遠藤周作のレビュー一覧
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2021年の冬に公開された未発表の戯曲3本「善人たち」、「切支丹大名・小西行長」、「戯曲わたしが・棄てた・女」。1970年代後半に書かれたとされる。新約聖書でペテロがイエスのことを知らない、といって嘘をついてしまう描写が何度か出てくるように、人間の弱さや信仰心について、日本人的な恥の感覚、どうしても救われない現実、というものを描いている。
「善人たち」は真珠湾攻撃の1年前に、日本からアメリカに牧師になろうと留学した青年の話。この留学生や、留学生の面倒を見るトムの妹で、異端的な行動をしたキャサリンを取り囲む街の人たちの態度が生々しい。偽善、ということを考える。キャサリンは「兄さんは理想主義者 -
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☆☆☆ 2022年7月 ☆☆☆
P287 原始キリスト教のみじかい歴史を調べる時、私がぶつかるのは、いかにそれを否定しようと試みても否定できぬイエスのふしぎさと、ふしぎなイエスの存在である。なぜこんな無力だった男が皆から忘れ去られなかったのか。なぜこんな犬のように殺された男が人々の信仰の対象となり、人々の生き方を変えることができたのか。
『イエスの生涯』『キリストの誕生』の2冊で筆者が読者に語りたいのはまさにこの点である。『キリストの誕生』では弱虫で臆病だった弟子たちが原始キリスト教の創始者となり、キリスト教が広まっていく頃の事が語られる。
ペテロやポーロ(パウロ)といった弟子たちの物語。 -
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☆☆☆ 2022年7月 ☆☆☆
「彼の容貌を私たちは見たこともない。彼の声を私たちは聞いたこともない」
彼とは、約2000年前に生まれ人々の苦しみを背負って十字架にかけられたイエスの事である。キリシタンである遠藤周作氏が「イエスの生涯」というテーマで、イエスとはどんな人物だったのかに迫る。
この本を読んで感じるのは、イエスとは純粋な優しさを持った人だったのだろうという事。人々から誤解され、弟子たちから裏切られても尚、人を恨まず「彼らをお許しください」と乞うたイエス。
臆病だった弟子たちはなぜ強靭な信仰者となれたのか、それは続編の『キリストの誕生』へと続く。