遠藤周作のレビュー一覧
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ものすごい久しぶりに読んだら思ったよりB級感のある作品でした。
昔はもっと楽しめたんですけど、なんででしょう。結末とか知っちゃってるからかな。宗教色の濃い遠藤作品の箸休めにいいかもしれません。
主人公の辰野のキャラがあまり好きになれません。時代が時代なので、昭和の男ってこんな感じなのかなぁとは思いますが、そりゃ奥さんにも離婚されるわって思いました。辰野からか奥さんからかは明言されてませんでしたが。
エリザベート・バートリーは読む前から知っているくらい有名な歴史上の人物です。もちろん教科書には載ってませんが、彼女を題材にした小説とかをちょいちょい見かけていたので、辰野より先にエリザベート・バートリーに気づきました。ちょっと得した気分。
ただどうしても大河内女医が“妖女”に見えなくて、もっと彼女の蠱惑的な部分を描いてくれていたらなぁと思います。男と女では大河内女医の妖しい魅力について感じるものと感じないものがあるのかもしれません。
人の噂でしか大河内女医の素晴らしいところって描かれてなかった気がしなかったので、そこがちょっと説得力なくて残念でした。 -
Posted by ブクログ
タイ旅行のお供に持っていった一冊。山田長政については名前くらいしか知らなかったが、今から400年も前にタイ(シャム)のアユタヤ王宮で権謀術数をめぐらせていた人物だったことに驚いた(むろん虚構は入っているだろうが)。わずかばかりのチャンスをつかみ取りながらのし上がっていく彼の生に、ただ日本にキリスト教を布教するという信念のみを持ってローマまで辿り着くペドロ岐部の生が、相対する方向から交差する。「ただこの2人はたがいに気がつかなかったが一点においてよく似ていた。それは狭い日本にあくせくと生きず、おのれの生き方のために海をこえて新しい世界に突入したことだった」(p.285)。「おのれの生き方のために」生きる力が湧いてくる一冊。
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新潮文庫の解説で遠藤周作の中のいわゆる軽小説と書かれてるけど、この言葉が気に入らない。別に軽くないし。どうせなら青春小説と書いてほしかった。
さらに言えば新潮文庫の裏表紙のあらすじは結末をドーンと書き過ぎじゃないかしら。
まず物語が亡くなった母の手紙から始まるというところが好きです。
冒頭の泰子とトシの高校時代が無邪気で楽しそうで明るい未来が待っているという感じ。砂の城を築き上げている途中といったところですね。初めて読んだのが高校の時だったから2人の楽しそうな姿が目に浮かびました。
それなのに泰子とトシは全く真逆の道に進んでいくことになるわけで。
トシの気持ちは分かる気がするんです。泰子って完璧すぎる。こんな人が隣にいたら劣等感の塊になりそうなのに、トシはそればっかじゃなくて、ちゃんと泰子のことを親友だと思っている。
でもやっぱり泰子より…って思うのは当然だと思うんです。その方向性が世間や泰子の思うような“美しいもの、善いもの”ではなかっただけ。
泰子の言ってることは正論なんだと分っていながらも引きずられていくトシのことを、泰子は理解できないだろうなぁ。
西に関しても、容赦なく泰子さえも殺すと言ったとき、あれは泰子じゃなくてあたしもショックでした。砂の城が崩れたのはトシと西よりむしろ泰子だったのかもしれません。 -
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せるさんのレビューから、何やら面白そうな小説。秋頃にでも読みたいなぁ。
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読んだ読んだ、秋頃といわず冬まで掛かって読んだ!笑
遠藤周作さんの小説を初めて読んだと思うのだけれど、なんというかじわじわと真綿で首を絞められるような文章だったりユーモア系の「なんじゃそりゃ!」ていうのもあったりで色々楽しみながら読めました。
個人的にもうだめだ、となったのは「ジプシーの呪」と「鉛色の朝」でした。必要以上に想像してしまうのと心霊関係無くじわじわくる描写で息が詰まる感じがして、この2話以降を読むまでに少し間があいたり。
でも最後のニセ学生でなんだか「たはは...」とおもしろ可笑しい気持ちになったり、とても面白かったです。ごちそうさまでした! -
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ネタバレ「沈黙」に続く遠藤周作のキリスト教&長崎テーマの読書。
作品自体は「沈黙」のほうが素晴らしい出来のように感じたけれど、キクという女の一生を通して、信仰や愛について描かれているだけに、より感じるものは多かった。
キクの激しくも哀しい一生にはもちろん胸を打たれたんだけれど、伊藤とプチジャンの海辺での対話が圧巻。(むしろエピローグの津和野での懺悔が蛇足に感じた。勝手な感想だけど。)
神は本藤よりも伊藤を愛すると。本藤のような人に神は必要ないのだというような。
そうなのか…。本藤はすごく頑張ってるからこその成功なのにな、神様がその頑張りを見守ってくれて、幸運を与えてくれないと、割にあわなくない?なんて最初は思ったけれど、筆者の描く神はそうではないのね。救済を与えるのではなく、傍にあって苦しみをともにしてくださる。それならダメ人間ほど神に愛されるってこと?それって不公平じゃない?いやいやでも、人間は完璧じゃないんだから、本藤のような人だって弱くずるく醜い部分があるわけで、そこにおいては神がともにあって…。っていうかそもそも不公平って発想自体がおかしいような。でも…。
「沈黙」に続いて、考えれば考えるほど、神という存在の意味が、大きく変わってくる読書。