遠藤周作のレビュー一覧

  • ひとりを愛し続ける本

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    ネタバレ

    本物と偽の違いは緊張感。確かに。
    また印象的だったのは、小説家は物語の登場人物を創り出す親、母になるということ。作家は、執筆中、主人公たちが、生きている。という手ごたえを感じるのだという。現実世界の人よりも身近にも感じられるのだと。
    その感覚は非常に興味深かった。
    遠藤周作は物語も面白いけど、エッセイも面白い。けっこうひょうきんな人だな、と思う。
    エッセイのタイトルと内容がちょっとズレてるとこは、気になった。

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    2025年11月16日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    昭和23年大学生の主人公吉岡努が素朴な女性森田ミツをもて遊び棄てる
    吉岡の人生とミツの歩む人生の話

    主人公がゲス過ぎて不愉快
    自分はミツをいいように利用して弄んどいて「聖女だと思っている」って、お前が言うなよ

    ⋯とは思ったが、
    読んだ後に落ち着いて考えると作者はわざとこう書いてるんだろうと思った

    自分本位でゲスな男の主人公と、対する素朴で純粋な女の森田ミツが対照になされていて、それによってミツの「無私の愛」がより強調される形となる

    森田ミツという一人の女性の悲哀の物語ともとれるし、キリスト教精神の「愛の実践」をテーマとしたものと捉えることもできる

    ミツという人柄は、相手を存在そのもの

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    2025年10月30日
  • 何でもない話

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    人生の意味も無く過ぎ去って行く瞬間を切り取ったような短編集。

    ああこの感じわかるって思える。同じ経験をしている訳でもないのに、同じような感情や感覚は心に湧いたことがある。強い感情ではなく、ぼーっとしながらすり抜けていくような何気ない気持ちを描写している。

    遠藤さんのホラー怪奇小説がけっこう面白いことを発見。

    また他の作品でも登場してる(?)キャラクターが出てくるのもファンとしては嬉しくなってしまう。(「尺八の音」)

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    2025年10月22日
  • イエスの生涯

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    遠藤周作が実際に中東へ赴き、イエスの生涯について自身の考察を記載した内容。著者本人がカトリックなのでキリスト教の理解も解像度が高く、調査内容も詳細がしっかりしているので新たに知られることが多かった。

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    2025年09月30日
  • 新装版 海と毒薬

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    キーワードは、良心とはなにか。
    良心を持たないと、組織や時代によって一線を超えてしまうようなことをしてしまうって話
    信仰を持たない日本人は、どう良心をもつのか。
    ビジネス本に書かれている、自分はどうありたいかを持ちましょうと通ずるものを感じた。

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    2025年09月30日
  • 海と毒薬

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    ドキュメントとして読むべきか、創作として読むべきか。結局のところ時代背景なのかなとも思う。結局みんな死ぬから命が軽い。命を奪うことに罪の意識がない。ましてや米兵。なのに、病院内の権力争いには固執していたり、男女のいろんな執着心も持っている。どうせみんな死ぬと思うのに、執着だけはあるんだ。自分はこの先も生きていくんだとも思っているあたり、よくわからないけど人間って感じ。

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    2025年09月22日
  • 【新装版】ほんとうの私を求めて

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     書かれた時代によって今の感覚では「古い」と思ってしまいそうな記述もそれなりにあるが、それはその当時でも著者本人が自覚している部分もあり、穏やかな語り口で案内される内面世界に不快感は一切無かった。これには、不必要な自虐が無い(自嘲的なユーモアが程良い表現に加工されて面白く示されている)ことも影響していそう。
     男女の違いについては昨今のジェンダー観にはそぐわない箇所があるものの、押しつけがましさが無い上に、著者は男女どちらをも尊敬できる友人として見ていることが伝わる。違っていても、それで良いのだと思えた。
     仏教の視点や数々の文化人との交流を踏まえ、著者の深い教養の一端を覗くことができる楽しさ

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    2025年09月15日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    時代背景が違いすぎて、あんまりためにならん。
    なんてったって、執筆されたのが1960年なんだから。
    女の子を誘うのに手紙なんて書かないし、そもそも俺は手紙を書いて送ったこともない。

    遠藤周作の作家としての修行の話は面白い。
    『何から何までこの、「ようなゲーム」に換言して懸命に頭をひねらねばならぬのであるから退屈する筈がない。こうして遊びながら形容詞の勉強をしたものでした。』(p.53)
    『まず本の読み方が違ってくる。今までパラパラ、スラスラなんの気もなく読み過ごしていた小説も、自分が□□「ようなゲーム」をやる身であるから、プロの作家たちがどういう形容詞を使っているか、今までになく関心が出てく

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    2025年09月14日
  • 生き上手 死に上手

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    遠藤周作の死生観、仏教にもキリスト教にも精通している著者のエッセイであるが、タイトルほど内容は重いものでもなく、著者もあとがきで「読者も寝っ転がって、気楽な気持で読んでください。」と書いてる通り、著者の経験やエピソードなどが綴られる。
    私が特に面白いと感じた話は、善魔という悪魔の対義語、これは著者の造語であるが、こちらの善や愛が相手には非常に重荷なっている場合も多く、それに気づかず、自分の愛や善に溺れ、眼がくらんで自己満足している様子。
    これは、自分にも多く当てはまるなと。
    悪魔は悪意を持って、相手に悪い行いをするのに対して、善魔は悪意は無いのである。その上、自己満足している。
    相手に負担や重

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    2025年08月19日
  • 哀歌

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    ネタバレ

    単行本で読んだけど登録がないようなのでこちらで。病院や隠れキリシタンを題材にした作品が多い短編集。入院中に鳥を飼う話、癩病の療養所に慰問に行って野球をする話、大連での少年時代の話、大学にいた「ネズミ」というユダヤ系ドイツ人の修道士の話、隠れキリシタンの拷問など、他の長編短編でも頻出のモチーフが繰り返し登場する。なのであまり目新しさは感じなかった。
    題材のせいもあってやっぱりものすごく暗く息苦しく、この暑苦しい中で読んでいると本当に息が詰まってしまう。冬に読むのがいいかもしれない。

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    2025年07月10日
  • 留学

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    ネタバレ

    フランスやイタリアに留学する話をまとめた3本仕立ての小説。1本目はフランス人の押しつけの善意と日本に対する無理解とにうんざりしながらもそれを正す勇気も語学力もないという「ルーアンの夏」、2本目「留学生」は17世紀に実在した荒木トマスという司祭について書いたもので、留学ののちキリシタン弾圧化の日本に帰って棄教した顛末を想像で書いているがこの「転んだ司祭」というモチーフは「沈黙」に繋がることがはっきりわかる。3本目「爾も、また」では仏文学者の田中が渡仏するもフランスにも現地の日本人社会にもなじめず孤独に結核にかかって挫折する様子が書かれる。
    どれもとにかく暗く息苦しい。遠藤周作の実際の留学経験をも

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    2025年06月30日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    わからないことが多い
    解説を読んで、少し理解が深まった
    ゆりちゃんやナツミートが薦めたこの本をわかりたかった

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    2025年06月19日
  • 深い河 新装版

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    あらゆる人の想いを収束させ、静かに揺蕩うガンジス川。
    「すべての人のための深い河」を求めた人々を描いた作品。

    河に来る者の一人一人がそれぞれ蠍に刺され、
    コブラに噛まれた女神チャームンダーの過去を持っている。

    感想を書くにはあまりに深く、期間も空いてしまったため、
    いつかまた再読した際に改めて書こうと思う。

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    2025年06月15日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    2025.6.4
    一瞬だけ出てくるヒルダという登場人物が重要であり、この人だけが唯一罪という感情を持ち合わせる。それは絶対的な神の前での罪、それによる裁き、つまり絶対的な罰を備えるのに対し、日本人は社会的罰を感じ、それは絶対的ではないことが描かれている。

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    2025年06月07日
  • 白い人・黄色い人

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    2025.5.31
    絶対的で目には見えない神を信じる者とそうでない者の対比
    『白い人』では、神を信じる者とそうでない者の両者が「神が存在していること」が普遍的な世界の上に生きていた
    『黄色い人』では、その対比が「絶対的で目には見えない神のいる世界に生きる者と神のいない世界に生きる者」
    「白人である貴方は、神があるか、ないかとの間を動きまわり、罪悪とたたかい、死に挑む。」「なんまいだといえば許してくれる仏さまの方がどれだけいいか」「私は神を拒みながら、その存在を否むことはできない。」

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    2025年06月07日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    哀しい物語
    ミツは好きな相手を想い続けるが結ばれない
    同じ職場の女性と想い人が結婚
    棄てられた女
    療養所で生きると決めひたむきに生きたミツ
    実在の女性をモデルにした話みたいですが
    自分のすること全てが報われるとは限らないと思います
    けれど自分の居場所はみんな必要です

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    2025年05月31日
  • 海と毒薬

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    もう一回読もうと思うけど、文章の作り方が面白い。
    「私」視点だったのが色んな人の手記になっていって…
    統一されてるのは戦争の時代の仄暗い、常に死と隣り合わせの暗くて冷たい雰囲気。
    上田看護婦の腹の底からのドス黒い怒りや憎しみや悲しみに、僅かながら共感してしまうところがあった。

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    2025年05月22日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ぐうたら学生、正義感にあふれた記者、仮装趣味の大学教授、毎日違う男に食事をたかる女などなど新宿の人々の群像劇。その中で「海と毒薬」の勝呂医師、「おバカさん」のガストンが出会うことになる。題名の通り全体的に悲しいやるせなさが漂っており、「おバカさん」よりは「海と毒薬」の続編ということなのだろう。
    「海と毒薬」は誰でも状況さえ用意されれば人を殺すだろう、ということを書いていたが、「悲しみの歌」は人を殺すのにメスさえいらない、とさらに踏み込んでいるように思える。結局あの勝呂は人を殺してばかりの病院稼業と新聞記者折戸の厳しい追及に疲れ果てて自殺してしまうのだが、まるで現代のSNS私刑みたいでちょっと驚

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    2025年05月08日
  • イエスの生涯

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    ネタバレ

    遠藤周作の考えるイエスの生涯、群衆や弟子たちの思惑、その考察を書いた本。
    「死海のほとり」の感想と被ってしまうのだが、やはり遠藤周作の個人的なイエスのイメージ(何もできないが、永遠の同伴者として愛を示す人)ありきでそれにそぐわない要素は切り捨てに切り捨てまくっているという印象で、読んでいてもいまいち共感できない。
    イエスが永遠の同伴者であるためには何もできないみじめな人でなければならないから、奇跡は全くできなかったことにされる。ひたすら愛を説く人でなければならないから、神の国が来たという宣教については無視する。たとえ話やサドカイ派などとの論争の批判的な部分も書かない。宮清めの暴力的エピソードは

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    2025年05月07日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

    クリスチャン2世で今は教会に行くこともやめてしまった「私」が学友とイスラエルをめぐる話と、イエスと出会った人々の物語が交互に進んでいく。そのなかで遠藤周作的な「永遠の同伴者」イエスの姿が浮かび上がってくる…という構成。イエスは全く奇跡を起こすことができず迫害されるみじめで駄目な人間、しかし愛をもって弱者に寄り添い苦しみを分かち合った人間として書かれている。
    正直な感想としては、遠藤周作のイエスはそういった個人的なイメージありきで聖書のごく限られた描写を拾って都合よく解釈しすぎているように思える。現代編の方で学友の聖書学者戸田や行き会った牧師との会話で多少は聖書学の知識がありますよ、自分のイエス

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    2025年04月30日