遠藤周作のレビュー一覧

  • 善人たち

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    戯曲三作。
    善人たちは、宗教と欲望。
    キリシタン大名は、ガネシャと行長、何方の考えが正しいのか。
    棄てる女は、若者の半数はと思ったらモラトリアム。
    ここに価値はあるかと聞かれたらない。
    だけど、本作では、みっちゃんとイエスの復活までを重ねることにより、若い時の男女関係が就業的贖罪を背をうという話。
    遠藤周作は海と毒薬が好き。

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    2022年07月11日
  • 善人たち

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    手垢のついたテーマだけど、それほどにも作者にとっては重く、背負わなければならなかった十字架だったんでしょう。遺作ということだから、なおさら。

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    2022年07月03日
  • 怪奇小説集 恐怖の窓

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    講談社文庫版のネーミングを踏襲するなら「第三怪奇小説集」となるのか。ストレートな実体験怪談である「恐怖の窓」なども混じってはいるが、ジャンル小説としての、ホラーや怪談に属する作品はほとんどない。文学よりと言えばいいか、あらすじなどを造ってみると分かるが、筋を追っても、お話のコアが少しも見えないようなものばかりである。だからといって、恐くないかと言えば、得体の知れないオチが付く「枯れた枝」などかなり恐い。一方、鬱屈や閉塞感が、まるで中年男性に固有の呪いであるかのような書きぶりには時代を感じる。個人的ベストは吉行淳之介を思わせる「何でもない話」。関係ないが、本作も含めて、最近よく見かける文豪ミステ

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    2022年04月23日
  • 稔と仔犬 青いお城 遠藤周作初期童話

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    ネタバレ

    童話で読みやすかった。青いお城はりぼんに掲載されていたもので、そう言われると一生懸命頑張る女の子と見た目はチンパンジーに似ているけど、破天荒だけど優しく心に悲しみを持っている男の子が、一緒に困難に立ち向かっていく姿は少女漫画の王道な気がする。(脳内はガラスの仮面の様な絵柄で再生)
    稔と仔犬は最後のシーンでえっここで終わり?というかんじで、最後に稔がどうするかは読者の想像に委ねられる方式だった。キリスト教の精神を描かれてあって、何とは説明はしていないけど、ひとつひとつの景色や稔の心情が細かく描かれていてすごく情景を思い浮かべてやすかった。

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    2022年04月11日
  • 侍

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    『沈黙』と同様、読後に心に重くのしかかる1冊だった。遠藤周作の作品を読むたびに信仰とは何かを考えさせられ、カトリックである私は自己の信仰を見直すことになる。ここでは、使節団がノベスパニヤで出会った元修道士が語るように、自分は「教会や神父たちの説くイエス」は信じておらず、自分の信じるイエスは「金殿玉楼のような教会におられるのではなく、このみじめなインディオの中に生きておられる」ということ。信仰の原点を知らされた思いがした。

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    2022年03月15日
  • 秋のカテドラル 遠藤周作初期短篇集

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    遠藤周作の秋のカテドラルを読みました。
    半分読んだところで挫折。
    短編集で前半はエッセイが書かれており、エッセイの方は面白かったです。
    筆者の若い頃の幼い想いとかが書いてありました。
    電車で観た憧れの美人が佐藤愛子だったとか

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    2022年03月09日
  • 口笛をふく時

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    うーん。分からなかった。
    私にはよく分からなかった。
    平目と小津の行動も、鋭一という人間も、何一つ理解も共感もできなかった。
    ただ、ほんの少しの記憶の切れ端の関係に、大切なものを、光をみるような、戦争というものは本当に体験した人にしか分からない絶望をもたらしたのだと。そしてそれらの気持ちは、戦争を体験してないわたしたちには決してわかり得ぬものなのだろうなと思う。

    小津には同情するけれど、鋭一はサイコパスにしか思えず辟易。

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    2022年01月21日
  • 砂の城

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    2022.1.15 再読
    前回どう読んだのか全然覚えていない。
    が、今回はかなり心に刺さった。
    それぞれの青春の痛みが。
    動き始めたら止まらない。転げ落ちていく様が。
    中でも水谷トシの行動は愚かで醜い。けれどそれを否定できない。だってそれが正しい事だと信じているから。
    泰子が本当の意味でそういった事に巻き込まれないのは、賢いからだけなのだろうか。

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    2022年01月15日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    ネタバレ

    幕末の浦上四番崩れの一人を愛した「キク」の物語。

    「畜生ォー」。流刑地で主人公の怒鳴り声が響く。何に対する怒鳴り声か? 転んだ仲間に? 残酷な仕打ちをする役人に? 目に見えぬ権力に? それとも黙っている神に対してか?

    隠れキリシタンに対する投獄や拷問の小説は、読んでいてとても辛い。そして、私自身が無宗教のためか、信仰を棄てない信者の気持ちがわからない。口先だけで転ぶと言えばいいのに? なぜ?、と。

    拷問を避けるため、口先だけの”嘘”でも、キリスト教を棄てたと見做され、赦されないのか。「神」は、棄教を口走った弱者を見放すのか?本来、弱い人間こそ赦されるべきではないか?
    特に幕末の混乱の最中

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    2021年11月14日
  • 満潮の時刻

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    「沈黙」「海と毒薬」と比較すると軽い印象。
    九官鳥や四十雀の目と踏み絵のキリストの目が「煙はなぜ立ちのぼるのか」について答えを暗示する。生とは何かについて、肺を患ったことでひとつの答えに到達する。

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    2021年10月12日
  • 白い人・黄色い人

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    日本人とキリスト教とは。
    西洋人(白い人)は、神を信じて犠牲になるか裏切るか、逃れられないのと対象に、罪を重ねて無関心に無感動になる平面的な黄色い人(日本人)。
    犬を打つ白い腿。黒い汚れた考え。フランス人の父とドイツ人の母。醜い顔と贖罪。ナチスの通訳。
    汚れ犯す、蛙の鳴き声。食糧難の戦時の日本。柱の陰で乞食のようにあずかるミサ。疑いと拳銃。
    そのなかで神はいるのかいないのか、宗教観よりも人としての生き方、罪悪の在り方みたいな話でした。デュランの話に焦点があたり、糸子が惰性で立ち位置がいまいち最後もよくわからない。

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    2021年09月26日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    職場の先輩が読んだというので、手に取ってみた作品。
    「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできない」は刺さる言葉。

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    2021年09月08日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    再読だがすっかり忘れてる。昭和34年に朝日新聞連載とあるからリアルタイムでも読んでいるはず。軽快なノリの小説で当時の風俗を楽しめる。いや私などものすごく郷愁を感じてしまった。

    『おバカさん』ことガストン・ボナパルトは『わたしが・棄てた・女』の主人公森田ミツの男性版。すなわち悲しいほどお人よしで純粋、バカみたいな不思議な人。

    彼がフランスから日本にふらりと来て、しでかす椿事にまきこまれる隆盛と巴絵の兄妹はごく普通だから、その落差をまず楽しめばいい。

    あまりにもドタバタ劇を繰り広げてしまうガストン、なんで日本に来たのだろう?それもこの物語のポイント、作者の意図のひとつ。

    ガストンと絡まる殺

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    2021年09月06日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    どうしようもなく暗いテーマで、憂鬱のきわみになった。

    『海と毒薬』の後日談。『おバカさん』のガストン・ボナパルト再登場。ストーリーはさほど変化に富んではいない、だけど読まずにおれず、最後まで引っぱっていかれるすごさ。

    人間、生きていくのにどうしょうもない矛盾をかかえているというのは、夏目漱石の作品を読み継いで来ても強く思うことだけど、そこに文学の楽しみもあるからなんだかおかしい。

    しみじみしたり、癒されたり、「わっははは」と愉快になったり、スリルとサスペンスもいいけど、深く深く考える動作も必要なのだ。

    時には暗く憂鬱になって、考えに考え、闇の中の燭光のようなもが仄見えはしないかと、いつ

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    2021年08月29日
  • 夫婦の一日

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    「夫婦の一日」
      「放っておくと、あんたの御主人に十一月には大きな不幸が来ますよ」
    インチキ占い師の出鱈目な預言に妻はだまされた。妻は吉方のお水と砂をとりに鳥取に行きたいと言う。夫婦共にキリスト教信者である。作家である夫は大いに悩み、最後に神父に相談した。

    「君がその迷信を信じていない以上、行こうが行くまいが、君には問題ないだろ。むしろ奥さんの気持ちがそれですむなら、行くことで解決したまえよ」

    神父様のこのアドバイスで夫は葛藤しながらも心に変化が訪れる。

    宗教が絡むので複雑になるのかもしれないが、正しくなければ共感しづらい男性とは違う女性の立場から言わせていただくと、

    ⁇と思いながら

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    2021年08月08日
  • 怪奇小説集

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    ネタバレ

    バラエティに富んだ15編の恐怖譚。
    熱海の旅館での実話が怖い。状況が頭の中で再生されてしまって、考えれば考えるほど怖い。
    文学賞を取る作家の話と、不気味な夢をテーマにした話は読み終わるのが惜しかった。
    幽霊というよりも、この世に残り続ける執念というのはあるのかもしれない。怪談だけではなく遊び心が感じられるものも多数で、最後は少し笑った。読後に怖さを残さない短編集だった。

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    2021年07月21日
  • 白い人・黄色い人

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    洗礼を受けた筆者がこれ程までに悪を追求する物語を書くのはsensationalな感じがして逆に魅力的にさえ思わせるところがあります。
    何故ここまで書けるのかは、彼が戦時中の善悪、政治と絡めて、どこまでも人間の闇や強欲さを描こうとしていだからだと思います。
    白い人だけ読みました。日本人作家なのにフランス文学を読んでいるかの様な錯覚に陥ります。

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    2021年07月18日
  • 白い人・黄色い人

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    初めての遠藤周作作品を読んだ
    キリスト教について他の作品も読んで理解を深めたい
    この本を読んでから自分にない信仰心について考えさせられる毎日

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    2021年06月11日
  • 彼の生きかた

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    男性の強引さに押し込められ、悔しさと諦めを胸に前を向く女性の生き方は、女性にとって幸せなのだろうか。
    「彼女の生き方」として現在もあるであろうこういった生き方は、「そういう男らしさを彼女らは望んでいる」と男性が信じ込む根拠になるのだろうか。
    強引さを求めてるというのは現在でも言えるのだろうか。AVのように「男性の夢」に過ぎないということはないだろうか。気になる。

    書かれた時代もあるだろうし、戦争を乗り越え安寧を求めた朋子を書いているためというのもあるだろうけど、この「男性の夢」を肯定、再生産するような読み方はこの本の試みたことに反すると思う。

    『沈黙』のように、人々の生き方を考えさせるよう

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    2021年06月07日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    世界史を学んでいたので、マラーを殺したのはジロンド派の父を持つ女性だった気がしたから、そこで相違があり、「あれれ」という感じがした。全体的には史実+著者の創造が混ざっていて、実際と比較しながら読むのは楽しかった。ただ、少し長い。

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    2021年05月25日