遠藤周作のレビュー一覧

  • 新装版 わたしが・棄てた・女

    Posted by ブクログ

    ミツは愚鈍で教養もなく、美しくもないけれど
    心の優しさ、暖かさ、弱い他者への共感する力を誰にも教わることなく持っていた。
    自分もそれを理想として生きているけれど、そうなりきれることもなく打算やエゴイズムで世渡りしてきたこともあり、その経験、記憶を消し去ることはできない。
    私は神や特定の宗教を信じる者ではないので、生きていく指針は自分で構築していくしかない。
    自分の理想に恥じない生き方を省みるためにも、この話はとても沁み入るものだった。
    ラストの吉岡の諦観は後味悪く、鼻白むものがあった。
    色々な意味で、忘れられない一冊になった。
    読み始め、石川達三の「青春の蹉跌」と似た展開だと思ったが
    読後感は

    0
    2023年11月28日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

    Posted by ブクログ

    創作が多分に含まれてはいるとは思うが、ブルボン王政末期の状況を追体験できる。
    ルイ16世もアントワネットも完全な悪人ではないのが辛い。

    0
    2023年11月16日
  • 善人たち

    Posted by ブクログ

    宗教の深いところに触れた気持ち。
    ほんの少しだけど人生観変わるかも。
    今更だけど宗教って哲学なんだね。

    1
    2023年11月15日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

    Posted by ブクログ

    この作品は、出版社の意向で書かれたものであると思われる。
    面白く読んだ。内容は良いのだが、しかし、それまで読んだ色々な遠藤周作作品よりインパクトが弱い。
    本当に遠藤周作作品なのかと思えるような小説である。

    0
    2023年10月19日
  • 新装版 海と毒薬

    Posted by ブクログ

    戦時中の医療現場について。どうせ死ぬなら空襲で死ぬのも医学の発展のために死ぬのも同じである、いやむしろ後世の人々のために貢献している、という考え方は、当事者ではなく遠いところから聞くとなんとなく正しく思えてしまうのが怖い。そして、その状況を医学界の人間目線で描いていき、やはり罪の意識を持ち続けていくのをみて、倫理観について考えさせられた。

    0
    2023年10月02日
  • 新装版 海と毒薬

    Posted by ブクログ

    人体実験の生命倫理(罪)というテーマは考えさせられるものがありました。

    しかし構図というか、ストーリーの構造がなんとも冗長なものに感じてしまいました。

    「深い川」を読んだ時も思いましたが、
    登場人物それぞれのストーリーが別々に動いたあと、うまく本筋にまとめる事が出来ていないように感じました。

    テンポがあまり良く無いので
    読みやすいはずなのに読みにくいといった感じ。

    絶望的な気怠さはつげ義春を連想しました。

    0
    2023年09月23日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

    Posted by ブクログ

    んー。本当名言集だった!
    その通りだねも、ん?そう?もあって。
    君は君、僕は僕でいいよねっていう僕の根っこに落ち着きました。 自分の思うバランスだったり、自分以外の人は異質未知っていうのをネガティヴに捉える人は沢山居るけどさ。それもそれで良いじゃん。異質や未知の中にワクワクはあるし、それは今までの自分の中にない"当たり前じゃない"世界を知る機会だなって思うので、再認知するに良い本でした。

    0
    2023年09月10日
  • 白い人・黄色い人

    Posted by ブクログ

    人間はこれほどまでに神に執着しているのに、神はいつもどこにおられるんだろう?遠藤周作さんの作品を読むといつもこうなる

    0
    2023年09月05日
  • 白い人・黄色い人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    拷問に耐えうる人物か、拷問の仕方に情慾を感じるか感じないかを分析しながら眺めているのが面白い。
    なぜ神は人種など関係がないのに西洋の姿をしているのか、救いは無く苦しみを与える神とは何か、などなど、考えたくなる事柄が色々と出てきた。
    救いのない神ならば、信仰を捨ててしまえば自由になれる。デュランにそんな選択肢など思いつかなかったが、黄色い人たちはそれゆえ自由なのだと悟る。

    白い人(フランス人だが父はドイツ人であったため幾らかドイツ語を使えるため、ナチス・ドイツの秘密警察の事務官の求人に応募し、対象者を拷問し、仲間の名前や場所を吐かせる仕事に就く。過去に、病気の老犬が盗みを働いたため平手打ちして

    0
    2023年09月22日
  • 夫婦の一日

    Posted by ブクログ

    短編5つ。「日本の聖女」ガラシャの信仰について。他4編は自身の体験からのエッセイ風。仏教を主とした日本人の神性と日本人のキリスト教の捉え方が欧州人のそれとは異なるのではないかという作者の考えがなんとなく伝わってきた。2023.8.29

    0
    2023年08月29日
  • 死海のほとり

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    弟子たちや町の人はイエスを見棄てた。それを現在の、信仰を棄てかかっている主人公とリンクさせてイエスの足跡を辿っている。昔も今も変わらないイエスの意思と存在が浮かびあがってくるような物語だった。
    同伴者としてのイエスの描写が印象に強い。人間は弱いものだから、ひたすらに寄り添ってくれる存在があればきっとひとつの慰めになるのだろう。この愛に最後の最後で救われることだってあるだろう。
    主人公とその友人の戸田の言葉は、どちらも著者の偽りない気持ちなのではないかと思ってしまった。何か答えが欲しい主人公と、意地悪な返しをする戸田。まるで自問自答のようだ。
    本小説は『イエスの生涯』と表裏をなすものと、あとがき

    0
    2023年08月15日
  • 白い人・黄色い人

    Posted by ブクログ

    人間の醜さや愚かさを否定して押さえつけるだけの宗教は日本にはなじみにくいだろう。
    人間なんて、そんなに美しいものではない。
    善に偏るのも、悪に偏るのも、結局は見たくないものを見ないという姿勢のように思う。
    どちらも欺瞞だ。
    歪んだ心は醜い。
    汚い。臭い。
    しかし、それも人間。
    自分の正義に固執して貫くのも、人間。
    人間とは、愚かな生き物だ、と思う。

    0
    2023年08月08日
  • 死について考える

    Posted by ブクログ

    遠藤周作は昔の人だから、仏教的な考えで死に向き合ってると思ってたら、まさかのキリスト教
    死というのは、たぶん、海みたいなものだろうな
    入っていくときはつめたいが、いったん中に入ってしまうと…

    0
    2023年08月02日
  • 彼の生きかた

    Posted by ブクログ

    不器用だからこそ、不自由だからこそ見出したその生き方。
    邪魔するのは偽の強さを振り翳すまさに人間という遣る瀬無さ。
    ある意味では「彼の生きる道」なのかもしれない。それでも「生き方」と表現する方が、私も好きだ。
    その時代にどれだけそういう捉え方があったのかどうかはまた別だが。

    0
    2023年07月23日
  • 満潮の時刻

    Posted by ブクログ

    結核にかかった明石という男の入院生活をえがいた作品です。

    肋膜炎にかかったため、召集を受けることのないまま終戦を迎えた明石は、四十代という働き盛りの年に結核で一年以上の入院を余儀なくされたことによって、同世代のなかで自分だけが戦場に行かなかったというコンプレックスを解消することができるのではないかという考えます。しかし、長くつづく入院生活にそうした決意は揺らぎ、妻に不平をこぼします。

    ところが、思いもかけず手術によって早く退院することができるかもしれないという医者の話がもたらされ、明石は手術を受けることを決意します。しかし、彼の病状は医者の予想をはずれて悪化の一途をたどり、退院のめどが立た

    0
    2023年07月21日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

    Posted by ブクログ

    第二部は、第一部の主人公であるキクの従妹であったミツの孫にあたる奥川サチ子が主人公を務める、第二次世界大戦末期の長崎を舞台にした作品です。

    サチ子は、幼なじみでイタズラ好きの少年である幸田修平に想いを寄せています。成長した修平は、慶応大学に合格し、詩人となることを夢見ていますが、サチ子の気持ちにはなかなか気づいてくれません。

    サチ子たちが幼少のころに大浦天主堂にやってきたコルベ神父は、その後ドイツに帰国し、アウシュヴィッツに連行されます。いっさいの希望がうしなわれてしまった絶望的な状況のなかで、コルベは愛を信じつづけ、みずからの身を賭して愛を果たしうることを示します。

    その一方で、日本の

    0
    2023年07月18日
  • 女の一生 一部・キクの場合

    Posted by ブクログ

    長崎に隣接する浦上村馬込郷に生まれたキクは、中野郷の青年である清吉に恋心をいだきます。しかしキクの兄の市次郎は、中野郷の者は「クロ」であるという理由で、キクが清吉とかかわりをもつことを反対します。やがて「クロ」とは、かくれキリシタンのことであったことが判明します。

    一方、日本にやってきたフランス人の神父であるプチジャンは、厳しい禁教令が敷かれていた日本で、役人たちの監視からのがれてひそかにキリスト教の信仰を守りつづけてきた人びとが存在していると聞き、彼らを見つけ出すことに情熱を燃やします。その後、清吉たちがプチジャンに接触を図り、プチジャンは彼らを正しい信仰へみちびこうと行動を起こしますが、

    0
    2023年07月18日
  • 母なるもの

    Posted by ブクログ

    著者自身がモデルと思われる人物が登場する短編小説や、エッセイに近いスタイルで書かれた文章など、8編が収録されています。

    本書のタイトルにもなっている「母なるもの」は、明治以降も正統なカトリックの教義にしたがうことなく、日本的に変質してしまった信仰を保ちつづけたかくれキリシタンの里を訪ねるという内容の文章です。「小さな町にて」もこれとかさなるテーマをあつかった内容で、「日本人はどの宗教にも母親の姿を求める」という著者自身の考えが提示されています。また「巡礼」は、やはり著者自身を思わせる小説家の矢代が、イェルサレムの地で合理的な立場からキリスト教について語る神学者の西尾の話に納得できずにいるすが

    0
    2023年07月18日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

    Posted by ブクログ

    マリア・テレジアの末娘であるマリー・アントワネットは、フランスの皇太子妃としてオーストリアからやってきます。夫であるルイ16世は、ひとが好いだけで彼女の心を動かすことはありません。しかも彼女は、国王ルイ15世の寵愛を受けるデュ・バリーとの対立を引き起こしてしまいます。

    パン屋での過酷な労働から逃げ出してパリに出てきたマルグリットという少女は、売春宿に身を置いて働くことになります。女主人である「兎のおばさん」は彼女の世話をしてくれますが、指名手配を受けているマルキ・ド・サドの逃亡を助けたことで逮捕されてしまいます。マルグリットは、生まれながらにして自分とはまったく異なる境遇にあり、すべてを手に

    0
    2023年07月16日
  • 砂の城

    Posted by ブクログ

    高校の同級生である、早良泰子と水谷トシという二人の女性の青春をえがいた作品です。

    泰子は16歳の誕生日に、死んだ母から彼女にあてて書かれた手紙を、父親から受けとります。そこには、泰子とおなじ少女時代の母が、恩智勝之という男性とひそかな交流をつづけており、しかし戦争によって二人の運命が別れてしまったことがつづられていました。その後泰子は、母の夢を追いかけるように、得意の英語を生かしてCAとなる道に進みます。

    他方トシは、星野という男を追って神戸にわたり、信用金庫で働くことになります。星野は定職に就かずギャンブルが好きというだらしのない男ですが、彼に泣きつかれるとトシはついお金をあたえてしまう

    0
    2023年07月15日