き合い、可能性を生かすか、さらに他人とどう付き合って、人生を豊かにしていけるかをやさしく説く。佐藤愛子さん、三浦朱門さんら文壇の仲間をはじめとする、幅広い交遊関係が語られる後半も必読。 ※2023年2月に発売した集英社文庫を底本にしています。重複購入にご注意ください
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Posted by ブクログ
自己啓発的な導入で始まった文豪エッセイに若干の戸惑いを抱きつつ、気付けば著者の一生に滑り込んでいた。温かでお茶目で少年のような心を持っていた著者に親しみを感じた。
私が小学生の頃に亡くなられている。お会いしてみたかった。
Posted by ブクログ
書かれた時代によって今の感覚では「古い」と思ってしまいそうな記述もそれなりにあるが、それはその当時でも著者本人が自覚している部分もあり、穏やかな語り口で案内される内面世界に不快感は一切無かった。これには、不必要な自虐が無い(自嘲的なユーモアが程良い表現に加工されて面白く示されている)ことも影響していそう。
男女の違いについては昨今のジェンダー観にはそぐわない箇所があるものの、押しつけがましさが無い上に、著者は男女どちらをも尊敬できる友人として見ていることが伝わる。違っていても、それで良いのだと思えた。
仏教の視点や数々の文化人との交流を踏まえ、著者の深い教養の一端を覗くことができる楽しさもある。
流石だな……と思わされる筆致だった。