遠藤周作のレビュー一覧

  • 反逆(下)

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    後半はその後の荒木村重を詳しく書くのかと思ったら、明智光秀とか、羽柴秀吉とか、柴田勝家とか総花的な内容になってしまった。

    キリシタン大名の高山右近をもう少し深く掘り下げたかっただろうが、それも叶わず。

    戦国時代は小説としてあまりにも沢山面白い題材がありすぎ、作家泣かせのところもあるから仕方のないことかも知れない。

    題名の通り、当時当たり前だった反逆がメインテーマだったが、やはり信長のカリスマ性はすごい。

    信長を抜きには、この時代を語れない。

    いくら、別のテーマを設けようとしても、信長を避けて通れない。

    あまりにも強烈な個性なので、作家は彼の引力から逃れられない。

    遠藤周作も然りだ

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    2012年02月06日
  • 反逆(上)

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    遠藤周作というと、キリスト教に絡んだ物語だけかと思っていたが、流石作家だけあって、戦国時代の知識も豊富だ。

    上巻は、摂津を支配していた荒木村重という戦国武将を中心に、それを取り巻く人物像を描いている。

    でも、やっぱり村重の妻である「だし」に思い入れが相当強い。
    作者自身、ホレているようにさえ感じる書き方だ。

    テーマは、反逆との題名の通り、主人信長に対する謀反を起こすに至るまでの心の葛藤を描いている。

    しかしながら、心理描写は成功したとはあまり思えない。

    ちょっと詰めが甘かったようだ。

    結局敗戦となって、城を脱出するのだが、さて、その後の生涯は?

    ・・・・後半につづく

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    2012年02月06日
  • 父親

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    ネタバレ

    考えさせられました。
    父親とは。
    娘とは。
    教育とは。
    けじめとは。
    仕事とは。
    読後の爽快感はあまりなかったのですが、娘視点からの父親、父親視点からの娘、マネージャー視点からの部下、部下視点からのマネージャー等を俯瞰的に疑似体験できたと思います。

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    2012年01月31日
  • さらば、夏の光よ

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    ネタバレ

    『父親』を読んで、良い作品だなぁと思ったので遠藤周作2冊目読んでみた。

    真っ先に連想したのは、大好きな作品
    『こころ』夏目漱石
    『友情』武者小路実篤
    この2作に似るものがあると思う。

    男女間の三角関係(男2女1)のもつれの話。
    こころも悲しいけど、これも相当に悲しい物語。

    京子の人生が悲しすぎる。
    この時代じゃなければ、野呂と結婚せずにシングルマザーになってたんやろな…赤ちゃんが無事に生まれたら。
    時代だけやね。それが悲しすぎる。
    一途にトンちゃんを思って、やのに野呂と結婚しても、野呂は優しいから余計つらかったやろうな。

    読み進めていくうち、まさか野呂も自殺?と思ったけど、それはなかっ

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    2011年12月16日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    印象的だったのは、折々のキクとマリア像との対話(?)だ。いつも真っ直ぐで飾り気のないキクの言葉は、時に微笑ましく、時に悲しく、その一途な思いは美しい。

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    2011年12月02日
  • キリストの誕生

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    キリストの誕生、つまり十字架上で死んだイエスが復活して人々のなかで永遠に生きていく経過が語られている。力作だ。キリスト教が短期間で広く普及されるに至った謎を追及している。そして、小説家ならではの表現力でもって、イエスの死後に布教に尽力したヤコブ、ペトロ、ポーロなど登場人物が人間臭く描かれている。それにしても、なんでユダヤの人々はこれほどまでに虐げられるのか?

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    2011年11月20日
  • 聖書のなかの女性たち

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    大人になって、読むとなかなか感慨深い。
    聖書を語った随筆だが、文学的な要素も色濃く、その点、小説となんら遜色ない。キリスト教がテーマというより、現代人の生がテーマというのも、他の遠藤周作の作品と変わらない。
    私はたくさんの人間ドラマがある聖書が好きだ。
    年をとって、少しは読み方も深くなったのか、語られている聖書の場面の臨場感に感嘆した。目の前にマリアを感じたし、エルサレムの風景をイメージ、いつかいけることがあるのかなあと思いを馳せた。
    それぞれの女性のエピソードは全て覚えていたけれど、はじめて、今回で、遠藤周作の言わんとすることが、体系的に分かったような気がする。

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    2011年11月18日
  • ぐうたら社会学

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    すさまじいイタズラの数々が告白されている「電話魔罪状録」「いたずら・哲学以前」
    イタズラではないけれど、笑ってしまう「あわてもの実録」どれも本当に純文学のあの遠藤周作氏が書いたとは思えないユーモア?が詰まっていました。
    最後の「酔談」は興味深い話が目白押し。考え方などが、語られていました。個人的には「しろうと批評」が好き。
    そして女性には耳がいたい話。「主婦と生活」に載せられていた話は女性なら誰でも耳が痛くなる話でした。自分はこうはならないようにしようと肝に銘じました。

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    2011年11月02日
  • 砂の城

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    ~夢みたものは ひとつの幸福
    ねがったものは ひとつの愛~

    この世のなかには人が何と言おうと、美しいもの、けだかいものがあって、母さんのような時代に生きた者にはそれが生きる上でどんなに尊いかが、しみびみとわかったものです。あなたはこれから、どのような人生を送るかしれませんが、その美しいものと、けだかいものへの憧れだけは失わないでほしいの。

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    2011年09月26日
  • 彼の生きかた

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    著者は洗礼を受けたキリシタンとして有名であるが、今回のストーリーには彼独特の宗教観は見受けられなかった。
    吃音症の少年が成年へと成長していく中で、変わらない純朴さが描かれている。対照的に、その友人は成長するにつれて少女から女性へと変化していく。
    ただひたすらにまっすぐ生きようとした、不器用な男性が、時代の波にもがきながら戦い続ける。

    愛とは何なのか。
    自らの信じるものは何なのか。
    そんなことを考えされられた一作だったと思う。
    この辺りが遠藤周作氏の魅力ではないだろうか。

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    2011年09月10日
  • 王国への道―山田長政―

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    江戸初期に、日本人町があったタイ・アユタヤで傭兵隊長に出世した山田長政と、切支丹弾圧から逃れ不屈の精神でローマで神学をおさめたペドロ岐部。日本を飛び出し未知の国に新天地を求めた二人の日本人の生き方。
    あくまで小説ではあるが、アユタヤが栄えていた頃の様子がよくわかる。アユタヤ王朝のドロドロした権力闘争の中を巧みに生き抜く長政。手に汗握る展開で、おもしろくて一気に読めた。

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    2013年03月10日
  • ぐうたら社会学

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    遠藤周作のユーモアエッセイ集。あの真面目な純文学作家と同一人物なんて
    信じられないくらい面白い。ユーモアのセンスが完成している。
    「異邦人との珍問答」「性と死と愛」面白かった。書かれた時代背景も見えて興味深い。

    MVP:なし

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    2011年08月21日
  • ぐうたら社会学

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    伊坂幸太郎さんが遠藤周作さんが好きだ
    と何かで言っていたことを思い出し、まずエッセイから購入

    伊坂さんが好き=フェミニスト的?と思っていましたが
    全然違っていました
    別に女性蔑視という印象も言葉ほどは受けませんでしたけど…
    何か色々と書かれていましたが、あまり根深く女性への
    恨み辛みがある人ではない印象を受けました
    わりと湿度が低いような感じがしたので

    そして伊坂さんが好きな作家さんらしく俯瞰的な視点で
    ものを見られているのが印象的でした

    なんだか軽くてさくさくした文章なのに
    結構中身があったりするのが面白かったです

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    2011年08月15日
  • 周作塾

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    「タメになる」本と書いてあるのはたいがいタメにならないが、「タメにならない」と書いてあるのは、案外タメになったりする。

    人生をちょいと豊かにする小知恵がたくさん。

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    2011年08月14日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    自分の状況とダブらせてしまう。
    離れる人と留まる人。
    祈る者と願う者。

    もどかしく、美しく、醜く、悲しい。

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    2011年07月24日
  • ぐうたら社会学

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    ネタバレ

    書かれている内容から、現在との世代の隔たりを感じるのがなんだかおもしろい。
    ふざけているようで、知性というか、見識の広さを感じるのが、今のエッセイとは違うところだなぁとも思う。

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    2011年07月17日
  • 反逆(下)

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    ネタバレ

    前半が荒木村重、後半が明智光秀の話。が、影の主役?は高山右近だと思うのです。信長以外皆弱い人間だと書かれてますが、私は信長も弱い人間だと思っております。遠藤周作のほか戦国本をもっと読みたいです。

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    2011年07月08日
  • ぐうたら社会学

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    遠藤周作って、「沈黙」とか「イエスの生涯」からは考えられないほど、気さくな面白い作家なんですね。多くの女性を敵に回しそう。

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    2011年06月25日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    半年くらい前に、津和野に行きまして。
    そのときたまたま立ち寄った、山奥にあるちいさな教会が、
    ずっと昔、キリスト教を棄教させようと
    集められた教会だという話を聞きました。

    まさかそのモデルになっているとは。
    この本に出てくるあの場面が、拷問のあった場所を指しているとは。
    すごく衝撃的でした。
    早くこの本を読むべきだった…

    この本、先輩Wさんからお借りしたのですが、
    そのWさんと、宗教について考えさせられる本だよね、
    という話をしました。

    宗教とは? 信じるとは? 愛とは?

    っていうのが主要なテーマかと。

    自分を信じるのってすごく大変。
    そして不安も伴うし。
    だけど、誰かがそばにいてく

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    2011年05月19日
  • さらば、夏の光よ

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    「若きウェルテルの悩み」の激しさと「車輪の下」の暗さを併せ持ったような色合いの作品。さらば、夏の光よ。

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    2011年05月14日