遠藤周作のレビュー一覧

  • 死海のほとり

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    ネタバレ

     著者のイエスの生涯もよかったが、本書も良書である。
    イエスを主役とするイエスの時代の物語と、著者が現地で感じたことについて対談形式で進む物語と、章立てが交互に進んでいく。

     旅の中で、著者はイエスの時代に起こったことが聖書に書かれているが、それが本当にあったことなのか、それとも現実ではないのか、など友人に語りかけたりしているが、それは、著書”イエスの生涯”における、事実と真実という書き方に置き換わるのだろう。

     本書を読みながら、前に読んだ(見た)三浦綾子氏の”イエス・キリストの生涯”の美術画を片手に読み進めると、なおよいと思う。

     『神よ、なぜ、私を見棄てられました』と十字架の上で声をあげるが、それがなぜだったのか、まだ私にはわからない。色々、まだ読んでみようと思う。

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    2018年03月29日
  • 何でもない話

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    『沈黙』があまりに素晴らしかったので遠藤さんの他の作品を読んでみたくて中古本を買ってみたけどこっちはあんまり…。テーマが被るような話もあったり。
    一番よかったのは、短編『爪のない男』。
    話に無駄がなくて、小気味良いホラー。好き。

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    2018年03月14日
  • 王妃マリー・アントワネット(下)

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    パリ行きの飛行機の中で何とか読み終わりました。
    彼女に関してはいろいろ逸話がありますが、こちらは良い人に描かれています。
    時代背景も興味深く、生まれたときから運命づけられたかのような翻弄された人生は切ない気持ちになりました。
    個人的にはこの本の通り、魅力的な人だったんだろうなと思います。

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    2018年01月20日
  • それ行け狐狸庵

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    氏の好奇心旺盛な一面を存分に味わえる書。現代の視点からすると、前時代的な印象を持つ箇所もなくはないが、昭和のよき時代の側面と捉えればそれでよいのかもしれない。

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    2018年01月05日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    フランス革命に消えたフランス・ブルボン家の女王マリー・アントワネットを描く物語。マリー・アントワネットがオーストリアからフランスへと嫁ぐ場面から始まる。そしてそれを恨めし気に眺める、パン屋の奉公少女マルグレット。この2人を軸にストーリーが展開してゆく。
    マリー・アントワネットは、まだあどけない少女ながら宮廷政治に大きな影響を持つ立場となり優雅な暮らしながら自由も何もない。時には孤独を感じることも。ルイ15世の愛人デュバリー夫人との対立など、トラブルも起こす。
    マルグレットは、パリに出てきたものの、娼婦となりその日暮らし。自らの世話をしてくれた兔のおばさんの逮捕をきっかけに、王家や貴族への恨みをますます深いものにしてゆく。物語のアクセントの存在として、サド侯爵がいる。遠藤周作の『留学』という短編集におさめられた、「汝も、また」という短編はサド研究者の話であった。サド伯爵が破廉恥罪で投獄されたり、活躍(?)したのはこの時代だった。

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    2018年01月05日
  • キリストの誕生

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    見捨てたイエスが処刑されるも弟子達を許してくれとかいってるし、すごく悪いことをしたなぁと。これはきちんと考えなきゃいけないぞと弟子達は恥じ、悔しく思った。誤解していた師を再発見したことで、イエスは人の中に復活した。こうして徹底的に考えたものがのちのキリスト教の母体となる。けどユダヤ教の枠を出ず、そのためか異教であるとはみなされずに容認されていた。けどちょっとずつユダヤ教に疲れた人たちにキリストが広まっていったので、あるとき弾圧されたもんだから逆にエネルギーが強まり、キリスト布教活動が本格化する。けどその後グループに亀裂が入る。異邦人相手に布教してもいいんじゃないかという派閥と、異邦人はやめようぜという慎重派。推進派のステファノが神殿よりも愛でしょっていったイエスに倣って、ユダヤ教が崇拝する神殿否定を行なったためにボコボコに殺される。殺しに参加したのがのちに出てくるボーロ。離散派とエルサレム残留派に完全に分かれていくが、離散派はどんどんユダヤ教以外の異邦人に浸透していく。その離散派にことごとく影響を受けたのがボーロ。彼はステファノ殺しに参加したが、それら はユダヤ教が重んじる律法主義に限界を感じでいたから、それを戒めるためにステファノに石打を食らわせたのだった。イエスか律法かと問われたかれはついに改宗し、異邦人布教活動の急先鋒となる。

    その頃エルサレムでは事件が。暴君カリグラが即位し、自分を神として礼拝しろと言ってきた。もちろん反対したユダヤ人がカリグラの銅像を壊したところ、カリグラは軍隊を派遣しユダヤ人殲滅に動き始めた。世の終わりに近い終末観の中で、キリスト教は多くの改宗者を獲得していく。キリスは見捨てないと。カリグラ暗殺など諸所ありユダヤ教は難を逃れる。

    なぜ、エルサレムの慎重派やユダヤ教が異邦人嫌うかというと、ユダヤ人は律法に定められている割礼と休息日を守っているから。それによって神に選ばれたものだと信じているから。それをしない異邦人は受け入れられない。それでも異邦人布教を続ける離散派にとのあいだに、とうとう会議が開かれることになった。これがエルサレム会議。離散派急先鋒のボーロは、かつてユダヤ教信者であったゆえにユダヤ教の律法の限界を考え抜いた末に感じていた。律法の限界とはつまり「私の欲している善はしないで、欲していない悪を行なっているのだ」とのこと。キリスト以前のイエスに焦点をあてていたエルサレム慎重派(弟子派)と、イエスではなくキリストとしての復活に興味があるボーロ。ボーロは律法の限界から人間を解放してくれ、神は人間とを和解するものとしてキリストを地上に送った。罪もない彼を人間の身代わりとし、人間の全ての罪を彼に負わせ、死を与えることで、救いの道を開かせた。ユダヤ教の枠を超えて布教しようとしたのだ。かたや弟子派も、そもそもユダヤ教から改宗したものも多い。それはそもそもユダヤ教は異民族に国土を蹂躙されてきた歴史があり、そのため常に異邦人を意識しなければならず、改宗したのもキリストこそがそのユダヤ人の苦しみを理解してくと信じだからであった。会議の結果、妥協点として異邦人達がいくつかの条件付きなら教団に入れようと決着した。

    その後外で布教を続けたボーロも弟子派のいるエルサレムも滅亡するが、外に布教活動を続けた結果、西アジアやギリシャ、ローマ帝国の各地へ広がっていき、信仰は守られ続けていると。

    成り立ち、仕組みが手に取るようにわかった。神の沈黙への課題はそれぞれどう昇華しているのかわからん。昨日飲んだ中山さんがクリスチャンだったのは驚いたけど酒の席とはいえこの手の話はご法度なので、わきまえて調べていきたい。

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    2017年12月27日
  • 反逆(下)

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    ネタバレ

    光秀の信長への複雑な思いを、自分が疎かにされてきた恨みだけでなく、世を正す義憤のみでなく、また美学でもなく、“恋する男の歓心を獲た女心に似て”いるものとして描いたのは、他作品と違っていて面白い。
    小説としては秀吉の天下統一の喜悦にあふれた場面で終わるが、主題としてはやはり人間の弱さを描くことであったと思う。歴史小説というよりは「遠藤周作の小説」だなあという印象。

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    2017年07月07日
  • 反逆(上)

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    ネタバレ

    荒木村重、高山右近、明智光秀、豊臣秀吉、そして織田信長。遠藤周作の書く歴史小説。
    上巻は荒木村重の籠城半ばまで。他の作品で持っていた印象より、荒木村重が誠実な人間に描かれていて面白い。
    しかし情感ゆたかな筆致であるがゆえに、人間の弱さや無常がことさらにしみる。

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    2017年07月07日
  • 怪奇小説集

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    怪奇小説というよりなんだか昔ながらのほのぼのとした少し不思議な物語っていう感じで楽しく読めました。
    霧の中の声の真面目な旦那さんがなんとなくかわいそうだったかな。

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    2017年06月18日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

    著者は聖書原理主義や三位一体を否定している(と思う)。病人をひたすら癒しながら力を持たず暴力にさらされる姿を見習うべきか、迷った。万能の力を持つイエス・キリストのイメージが打ち砕かれた。

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    2017年06月12日
  • 沈黙

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    テーマは日本と海外におけるキリスト教の違い。キリストの存否である。\n鎖国、切支丹弾圧下にある日本での布教を行う司祭を描いている。\n描写が繊細で情景が目前に現れるようだった。\nまた、弾圧におけるエグさをただただ血生臭い描写で感じさせるのではなく、拷問される切支丹の切迫とそれを行う奉行所の人間の平穏とで対比することにより、相対的にエグさを描写していた。\nこの小説の中ではキリストの存否を取り扱っていた。島原の乱以降、切支丹に対して非道な弾圧を行う幕府がある中で、それでも神は沈黙を守るということに対する絶望があった。\n現代でも同じ神を崇める同じ信徒が殺しあっている。イスラム教徒のテロがそうである。無宗教が根底にある日本人の感覚では神のために死ぬことや神のために殺すことは到底理解出来ない。しかし、現実世界はそれらが数多ある。この小説はその理解の手がかりになると考える。この中の登場人物はまさにそれらを実行しているのだから。

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    2026年06月28日
  • P+D BOOKS 決戦の時(上)

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    遠藤周作が織田信長を書いていたとは知らなかった。書かれた時代の解釈ということで、フィクションとして面白かった。遠藤周作が書くのはこういう信長像なのかという感想。

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    2017年03月16日
  • 砂の城

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    親友、遊び人の彼氏、過激派の友人。
    美しいもの、善いものは、
    一人一人の中に、それぞれ。
    キラキラ築き上げられては、一瞬で消える。

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    2017年02月14日
  • 王国への道―山田長政―

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    単身、海と砂漠を渡ってローマまで行き神父になったペトロ岐部と、アユタヤ朝時代のタイで王女と結婚したともいわれるほどの栄華を誇った山田長政の二人を描いた小説。二人の邂逅があったかのようにも描かれており、多分にフィクションを含む話だが、「神の国」と「地上の国」を対比させ、どちらが幸福なのかを読者に問いかけてくる構図は面白いと思う。また、ローマで枢機卿の秘書になる話まで断って日本に行こうとしたペトロ岐部の姿と、山田長政が権力への欲望と権力を獲得する過程で犠牲となった人々への罪悪感の間でもがき苦しむ様子などは、深く印象に残った。

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    2016年12月29日
  • 王国への道―山田長政―

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    陽炎ゆらめく灼熱のアユタヤで、野心を試すひとりの日本人。地球を転々としながら、信心を貫くもうひとりの日本人。避けられない世の無常の中、それぞれの描く『王国』に向かって、激動の道を敢えて進む姿がひたむきで、目が離せない。

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    2016年10月08日
  • 第二怪奇小説集

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    薄いけどなかなかに面白い短編集。『海と毒薬』でもあった普通の人が突然に(というか心の中では徐徐に芽生えていたのかもしれませんが)悪意に目覚める(魔が差す?)瞬間を書くのが上手い。
    海外を舞台にした作品はその国の気候じたいも恐怖になるんだとわかる「ジャニーヌ殺害事件」「人食い虎」。
    殺人事件が起こるわけではないが、緊張をはらむミステリーになっている「共犯者」「幻の女」「娘はどこに」「憑かれた人」。
    一番面白かった…というかあきらかに意表を突かれたのが、「偽作」。

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    2016年12月29日
  • 勇気ある言葉

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    (09.11.2016)

    遠藤周作らしいユーモアに溢れたエッセイ集。
    編集部注のツッコミがなかなか面白い。
    気楽に読める一冊。

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    2016年09月12日
  • ただいま浪人

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    どう生きるかについて思い悩む若者たちが、人生の岐路に立ち、大きな決断をしていく姿を描いた作品。
    若者たちの青臭さと、それを見守る大人たちの鬱陶しさが克明に写し出されている。
    ただ、終盤の登場人物たちが繋がっていく過程は、ちょっと無理矢理な感じがしたかな。
    急に物語が丸く収まってしまって、物足りない気がした。

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    2016年08月22日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    ツイッターの投票企画で当選しました。
    ありがとうございます。
    装丁デザインだけみて選んだのでタイトルが私に対するメッセージのように思えました。洋書のようなペーパーバックです。

    ナポレオンの末裔だというがそうはみえないフランスから船でやってきたガストンさんのその人となり・生き方がこの本の魅力だと思いました。まだ外国人が珍しかった時代の人々の反応。生きるってきれいごとばかりじゃないけど、一生懸命や真面目・思いやりまた、損得で物事は動くもんじゃない。そういうのが素直にいいなと思わせてくれる作品でした。出会えてよかったです。

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    2016年08月07日
  • 王国への道―山田長政―

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    ネタバレ

    今度、東南アジアのタイへ行くのでタイを舞台にした本ということで読んだ。
    主人公は山田長政という実在の人物。
    江戸時代初期に日本からタイ(当時はアユタヤ朝)へ渡り、日本人傭兵として王室に仕え、権謀術数渦巻く中、将軍まで登りつめた男の出世物語。
    と同時に、ヨーロッパへ渡りキリスト教神父になったペドロ岐部(実在)という無私無欲の人物の目を通して、山田長政やタイ王室の権力争いを見ることで、「山田長政の成り上がりストーリー」というよりも、「権力を求めることの虚しさ」の方が、読者には強く伝わってくる。
    小説自体はそんなに面白いとは思わなかったけど、タイへ行った時、400年前にタイで活躍した日本人がいたんだ、と思い感慨にふけることができると思うので、読んでおいて良かった。

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    2016年07月14日