遠藤周作のレビュー一覧
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ネタバレ遠藤周作のイメージが変わった。信仰についてハードコアに突き詰めた作品。
白い人
舞台は第二次世界大戦中のリヨン。不器量な容貌で厳格な親のもとに育ち、抑圧された主人公は女中が犬を折檻しているのを目撃してサディズムに目覚め、アデンで少年を襲う。
学校に入ってから、神学生に心酔する女生徒の下着を盗み、舞踏会に呼び出して踏みにじる。
自らの異常性を隠し善良な天使を母の前で演じ続け、母の死を見届ける。
かつて自分が踏みにじった女生徒と神学生が教会で信仰の道に生きているのをのぞき見ると、フランス人であるにも関わらずナチスに入隊し拷問に明け暮れる。
あの神学生がナチスに囚われ、自分の担当となると、彼 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「う〇こ」などいつもの感じもありつつ、これまで読んできた「狐狸庵」シリーズとは少し趣が違うように感じました。
風雅を愛する狐狸庵先生の、孤独と哀愁、戻らない日々に対する懐旧の念が染みわたるような・・・味わい深いエッセイです。
もちろん「う〇こ」とか、「放〇」とか、いつもの感じもあってほっとするのですが。笑
あとこの本を読んで先生が劇団の座長をしていたことを初めて知りました。
その劇団の団員応募資格とは、まず全員「素人」であることと、
1.楽譜がよめないこと
2.音痴であること
3.自分で歌っている曲名を、他人が当てることができない人は、文句なしに主役にする
とのこと。間違いなく大爆笑の舞台 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昭和に多くの記憶を有する世代にとって、遠藤周作は悪ふざけが好きなだけのオッサンというイメージだ(遠藤先生すいません。真摯な遠藤文学ファンの方にもすいません)。インスタントコーヒーのTVCMで、「違いがわかる男。遠藤周作」という渋いナレージョンとは裏腹に、よれたセーターを着て庭で体操をする姿は不格好で変なオジサンそのものだった(本当に先生すいません)。作家仲間や編集者、女優さんの類が狐狸庵先生の悪戯電話で困らされたエピソードは、それらの「被害者」が、例えば阿川弘之氏の令嬢阿川佐和子さんのエッセイなどで、回想記として数え切れず残している。勿論怒ったり恨んだりしている人は一人もいない。そして、それ
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Posted by ブクログ
『沈黙』、『海と毒薬』、『イエスの生涯』、『白い人・黄色い人』に続いて、「遠藤周作文学館に行く前に遠藤周作を読みましょうシリーズ」の第5弾。『イエスの生涯』の続編としても位置付けられる作品で、イエスの死後、イエスがキリストとして信仰の対象となる過程、原始キリスト教が成立していく過程を、弟子たちの視点で描いたもの。
率直に言って、おれは『イエスの生涯』よりは、興味が持てた部分が少なかった。たぶん弟子たち、というのはイエス自身よりもさらに馴染みがおれにとっては薄いからだと思う。それでも、ペトロとポーロという対照的な2人の生きざまがありありと浮かんでくる筆致が面白い。ペテロがポーロやユダヤ教と駆