遠藤周作のレビュー一覧
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「死について考える」なんていうタイトルなので、死ぬことを哲学するような内容の本かと思うけれど、
それよりは少し肩の力の抜けた、老年を迎えた作者が死や歳を取ることについて思うことを書いたエッセイである。
カトリック信者の著者による本なのでところどころキリスト教について触れているところがあり、そうは言えども日本人でもあるわけなので、西洋と日本の死生観の違い、その辺を本人の中でどう折り合いをつけているのかなどが面白い。
どちらかと言えばキリスト教から見た死と、日本人にとっての死との共通点を見出そうとしている感じである。ただ、カトリックと日本古来の信仰とは比較的近く、仏教(主に禅)はやや離れていると言っているように感じた。
30年以上前の本だけれど、言っていることはほぼ現代にも当てはまる(「老害」という言葉が既に出ている!)。(信仰上の立ち位置等も含め)じゃあ自分はどう考えるか?を意識してこそ意味のある本。 -
Posted by ブクログ
著者のイメージはテレビで、ユーモアあふれる会話をする作家さんと言うものでした。間違いなく著者は日本の文壇で名前を残している方だと思います。ただ残念ながら、後世に読み継がれていくのかと思うと不安になります。私の杞憂かもしれませんが、「海と毒薬」「沈黙」「深い河」など。感銘を受けた作品が沢山あります。今回読んだ作品は彼の代表作とまでは言えない作品かもしれませんが、面白く読めました。著者の弱い立場の人に寄り添う姿勢が読み取れます。主人公の学歴に対するコンプレックスなどは著者に通じるものがあるのではないかと勝手に思っています。今度は、著者のエッセイを読んでみようと思います。
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Posted by ブクログ
戦前に灘中に通っていた父と、大病院で癌患者を担う息子。戦争と医局の力関係という、それぞれ大きな力の元、一人の女性によって人生が交わっていく。
医療系で真面目な方の遠藤周作であるが、かなり読みやすい部類だと思われる。戦時中の灘中(今の高校)で、平目という同級生と出会い、成績不良で挫折し、戦争によって引き裂かれる。一方で、医者の上下関係によって、正しい治療法を見誤っていく。
戦争の話は、かなり端折って軽く描かれている分、医局の異常さという部分が重くのしかかる文章となっているものの、難しい文章ではないため、理解しやすいだろう。展開としては、最後に大きくカタルシスがあるわけでもないので、最後の部分は余計に感じた。
遠藤周作自身の私小説の部分が大きいだろうし、それぞれのパートで主人公を書き分けるために苦労したのはわかるのだが、「小津」と「鋭一」という姓名でのかき分けは、正直なところ引っかかった。 -
Posted by ブクログ
☆☆☆2020年3月☆☆☆
江戸時代初期、まだ大坂の陣は終わっていない頃。
徳川氏の天下が確定しつつあった頃の物語。
東北から、宣教師とともにメキシコへ、ヨーロッパへと旅した「侍」と、宣教師を中心とした物語。
「侍」=長谷倉のモデルは、明らかに支倉常長だろう。
異国との通商を求めるという親書を携え、メキシコへ、スペインへ、イタリアへ、苦難の旅。
「宣教師」=ベラスコはポーロ会という宗派の宣教師で、日本にキリスト教を広めたいという強い思い、そして自分が出世したいという秘めた野望を持っている。
長谷倉らは、使命を果たすため、やむなくキリスト教に改宗。これが帰国後彼らにとって悲惨な結果となってしまう。つらく悲しい物語だ。特に若者の西が可哀そうに感じる。異国の珍しいものに心から感動していた、好奇心の強い若武者。
「日本人は利に聡く、利用できるものなら何でも使用しようとする」ような記述が所々にあったが
これは筆者の想いだろうか? これは日本人のいい面でもあり、悪い面でもあるだろう。
ベラスコは、最終的に自ら日本に赴き殉教する事になる。「信仰」のために何故そこまで?というのは、私たちにはわかりにくい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ20年も前に書かれた本ではあるが、その姿勢は現代のターミナルケアに通ずる部分も多い。以下、自分の印象に残ったこと、気づき。
・最期に自分を支えるのは、やはり精神だ。先立たれた大切な人に会える、だとか苦しんでいることを理解してあげることが一番いい。
・延命処置の是非。尊厳死はどうなのか?天寿を全うしているなら、尊厳死でもいいのか?
・ACPは、死に直面したときに初めてスタートする。在宅医の先生の訪問診療について行った時の経験を思い出した。
・安楽死は可哀想だから死なせてあげるという家族のエゴが入っている。尊厳死はその人が死に方を選べる。しかし自殺はダメ。天寿を全うしてないから。
・痛みも生きている証だという考え方。
・結局考え方は人それぞれだから、万人に使える万能のターミナルケアなどない。
・「痛み」ってなんなんだ?心の痛み、神経が痛み刺激を受信している。痛みは薬剤以外でも和らげることができる。誰か共感してくれる人や元気になりたいモチベーションがあれば、痛みとも上手に付き合えるのではないか。
・宗教は意外と大切かも。
・臨死体験をした人は皆、暖かい光に包まれて、自分の身体を俯瞰してみることができたらしい。かつて愛した故人に会えた人もいたのだとか。死後の世界はあるのだと信じても良いかもしれない。禅宗的には、解脱にあたるようだ。
・生活と人生は違う。生活:他者に残すかたみ、人生:自分の素顔。老年において本当の顔をまじまじとみる時がきたのだ。
・天国と地獄。悪いことをしたら、全員地獄に行くのか?死ぬ間際に心から悪いことをしたと思えば神は天国に連れて行くのか?一方殺された人々は、あの人々をお許しくださいと言えるのか?自分の身に降りかかった理不尽を恨みはしないのか?