遠藤周作のレビュー一覧
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「イエスの生涯」にダブル
この「死海のほとり」は、同じ、周作の「イエスの生涯」に先立って書かれたようですが、内容的にダブルところが多くて、「イエスの生涯」の方が完成度が高いように思えます。
「イエスの生涯」を読めばよく、「死海のほとり」を読む必要なしと言えます。
周作のイエスものとしては、やはり、「沈黙」がベストと思います。 -
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『沈黙』を昨夏に読んで以来、久しぶりに遠藤周作の作品を手に取った。
彼の小説は、いつも私に疑問を問いかける。
「神は存在するのか?」「真実の愛とは何か?」。
小説の中に明確な答えが書いてあるわけではないけれど、こんなに真正面から真摯に読者に問いかけてくる作品ってあんまりないような気がして、なんだか嬉しくなってしまう。
けれど相も変わらず、遠藤の作品はどれも暗い。
この暗さと重さに堪えられず、そしてあまりにもミツが可哀想で、一度読むのを離脱してしまったほどだった。彼女の吉岡を思う一途な愛を、少し疎ましく感じることもあった。
同じ女として、「あんな男のことなんて早く忘れて仕舞えばいいのに」と何度 -
Posted by ブクログ
1950年、戦後初の留学生として
日本の港を出た遠藤周作
優秀だったんだ すごい
学者になる予定だったが
船の中で触れあった人々に影響されて
小説家になる決心をする 四等船室で
熱がある時に看病してくれた黒人兵
ミカンをくれた中国人のおばさん
寄港した港で金を請う5.6歳の少女
黄色 白 黒の意味するもの
クリスチャンの彼にいろんな感情が
襲った事だろう
ころび切支丹の話は知らなかった
日本に宣教に来てころび
日本名に改名して 弾圧される通訳を
務める
一人は死後焼かれて仏式で葬られる
再生を信じるクリスチャンでは
これはあり得ない事
知らなかった -
Posted by ブクログ
ミツは愚鈍で教養もなく、美しくもないけれど
心の優しさ、暖かさ、弱い他者への共感する力を誰にも教わることなく持っていた。
自分もそれを理想として生きているけれど、そうなりきれることもなく打算やエゴイズムで世渡りしてきたこともあり、その経験、記憶を消し去ることはできない。
私は神や特定の宗教を信じる者ではないので、生きていく指針は自分で構築していくしかない。
自分の理想に恥じない生き方を省みるためにも、この話はとても沁み入るものだった。
ラストの吉岡の諦観は後味悪く、鼻白むものがあった。
色々な意味で、忘れられない一冊になった。
読み始め、石川達三の「青春の蹉跌」と似た展開だと思ったが
読後感は -
Posted by ブクログ
ネタバレ拷問に耐えうる人物か、拷問の仕方に情慾を感じるか感じないかを分析しながら眺めているのが面白い。
なぜ神は人種など関係がないのに西洋の姿をしているのか、救いは無く苦しみを与える神とは何か、などなど、考えたくなる事柄が色々と出てきた。
救いのない神ならば、信仰を捨ててしまえば自由になれる。デュランにそんな選択肢など思いつかなかったが、黄色い人たちはそれゆえ自由なのだと悟る。
白い人(フランス人だが父はドイツ人であったため幾らかドイツ語を使えるため、ナチス・ドイツの秘密警察の事務官の求人に応募し、対象者を拷問し、仲間の名前や場所を吐かせる仕事に就く。過去に、病気の老犬が盗みを働いたため平手打ちして -
Posted by ブクログ
ネタバレ弟子たちや町の人はイエスを見棄てた。それを現在の、信仰を棄てかかっている主人公とリンクさせてイエスの足跡を辿っている。昔も今も変わらないイエスの意思と存在が浮かびあがってくるような物語だった。
同伴者としてのイエスの描写が印象に強い。人間は弱いものだから、ひたすらに寄り添ってくれる存在があればきっとひとつの慰めになるのだろう。この愛に最後の最後で救われることだってあるだろう。
主人公とその友人の戸田の言葉は、どちらも著者の偽りない気持ちなのではないかと思ってしまった。何か答えが欲しい主人公と、意地悪な返しをする戸田。まるで自問自答のようだ。
本小説は『イエスの生涯』と表裏をなすものと、あとがき