遠藤周作のレビュー一覧

  • 反逆(上)

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    ネタバレ

    荒木村重、高山右近、明智光秀、豊臣秀吉、そして織田信長。遠藤周作の書く歴史小説。
    上巻は荒木村重の籠城半ばまで。他の作品で持っていた印象より、荒木村重が誠実な人間に描かれていて面白い。
    しかし情感ゆたかな筆致であるがゆえに、人間の弱さや無常がことさらにしみる。

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    2017年07月07日
  • 怪奇小説集

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    怪奇小説というよりなんだか昔ながらのほのぼのとした少し不思議な物語っていう感じで楽しく読めました。
    霧の中の声の真面目な旦那さんがなんとなくかわいそうだったかな。

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    2017年06月18日
  • 死海のほとり

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    ネタバレ

    著者は聖書原理主義や三位一体を否定している(と思う)。病人をひたすら癒しながら力を持たず暴力にさらされる姿を見習うべきか、迷った。万能の力を持つイエス・キリストのイメージが打ち砕かれた。

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    2017年06月12日
  • 沈黙

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    テーマは日本と海外におけるキリスト教の違い。キリストの存否である。\n鎖国、切支丹弾圧下にある日本での布教を行う司祭を描いている。\n描写が繊細で情景が目前に現れるようだった。\nまた、弾圧におけるエグさをただただ血生臭い描写で感じさせるのではなく、拷問される切支丹の切迫とそれを行う奉行所の人間の平穏とで対比することにより、相対的にエグさを描写していた。\nこの小説の中ではキリストの存否を取り扱っていた。島原の乱以降、切支丹に対して非道な弾圧を行う幕府がある中で、それでも神は沈黙を守るということに対する絶望があった。\n現代でも同じ神を崇める同じ信徒が殺しあっている。イスラム教徒のテロがそうである。無宗教が根底にある日本人の感覚では神のために死ぬことや神のために殺すことは到底理解出来ない。しかし、現実世界はそれらが数多ある。この小説はその理解の手がかりになると考える。この中の登場人物はまさにそれらを実行しているのだから。

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    2026年06月28日
  • P+D BOOKS 決戦の時(上)

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    遠藤周作が織田信長を書いていたとは知らなかった。書かれた時代の解釈ということで、フィクションとして面白かった。遠藤周作が書くのはこういう信長像なのかという感想。

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    2017年03月16日
  • 砂の城

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    親友、遊び人の彼氏、過激派の友人。
    美しいもの、善いものは、
    一人一人の中に、それぞれ。
    キラキラ築き上げられては、一瞬で消える。

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    2017年02月14日
  • 王国への道―山田長政―

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    単身、海と砂漠を渡ってローマまで行き神父になったペトロ岐部と、アユタヤ朝時代のタイで王女と結婚したともいわれるほどの栄華を誇った山田長政の二人を描いた小説。二人の邂逅があったかのようにも描かれており、多分にフィクションを含む話だが、「神の国」と「地上の国」を対比させ、どちらが幸福なのかを読者に問いかけてくる構図は面白いと思う。また、ローマで枢機卿の秘書になる話まで断って日本に行こうとしたペトロ岐部の姿と、山田長政が権力への欲望と権力を獲得する過程で犠牲となった人々への罪悪感の間でもがき苦しむ様子などは、深く印象に残った。

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    2016年12月29日
  • 王国への道―山田長政―

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    陽炎ゆらめく灼熱のアユタヤで、野心を試すひとりの日本人。地球を転々としながら、信心を貫くもうひとりの日本人。避けられない世の無常の中、それぞれの描く『王国』に向かって、激動の道を敢えて進む姿がひたむきで、目が離せない。

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    2016年10月08日
  • 第二怪奇小説集

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    薄いけどなかなかに面白い短編集。『海と毒薬』でもあった普通の人が突然に(というか心の中では徐徐に芽生えていたのかもしれませんが)悪意に目覚める(魔が差す?)瞬間を書くのが上手い。
    海外を舞台にした作品はその国の気候じたいも恐怖になるんだとわかる「ジャニーヌ殺害事件」「人食い虎」。
    殺人事件が起こるわけではないが、緊張をはらむミステリーになっている「共犯者」「幻の女」「娘はどこに」「憑かれた人」。
    一番面白かった…というかあきらかに意表を突かれたのが、「偽作」。

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    2016年12月29日
  • 勇気ある言葉

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    (09.11.2016)

    遠藤周作らしいユーモアに溢れたエッセイ集。
    編集部注のツッコミがなかなか面白い。
    気楽に読める一冊。

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    2016年09月12日
  • ただいま浪人

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    どう生きるかについて思い悩む若者たちが、人生の岐路に立ち、大きな決断をしていく姿を描いた作品。
    若者たちの青臭さと、それを見守る大人たちの鬱陶しさが克明に写し出されている。
    ただ、終盤の登場人物たちが繋がっていく過程は、ちょっと無理矢理な感じがしたかな。
    急に物語が丸く収まってしまって、物足りない気がした。

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    2016年08月22日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    ツイッターの投票企画で当選しました。
    ありがとうございます。
    装丁デザインだけみて選んだのでタイトルが私に対するメッセージのように思えました。洋書のようなペーパーバックです。

    ナポレオンの末裔だというがそうはみえないフランスから船でやってきたガストンさんのその人となり・生き方がこの本の魅力だと思いました。まだ外国人が珍しかった時代の人々の反応。生きるってきれいごとばかりじゃないけど、一生懸命や真面目・思いやりまた、損得で物事は動くもんじゃない。そういうのが素直にいいなと思わせてくれる作品でした。出会えてよかったです。

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    2016年08月07日
  • 王国への道―山田長政―

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    ネタバレ

    今度、東南アジアのタイへ行くのでタイを舞台にした本ということで読んだ。
    主人公は山田長政という実在の人物。
    江戸時代初期に日本からタイ(当時はアユタヤ朝)へ渡り、日本人傭兵として王室に仕え、権謀術数渦巻く中、将軍まで登りつめた男の出世物語。
    と同時に、ヨーロッパへ渡りキリスト教神父になったペドロ岐部(実在)という無私無欲の人物の目を通して、山田長政やタイ王室の権力争いを見ることで、「山田長政の成り上がりストーリー」というよりも、「権力を求めることの虚しさ」の方が、読者には強く伝わってくる。
    小説自体はそんなに面白いとは思わなかったけど、タイへ行った時、400年前にタイで活躍した日本人がいたんだ、と思い感慨にふけることができると思うので、読んでおいて良かった。

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    2016年07月14日
  • ぐうたら愛情学 狐狸庵閑話

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    同じことを何回も書いてある 連載をまとめたものなのかしら?
    古きよき分別・ふるまいを勉強する意味でも良書

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    2019年01月24日
  • キリストの誕生

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    イエスの死後,「キリスト」が誕生するまで。そんなの考えたこともなかったけど,とても勉強になった。弟子たちってすごいなあ。

    そしてここでもやはり「神の沈黙」がテーマとなっていた。
    んんん・・・。

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    2016年05月19日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    故遠藤周作さんの遺稿。
    今読んで、人の20年というものは大きいものだと思った。90代まで元気に人生を楽しんでいる人もいれば、遠藤さんのように70代で帰天される方もいる。もう70になったら、それほど楽しいこともないんではなかろうかとうっすら思っていた私だが、もし遠藤さんが90代までご存命であったら、もういくつの作品が世の中に残ったのだろうと考えると、そう思った。

    本文は、手紙の書き方を通して、遠藤さんの文学に向かう姿勢が伺える。後書きにある様に、妻とまだ独り立ちしていない息子を残して入院中の作品であるという前提を踏まえて、入院する人への手紙などを綴る心境を書いてあると思うと、作家とはなんて大変な職業だろうと思う。結局回復をなされたのだけれど、遺されるかもしれない家族のため、少しでも残せるものを多くと病床で向かい合った作品と知ると、確かに胸に迫るものがある。

    人の心理をなぜここまで理解できるのだろうかと、鈍感な私は思う。でも、それにしても、なぜ男性からの手紙はお誘いで、女性のための指南は断り指南なんだろう(笑)

    「ようなゲーム」は参考になった。日常の光景を、①使い尽くされていない②ぴたりとくる形容詞を使って表現する練習をすること。

    相手の気持ちをキャッチするために、
    ①抑制法
    文章の第一原則。
    自分の感情や気持ちを文章の始めから終わりまで訴えない。涙より、はんかちを握り締める手の方が印象的など。
    「夏のまぶしさや暑さを描くなら光の方から書くな。影の方から書け」
    夏の暑さを描写するのに、「太陽がぎらぎら」という表現は使い古されて、読む人は食傷気味。むしと、そういう場合には太陽の光には触れず、白い路に鮮やかにおちた影、などを書いた方が効果的。

    ②転移法
    ある感情や観念を説明するのにそれをそのまま現す言葉を使わずに、別の言葉で表現する方法。

    興味のない相手の心をキャッチするために、
    ①自分に興味をもたせる
    ②相手の美点をうまく褒める
    ・抽象的に褒めない
    ・相手だけが気付いて、あまり他人が気付かないところをほめる
    ③むだな不安や警戒を与えない
    ④ネチネチした物の言い方を避けよ

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    2016年05月14日
  • 結婚

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    浮気癖の叔父さんを持つ叔母さんの紹介で固い固い男性と結婚した奥さんが何人か出てきました。
    Aという人間がBという人間の人生を横切ったため、Bの人生が別の方向に向くことがある。と、作中にありましたが、結婚って本当にそういうものなのかも知れません。そういった無数のもしもの中にワタシたちは生きていることを感じました。さて、ワタシはAなのか?Bなのか?

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    2016年02月16日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    没後10年を経て発見された遠藤周作の未発表原稿で、ユーモラスな引きながら手紙の書き方を読者に指南する本です。

    男性から女性への恋文の書き方、女性が男性の誘いを断る手紙の書き方、病気に見舞われたり身内に不幸があったりした知人に手紙を書くときに気をつけなければならないことなどが解説されています。

    著者の文章作法をかいま見ることのできるような箇所もあり、おもしろく読みました。

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    2016年01月28日
  • キリストの誕生

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    『イエスの誕生』の続編です。イエスの死後のキリスト教団を率いたペテロやパウロたちの姿を描きます。

    著者がとくにこだわっているのは、イエスが十字架にかけられて死んだ後も、ふたたび人間的な弱さに躓くことになる弟子たちの姿です。ステファノのラディカルな主張についていくことができず保身に走ったペテロが、やがてユダヤ人以外に信者を求めるパウロに対して、またしても同じ弱さを露呈することになる姿を描きます。

    そのパウロについては、キリスト教がユダヤ民族の枠を超え出ていくきっかけを作った人物として評価されながらも、彼の説く復活信仰の普遍性が、その後ギリシアや日本のような汎神論的な信仰の根づいている地域において引き起こす問題が示唆されています。

    もう一つ、著者が熱心に解き明かそうとしているのは、「沈黙の神」と呼ばれている問題です。パウロが悲惨な死を遂げることになり、イェルサレムがローマ人たちの侵攻になすすべなく敗退していったとき、キリスト教徒は「なぜ神は沈黙したままなのか」という問いに直面することになったといいます。そしてこの問題に向きあうことが、キリスト教の信仰にとって課せられた大きな問題だと、著者は述べています。

    使徒たちの人間的なの弱さに迫っていく著者のまなざしに感銘を受けました。

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    2017年12月03日
  • 面白可笑しくこの世を渡れ

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    階段を上り下りする下駄の音、おいしげった夏草の間に聞こえるキリギリスの声、落ち葉を掻く竹箒の音・・・・なくなった日常生活の音に歳月の流れを見る。何十年ぶりに会う人は幻滅さえも齎す。賑わっていたアーケードがシャッター街に変わり果てた姿は言いようのない寂しさを漂わせる。歳月は様々な感慨を想起させてくれる。時に歳月は人を慰め癒してもくれる。本書には1970年から2000年までのエッセイが収められており、人それぞれに流れる歳月に夢想を馳せさせてくれた。

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    2015年10月25日