遠藤周作のレビュー一覧
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神が運命をさだめるのではなく、運命から自由にしてくれるのが神だという考え、神は無力であれ、可能性さえ示してくれればそれで良いのだと感じた。
人間は善悪の外には立てない。
人によって罰と感じるものは違う。
ならば正義もみな形が違うのも当然で、
その混沌のなか、正しい倫理観を求められる。
私達はかなり難しいところにいるのではないか。
戦時中の命の重さ、同じでなくてはならない。
私はその中で今の価値観を貫けるのだろうか。
多く自分に問いかけながら読み進めた。
海が癒しから大きな不安にかわるその瞬間
恐ろしくて黒い黒い海が脳を絶えず侵食した。
見た事のない手術室の血を流すための
小さな川の流れを連 -
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『海と毒薬』の続編です。
NSFMさんのレビューがきっかけでこの本を知り、ヒボさんに応援されながらこの本を読みました。お二人ともありがとうございました。
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戦後の日本の暗い部分にすっぽりと収まってひっそりと暮らす勝呂。戦犯として罪を償った後も医師を続けている彼は、フランス人のガストンから、ある老人の診察を頼まれます。癌の苦しみから老人を救うために勝呂が選択したことを、新聞記者の折戸は彼の過去と同様に追い詰めます。折戸の正義感は一種の暴力のよう -
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ネタバレ吃りのあるニホンザル研究者の話。
主人公一平は吃りのため弱気な性格。昔から動物に心惹かれ、恩師の言葉もあり、動物の研究者となる。
小学校からの幼馴染朋子に恋をするも、大学進学してから縁遠くなっていた。
ニホンザル研究者として猿の餌付けに従事するも、ホテル建設問題や新しく来た研究所長との関係悪化により退所。
その後別の山で研究を進めるも、以前の研究所でホテルを建設した加納専務の邪魔が入る。加納の秘書は朋子であった。
朋子は専務の部下である夫がいたが、途中で夫が飛行機事故により死亡。朋子と一平、加納との三角関係や、汚れた人間の世界と自然に生きる猿たちの世界が描かれる。
今回はキリストには触れられ -
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前回の聖書読書会でおススメされたので、有名な「沈黙」とあわせてバリューブックスさんでポチった。
実はわたしにとっては初の
遠藤周作作品。
聖書に興味を持つ前からいつか「沈黙」は読みたいと思っていたが、おススメしてくれた方が、
「それなら是非こちらの方から」と教えてくれたので、「深い河」から読み始めた。
小説の時代背景は1984年…なので、
少し古い時代ではあるが、
歴史ものというわけでもなくとっつきやすい。
バブル経済が始まる少し前の、日本の景気が上向きで、かと言って戦争の生々しい記憶も留めている世代がいる頃。
ちょうど今の時代から振り返ると、40年前、アジア太平洋戦争からは40年後の世 -
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遠藤周作が四つの福音書を引用し、解釈するイエス像。
人智を超越した・圧倒的な希望の象徴・神の子イエスではなく、人間イエス・同伴者イエス。
人間の苦しみに嘆き悲しみ、「愛」を持って寄り添おうとするイエスの姿が強調されている。
人間が一番辛いのは貧しさや病気ではなく、貧しさや病気による孤独や絶望。
人間に必要なのは「愛」であり、一時的な効果を産む「奇蹟」ではない…とイエスは苦悩する。
奇蹟は起こらず人々に失望され、やがて十字架に向かう、無残なイエス。
しかし、イエスはその死さえも理解していた、人間の苦しみを理解する為の「愛」によるものだった…。
本来の全能の救世主のイメージからかけ離れた、人 -
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何年か前に買って、棚に眠っていた一冊。つまり、積読本。
ここまで感想が書き辛くて、私にとって共感性も低い本だったとは思いもしなかった。書き出すほどに支離滅裂になりそうで、正直戸惑っている。それでも手探りしながら、書き終わりというゴールを目指そうとは思うけど。
ちょうど、それぞれの目的を果たすため、インド行きを決行した登場人物たちみたいに。
長年連れ添った妻を癌で亡くした磯辺。学生時代に弄んだ男の行方を追う美津子。動物とのふれあいを、唯一の拠り所とする沼田。「旧日本軍 史上最悪の作戦」と称されるインパール作戦で奇跡的に生還した木口。
本書のテーマを一言で述べるとしたら、「信仰」になるだろう。登 -
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適当に手にした小説だったが、名作が過ぎる。そう思って後を見ると2008年第92刷発行て。初版が1972年とあるので、やはり長年人々の心を惹きつけてきたのかしら。
セックスをするためだけにミツに近づき一晩で棄てた男。なんのことはない、どこにでもあるありふれた一幕だと思う。でも読んでて苦しい。それは相手がミツだからだろう。
私は、純朴ゆえ生きるのが下手なミツが愛おしい。そして歯痒い。
ミツのような人間が近くにいたのなら、あるいは私の人生感も変わっていたに違いない。
当時の時代背景などもあるが、フェミニスト系の人には受け入れ難いかもしれない。 -
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ネタバレ本編の主人公・サチ子は第一部の主人公キクの遠い親戚(祖母のいとこがキク)。
舞台は第二次世界大戦ごろの長崎。やはり切支丹が題材。
正直作者が取り込みたいエッセンスを全部一つの小説に入れ込むタイプの小説は好きではない。今回で言うと原爆、学徒出陣、特攻、アウシュビッツという要素がそれに当たり、山崎豊子の二つの祖国を読んだときにも同じような感想を持ったことがある。
一方で作者は人間の弱さ、強さ、汚さ、美しさ等あらゆる側面を捉えているため、惹き込まれる。
色々詰め込み過ぎかなと思う一方、色んな人が色んな立場で現実に向き合ったんだなと思わせる1冊でした。 -
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ネタバレ人は、信仰を持たないと罪の意識も持てないのだろうか。
信仰の有無とは違う、という感覚は覚えるけれど、それならばどうやって裁きを受け入れるのだろう。反省して罪を償おうと思えるのだろう。
“信仰”で捉えるのも二元論的なのかなぁ。
無理…と押し潰されてしまう勝呂も、良心の呵責を期待して果たせなかった戸田も、両方とも読んでいる自分から距離はありませんでした。
上田看護婦すら、わからなくもない…という存在。
特にこの3人の心情がひしひしと生々しく伝わってきます。
そして、終わらない空襲と敗戦の予感の、疲労と諦念があれば、わたしも容易に傾いていきそうという怖さがあります。
加えて、F県在住なので、移転