遠藤周作のレビュー一覧
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ネタバレ新約聖書やイエス伝に登場する11人の女性たちに光を当て、小説風の脚色も加えながら紹介しているエッセイ。当時の女性たちは大変地位が低かったが、それ以上にイエスが関わっていく女性には娼婦や病気の老婆などの孤独で弱い存在が多い。遠藤周作の重視するイエス像というか、そのような弱い存在を軽蔑せずに共感し、寄り添うイエスの姿勢が浮き彫りになるような内容になっている。遠藤周作は日本人がキリスト教を信じることに違和感を感じていたというイメージがあるので、思った以上に正統的な信仰を持っていたことに驚いた。
後半のエッセイは聖書を離れて普通のエッセイになっているが、白血病の夫に寄り添う妻など短編集「月光のドミナ」 -
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ネタバレ昔読んだ覚えがあるが、内容はあまり良く覚えていなかった。グロが苦手なので当時もちょっときつかったのは覚えている。太平洋戦争の末期に実際にあったアメリカ人捕虜の生体解剖事件をもとに創作された作品。生体解剖に参加した中の3人に焦点が当てられているが、どの人物も異常性が感じられるわけではなく、きっかけと罰せられないという環境があれば一般的な日本人は殺人にも罪の意識なく参加するのである、という作者の声が聞こえてくるようだ。
戦争だったからみんなおかしくなったのだ、とその特殊な環境に原因を求めようとしても、序盤の勝呂の「これからもおなじような境遇におかれたら僕はやはり、アレをやってしまうかもしれない」と -
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上巻から続く荒木村重の信長への謀反と、光秀による本能寺の変、秀吉と柴田勝家の戦いを中心とする信長亡き後の勢力争いを描いた下巻。
本能寺の変から続く秀吉による中国大返し、賤ヶ岳の戦いという流れはドラマとしてすごく面白いですが、この<反逆>という作品は歴史的イベントの語りはかなり淡白。
その代わりと言ってはなんですが、公私どちらをとるか、現代にも通じる究極の選択に思い悩む登場人物たちの<心の動き>に全振りした作品でした。
また、解説にも書いてありましたが、この小説のなかで信長は唯一無二の存在。
人間味がなくて迷うこともなく、絶対的権力者として描かれていて、まさに唯一神である。
この信長という強 -
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ネタバレとっても良かった。
テーマとしては"転生"
様々な宗教、言語が混じり合う印度に、それぞれ目的を持って旅行に向かう人たちの話。宗教観についてすごく考えさせられた。
日本は厳格な宗教がある方ではないから、あんまり宗教の対立が身近ではない(私が無知なだけでそんなことないのかも)ので、宗教の対立について考える非常に良い機会になったと思います。
大津さんの考えはすごくいいなと思ったし、私も同じ考えですが、机上の空論なのだろうなと思いました。対立を無くすのは難しいよね。。。
転生って理想にすぎないかなと思うけれど、思いが繋がっていくって意味での転生というとらえ方はめちゃくちゃ好きで -
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作者が(日本)歴史小説の作家であることは知らなんだ。信長と秀吉の長浜城主となる迄の歴史戦国史である。信長は叛いた者を許さない。朝倉氏を滅ぼし、浅井氏を滅亡させる。浅井氏攻略に大功あった藤吉郎は羽柴秀吉を名乗り、浅井氏の旧北領、北近江三郡を領し、長浜城を築いてついに一城の主となった。信長は、つぎなる決戦の時備えて、一人計画を練る。武田大国の若き武将武田勝頼と、どう戦うかー。作品の資料は古文書に依る所が多く「武功夜話」「甫庵太閤記」「大日本史料」等に例を引く。他の歴史小説との門目の違いだ。この物語「決戦の時」は、他の遠藤作品とある一点において決定的に異なっている。キリスト教における「神」も「主」も
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1958年の『海と毒薬』の続編=後日譚。新宿で小さな医院を経営するようになった勝呂が、さまざまな事情を抱えた患者たちと応対しているうちに、戦犯たちの「その後」を取材しようとする「正義派」の新聞記者によって追い詰められていく。『海と毒薬』の冒頭で記された事件以後の勝呂の生が、謎めいた外国人・ガストンとのかかわりを通じて読者の前に明らかにされていく部分が読みどころ。
週刊誌連載作ということもあって、とてもリーダブルで読みやすい。しかし、その分小説としては薄味になってしまっている。勝呂とガストンとキミ子以外の人物はあからさまに薄っぺらい人物として描かれていて——遊び呆ける大学生たち、メディアで