遠藤周作のレビュー一覧

  • 新装版 海と毒薬

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    太平洋戦争中の、捕虜の生体解剖というテーマ設定に惹かれて手に取りました。戦争の残酷な面を明らかにする作品かと思っていたのですが、それよりも「人間の良心」の在り方について語られる作品でした。

    解説の夏川草介氏も書いていましたが、「キリスト教という生活規範」がない日本において、確固たる良心/善悪の判断基準がない日本人のモラルのあり様を問う作品です。

    例えば、生体解剖に誘われた外科医勝呂(すぐろ)が、それに参加するべきか、断るべきか懊悩する場面では、悩みつつも彼は結果的に参加してしまうのですが、ここでは「参加してしまった」ことが問題なのではなく、「明確な決断もつかないまま、なんとなく」参加したこ

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    2023年06月14日
  • 新装版 海と毒薬

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    誰しもが環境や境遇によって、避けられない運命に出会ってしまうことがある。
    決断までの期間が短いほど周りの力に流されてしまうことが多いような気がする

    勝呂は本能ではどうしたらいいのか迷う中でも、人道的にやってはいけないことだし、参加した先に自分の人生が壊れてしまうような予感を持っていた。

    勝呂は時が経っても、その時のことを後悔しつつ、でもどんな選択が正しかったのか悩み続けているように感じた

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    2023年06月08日
  • イエスの生涯

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    永遠の同伴者イエスという視座からイエスの全生涯を捉えた本。
    イエスの内面の苦悩は弟子達も理解できなかった。孤独とはこの事。
    【関連書籍】
    プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    2023年11月28日
  • 人生の真実を求めて 神と私〈新装版〉

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    読むのにとても時間がかかってしまった。消化しきれない部分がたくさんあったからだと思う。しかし、これこそ一生答えを求めていくものではないかと思った。

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    2023年05月28日
  • 新装版 海と毒薬

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    なぜ人は罪をおかすのか?
    どのように悪徳を悪徳と認識するのか?
    罪悪感はどこから来るのか?

    日本は絶対的な宗教の浸透もなく、倫理観が非常に曖昧なのかな?
    本編が語っている内容は理解できたが、作者がその背後に書きたい心理が何なのかはまだ読み解けなかった。

    小心の【普通】の青年が恐るべき罪に手を染める背景には、時代背景はもちろんだが、自分自身の無力感や、思考の放棄、堕落を律するものが無くなる、崩れることなのかとおもった。

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    2023年05月13日
  • 新装版 海と毒薬

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    太平洋戦争の時、実際に九州の大学で起こったアメリカ捕虜への生体解剖…そんなショッキングな事件を題材にした小説。

    「どうせ死ぬんだから、今後の医療のための死ならむしろ有益」という派の医師達や戸田。一方「人を殺す医療はあっていいものか」的な生体実験に懐疑で戸惑いがあった勝呂。

    今だと誰しも正論でおかしいと抗議できるはずだけど、当時のような戦時下だと正常な判断はできるものなのか…?私も麻痺して、やるしかない、と思ってたかもしれない…そう思ったら自分にこわくなった

    てかそもそもこの事件もフィクションだ、と思いたかった。海水は代用血液として使えるのか、肺は片方取っても死なないのか、生きた捕虜を使っ

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    2023年05月02日
  • 眠れぬ夜に読む本

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    可もなく不可もなくまさしく眠れぬ夜に読むエッセイ。高齢者的な印象を感じる発言がありますが、真っ直ぐ歳を重ねているような印象を受けました。いくつになっても、自分の気になるものを勉強しようと思える人は溌剌としているんですね。

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    2023年03月12日
  • 【新装版】ほんとうの私を求めて

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    気になる所だけ読んだ。遠藤さんの考え方は自分を救ってくれたことがあるので、今回も期待して読んだ。正直、この作品は理解しづらいことが多かった。でも、また読んでみる!

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    2023年03月02日
  • 怪奇小説集 蜘蛛

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     週刊新潮に連載した「周作恐怖譚」を1959(昭和34)年に単行本として刊行した『蜘蛛——周作恐怖譚』に4編を加え、1970(昭和45)年、『遠藤周作怪奇小説集』と題して出版されたもの(を、『怪奇小説集』と更に改題して1973年に講談社文庫で出したもの)。

     中学生の頃私は北杜夫のユーモア・エッセイが好きで、その流れでついでにちょこっと読んでみたのが確か『遠藤周作ユーモア小説集』だった。これの巻末にオマケとして一編だけ怪談が入っていて、これがやたらに怖く、ショッキングだった。このとき味わった恐怖感の味が、ずっと記憶に残っている。私がホラー小説を好んで読むようになったのはずっと先、特にここ数年

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    2023年01月24日
  • 新装版 海と毒薬

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    米国人捕虜の生体解剖をするまでの医師たちの心境や戦況化の日本の病院についてが冷淡かつ簡潔に描かれていた。咀嚼するまで時間がかかる本だった。

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    2023年01月12日
  • 死海のほとり

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    当時のイエスと、信仰を失った男がイエスを追って巡礼を行う2本の話が交互に組み込まれる。
    小難しい表現の一切を排した清潔で静かな物語だが、『沈黙』のような登場人物の胸に迫る信仰への問いや想いをもっと感じたかった読後感。

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    2023年01月10日
  • 父親

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    結局、けじめは他人を傷つけることによって自分に生まれる罪悪感を生じさせない為のものなのかなと。それを取るか、どうなろうと自分の幸せを取りに行くのか、そこが集団思考か、個人思考かの時代における変化だと思う。内容的には割とサクサク読めた。

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    2022年10月20日
  • 怪奇小説集 共犯者

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    解説にあるように、この短編集は、怪奇小説ではない。でも、ミステリーとして読めば面白いものは結構入っていて、偽作という話は面白かったな。
    時代背景にもう一つ馴染みがないから、それを利用したならような話が多いので、残念ながらもう一つ、入り込めなかった。でも、描写はなかなか、映画でも見ているようで、人喰い虎などは、インドに一度は行ってみたいなと思わせるものだったな

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    2022年10月19日
  • 新装版 海と毒薬

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    ネタバレ

    ラストは突然終わる感じ。

    戦時中の大きな流れや心が破滅に向かう抗えない状態をタイトルの海に例えた感じなのかな。

    アメリカ捕虜を人体実験に参加した勝呂は
    現在もその罪の狭間で揺れている状態。
    けど、本人も今またやれと言われたらアレをやってしまうだろうと。

    人体実験といえばナチスドイツのイメージだったから
    日本人のこれは信じられなかった。
    まさか生きたまま…あんなことこんなこと…

    本当に罪と断絶できるのかなー。
    もうその時の環境に置かれないと、誰も何も答えは出せないよ。


    その場にいたら、私もねー…
    なんで参加したの?断れなかったの?
    っていうのは今だから感じれる正常な感情。

    続編の『

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    2022年09月09日
  • イエスの生涯

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    1978年ダグ・ハマーショルド賞受賞。一般的には裏切り者とされるユダだけが弟子の中で唯一、イエスの苦悩を理解していたという考察が切なかった。

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    2022年08月26日
  • 砂の城

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    うっかり裏表紙を読んでしまって結末を知りながらの読書となったのが悔やまれる。何も知らずに衝撃を味わいたかったなぁと。
    同時代を過ごした若者たちがそれぞれの信念の赴くままに歩む人生。破滅であったり、道を踏み外すことも美しく善きものをものを求めて本人たちが選びとったものなのだろう。母の想いを辿りながらの旅はドラマチックで美しい描写で魅了された。古いお話なのだけどとても引き込まれた。

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    2022年08月14日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    気持ちを伝える手紙の書き方を、おもにラブレターの例で楽しく解説してくれている。今の時代、手紙を書くことは少ないが、デジタルで文を書くことは避けられない。またラブレターを書く年齢ではない人も、周りの人から共感してもらったり、好感を持ってもらいたいケースは多くある。そんな時に何をどう書けば相手に伝わるのか、この書はためになることを丁寧に教えてくれている。
    狐狸庵先生が小説や随筆を書くときに、いつも気にしていたポイントなんだろうと思う。

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    2022年08月10日
  • 王国への道―山田長政―

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    昔も今も叶いもしないような野望を持つ人が居て、がむしゃらにその目的に食らいつく人がいる、どこからそんなパワーが湧いてくるんだろ、で、大抵失敗に終わることが多いと思うけど、エネルギーはすごいと思う。人を傷つけたら自分が傷つくことになるし、自分を犠牲にし続けるのも、ね
    読後すごく胸糞悪くなった、けども、この胸糞悪くなったのは良いことだと思う、これからのわたしのために、
    あとたくさん人が出てきてマジで話がわからなかった。男の方が好きそうな内容なのかな、女がほぼ気持ちありませんみたいな扱いだし、時代だけど気持ちが悪い

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    2022年07月24日
  • ユーモア小説集

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    新春夢の宝船
    我等はエジソン
    同窓会
    女の決闘
    するべからず
    旅の恥のかき捨て
    アルバイト学生
    俺とソックリな男が……
    嘘つくべからず
    うちの親爺
    軽井沢
    昔の教官殿

    足りぬかな

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    2022年07月16日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    遠藤周作といえば、暗い小説ばかりのイメージだったけど、エッセイとかすごく軽くて読みやすいんだね。いろんな幅の本から集めた名フレーズ集。

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    2022年07月13日