遠藤周作のレビュー一覧

  • 私にとって神とは

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    無宗教の日本人にわかりやすくキリスト教(カトリック)を説明してくれている。キリスト教徒でありながら、キリスト教をどうも身近に感じることが出来ない日本人の気持ちをよくわかってくれている。

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    2018年06月24日
  • 彼の生きかた

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    強引な組織方針に屈しない主人公という典型的なストーリーだが、吃音をもつ自虐的思考の主人公だけにインパクトがある。野生の猿に餌付けすること自体良くないことではと現代の概念を持って読むので違和感が出るがそこがストーリーの本質ではないので。
    幼なじみとの恋愛は思わぬ展開に。残念だけどこちらのほうが主人公の生き方をより印象づけることにもなります。ページが残り少なくなるなか、淡い予想を裏切るラストの展開。そこまでしなくとも…と思わなくもない。

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    2018年06月02日
  • 白い人・黄色い人

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    「白い人」「黄色い人」に描かれるのは後発的な神への信仰心と先天的なプリミティブな本能との相反である。

    「白い人」では第二次世界大戦のナチズムという異常下において主人公と弱さを持つ敬虔なカトリックとしてジャックを、「黄色い人」では「転んだ」人デュランとブロウを対比させている。文学作品としては芥川賞受賞「白い人」に軍配が上がると思うが、「黄色い人」における「中庸な」黄色い人である道子の存在がテーマを浮き立たせているように思う。「なむあむだぶつと唱えればよいものをなぜ基督に拘るのか」、遠藤周作氏が描く東洋思想と西洋思想の違い、ひいては「沈黙」のなかで語られた「根が育たない土壌」である日本人気質を言

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    2018年05月28日
  • 満潮の時刻

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    小説のところどころに「沈黙」の一場面を思い出させる描写があって、遠藤作品そして遠藤周作さんのつながりを感じました。そのほかの作品にも流れる「人間をありのままに受け入れる」ものについての遠藤さんの強い確信を感じるよい小説でした。

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    2018年04月18日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    ネタバレ

    小説の大家とはいえ、病気のお見舞い文はそんなに詳しいのかな、等と思っていましたが、後書きによると、入院中に書いていたとのこと。
    そう思って読み直すと突然胸に来る内容に‥。

    恋文の書きかたが多いです、個人的にはどれも最もだと思いながら読みましたが、女性へのアンケート調査的にはあんまりヒットせず‥。

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    2018年02月11日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    女性の尊厳を描くことで男性の尊厳を浮かび上がらせ、総じて人間の尊厳とは何か、を考えさせる。
    長崎が舞台でとても読みやすい。ただ、やはり遠藤周作は重すぎて、1冊読むと食傷してしまう。

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    2018年02月05日
  • 侍

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    ネタバレ

    藩主の命によりローマ法王への親書を携えて海を渡った一人の侍。多くのものを失い傷つき絶望し、7年もの後やっとの思いで故郷の地を踏んだ彼を待っていた運命はあまりに過酷だった。
    共に旅をした宣教師ベラスコはすごく傲慢で初めは嫌いだったが、読み進めるほどに彼の人間らしさ未熟さに興味がわく。
    宗教は好きではないが、最後に侍の心にその人が寄り添って少しでも楽になったのならいいなと思う。だけどラスト、ベラスコがその知らせを聞いたときの反応には正直がっかり。その思考は理解できなかった。
    小説としてはすごくおもしろかった。

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    2018年01月22日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    首飾り事件~バスティーユ陥落~ヴァレンヌ逃亡事件。王家がかわいそうで、途中で読むのをやめてしまった。


    フェルセン伯爵の活躍が際立ち始める。マリー・アントワネットに最後まで献身したスウェーデン出身の貴族。
    (世界のすべてが、あの方を裏切ろうと)
    (私はあの方を忠実に守り続けよう)

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    2018年01月05日
  • 反逆(上)

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    ’’ブラック大名に仕えてるんだが、俺はもう限界かもしれない’’ー信長に仕えて反逆した荒木村重と明智光秀が主役に据えられています。
     明智光秀が本能寺の変に踏み切った理由として信長が違約して四国の長宗我部討伐に踏み切ろうとしたことを中心に、荒木村重が有岡城の謀反をおこした理由として本願寺顕如に魅かれつつあったという設定で書いていますが、要するに信長の恐怖威圧に対するプレッシャーに耐えきれなかったという書きぶりです。
     両者の戦に共通する人物として、高山右近と豊臣秀吉をうまくフューチャーしています。特に秀吉が戦を始める前に徹底的に根回しするさまの書きぶりは、遠藤周作が日本統一するまでの秀吉のスキル

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    2017年12月23日
  • さらば、夏の光よ

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    誰も幸せにならない、でも心に染みる、とまらなくなる。
    だけどそこかしこにいろんな形の愛が描かれていて、読み終わるとじーんとする。

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    2017年12月08日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    手紙に関する新しい発見もあったし、筆者の文章との向き合い方も知れた気がする。みんなに読んでほしいな。

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    2017年10月29日
  • 沈黙

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    17世紀島原の乱が終わりキリスト教を邪教とし鎖国政策を行なっていた日本に、密航してまで布教をしようとしたイエズス会の司祭がいた。 本書における日本の宗教観に対する著者の洞察には、目を見張るものがありました。ラストの 司祭の決断は、司祭の心の問いかけの重さから深い感動を覚えました。本書は、2016年にアメージングスパイダーマン のスパイダーマン役で有名なアンドリュー・ガーフィールドが主演として映画化されています。

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    2025年12月21日
  • 侍

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    作者の作品、「沈黙」と双を成すキリスト教をめぐり時代に翻弄される人々の物語。あまりに無情な仕打ちを受ける主人公の侍。もう一人の主人公、野望をもったベラスコが悟りを開いていく過程をじっくり描いていて説得力があります。ベラスコが日本に再上陸することで結局は侍も残念な結果に。。侍はある程度納得しているのかもしれないが、残された家族はいたたまれないです。
    キリスト教は精神の安定を目指しているのは司教の考えであって、仏教も含め多くの宗教を信仰する庶民は現世の幸せを願うものでは、と考えてしまいます。
    人それぞれの価値観と尊厳を考えさせられる深い一遍です。

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    2017年07月21日
  • 砂の城

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    体験の一つ一つが重く、学び成長するのが青春の時。解説によると、著者の著歴では軽小説に属するようだが、確かに読みやすく爽やかな読後感である。2017.7.3

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    2017年07月15日
  • 聖書のなかの女性たち

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    遠藤周作による聖書とキリスト教についてのエッセー集。キリスト教系でない雑誌の連載というのもあって、とても読みやすい。聖書の解釈はカトリック的にはきわめて妥当なもの。最後の「秋の日記」に登場する「ひよこ」には実在のモデルが居て、現在も修道女として祈りの日々をおくっておられる。

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    2017年04月28日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    ネタバレ

    歴史小説の中では断トツで好きな一冊です。
    初めて読んだのは学校の授業でフランス革命を学んだ直後で、遠藤周作は革命のさ中にフランスに居てその目で見たことを小説にしているのではないかと錯覚するぐらいのリアルな描写とドラマチックな展開に感激し夢中になって読んだ記憶があります。
    物語の終盤、アントワネットが最期に口にする「ごめん遊ばせ」「うっかり、いたしましたのよ」の言葉に彼女の王妃としての誇り、気高さ、優雅さの全てが集約されているように感じました。

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    2017年03月29日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    第二次世界大戦下現実に行われた、捕虜の生態解剖。その事件を元にしたフィクション。 事実だけでも大変ショッキングな内容ではあるが、人間が何に罪と罰を感じるのか、仄暗い心情を通じて描く。重く痛々しく非人間的。しかし彼らと同じような非情さ、残酷さが自分には全く無いのか、と問われれば… 遠藤周作はこのような、事実を基にした話がとても上手くて大好き。近々(2017年)「沈黙」が映画化されるので、そちらも楽しみ。

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    2025年12月28日
  • 笑って死にたい

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    わかりやすい語り口調でサクサク読めて内容が頭に入る。笑った死にたい、今すぐ苦しまず消えてしまいたい((゚∀゚

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    2017年02月27日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    下巻はフランス革命がいよいよ始まる。市民の暴動や貴族たちの特権はく奪など、革命に向かうそれぞれの立場での情景が描かれている。14歳で異国から嫁ぎ、37歳で断頭台の露と消えたマリーアントワネット。統率力のない王へのいらだち、貴族たちの策略、裏切り、ひそかな愛…なんと波乱に満ちた短い人生だったのだろう。フランスの財政難を理解できなかった王妃は湯水のように公費を使う。そして、その贅沢三昧は、やがて恨みから国民の暴動へと発展。今や歴史を代表する悪女のレッテルを貼られた王妃だが、その行動の中に、心から楽しんでいるわけではない、何かとても暗い孤独を感じた。晩年の生活を読み進むとさらにその印象が一転する。心

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    2017年02月21日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    なにやら私のマリー・アントワネットの印象に変化が。
    彼女の行動に、気持ちに、どんどん引き込まれていきます。
    上巻は、オーストリアから嫁がれる日からあの有名な首飾り事件まで。さて、後半に進むとします。

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    2017年02月09日