遠藤周作のレビュー一覧

  • 反逆(下)

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    ストーリーの合間に根拠となる文献と作者の所管が添えられており、単なるエンターテインメント作品ではなく歴史検証的な作品でもあり知的好奇心をくすぐられます。しかし、解説によると物語の重要な人物、竹井藤蔵が全くの架空人物とのことで、やはり物語であって鵜呑みにはできないなぁと。
    また、キリシタンにまつわる人物が多く描かれているところも作者の信仰心からくることも間違いないですね。
    上巻は荒木村重中心の展開だったが、明智光秀初め高山右近、中川清秀、そして柴田勝家、反逆する武将の心理を浮き彫りにしながら秀吉の天下統一までを描く。反逆の顛末の凄まじさに圧倒される。
    この作品で戦国時代への興味が確実に高まりまし

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    2016年06月08日
  • 反逆(上)

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    信長の残虐ぶりが際立つが、それでも頂点にのし上がった知略や、人の心を読む力には大いに興味をそそる。
    対する主人公、荒木村重は戦略に関しては凡人であり、感情移入しやすい。
    豊臣秀吉、明智光秀それぞれの戦略と照らし合わせながらのストーリー展開で、戦国時代への興味が増します。
    また、この時代の価値観、損得で動く殺伐さがよくわかります。
    上巻の後半で早々と反逆ののろしを上げ、かなりの劣勢となりつつの下巻、この後どう展開するのか楽しみです。

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    2016年06月01日
  • 私にとって神とは

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    ネタバレ

    筆者がなぜキリスト教を信じるようになったのか、神とは、三位一体とは、キリストとは、といった質問に対して筆者個人のキリスト教感で以て答えている本。筆者は日本人としての仏教、神道的感覚も持ち合わせているおり、そことの折り合いをつけながら帰依したキリスト教は日本に住んでいると遠い存在のキリスト教を身近に感じさせてくれた。
    特に印象的だったのは「神は存在しているのではなく、働きである」という考え。一神教を信じていない身としては、神の存在は全くぴんとこないが、人の心の底にあって、そこで働く何かが神ということならば何となくだが自分も感じることができる。

    筆者が迷いながらもキリスト教を信じることとなった経

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    2016年04月03日
  • キリストの誕生

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    とても面白く、聖書の理解が深まりました。筆者は常に第三者の視点を保ち、新約聖書の内容的誇張や欠落を数多の学説に基づいた知識で埋める一方、資料の乏しい部分については大胆に想像力を働かせて、イエスの死後、残された弟子たちがどのように葛藤し、生き抜いていったかを描き出していきます。正統的神学からは外れるような言葉遣いにドキッとしますが、それは事実を元にした小説を読むようなもの。特に本作で扱う使徒行伝は、歴史・文化的背景や人物のバックグラウンドが分からないと理解が難しいので、参考になります。

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    2016年03月19日
  • ユーモア小説集

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    面白い話が起承転結でできているとするなら、遠藤さんのお話は起承転ケくらいで終わってる様子で、余韻が長く、読みおわってちょっと考えるというタイプのものです。好き嫌いはあると思いますが、ワタシはこういうの大好きです。
    男には他人に見せてはならない顔が3つある。まず、金を数える顔。第2に、女とナニしとる時の顔。第3にだな…

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    2016年01月10日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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     十頁だけなんてとんでもない、最後まで飽きることなく読んだ。色々なシチュエーション、その時の複雑な心情に合わせた効果的な手紙の書き方について語っておられるのだけど、私のイメージを良い意味で裏切るようなひょうきんさとユーモアが文章に表れていて、為になるのに堅苦しくない。メールやSNSが普及して手紙離れしている現代でも通じるお言葉ばかりで、手紙が書きたくなる。また、これらのコツはメールなどでも使わなきゃなと思った。

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    2015年12月02日
  • さらば、夏の光よ

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     遠藤周作さんの作品は、必ずその根底に愛があって、細部細部に現れる憎しみ嫉妬裏切り…の中にも愛が感じられます。読んでいて安心できる、そして何だか救われる作品たちです。
     作中の、南条も京子も野呂もそれぞれの若い時代を精一杯生きています。読み終えて最後にわかったことは、野呂に対する南条の愛でした。

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    2015年10月26日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    自分の過酷な運命を受入れ、潔く死地に赴くマリー・アントワネット。幽閉生活の中で彼女は何かを学び、死を静かな心で受け入れる境地に至ったのだ。

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    2015年10月12日
  • 満潮の時刻

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    ネタバレ

     40代の働き盛りの男性が、結核により療養生活を送ることになることから物語は始まり、淡々とした療養生活と、その心境の機微が描かれている。
     今の医療技術からは考えられない治療法、入院期間だが、当時多くの人々が命を落とした結核という病気の恐ろしさを垣間見た気がした。
     その苦痛、死の淵に立たされたときの模写が妙にリアルなのは、作者自身結核を患っていたからなんですね。
     病院のなんとも言えないあの重い空気感も、読んでいるだけで気が滅入るよう。

     ケムリハナゼ、ノボルノカ。
     わたしは今まで大きな病気も事故もしたことがない。
     本当の苦痛、不幸、孤独感を味わったとき、何を考えるのだろう。誰か、そば

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    2016年06月08日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    遠藤周作の手紙の書き方エッセイ本。

    特に目新しいことが書いてあるわけではないけど、ユーモラスでわかりやすい。
    ほとんどラブ・レターの話だけど。
    メールもLINEもない時代のラブ・レター。

    受け取る人の立場に立って文章をかくこと。
    無理に形式ばった手紙を書こうとせず、とりあえず、書いて、ちゃんと投函することが大事。

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    2015年06月29日
  • さらば、夏の光よ

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    ネタバレ

    まったく全員が幸せになれなかった。
    みんな悪くない。
    みんな愛すべき人を愛しただけ。
    あまりにも辛い物語。
    もし神様がいるならこんな酷い話はないでしょう?と言いたくなる。

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    2015年06月24日
  • 死海のほとり

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    キリスト教でもなければイエスについてそこまで詳しいわけでもないのだが、イスラエルに滞在経験があり、ゆかりの地をあちこち回ったのでそのときの記憶とともに読み進めました。とかく神聖視されがちなイエスだが、実際のところその生涯は惨めでみすぼらしく、失望され、罵声を浴び続けてきた。しかしいつも苦しんでいる者悲しんでいる者のそばに寄り添うことをやめなかった。矛盾するようですが、自分はきっとイエスのような人間にはなれないと確信すると同時に、これまでで最もイエスを身近に感じられる、そんな小説でした。挟まれる私小説で語られる「ねずみ」のエピソードにより、そんなイエスの存在がよりくっきり浮かび上がる仕組みになっ

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    2015年06月14日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    これ、みんな読んだらいいよ。手紙だろうがメールだろうが、同じ心がけが必要だよなぁ。そして、やっぱりこんな時代だからこそ手紙をもらえたら嬉しいよね。

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    2015年06月14日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    この作品を読みながら感じたことは、この王妃がここまで浪費をして、民衆に憎まれなかったら、フランス革命はあそこまで血で血を洗う極端に残虐な結末になることもなかったであろう。少なくとも庶民に愛された王室であったなら、王も王妃も処刑されることもなかったのではないか。

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    2015年06月13日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    遠藤周作氏の作品は、海と毒薬や沈黙しか読んだことなかったため、最初はイメージが違ってびっくり。なんて洒落ててお茶目な人なんだろう!手紙や私信を出すときの書き方や心構えなんかの指南書だが、堅苦しくなく、面白く読める。恋文のところなんかは笑ってしまったけれども、相手があってこその文章、この本で学んだことは大切にしたいと思う。

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    2015年05月25日
  • 鉄の首枷 小西行長伝

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    小西行長とはどのような人物だったのか、ここに全てが描かれています。商人の家に生まれキリシタンの洗礼を受けた彼。大名として生きるにあたりキリシタンとしての生き方との差に苦悩し、それでも面従腹背の生き方を貫き朝鮮の役に当たった彼の姿に心を打たれました。そして報われぬまま首枷を嵌めたまま散った儚さなど。
    生き方により形成される矜持やしがらみ。それこそが鉄の首枷であると感じました。首枷を外すことのできた右近、首枷を首枷と感じなかった清正、首枷に抗いそれでも外すことをどこかで諦めた行長など首枷は様々な生き方を表していました。

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    2015年05月04日
  • キリストの誕生

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    「イエスの生涯」よりも難しい…。

    う〜ん、難しい…というよりも、
    弟子達や弟子の布教によって信徒になった人達によって
    イエスをキリストとして高めるまでの過程やその心情が、
    キリスト教徒でもなければ、
    他の宗教に強い信仰があるわけでもない私には理解しづらい。
    でもわかりたいと思ってしまう。なんだかちょっと羨ましい。

    イエス死後、弟子達の自問自答や自責の念を考えると切なく感じる。
    悩み続けるその姿に、同じ人間としての悲しみや弱さを見ることができ、
    遠い昔に生きた人達を少し身近に感じられた。
    弱さがあったからこそ強い信仰につながった、というのは納得。
    イエスの復活についての考えも、なるほど〜と思

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    2015年03月09日
  • 人生には何ひとつ無駄なものはない

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    著者は遠藤周作となっているが、彼の死後に編纂されたアンソロジーだ。悩みを抱えて購入したもので、曽野綾子氏と同じくキリスト教者の手による文章というのが我ながら面白い。仏教関連の本としては五木寛之氏を思い浮かべるが、思想の違いを感じる。遠藤氏のエッセイから多くの文章が選ばれているが、中でも「バカ正直」にまつわる話に共感した。まあ多くの男女が共感できるものではないとは思うので、興味のある方だけにしかお勧めできないが……

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    2017年08月20日
  • 遠藤周作短篇名作選

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    一貫して同じ主題の短編小説が続く。
    同じところを掘り続け、深く深くなっていくのに、掘るのをやめない。

    「海と毒薬」をもう一度読み返したくなった。

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    2015年01月17日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    人の心を温めるそして自分のこころも温める考え方の秘訣が、
     遠藤周作さんは「侍」「死海のほとり」など、キリスト教にかかわる作品を何冊か読んだ気がします。こころの洗われる美しい内容であるところは、ワタシにとっては三浦綾子さんと同じジャンルの作家さんです。
     執筆から半世紀たって発見されたこの作品は、なるほど内容は50年前の手紙を書く秘訣の内容ですが、人の心を温めるそして自分のこころも温める考え方の秘訣がちりばめられていました。遠藤さんの作品はワタシにもいっぱい残されています。じわじわと少しずつ読みたい作家さんの一人です。

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    2015年03月18日