遠藤周作のレビュー一覧

  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    時代背景、作者の思想など色々あるとは思うけれど。個人的な意見を書くならば、キリスト教色をもっと抑えた方が良い作品になったと思う。
    特に「ささやき」(?)のシーンはホント余計。
    それ以外は、最近の世の中を見ながらなんとなく感じていたことに重なる点もあり、基本暗く沈んだ物語だけど沁みる作品でした。

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    2018年01月04日
  • キリストの誕生

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    見捨てたイエスが処刑されるも弟子達を許してくれとかいってるし、すごく悪いことをしたなぁと。これはきちんと考えなきゃいけないぞと弟子達は恥じ、悔しく思った。誤解していた師を再発見したことで、イエスは人の中に復活した。こうして徹底的に考えたものがのちのキリスト教の母体となる。けどユダヤ教の枠を出ず、そのためか異教であるとはみなされずに容認されていた。けどちょっとずつユダヤ教に疲れた人たちにキリストが広まっていったので、あるとき弾圧されたもんだから逆にエネルギーが強まり、キリスト布教活動が本格化する。けどその後グループに亀裂が入る。異邦人相手に布教してもいいんじゃないかという派閥と、異邦人はやめよう

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    2017年12月27日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    もう一回読み直したら、また違う感覚を覚えそう。すごく深い作品でした。
    最後までガストンか助けてくれることを祈っていましたが、良くも悪くもキリストの思想。助けるというよりは寄り添う姿勢でした。
    読後悲しい気持ちが残りました。
    正しいだけでは生きていけない。それぞれの事情もわからないまま自分の正しさを相手に押し付けてはいけない。
    どこかで勝呂とガストンとキミちゃん、そしておじいちゃんが救われることを祈っています。

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    2017年11月19日
  • 白い人・黄色い人

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    自分にとってもカトリックとはなんなのか、神とは何なのかという事はずっと考え続ける問題だと思う。よくわからなくなるたびに遠藤周作わ手に取る。

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    2017年08月17日
  • 反逆(下)

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    ネタバレ

    光秀の信長への複雑な思いを、自分が疎かにされてきた恨みだけでなく、世を正す義憤のみでなく、また美学でもなく、“恋する男の歓心を獲た女心に似て”いるものとして描いたのは、他作品と違っていて面白い。
    小説としては秀吉の天下統一の喜悦にあふれた場面で終わるが、主題としてはやはり人間の弱さを描くことであったと思う。歴史小説というよりは「遠藤周作の小説」だなあという印象。

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    2017年07月07日
  • 反逆(上)

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    ネタバレ

    荒木村重、高山右近、明智光秀、豊臣秀吉、そして織田信長。遠藤周作の書く歴史小説。
    上巻は荒木村重の籠城半ばまで。他の作品で持っていた印象より、荒木村重が誠実な人間に描かれていて面白い。
    しかし情感ゆたかな筆致であるがゆえに、人間の弱さや無常がことさらにしみる。

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    2017年07月07日
  • 怪奇小説集

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    怪奇小説というよりなんだか昔ながらのほのぼのとした少し不思議な物語っていう感じで楽しく読めました。
    霧の中の声の真面目な旦那さんがなんとなくかわいそうだったかな。

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    2017年06月18日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

    著者は聖書原理主義や三位一体を否定している(と思う)。病人をひたすら癒しながら力を持たず暴力にさらされる姿を見習うべきか、迷った。万能の力を持つイエス・キリストのイメージが打ち砕かれた。

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    2017年06月12日
  • P+D BOOKS 決戦の時(上)

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    遠藤周作が織田信長を書いていたとは知らなかった。書かれた時代の解釈ということで、フィクションとして面白かった。遠藤周作が書くのはこういう信長像なのかという感想。

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    2017年03月16日
  • 砂の城

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    親友、遊び人の彼氏、過激派の友人。
    美しいもの、善いものは、
    一人一人の中に、それぞれ。
    キラキラ築き上げられては、一瞬で消える。

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    2017年02月14日
  • 王国への道―山田長政―

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    単身、海と砂漠を渡ってローマまで行き神父になったペトロ岐部と、アユタヤ朝時代のタイで王女と結婚したともいわれるほどの栄華を誇った山田長政の二人を描いた小説。二人の邂逅があったかのようにも描かれており、多分にフィクションを含む話だが、「神の国」と「地上の国」を対比させ、どちらが幸福なのかを読者に問いかけてくる構図は面白いと思う。また、ローマで枢機卿の秘書になる話まで断って日本に行こうとしたペトロ岐部の姿と、山田長政が権力への欲望と権力を獲得する過程で犠牲となった人々への罪悪感の間でもがき苦しむ様子などは、深く印象に残った。

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    2016年12月29日
  • 王国への道―山田長政―

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    陽炎ゆらめく灼熱のアユタヤで、野心を試すひとりの日本人。地球を転々としながら、信心を貫くもうひとりの日本人。避けられない世の無常の中、それぞれの描く『王国』に向かって、激動の道を敢えて進む姿がひたむきで、目が離せない。

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    2016年10月08日
  • 第二怪奇小説集

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    薄いけどなかなかに面白い短編集。『海と毒薬』でもあった普通の人が突然に(というか心の中では徐徐に芽生えていたのかもしれませんが)悪意に目覚める(魔が差す?)瞬間を書くのが上手い。
    海外を舞台にした作品はその国の気候じたいも恐怖になるんだとわかる「ジャニーヌ殺害事件」「人食い虎」。
    殺人事件が起こるわけではないが、緊張をはらむミステリーになっている「共犯者」「幻の女」「娘はどこに」「憑かれた人」。
    一番面白かった…というかあきらかに意表を突かれたのが、「偽作」。

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    2016年12月29日
  • 勇気ある言葉

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    (09.11.2016)

    遠藤周作らしいユーモアに溢れたエッセイ集。
    編集部注のツッコミがなかなか面白い。
    気楽に読める一冊。

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    2016年09月12日
  • ただいま浪人

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    どう生きるかについて思い悩む若者たちが、人生の岐路に立ち、大きな決断をしていく姿を描いた作品。
    若者たちの青臭さと、それを見守る大人たちの鬱陶しさが克明に写し出されている。
    ただ、終盤の登場人物たちが繋がっていく過程は、ちょっと無理矢理な感じがしたかな。
    急に物語が丸く収まってしまって、物足りない気がした。

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    2016年08月22日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    ツイッターの投票企画で当選しました。
    ありがとうございます。
    装丁デザインだけみて選んだのでタイトルが私に対するメッセージのように思えました。洋書のようなペーパーバックです。

    ナポレオンの末裔だというがそうはみえないフランスから船でやってきたガストンさんのその人となり・生き方がこの本の魅力だと思いました。まだ外国人が珍しかった時代の人々の反応。生きるってきれいごとばかりじゃないけど、一生懸命や真面目・思いやりまた、損得で物事は動くもんじゃない。そういうのが素直にいいなと思わせてくれる作品でした。出会えてよかったです。

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    2016年08月07日
  • 王国への道―山田長政―

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    ネタバレ

    今度、東南アジアのタイへ行くのでタイを舞台にした本ということで読んだ。
    主人公は山田長政という実在の人物。
    江戸時代初期に日本からタイ(当時はアユタヤ朝)へ渡り、日本人傭兵として王室に仕え、権謀術数渦巻く中、将軍まで登りつめた男の出世物語。
    と同時に、ヨーロッパへ渡りキリスト教神父になったペドロ岐部(実在)という無私無欲の人物の目を通して、山田長政やタイ王室の権力争いを見ることで、「山田長政の成り上がりストーリー」というよりも、「権力を求めることの虚しさ」の方が、読者には強く伝わってくる。
    小説自体はそんなに面白いとは思わなかったけど、タイへ行った時、400年前にタイで活躍した日本人がいたんだ

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    2016年07月14日
  • ぐうたら愛情学 狐狸庵閑話

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    同じことを何回も書いてある 連載をまとめたものなのかしら?
    古きよき分別・ふるまいを勉強する意味でも良書

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    2019年01月24日
  • キリストの誕生

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    イエスの死後,「キリスト」が誕生するまで。そんなの考えたこともなかったけど,とても勉強になった。弟子たちってすごいなあ。

    そしてここでもやはり「神の沈黙」がテーマとなっていた。
    んんん・・・。

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    2016年05月19日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    故遠藤周作さんの遺稿。
    今読んで、人の20年というものは大きいものだと思った。90代まで元気に人生を楽しんでいる人もいれば、遠藤さんのように70代で帰天される方もいる。もう70になったら、それほど楽しいこともないんではなかろうかとうっすら思っていた私だが、もし遠藤さんが90代までご存命であったら、もういくつの作品が世の中に残ったのだろうと考えると、そう思った。

    本文は、手紙の書き方を通して、遠藤さんの文学に向かう姿勢が伺える。後書きにある様に、妻とまだ独り立ちしていない息子を残して入院中の作品であるという前提を踏まえて、入院する人への手紙などを綴る心境を書いてあると思うと、作家とはなんて大変

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    2016年05月14日