遠藤周作のレビュー一覧

  • イエスに邂った女たち

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     先日「遠藤周作で読むイエスと十二人の弟子」を読んだ。そちらは生前のエッセイや著書からの引用でまかなっていたが、本書は全編を通じて遠藤節が味わえる。
     『赤毛のアン』シリーズの中に「求婚する前に、彼女の父親の支持政党と母親の教派を調べておけ」という処世術が出てくる。男性と女性で信仰のありようが違うのは、今も昔も変らない。

     思うに、多神教のはびこる未開のヨーロッパへ布教するには、十二使徒や聖母・マグダラ両マリアのタレント性が不可欠であろう。

     第9章「かくれ切支丹のマリア」は興味深い。切支丹の教義の中で、イエスの贖罪の対象は人類に非ず、まさかの……。

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    2018年12月20日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    ちょうど幽閉されたシャルルを描いた絵画を観た後で
    興味があったところ同僚に勧められて読んだ本。
    フィクションを含めた歴史小説。
    堅苦しさがなくとても読みやすかった。
    お陰様でフランス史に興味が出てきたので
    他も当たってみようと思う。

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    2018年12月09日
  • 彼の生きかた

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    2つのテイスト違いの物語が絶妙に絡み合う良作。ひとつめは、一平と猿、そしてとそれを取り巻く人たちの純情物語。勝手にココリコ田中を想像しながら読んでました。そしてもう一つが、朋子の大人の恋愛事情。絵に描いたような小者の夫・藤沢と、切れ者専務・加納(ここまでくれば調教師と呼んでも良いかも)の両方ともいいキャラしてる。結局良いも悪いもなく、最後は個々の納得感が大事、とまとめてもよいくらい、教訓めいたものもなくさらりとした読後感。

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    2018年11月25日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    やはり周作さんらしい救いのないお話でした。
    1部に続き2部でも大量虐殺が…

    今まで本当に上っ面の事しか知らずに生きてきた自分が情けない思いでいっぱいになりました。
    だからって自分に何が出来るのかは分からないけど、せめて「女の一生」に出会えたことに感謝して生きて行きたいです。

    P98、そは求むところなき愛なり
    p263、労働をつづけながらも…
    P347、路は悪いかわりに…
    P487~ラスト迄
    とっても心に響く言葉であったり文章でした。

    あと、長崎の方言好きだな(笑)
    大浦大聖堂にも行ってみたい!
    マリア像の前で思いっきり泣きたい!

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    2018年11月08日
  • 侍

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    主命でメキシコ・スペインへ渡った「侍」は、役目を果たすため、キリスト教へ帰依をする。しかし、旅の途中で日本の政情が鎖国へと変わり、当初の役目を果たせなかったばかりか、偽りとはいえ受洗したことが咎となり、帰国後も潜むように生きることを強いられる

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    2018年11月04日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    転落の象徴的逸話である首飾り事件の余波で民衆のアイドル的存在から憎悪の対象へ一変し公開処刑に至るまでを描く。気まぐれで移り気な民衆の怖さ、それでも貴族としての立ち振舞を意識し愛と優雅さに生きるアントワネットの姿が印象的だ。徹底的な悪政のイメージが強いルイ16世だが、王と王妃は囚われ逃亡しながらの何度も救出が試みられることから貴族社会からはそれなりに支持があったことが窺える。

    搾取された民衆に同情すべきであるが、万策尽き刑宣告まで幽閉され疲弊しながら衰弱するアントワネットのさまはなんともいたたたまれない。ギロチンによる公開処刑直前、執行人の足を踏み一言「あらごめんあそばせ」、最後まで気品ある態

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    2018年09月29日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    マリー・アントワネットの壮大な一大歴史叙事詩を遠藤周作氏が描く。アントワネット氏の豪奢で絢爛な面だけでは品性を保ちながらもフランス革命前夜の時代に翻弄される姿が印象的に描かれる。史実を、マルグリットやフェルセンのフィクションで照らすことで、さらに物語的な深みが増している。マルグリットとサド侯爵のやり取りはもちろん架空だがひょっとしたらこういうエピソードもあったのではないかと思わせるのは遠藤氏の極めて高度なレトリックの結果だろう。特にギヨサンとサンソンの話は結果皇妃自らが裁かれることを知る我々にとっては不気味にそしてなにかもの哀しい。

    教科書で見る浮世離れしたアントワネット氏の姿ではなく、純粋

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    2018年09月29日
  • 夫婦の一日

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    この短篇集含めて、僕が遠藤周作を好きなのは、高潔に生きたいという理想と情欲に溺れたいという堕落性、その双方が一人の人間の中に存在している矛盾について、認めて、許して、悩んでいるからです。
    良い悪いの二元論で物事を切るのは明快かつ論理的で、一見逞しいけれども、空疎で断定的で、どこか脆い。
    誰かと戦っているわけでもないし、自分に正直に存分に苦しめば良いのではないか、そう伝えてくれているように思えるのです。

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    2018年09月20日
  • 王国への道―山田長政―

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    江戸時代初期、太平の世となった日本を捨て、遠くアユタヤへと渡った日本人。そして、キリシタン禁制の日本を後にして、ポルトガルで神父となった日本人。異国での野心に満ちた生き方が描かれます。

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    2022年04月09日
  • 死海のほとり

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    聖地エルサレムを訪れる「私」の現代の物語と聖書の挿話を小説として描く過去の物語が相互に進行する。「私」の物語は実話かと思いきや創作であるが遠藤周作氏の実体験に基づくものと考えても差し付けないだろう。

    特に印象的なのは小説的手法を用いて等身大のイエスを描いたことだ。「人として」のイエスを描くことで同列の人間たち、現代の物語の冷めながらも何処かで神を捨てきれない戸田や卑屈に神に縋り続けたねずみ、過去の物語での様々な登場人物の目線や感情を通して、筆者自身も見出せてない信仰心の「在り方」を問うことに成功している。信仰と奇蹟を結び付ける人々と寄り添うことに神の愛の本質を説く信仰、その差が落胆や失望を生

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    2018年07月23日
  • 侍

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    果たして基督教の信仰とは何なのか、苦難に対峙してもなお沈黙する神とは何なのか。時代と政に翻弄される「侍」長谷倉と烈しい信仰を持ってベラスコの眼と体験を通して日本人の宗教観が立体的に描かれる。万の神を認めて藩主を絶対的統治者とした当時の侍たちに対し、当初は使命感と意志をもって基督教布教を謀るベラスコの姿は滑稽で狡猾ともみえるが、後半になるに従って長谷倉は藩への疑義に反して信仰を問い、ベラスコは教会への不信に反して信仰を深める姿が印象的だ。

    『沈黙』と比べると直接的表現も多く、理解しやすい反面文学性はやや劣るが、『侍』のほうが会社の命令に右往左往する悲哀溢れるサラリーマンに通じるものがあり感情移

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    2018年07月17日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    死後に未発表の原稿が見つかり出版された本。読み物として面白かったし、遠藤周作がこんな軽快な文章を書くだんて意外だった。修飾語の表現を鍛える「〜のようなゲーム」はぜひ習慣にしたい。

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    2018年07月14日
  • 私にとって神とは

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    無宗教の日本人にわかりやすくキリスト教(カトリック)を説明してくれている。キリスト教徒でありながら、キリスト教をどうも身近に感じることが出来ない日本人の気持ちをよくわかってくれている。

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    2018年06月24日
  • 彼の生きかた

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    強引な組織方針に屈しない主人公という典型的なストーリーだが、吃音をもつ自虐的思考の主人公だけにインパクトがある。野生の猿に餌付けすること自体良くないことではと現代の概念を持って読むので違和感が出るがそこがストーリーの本質ではないので。
    幼なじみとの恋愛は思わぬ展開に。残念だけどこちらのほうが主人公の生き方をより印象づけることにもなります。ページが残り少なくなるなか、淡い予想を裏切るラストの展開。そこまでしなくとも…と思わなくもない。

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    2018年06月02日
  • 白い人・黄色い人

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    「白い人」「黄色い人」に描かれるのは後発的な神への信仰心と先天的なプリミティブな本能との相反である。

    「白い人」では第二次世界大戦のナチズムという異常下において主人公と弱さを持つ敬虔なカトリックとしてジャックを、「黄色い人」では「転んだ」人デュランとブロウを対比させている。文学作品としては芥川賞受賞「白い人」に軍配が上がると思うが、「黄色い人」における「中庸な」黄色い人である道子の存在がテーマを浮き立たせているように思う。「なむあむだぶつと唱えればよいものをなぜ基督に拘るのか」、遠藤周作氏が描く東洋思想と西洋思想の違い、ひいては「沈黙」のなかで語られた「根が育たない土壌」である日本人気質を言

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    2018年05月28日
  • 満潮の時刻

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    小説のところどころに「沈黙」の一場面を思い出させる描写があって、遠藤作品そして遠藤周作さんのつながりを感じました。そのほかの作品にも流れる「人間をありのままに受け入れる」ものについての遠藤さんの強い確信を感じるよい小説でした。

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    2018年04月18日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    ネタバレ

    小説の大家とはいえ、病気のお見舞い文はそんなに詳しいのかな、等と思っていましたが、後書きによると、入院中に書いていたとのこと。
    そう思って読み直すと突然胸に来る内容に‥。

    恋文の書きかたが多いです、個人的にはどれも最もだと思いながら読みましたが、女性へのアンケート調査的にはあんまりヒットせず‥。

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    2018年02月11日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    女性の尊厳を描くことで男性の尊厳を浮かび上がらせ、総じて人間の尊厳とは何か、を考えさせる。
    長崎が舞台でとても読みやすい。ただ、やはり遠藤周作は重すぎて、1冊読むと食傷してしまう。

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    2018年02月05日
  • 侍

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    ネタバレ

    藩主の命によりローマ法王への親書を携えて海を渡った一人の侍。多くのものを失い傷つき絶望し、7年もの後やっとの思いで故郷の地を踏んだ彼を待っていた運命はあまりに過酷だった。
    共に旅をした宣教師ベラスコはすごく傲慢で初めは嫌いだったが、読み進めるほどに彼の人間らしさ未熟さに興味がわく。
    宗教は好きではないが、最後に侍の心にその人が寄り添って少しでも楽になったのならいいなと思う。だけどラスト、ベラスコがその知らせを聞いたときの反応には正直がっかり。その思考は理解できなかった。
    小説としてはすごくおもしろかった。

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    2018年01月22日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    首飾り事件~バスティーユ陥落~ヴァレンヌ逃亡事件。王家がかわいそうで、途中で読むのをやめてしまった。


    フェルセン伯爵の活躍が際立ち始める。マリー・アントワネットに最後まで献身したスウェーデン出身の貴族。
    (世界のすべてが、あの方を裏切ろうと)
    (私はあの方を忠実に守り続けよう)

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    2018年01月05日