遠藤周作のレビュー一覧

  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    遠藤周作の作品の中から厳選された文章を集めて、テーマ別にまとめた一冊。

    自分の心の中に抱えているモヤモヤがこれを読んで少しずつスッキリしていく感じがした。今の私に響いたのは、結婚や夫婦について、そして、教育についての幸福と不幸についての文章。

    きっと読む人、年代によって響く言葉が違って、これからの人生で壁にぶつかったときに読みたい一冊。

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    2013年09月02日
  • 愛情セミナー

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    1977年に初版された本なんて信じられないくらい、現代に生きる私の心にも響く「セミナー」でした。
    愛するということは、何も信じられないこの世の中で唯一彼だけは信じるという挑戦…私はまだ愛することに成功していないんだなぁと思い知りました。いつかそんなにも愛せるたった一人を見つけられたらと思います。

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    2013年08月07日
  • 留学

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    三部作中、小説として完成度が高いのは前二編のように思う。遠藤作品で繰り返し語られるカトリックと日本人とのテーマ。だが自分に一番響いたのは三編目「爾も、また」インテリとしての自負、だが実の所平凡で俗的な自分を自覚し欧州文化に押しつぶされていく主人公。サドを研究テーマとしながら自分とサドの接点などまるでないと悩む。真理を追究もできず表面的にうまく立ち振る舞うことも出来ない。
    その姿は、表現すべき中身を持たず、表現の場を得るために上手くコミュニケーションすることも出来ず、それなのに表現することを辞められない自分に酷似。つらい。
    時々こういう自分を突きつけられるような体験をするから読書はやめられない。

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    2013年07月22日
  • 夫婦の一日

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    未読の遠藤の短編。「侍」から「スキャンダル」に移るその軌跡を見事に表している、とあとがきにあった。5つの短編からなる、短編集であるが、どれも心に響いた。晩年の遠藤は、人間の無意識に関心を非常に寄せており、そこに潜む悪とそこからの救いという観点から、宗教と信仰を深く見つめている。その辺の関心が、この五つの中にありありと描かれている。

    個人的には「日本の聖女」が一番響いた。細川ガラシャを遠藤流に描いている。

    13/7/9

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    2013年07月09日
  • 砂の城

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    ネタバレ

    思いきりメロドラマだけど、テンポよくすすみ、一気に読んでしまった。

    自分でもただしくない(=幸せになれない)と分かっていても、あえて社会的に間違った選択をしてしまう親友たちを、客観的に見つめる主人公。間違った選択をしても、なぜか鮮やかな生き方に見える彼ら。多種多様な生き方の選択が描かれている。

    そして風景描写がとてもうまく、目に浮かぶよう。
    長崎の素朴で美しい風景、神戸のかなしい裏びれた古いアパート街、インドの暑く不穏な空気。
    ストーリー展開ごとにマッチするオケージョンが、物語をひきたてる。

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    2013年07月07日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    遠藤周作・・・狐狸庵先生が他界されてからもう17年たちます。
    狐狸庵先生の作品は多く残されていますが、
    この本は、死後偶然見つかった未発表原稿をまとめたものだそうです。
    遠藤さんファンにとっては天国からの贈り物ですね。

    遠藤さんらしい作風でユーモアを交えて
    実にわかりやすく、主に手紙の書き方を書かれていました。

    「一寸したことですが・・・」で始まる文章は、
    お礼状からラブレターにいたるまで、
    手紙を送る相手をいつも気遣って書いてください。と、
    細やかな心遣いを、わかりやすく述べられていました。

    手紙をほとんど書くことのなくなった現代をみたら、
    狐狸庵先生は何と思われるでしょう。
    なにしろ

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    2017年11月09日
  • 遠藤周作短篇名作選

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    自分の中で、文学の匂いがする作家。人間の醜さとか愚かさを知っている作家。読んでいて、自分に当てはめて心がしんどくなる。でも、向き合うことの大切さも同時に感じる。

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    2013年05月26日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    『何ひとつ無駄なものはない』と言える境地に至った遠藤周作氏の目に見えないものへの境地、そこに生きる意味を微かに見いだすヒントがあるのではないか?

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    2013年05月20日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    フランス革命前夜。王妃マリー・アントワネットと娼婦マルグリッドの視点を中心とし、時代が傾き転覆するまでの交錯とすれ違いを匠に描写した作品。前編は「首飾り事件」によるフランス革命の始まりまで。

    13/5/15

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    2013年05月31日
  • 妖女のごとく

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    ものすごい久しぶりに読んだら思ったよりB級感のある作品でした。
    昔はもっと楽しめたんですけど、なんででしょう。結末とか知っちゃってるからかな。宗教色の濃い遠藤作品の箸休めにいいかもしれません。
    主人公の辰野のキャラがあまり好きになれません。時代が時代なので、昭和の男ってこんな感じなのかなぁとは思いますが、そりゃ奥さんにも離婚されるわって思いました。辰野からか奥さんからかは明言されてませんでしたが。
    エリザベート・バートリーは読む前から知っているくらい有名な歴史上の人物です。もちろん教科書には載ってませんが、彼女を題材にした小説とかをちょいちょい見かけていたので、辰野より先にエリザベート・バート

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    2013年04月13日
  • 愛情セミナー

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    なんとなく、タイトルがいいなあと思い、借りました。
    男女の心理的な部分が多かったかな。
    かっこいい言葉がちらほらあって、よかったです。
    男性がロマンチストで、女性がリアリストだという主張にはかなり共感しました。
    ただ、書き方がちょっと変わっていたので、合う合わないがありそう。

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    2013年04月04日
  • 女の一生 一部・キクの場合

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    悲惨な時代や環境だからこそ、愛が純粋培養され結晶となり、生きていくことの救いと成り得る。
    と言うことで今僕が欲しているのは、愛だ?!

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    2013年06月03日
  • キリストの誕生

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    原始キリスト教団とユダヤ教の関係、なぜイエスは神格化されたか。日本人には馴染みのない部分が丁寧に書き込まれているのでわかりやすかった。永遠の同伴者、孤独。

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    2013年03月22日
  • 王国への道―山田長政―

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    タイ旅行のお供に持っていった一冊。山田長政については名前くらいしか知らなかったが、今から400年も前にタイ(シャム)のアユタヤ王宮で権謀術数をめぐらせていた人物だったことに驚いた(むろん虚構は入っているだろうが)。わずかばかりのチャンスをつかみ取りながらのし上がっていく彼の生に、ただ日本にキリスト教を布教するという信念のみを持ってローマまで辿り着くペドロ岐部の生が、相対する方向から交差する。「ただこの2人はたがいに気がつかなかったが一点においてよく似ていた。それは狭い日本にあくせくと生きず、おのれの生き方のために海をこえて新しい世界に突入したことだった」(p.285)。「おのれの生き方のために

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    2013年03月12日
  • ぐうたら社会学

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    ネタバレ

    遠藤周作というと、文学作品を多く読んでいたので、エッセイは新鮮で、くすくす笑わせられた。
     終始、いたずら好きでお茶目な作家さんという感じで、今まで私が知らなかった一面を見ることができた気がする。
     「ぐうたら社会学」というタイトルだけれど、読み進める中でグサッと胸に刺さる言葉も多々あった。
     中でも、作者が語っていた、人と人のつながりの笑いが自然で大切だということ。これからの時代に大切になってくると語っていたのは印象的。50年たった今は昔以上につながりが希薄になっているゆえ、このことは大切にしたいと切に感じた。

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    2013年02月25日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    初めて読んだ遠藤周作です。
    フランス革命前後の小説という意味でも初めて読みました。
    ただただきらびやかな一面だけが書かれているのではなく、アントワネットの内面も丁寧に書かれていて、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という有名な(?)アントワネットとは違う一面を読めました。
    彼女のその内面に、共感できるかどうかは別ですが。。。

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    2013年02月11日
  • 砂の城

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    それぞれの美しさとは、善いこととはを、テーマにしており考えさせられる。
    新潮社版で読んだが背表紙の解説には結末がズバリ書いてありガッカリ…

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    2013年01月06日
  • 砂の城

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    築いたものが砂の城ならば結局は崩れやすいよね。情熱に身を注いだ西もトシも、また泰子ですらみんな崩れたんだろう。
    美しいものと善いものは砂じゃないんだろうけど、それがなんだか分からずみんな探しながら生きてるってことなんかな。おもしろかったです。

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    2013年01月06日
  • 女の一生 二部・サチ子の場合

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    戦争が信仰の奥の奥を、信仰の奥の奥が、人間の奥の奥を。
    死を選ばざるを得ない背景。
    俺なんて逃げるだろうな。

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    2012年12月24日
  • 王国への道―山田長政―

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    江戸時代にこんな人がいたとは知らなかった。単身、タイ・アユタヤに乗り込み、藩主まで登り詰めるなんて、本当にガッツがある。ペドロ岐部が、地上の王国を目指す山田長政と対照的に描かれてるけど、信念を持って生き抜くところが、やっぱり、ガッツがあって、2人は似ているなぁと思った。これはあくまで小説、実際はどうだったのか、かなり興味をそそられる。

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    2012年12月17日