遠藤周作のレビュー一覧

  • 聖書のなかの女性たち

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    聖書を読んだことがなくても普通の物語としても読めるし、聖書を知っている人なら新たな感動と発見がある。
    実際に、カトリック信者の作者だから描けるキリストからみた女性像。
    聖母だけが救われるのではない、様々な苦悩のなかで生きながらも清くあろうとする、女性達の姿は、皆美しい。男性社会だった時代にも強く生きた女性達は現代の私たちにも勇気を与えてくれる。

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    2009年10月04日
  • 砂の城

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    画像がない・・・
    平凡な高校生たちが、幸福を夢見て愛を求めて、自分の本能がままに生きていく。理性と感情と共に。つらい現実が待ち受けていることも知らずに・・・

    結構昔の本だから、時代背景がちと古いけど、でも読みやすかった。人生の坂を転がり落ちるトシの気持ちが俺にはわからん・・・
    今はこんなんなってるって、昔の自分は微塵も思わなかったなぁ、確かに。それはみんな同じなんですよね、人生に苦しんでいるあの人も・・・

    少し偶然が起こりすぎな気がした本でした(笑

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    2009年10月04日
  • ひとりを愛し続ける本

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    恋愛本というよりは、「愛とは何か」みたいな重い本。
    キリスト教の哲学がベースかと思いきや、そーでもなくて、遠藤周作の人間に対する深い洞察力が冴え渡ります。

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    2009年10月04日
  • 砂の城

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    人生の分岐点、多分、私位の年齢からの人が読んだ方が良いと思います。
    美人で頭の良い主人公にはちょっと引け目を感じちゃうけど。

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    2009年10月04日
  • 満潮の時刻

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    結核に冒された男がおくる闘病生活を淡々と描き出した作品だが、入院している人々の様子や、病院の窓から見える数々の情景、そして三回に及ぶ手術に望む男の意思の動きといったシーンは、決して平坦ではなく、ドラマティックですらある。
    男の内面は期待と絶望の間を行き来し、一旦は無気力に陥ったりする。その動きは決して他者と共有することは出来ない。一人きりで屋上から眺める風景や、真夜中に思う絶望はあくまで個人のものであり、悲しみを分け合うことは出来ない。
    しかし、男の妻は男のために様々な努力をしてくれる。絶望の種類は違ったとしても、悲しい出来事によって絶望するのは、本人だけではないのだ。悲しみを見守る視点は常に

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    2009年10月04日
  • 白い人 黄色い人

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    「白い人」より。静かなサディストって一番怖いということがわかった。ストーリー自体も、漫然と読むと背景描写が静か過ぎて、展開の強烈さを時々見失いそうになってしまう。

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    2009年10月04日
  • あなたの中の秘密のあなた

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    結婚してしばらくして これでいいのかと悩んでいたときにであった本。結婚生活から情熱はうまれない。情熱を愛情に変えるには努力 知恵 技術が必要だ・・など目からウロコが落ちる言葉がたくさんあり いまだに時々読み返している

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    2009年10月04日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    来年のラッキーカラー(エメラルドグリーン)の背表紙で買おうと思って選んだのが遠藤周作で、その中からチョイス。
    小さい頃から父親の本棚から拝借して読書をしていたけど、その中に海と毒薬が並んでいて、やけに目について気になっていたから父親にどんな話?と聞いてみたら「それは読まんくてもいいんじゃない、何か感動があるとかないと思う」とふわ〜っと遠ざけられてて、余計気になってたから、大人の今、購入。
    暗い…えぐい…。遠ざけられた意味がわかった…。
    けど、信仰を持たない日本人の良心と、罪と罰とは、苦しく考える物語の雰囲気に、若い頃の父親の気持ちを想像しながら自分も同じ経験をできたので、読めてよかった。
    次は

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    2025年12月28日
  • 悪霊の午後(下)

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    ネタバレ

    上巻を読んでいるときから感じていたけど、下巻になって『オーメン』が強くなってきた。悪女に負けていく男性たち…。分かりやすく堕ちていくな~。面白く読めたけど、結末がイマイチすっきりしないのが残念でした。遠藤周作のこう言う作品を読めたのは良かった。

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    2025年12月04日
  • 悪霊の午後(上)

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    ネタバレ

    遠藤周作がこう言う感じの作品を書いているのは意外。物語としては面白くて読みやすいけど、やっぱり『沈黙』『イエスの生涯』『キリストの誕生』のような好きな作品とは違いちょっと薄い感じがしてしまう。悪女が自分の正体をさらした場面はちょっと怖かった。遠藤周作と言うのがなければ単純に面白かったと思う。

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    2025年12月04日
  • ひとりを愛し続ける本

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    ネタバレ

    本物と偽の違いは緊張感。確かに。
    また印象的だったのは、小説家は物語の登場人物を創り出す親、母になるということ。作家は、執筆中、主人公たちが、生きている。という手ごたえを感じるのだという。現実世界の人よりも身近にも感じられるのだと。
    その感覚は非常に興味深かった。
    遠藤周作は物語も面白いけど、エッセイも面白い。けっこうひょうきんな人だな、と思う。
    エッセイのタイトルと内容がちょっとズレてるとこは、気になった。

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    2025年11月16日
  • 沈黙

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    ネタバレ


    なんとも重厚な読み物であったか。
    基督への信仰心を持った若き司祭が暖かな部屋から飛び出して、吹きすさぶ嵐の中を寒々とした荒野を突き進む。
    体を引き摺るようにして進んで行った先で、新たな信仰の形を獲得した男の話だった。

    キリストがとにかく迫害されたかつての日本が舞台で、徹底的な拷問を受ける人々は痩せてゴミの様に捨てられ、衝撃的な出来事に心が動かなくなっていく有様はフランクル著の「夜と霧」にそっくり。
    穴吊り場面では戦場のメリークリスマスが思い出されましたね。
    本書にある通り、宗教は豊かで強い者のために存在しているのてわなく、孤独で貧しく弱い人こそ必要な存在なのでしょう。
    今日の日本において、

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    2025年11月14日
  • 海と毒薬(新潮文庫)

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    帯に書かれた内容から、人体実験の部分にフォーカスしている本かと身構えたけど、そうではなかった。
    戦時中の人体実験に至った背景を、特に医師や看護師の心情や性格にフォーカスして書かれた本。
    皆が平凡な人間で、かつこのような異常な環境下でなければ、人体実験には至らなかったのかな。
    唯一、勝呂先生だけ、正常な認知機能を保っていたということなのだろうか。

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    2025年11月06日
  • 新装版 わたしが・棄てた・女

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    昭和23年大学生の主人公吉岡努が素朴な女性森田ミツをもて遊び棄てる
    吉岡の人生とミツの歩む人生の話

    主人公がゲス過ぎて不愉快
    自分はミツをいいように利用して弄んどいて「聖女だと思っている」って、お前が言うなよ

    ⋯とは思ったが、
    読んだ後に落ち着いて考えると作者はわざとこう書いてるんだろうと思った

    自分本位でゲスな男の主人公と、対する素朴で純粋な女の森田ミツが対照になされていて、それによってミツの「無私の愛」がより強調される形となる

    森田ミツという一人の女性の悲哀の物語ともとれるし、キリスト教精神の「愛の実践」をテーマとしたものと捉えることもできる

    ミツという人柄は、相手を存在そのもの

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    2025年10月30日
  • 何でもない話

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    人生の意味も無く過ぎ去って行く瞬間を切り取ったような短編集。

    ああこの感じわかるって思える。同じ経験をしている訳でもないのに、同じような感情や感覚は心に湧いたことがある。強い感情ではなく、ぼーっとしながらすり抜けていくような何気ない気持ちを描写している。

    遠藤さんのホラー怪奇小説がけっこう面白いことを発見。

    また他の作品でも登場してる(?)キャラクターが出てくるのもファンとしては嬉しくなってしまう。(「尺八の音」)

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    2025年10月22日
  • イエスの生涯

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    遠藤周作が実際に中東へ赴き、イエスの生涯について自身の考察を記載した内容。著者本人がカトリックなのでキリスト教の理解も解像度が高く、調査内容も詳細がしっかりしているので新たに知られることが多かった。

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    2025年09月30日
  • 新装版 海と毒薬

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    キーワードは、良心とはなにか。
    良心を持たないと、組織や時代によって一線を超えてしまうようなことをしてしまうって話
    信仰を持たない日本人は、どう良心をもつのか。
    ビジネス本に書かれている、自分はどうありたいかを持ちましょうと通ずるものを感じた。

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    2025年09月30日
  • 海と毒薬

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    ドキュメントとして読むべきか、創作として読むべきか。結局のところ時代背景なのかなとも思う。結局みんな死ぬから命が軽い。命を奪うことに罪の意識がない。ましてや米兵。なのに、病院内の権力争いには固執していたり、男女のいろんな執着心も持っている。どうせみんな死ぬと思うのに、執着だけはあるんだ。自分はこの先も生きていくんだとも思っているあたり、よくわからないけど人間って感じ。

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    2025年09月22日
  • 【新装版】ほんとうの私を求めて

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     書かれた時代によって今の感覚では「古い」と思ってしまいそうな記述もそれなりにあるが、それはその当時でも著者本人が自覚している部分もあり、穏やかな語り口で案内される内面世界に不快感は一切無かった。これには、不必要な自虐が無い(自嘲的なユーモアが程良い表現に加工されて面白く示されている)ことも影響していそう。
     男女の違いについては昨今のジェンダー観にはそぐわない箇所があるものの、押しつけがましさが無い上に、著者は男女どちらをも尊敬できる友人として見ていることが伝わる。違っていても、それで良いのだと思えた。
     仏教の視点や数々の文化人との交流を踏まえ、著者の深い教養の一端を覗くことができる楽しさ

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    2025年09月15日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    時代背景が違いすぎて、あんまりためにならん。
    なんてったって、執筆されたのが1960年なんだから。
    女の子を誘うのに手紙なんて書かないし、そもそも俺は手紙を書いて送ったこともない。

    遠藤周作の作家としての修行の話は面白い。
    『何から何までこの、「ようなゲーム」に換言して懸命に頭をひねらねばならぬのであるから退屈する筈がない。こうして遊びながら形容詞の勉強をしたものでした。』(p.53)
    『まず本の読み方が違ってくる。今までパラパラ、スラスラなんの気もなく読み過ごしていた小説も、自分が□□「ようなゲーム」をやる身であるから、プロの作家たちがどういう形容詞を使っているか、今までになく関心が出てく

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    2025年09月14日