遠藤周作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
遠藤周作氏の作品を久しぶりに新刊として書店で発見し
その帯に『わたしが・棄てた・女』につながる貴重な中編と
描かれてあったので、手に取りました。
その本はこの本棚にも上げましたが、大学生のころに
読んで衝撃を受け、自分の生き方や考え方に大きく
影響した大事な作品だったと思います。
それとは少しトーンが違いますが。すらすらとよめて
わかりやすい本でした。
少し感動というか、重い心になるような内容ではありませんでしたが。救いのある内容だったような気がします。
もう少し若い時に読んだら、共感するのだろうと思いました。ピカレスク的な部分は憧れというか、共感を持っていたので、昔は。 -
Posted by ブクログ
1960年代前後に発表された短編14本を収録。
遠藤氏がこの後も書き続けたテーマの、「遠藤周作らしい」作品群と言える。
子供の頃を過ごした大連での思い出、女性というものの描写、他人には計り知れない人間の心の闇。深い苦しみ。
探偵小説読みすぎ?な女子学生が遭遇した事件。
女優さんがお好きな一面と、鼻の下伸ばした男のコミカルな話。
道を外した宗教者たちの人生。
フランスへの留学、異国での旅愁、リヨンの街のイメージの暗さ。
信仰の悩みの深さなど。
信仰に関しては汲み取れない部分もあり、解説のお世話になった。
風景の描写が美しく、また、通信手段の限られた時代が舞台なので、人づてに手紙を渡すという行 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「あなたは――ご自分の為さっていることが、心にお辛いのですか? 死ぬまであなたのことを祈ります。ご自分に絶望なさらないように」コルベ神父の言葉が残る。そして、知る。これは、実話だったのだと。
「愛がここにないのならば、愛を作らねば」私たちは、この言葉を忘れてはいけない。神父の生き様を忘れてはいけない、と。
キリスト教は、何故か、加害者(悩める迫害者?)に寄り添うシーンが多いような気がする。弱者にではなく。
コルベ神父の印象が大きすぎて、サチ子を忘れがちです。しかし、時代は、学徒出陣から特攻、そして、昭和二十年八月九日午前十一時二分へと進んでいきます。
誰にも止められなかった。しかし、その記 -
Posted by ブクログ
随時集は短文の集まりでも、その作家なり人となりがにじみでるのだけれど、この集はちゃんと人生論になって、上手く一冊の本にまとめられている。作家があちらこちらにお書きになるとき、そうしようとてその意識がおありだったのかも。
「老年というのはふしぎなもので若い折の肉体や壮年時代の知性はたしかにおとろえていくが、ある種の触覚・感覚はとぎすまされていく。そのとぎすまされていく間隔をシュタイナーは次なる世界への媒介感覚といった。」
氏60代ころの文だけど、わたしの年齢でちょうどいい、よくわかる。
としをとるほど見えてくる、もう一つの世界への旅立ちの準備。
「自分の救いは自分のなかにある」
「余白