遠藤周作のレビュー一覧

  • 王妃マリー・アントワネット(下)
    パリの民衆たちの王政に対する不満の声は日増しに高まり、ついに革命が勃発します。マリー・アントワネットは、頼りにならない王の背中を押して、暴徒と化した民衆を押さえつけようとしますが、彼女たちはしだいに後退を余儀なくされ、幽閉されてしまいます。

    一方、革命軍もジロンド派とジャコバン派の対立をかかえてお...続きを読む
  • 留学
    フランスに留学した人物を主人公とした作品三編で構成されています。

    第一章は、キリスト教文学について学ぶためにフランスにやってきた工藤という青年が主人公の短編です。彼は、日本でのキリスト教布教の希望を疑うことがなく、日本についての想像力を欠いた善意を示すフランスの敬虔な信者たちに、理解されることのな...続きを読む
  • 深い河 新装版
    前から気になっていた一冊。
    去年、インドに行ってガンジス川を見たときの光景を思い出しながら読んだ。
    数十年前に書かれた本だが、描写されているバラナシの街の様子が去年見たものと何ら変わらないことに驚く。

    妻と死別した男、磯部にまつわる箇所にある一文。
    「磯部は生活と人生とが根本的に違うことがやっとわ...続きを読む
  • 新装版 海と毒薬
    高校生の頃読んで何度も読み返している。戸田のターンが好き。良心の呵責とは?なんどもなんども考えさせられた。
  • 深い河 新装版
    初めて遠藤周作を読みました。

    この作品しか読んでないからか、
    遠藤周作の意思はまだはっきりとは理解できませんでしたが、多元的な宗教の捉え方や、神の沈黙という表現を通して、ヨブ的な祈りと信仰の深さなど、とても考えさせられました。

    あえて言うなら、登場人物それぞれの精神的なドラマをもう少し突き詰めて...続きを読む
  • 海と毒薬(新潮文庫)
    高校以後、数十年ぶりに再読。
    話のあらすじは覚えていたが、数人の独白で構成されていたことすら忘れていた。
    各人の独白の際、心理描写は緻密で、罪を犯す人の心情はこのようなものなのだろうかと疑似体験した気分になる。
    また、誰しも犯してしまう軽微な悪事に対しての良心の呵責は自分自身もこんなものかもしれない...続きを読む
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ
    キリスト教徒の作者らしい考えを知る事ができて、面白かったです。タイトルの通り、フランスでの生活の事や戦後の日本の事も書いていて、貴重な体験を数多くした方だったのだなと思いました。
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ
    「誰もが一度は味わってみたいとお思いになるフランスの魅力の一つを少し考えてみたいと思います。」から始まる表題のエッセイ。
    イメージとかけ離れたところは私の感じたことと共通する。決して「おしゃれ」とか、「きれい」なところばかりではないという…。

    彼から見た「今」も今は昔。

    それでも「読書について」...続きを読む
  • 深い河 新装版
    クリスチャン作家として有名な著者だが、実はその思想は一部の(というか割合多くの)クリスチャンから異端視されてきた。

    その一番大きな理由はおそらく宗教多元主義によるものだろう。

    しかし個人的には著者に深いシンパシーを感じてきた。それは自分自身が幼い頃から日本の文化や土壌に慣れ親しんできており、家族...続きを読む
  • 深い河 新装版
    大学生の時にキリスト教の授業(愛に関するテーマだったと思う)の課題図書として出会った本作を再読した。
    この本に出会い、インドに興味を持ち、社会人5年目となって初めて、バラナシの町、ガンジス川を訪れた。ガンジス川を眺めながらの再読となった深い河。様々な過去を抱えた人間が、深い河を見ながら感じたこと。
    ...続きを読む
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない
    祖父の本棚からもらってきた本。
    共感できる言葉、勉強になる言葉、自分を戒めてくれる言葉などたくさんあった。
    全部挙げればキリがないので、いくつかだけ挙げたい。この一冊を何度も読み返したい。

    「我々の人生というものは、自分が選ぶ状況と、自分の意志とは関係なく与えられた状況がある」

    「我々の人生のど...続きを読む
  • フランスの街の夜 遠藤周作初期エッセイ
    1950年代から1990年代に書かれたエッセイ。再掲もありますが多くは遠藤周作文学館の資料室で見つかったものだそう。遠藤周作が語る書籍、映画など当時の文化を感じられる。個人的に印象に残ったものをピックアップ。

    ※巻末の初出一覧から発表年を書き出しました。

    ・フランスの街の夜
    表題作。再掲。戦後が...続きを読む
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)
    文庫版解説で朝井まかて氏が、遠藤周作氏の別著作である「わたしが・棄てた・女」を読んだ時に「小説はここまで書くものなのか」と心を揺さぶられた、と印象を語っているが、著者の死後に発見されたという今作に対しても、当てる角度は異なれどまさしくその表現がふさわしい、と私は思った。
    私小説、とまでは言えないとし...続きを読む
  • 悲しみの歌(新潮文庫)
    名作『海と毒薬』と『お馬鹿さん』を絡めた続編と言ってもいい作品。
    私はそのどちらの作品も感銘を受けたけど、絡めているからこそ更に響くものがあり。
    正義は時に人を苦しめるし、素直さが自分を苦しめる。
    悲しい歌だ。
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。
    筆不精を直す話。今の時代なかなか手紙を書く機会はないが、昔からよく書いていたことを思い出す。
    便箋、封筒、葉書、切手を身の回りに用意しておくこと。字の上手下手や文体にこだわらず書いていたことを思い出す。
    恋文に関することに多くの紙面を割かれている。
    書き手に興味を持たせる。
    相手の美点を上手に褒める...続きを読む
  • 王国への道―山田長政―
    野球おもしろいんだけれど、テレビ無駄にやりすぎじゃね? 洗脳装置のおバカワイドショーは仕方ないけれどニュース番組にまで食い込んできて気持ち悪い。

    なので本読み。古い写真を見ていたら子供たちの授業風景で、黒板に先生が山田長政って書いた場面で、ああずいぶん昔に見た懐かしい名前だなぁと思いつつ、山田長政...続きを読む
  • 死海のほとり
    重い話です。
    生きること自体がそもそも「人生とは・・・」というのが凡民の悩み。そこに信仰を重ねているのだから、まぁ無信仰の人間からすれば言わずもがな。
    しかも第二次世界大戦のあの話も重なるのだから。
    結局答えはいつまでも見つからないのかもですね。
  • 王妃マリー・アントワネット(上)
    ずいぶん昔に読んだのであらすじの大部分は忘れてしまいましたが、マリーアントワネットが幽閉されてギロチンにかかるまでをどのように過ごしたのか想像を掻き立てたのをよく覚えています。
  • 侍

    侍って作中にあえてでているのはなぜなんだろう。
    安土桃山時代に主君の命とはいえ、異国に行けといわれどんな気持ちだったろ。
    実話に基づく話でこんな日本人がいたことを知らなかった。時代の流れに翻弄され無念だったろう。
    ローマに残るのも心残り。不本意にキリシタンになりそこの地で暮らすのも不本意。行き場のな...続きを読む
  • 怪奇小説集 蜘蛛
    今の時代にそのままかぶせたら怪奇というには物足りなさを感じてしまうかもしれません。
    でも私は好きです。心臓を直撃するような恐怖より背中にじりじり感じるこの雰囲気。いい意味で嘘も誤魔化しも通用した時代なのかもしれないですね。そういえば幼い頃テレビでよく幽霊特集みたいなのがあってわくわくして見ていたなぁ