遠藤周作のレビュー一覧

  • 死について考える

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    「死について考える」なんていうタイトルなので、死ぬことを哲学するような内容の本かと思うけれど、
    それよりは少し肩の力の抜けた、老年を迎えた作者が死や歳を取ることについて思うことを書いたエッセイである。


    カトリック信者の著者による本なのでところどころキリスト教について触れているところがあり、そうは言えども日本人でもあるわけなので、西洋と日本の死生観の違い、その辺を本人の中でどう折り合いをつけているのかなどが面白い。
    どちらかと言えばキリスト教から見た死と、日本人にとっての死との共通点を見出そうとしている感じである。ただ、カトリックと日本古来の信仰とは比較的近く、仏教(主に禅)はやや離れていると言っているように感じた。


    30年以上前の本だけれど、言っていることはほぼ現代にも当てはまる(「老害」という言葉が既に出ている!)。(信仰上の立ち位置等も含め)じゃあ自分はどう考えるか?を意識してこそ意味のある本。

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    2021年07月27日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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     遠藤周作の書く女性は、いつも正直でひたむきだ。そしてほんとの恋というテーマ話語っている。私は出来なかった。それは宗教ほども強い信念がなかったからだ。

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    2021年07月10日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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     遠藤周作の本を読むといつもキリスト教の惨さを思う。どんなに祈ろうと、どんなに善行を積もうと、神は報いてくれない。それでもキリスト教信者は、神を信じ神に祈る。
     多神教徒なら都合のいい時に都合のいい神様に神頼みをするのに…
    でもだからこそ、心に滲みるのが遠藤周作の小説である。キクのような生き方こそ神様だよね。私は伊藤だ、熊蔵だよなぁって思いました。
     女の一生2部はないのかなぁ

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    2021年07月04日
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    性的なことから向き合う。
    執筆された時代だと、特にタブーとされてたことかもしれないけど、そういうところから目を背けない。
    恋愛とは何か、迷ったらまた読みたい。

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    2021年06月07日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    ネタバレ

     コルベ神父がアウシュビッツで同じ班だった妻子ある父親の身代わりとして餓死の刑を受けるという行動が「無償の愛」だと思った。
     女の一生〈1部〉キクの場合でも無償の愛について考えたけど、今回は自分が愛する人(家族や友人や恋人)のためではなく、見ず知らず,ただアウシュビッツでたまたま同じ班だった人の身代わりとして死ぬという行為、これこそが全く見返りを求めない愛だと思った。
     最後に、この小説でコルベ神父が実在の人物であることを知って更に感動した。この方を知ることができて良かったと思う。

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    2021年05月07日
  • 哀歌

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    ネタバレ

    病気、死、基督教、切支丹。
    名作長篇に繋がる短篇がまとめられていて、短くとも真髄に触れられる濃い内容。
    神の存在の描かれ方が印象に強い。生きている動物や人間に神の存在を見ているのが、自分の中にない感覚だった。
    人間の罪深さや弱さと対峙するのは心を抉るように辛いが、目を背けずに知りたいという欲求が勝る。

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    2021年04月19日
  • 彼の生きかた

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    著者のイメージはテレビで、ユーモアあふれる会話をする作家さんと言うものでした。間違いなく著者は日本の文壇で名前を残している方だと思います。ただ残念ながら、後世に読み継がれていくのかと思うと不安になります。私の杞憂かもしれませんが、「海と毒薬」「沈黙」「深い河」など。感銘を受けた作品が沢山あります。今回読んだ作品は彼の代表作とまでは言えない作品かもしれませんが、面白く読めました。著者の弱い立場の人に寄り添う姿勢が読み取れます。主人公の学歴に対するコンプレックスなどは著者に通じるものがあるのではないかと勝手に思っています。今度は、著者のエッセイを読んでみようと思います。

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    2021年03月09日
  • イエスの生涯

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    遠藤周作による聖書の解釈、キリスト教観がわかりやすく書かれた1冊。遠藤周作作品を読むためのバイブル。この作品を読んでから別の作品を読むとより一層楽しめると思う。

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    2021年08月02日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    マリー・アントワネットの生涯、とっても気になる。
    マルグリッドの登場とか、(たぶん)創作の部分はあるものの読み応え十分。

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    2021年01月08日
  • 白い人・黄色い人

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    教会も罪の苦しみも、救済の願望も、私たち白人が人間の条件として考えた悉くに無関心、無感覚にあいまいなままで生きられるのだった。これはどうしたことなのだ。これはどうしたことなのだ。

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    2020年12月13日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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     心の込められた手紙を書くには『読む人の身になって』書くと良いが、【どのようにして】という部分を、例題を絡めて綴られている。
     手紙について2割、恋文に5割、お見舞い・お悔やみに2割、他1割といったバランスで、主にラブレターに関してだが、要領は他の内容でも使うことの出来るものだ。
     少し古い価値観も見られるが、家族へしっかりとした手紙を書きたいと考えていた身としては、概ね参考になった。

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    2020年10月10日
  • 満潮の時刻

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    静かな気持ちになりました。
    静かに静かに進みながらも、気づけば最高潮に。まさに満ち潮のよう。感情の大波が訪れていました。

    生きることを見つめていく明石の、たった一人と九官鳥一話の深夜の対話。溢れる彼の涙。
    明石の心を捉えた、病室の夫婦。手を握り合った2人の情景が忘れられない。
    良書でした。

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    2020年09月13日
  • 生き上手 死に上手

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    延命医学に対する疑問は共感できる。
    ただ、自分が当事者になったとき、特に延命対象が自分自身ではなく、親や兄弟、子供が対象になったとき、「延命不要」と言えるか…。私は「命がある」ということに拘り、そこに望みを見出だしてしまうと思う。

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    2020年08月12日
  • 留学

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    重く長い。
    工藤も田中も遠藤周作自身なのだなと思った。
    彼らの中には必ず劣等感があり、その部分こそが私たちを同じ人間なのだと狂わせる。
    誰も同じなわけないのに。
    我々はいつどこの場所に生きても、思い悩み、一点の消えない朱色を追い求めるんだ、と思った。

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    2020年07月25日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

    「イエスの生涯」の前に読んだ方がいいかも?
    同伴者としてのイエス
    「裏切り者」と遠藤、いや人類のオーバーラップ。

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    2020年04月23日
  • 母なるもの

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    ネタバレ

    キリスト教と日本人、また遠藤周作がもつ信仰について。短編集ひとつひとつが心を打つ名作。かくれ切支丹から読み取られる、マリア信仰の強さ、母なるものへの思慕。日本の宗教的本質は、父なる神の教えと相容れない。遠藤の信仰は、実母への愛着を原点としており、かくれ切支丹への気恥ずかしいながらの共感を示す。明治以後に伝来したキリスト教への違和感、信じられることへの羨望。「最もアーメンに縁のないような人間に、なぜアーメンはとり憑いたのだろう」

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    2020年04月09日
  • 口笛をふく時

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    戦前に灘中に通っていた父と、大病院で癌患者を担う息子。戦争と医局の力関係という、それぞれ大きな力の元、一人の女性によって人生が交わっていく。

    医療系で真面目な方の遠藤周作であるが、かなり読みやすい部類だと思われる。戦時中の灘中(今の高校)で、平目という同級生と出会い、成績不良で挫折し、戦争によって引き裂かれる。一方で、医者の上下関係によって、正しい治療法を見誤っていく。

    戦争の話は、かなり端折って軽く描かれている分、医局の異常さという部分が重くのしかかる文章となっているものの、難しい文章ではないため、理解しやすいだろう。展開としては、最後に大きくカタルシスがあるわけでもないので、最後の部分は余計に感じた。

    遠藤周作自身の私小説の部分が大きいだろうし、それぞれのパートで主人公を書き分けるために苦労したのはわかるのだが、「小津」と「鋭一」という姓名でのかき分けは、正直なところ引っかかった。

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    2020年04月07日
  • 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために

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    文学考察として十分に面白い。
    性差別が少し乱暴な気もするが、時代だから仕方ないか。
    愛と情熱は別物らしいぞ。

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    2020年03月27日
  • 侍

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    ☆☆☆2020年3月☆☆☆


    江戸時代初期、まだ大坂の陣は終わっていない頃。
    徳川氏の天下が確定しつつあった頃の物語。
    東北から、宣教師とともにメキシコへ、ヨーロッパへと旅した「侍」と、宣教師を中心とした物語。


    「侍」=長谷倉のモデルは、明らかに支倉常長だろう。
    異国との通商を求めるという親書を携え、メキシコへ、スペインへ、イタリアへ、苦難の旅。
    「宣教師」=ベラスコはポーロ会という宗派の宣教師で、日本にキリスト教を広めたいという強い思い、そして自分が出世したいという秘めた野望を持っている。


    長谷倉らは、使命を果たすため、やむなくキリスト教に改宗。これが帰国後彼らにとって悲惨な結果となってしまう。つらく悲しい物語だ。特に若者の西が可哀そうに感じる。異国の珍しいものに心から感動していた、好奇心の強い若武者。


    「日本人は利に聡く、利用できるものなら何でも使用しようとする」ような記述が所々にあったが
    これは筆者の想いだろうか? これは日本人のいい面でもあり、悪い面でもあるだろう。


    ベラスコは、最終的に自ら日本に赴き殉教する事になる。「信仰」のために何故そこまで?というのは、私たちにはわかりにくい。

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    2020年03月15日
  • 死について考える

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    ネタバレ

    20年も前に書かれた本ではあるが、その姿勢は現代のターミナルケアに通ずる部分も多い。以下、自分の印象に残ったこと、気づき。

    ・最期に自分を支えるのは、やはり精神だ。先立たれた大切な人に会える、だとか苦しんでいることを理解してあげることが一番いい。
    ・延命処置の是非。尊厳死はどうなのか?天寿を全うしているなら、尊厳死でもいいのか?
    ・ACPは、死に直面したときに初めてスタートする。在宅医の先生の訪問診療について行った時の経験を思い出した。
    ・安楽死は可哀想だから死なせてあげるという家族のエゴが入っている。尊厳死はその人が死に方を選べる。しかし自殺はダメ。天寿を全うしてないから。
    ・痛みも生きている証だという考え方。
    ・結局考え方は人それぞれだから、万人に使える万能のターミナルケアなどない。
    ・「痛み」ってなんなんだ?心の痛み、神経が痛み刺激を受信している。痛みは薬剤以外でも和らげることができる。誰か共感してくれる人や元気になりたいモチベーションがあれば、痛みとも上手に付き合えるのではないか。
    ・宗教は意外と大切かも。
    ・臨死体験をした人は皆、暖かい光に包まれて、自分の身体を俯瞰してみることができたらしい。かつて愛した故人に会えた人もいたのだとか。死後の世界はあるのだと信じても良いかもしれない。禅宗的には、解脱にあたるようだ。
    ・生活と人生は違う。生活:他者に残すかたみ、人生:自分の素顔。老年において本当の顔をまじまじとみる時がきたのだ。
    ・天国と地獄。悪いことをしたら、全員地獄に行くのか?死ぬ間際に心から悪いことをしたと思えば神は天国に連れて行くのか?一方殺された人々は、あの人々をお許しくださいと言えるのか?自分の身に降りかかった理不尽を恨みはしないのか?

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    2020年03月15日