遠藤周作のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
全2巻。
荒木村重、明智光秀の
反逆の話。
珍しい荒木村重主人公。
上巻は荒木、
下巻は明智、
2人の反逆を絡めてる、
興味深い構成。
が。
下巻の中盤でその話は終わる。
ページ数を稼ぐ為なのか、
その後は長過ぎるエピローグ。
秀吉の台頭と賤ヶ岳決戦まで。
これいらん。
長過ぎるエピローグのせいで、
テーマがぼやけ、
結局平坦な印象になってる。
ぐあっという盛り上がりというより
やや客観的な書き方をされているので、
なおのこと薄い印象に。
上下巻に分けたかったのか、
ちょっと無理矢理でぐだぐだ。
著者の取材後記とか年譜とか解説とかも長い。
あと荒木・明智の反逆が、
特に深い関係性って訳 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「清吉さんのためうちにできたことは……少しのお金ば作ってやったことだけ。ばってん、そんなお金のために……体ばよごさんばいかんやった」
高校2年、修学旅行の事前学習として学校からだされた課題本のひとつ。
もともと遠藤周作の作品はほかのキリスト関連の文学作品よりも抵抗なく読める。視点が偏っていないからだ。遠藤周作氏も洗礼をうけたキリシタンだけれど、彼の視点は第三者であり、読者に考えさせる余地を作ってくれる。なぜキクは身を売るほど清吉を愛していたか、それを踏みにじった伊藤。伊藤の二面性にみえるのは人間の本質だ。キクが一途に清吉を想う過程は、決して清らかなものではなかった。胸張り裂けんばかりの衝撃 -
Posted by ブクログ
背が低くて愚鈍な野呂。野呂が愛情を持っていた京子は親友の戸田が奪っていった。しかし戸田は妊娠中の婚約者京子を置いて事故死してしまう。京子の「杖」になりたい、時がいつかは解決してくれるのではないかと野呂は京子と結婚する。しかし、結婚生活でも野呂に対して愛情を抱けず、彼の不器用な優しさに苦痛だけを感じる京子は、戸田と死産だった子供の後を追う。
なんとも重い話。お互いが「いつかは・・」と思い続けても、結局どうにもならなかった運命。運命って言うのかな、その言葉だと重過ぎるかな、どうしようもないことってある。生理的嫌悪を感じながらも「便利」だから野呂を使う。理解できるだけに、哀しい女性の残酷さ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレキリスト教徒である筆者が、”死”について思うところを述べている。だからといって一つの宗教にとらわれるのではなく、語っている。その語り口は圧倒的にやさしい。
2022年8月再読。
ホスピスや延命治療等の内容を聞いていると少し時代を感じる。著者本人も最後に言っているようキリスト教談義となってしまわないようにしたとのことで、別の宗教の観点等も所々でてくる。
P.33
私小説家たちは一種の自己鍛錬というか、自己修行というか、そういうものを無意識に積んでいったんでしょうね。そういうものを一つ一つ積んでいって、円熟というところへ到達したんでしょうね。そうでないほうの、うまく年をとれない作家たちは、老い